訪問診療の対象エリアや費用は?できること・往診との違いも解説
在宅医療とはどのようなものなのかご存じでしょうか。
在宅医療とは通院が困難な患者さんでも自宅で医療を受けられるサービスのことで、訪問診療や往診のことを指します。
今回は、訪問診療と往診の違いや訪問診療でできることを解説します。訪問診療の対象になる方や費用についても解説しますので、ご自身やご家族が在宅医療を検討している方はぜひ参考にしてください。
監修医師:
田中 志昂(まるごと在宅ケアクリニック)
2012年 青梅市立総合病院 初期臨床研修
2014年 東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科学教室入局
2017年 東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科専門修得コース修了
2018年 医療法人ゆうの森 たんぽぽクリニック
2020年 三田在宅診療クリニック
日本医師会認定産業医
日本在宅医療連合学会
がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了済
PEG・在宅医療研究会 嚥下機能評価研修会修了済
目次 -INDEX-
訪問診療とは?どのような人が受けられるの?
訪問診療とは、自宅や施設で療養している患者さんに対して定期的に医師が出向いて計画的な治療に基づいた診察や医療処置を行うことです。1週間や隔週ごとなど、決められた曜日や時間に医師や歯科医師、看護師、理学療法士などが訪問します。
訪問診療は、かかりつけ医が必要と認めた患者さんが対象です。対象者の年齢制限はありませんが、介護保険で訪問診療を希望する場合は要支援または要介護認定を受けている患者さんが対象となります。介護保険を利用して訪問診療を希望する場合は、地域包括支援センターや担当のケアマネジャーに相談してみるとよいでしょう。
まずは、訪問診療の対象になる条件について解説します。
1人で医療機関に通院するのが困難な方
さまざまな理由で1人で通院するのが困難な方は、訪問診療の対象になります。
たとえば加齢で外出が難しい場合、介護者がおらず1人で外出するのが難しい場合、寝たきりに準ずるような状態の場合、障害などの影響で外出が困難な場合、車椅子での移動が困難な場合などが考えられます。1人で療養中で病院までの交通手段がない、病院まで距離があるなど、通院に伴う移動に不安を感じている方は訪問診療を検討しましょう。
認知症が進み外出が困難な方
認知症の症状が進むと、日常生活に支障が出たり介護が必要になったりします。外出自体が困難になって通院が難しくなることも少なくないため、訪問診療の対象になります。
また、家族や介護者の肉体的・精神的な負担が大きくなるケースや、家族だけで対処することで症状の進行が早まってしまうケースもあるため、認知症が原因で通院が困難な場合は早めに訪問診療を検討しましょう。訪問診療を利用して早期に診療を受けることで、認知症の進行を遅らせることや家族の負担軽減につながる可能性があります。
定期的な医療処置が必要だが通院が困難な方
訪問診療では、全身の診察・薬の処方・医療処置を行うことができるため、定期的な医療処置が必要な方の利用も可能です。
たとえば人工呼吸器やカテーテル、胃ろうなどの医療機器を使っていて定期的な処置が必要だが移動が難しいという場合が、訪問診療の対象となります。
現在入院していて自宅での医療を望んでいる方
現在入院していて、退院後の定期的な通院が難しく自宅や施設で療養したい場合も、訪問診療で医療処置やリハビリを受けることができます。
遠方に入院している場合は、患者さんの在宅地近くの訪問診療を実施している医療機関と連携して支援が検討されます。また、専門性が高い治療内容の場合は専門的な治療や必要な処置を入院している病院で受け、日々のケアと診療は訪問診療で行うことが可能な場合もあります。入院している病院や地域連携室で相談してみましょう。
自宅で安らかな最期を迎えたい方
住み慣れた家で、人生の最期のときを家族とともに静かに迎えたいと願う患者さんは少なくありません。
訪問医療ではがんなどの緩和ケアなどを自宅で受けることもできるため、緩和ケアを病院ではなく自宅で行いたい場合も訪問診療の対象となります。症状の進行具合によっては、提携する病院等への入院手続きなども訪問診療の際に行うことができます。
訪問診療でできることは?
訪問診療ではさまざまな診察や処置が行われ、終末期の患者さんの看取り看護の支援なども行われます。ただし、訪問診療を提供している施設や医師によって対応している内容は異なるため、希望する治療を受けられるかどうかは事前にしっかりと確認する必要があります。
ここでは、訪問診療で一般的に行われることについて解説します。
定期的な訪問・診察
訪問診療では、1週間もしくは2週間に1度など医師が定期的に訪問して計画的な医療サービスを提供します。どのくらいの頻度で訪問するかは患者さんの状態を見て決定されますが、病状や体調の変化でいつでも変更したり緊急訪問を受けたりすることが可能です。
定期的な訪問時には、全身の診察・在宅管理の医療措置・褥瘡(床ずれ)の処置などを行います。なお、入院が必要になった場合は、家族と相談し、対応できる医療機関への入院調整も行います。
検査
訪問診療では、各種血液検査・レントゲン撮影・エコー・心電図検査などの検査を行うことができます。
在宅でできない検査は、患者さんやご家族と相談して外部の医療機関の紹介や入院検査が検討されます。
処置
訪問診療で行う処置は、主に以下のものがあります。
- 点滴
- 抗生物質の投与
- 胸水または腹水穿刺
- 小規模手術
- カテーテル交換(尿道・気管・胃ろう・膀胱ろう)
- 酸素投与
- 人工呼吸器管理
- 喉頭内視鏡(嚥下内視鏡)検査
- 麻薬の持続投与
- 予防接種
- 緩和ケア
また、訪問診療では、歯科医師によってむし歯治療や義歯の作成・修理、口腔トラブルの指導管理などが行われることもあります。
薬の処方
訪問診療では、必要に応じて薬が処方されます。
処方箋をもらった場合は近くの薬局に持参するか、薬の配達サービスを利用して薬を受け取りましょう。
緊急の往診
定期の訪問日以外や休日、夜間などに病状が悪化したり不測の事態が起こった場合は、緊急の往診に対応してもらうことができます。
慌てず、あらかじめ聞いておいた連絡先に連絡して状態を説明しましょう。
往診と訪問診療の違い
在宅医療には往診と訪問診療があり、目的や治療内容が異なります。
これまで解説してきたように、訪問診療は医師が定期的に訪問して計画的な医療サービスを提供することが目的です。そのため、訪問診療では患者さんのこれまでの病歴や現在の病状に合わせて治療計画を立て、検査や治療だけでなく栄養管理なども行います。
治療計画は患者さんの希望やご家族の介護力、経済的な事情なども視野に入れて立てられ、柔軟な訪問スケジュールが組まれます。また、病状の急変時には緊急訪問や入院の手配なども行い、24時間体制で365日対応してもらえることが少なくありません。
一方で往診は、通院できない患者さんの突発的な怪我や病気など、救急車を呼ぶまで緊迫していない場合に医師が訪問して診察を行うことを指します。往診はあくまでも臨時対応として応急的な処置を施すことが目的で、治療計画を立てて診療するというものではありません。
訪問診療の対象エリアや費用
訪問診療の対象エリアは、基本的には診療を行う医療機関から半径16km以内と定められています。規定エリアを超えて訪問した場合は保険適用にならず、自由診療扱いになります。
ただし、次のような場合は例外として保険が適用されます。
- 半径16km以内に対応できる保険医療機関がない
- 半径16km以内に対応できる保険医療機関が存在しているが往診を行っていない
- 難しい小児疾患で近隣に対応できる医療機関を自ら見つけられず、往診を依頼された保険医療機関側も近隣の対応医療機関の実態がわからない場合
訪問診療の費用は、病院で診療を受けた場合と同じ自己負担額になります。医療保険の対象者で1ヵ月間に2回の訪問診療と院外処方箋を受けたと想定すると、一般的な費用負担額は1割負担の方が約7,000円で、3割負担の方は約20,000円です。検査や医療機器の管理、がん治療などを実施した場合は、別途費用が加算されることがあります。
介護保険を利用する場合も費用の1~3割の負担です。
なお、訪問看護の回数を増やしたり、保険給付対象外のサービスを受ける場合は全額自費負担になるので注意しましょう。
また、訪問診療でも高額療養費制度の利用が可能です。高額療養費制度は、医療費の家計負担が重くならないように月間の自己負担額が一定以上になると払い戻しが受けられる制度です。上限額には個人差があるので健康保険証記載の問合せ先で確認しましょう。
訪問診療のことならまるごと在宅ケアクリニックにご相談を
希望する医療体制は人それぞれ違いますが、親身になって患者さんやご家族の相談に応じてくれる医師のいるクリニックを利用したいと考えている方も多いのではないでしょうか。自宅で療養したいと考えていても、ケア方法や注意するべきこと、緊急時の対応などわからないことも多いでしょう。
品川区のまるごと在宅ケアクリニックは、患者さんだけでなく家族をまるごとケアすることを目標に訪問診療を提供しています。
品川区で訪問診療を受けられるクリニックをお探しなら、まるごと在宅ケアクリニックに相談してみてはいかがでしょうか。
医師による24時間・365日のオンコール体制
まるごと在宅ケアクリニックは、在宅医療を中心に外来診療にも対応しているクリニックです。訪問診療や往診は、24時間365日患者さんの要請に対応しています。訪問診療での基本的な訪問回数は1ヵ月2~4回程度で、診療費用は保険が適用されるため、医療費自己負担割合に準じた金額で利用することができます。
- 高齢者:1~3割負担(受給者証に記載)
- 医療保険:3割負担
- 乳幼児:2割負担
費用の目安は、月2回の訪問で1割負担の患者さんの負担額は月額約6,500円です。診療費は病状や症状、緊急対応の有無、検査の有無、処置方法などで変わります。
主な検査は自宅で受けることが可能ですが、検査の内容によっては外部の医療機関と連携して受診できるよう体制が整えられています。
医師・看護師・ソーシャルワーカーによる医療体制
まるごと在宅ケアクリニックでは、医師・看護師・ソーシャルワーカーが連携して診療にあたっています。患者さんだけでなくご家族にも寄り添い、身体的な診察だけでなく必要と考えられる医療サービスや社会福祉の案内も行っています。
また、現在ほかの病院にかかっていても、まるごと在宅ケアクリニックで訪問診療を受けることが可能です。利用を希望する場合は、主治医の紹介状をもらっておくと患者さんの病状把握などの連携をスムーズに行うことができます。
がんや難病などの重度疾患にも対応可能
まるごと在宅ケアクリニックの訪問診療では、がんや難病の重症疾患にも対応できる医療体制が整えられています。
重症患者さんやターミナルケアの患者さんへの投薬や検査だけでなく、終末期の患者さんの食支援や緩和ケアを行っています。緩和ケアでは、疼痛や吐き気、倦怠感などのがんによる症状の緩和を目指し、必要に応じて地域の病院と連携することでケアを行っています。
患者さん本人だけではなく、患者さんを支えるご家族みなさんで自宅での療養をよりよくしたいと考えている方は、相談してみてはいかがでしょうか。
まるごと在宅ケアクリニックの基本情報
アクセス・住所・診療時間
都営地下鉄浅草線 戸越駅から徒歩4分
東急大井町線 戸越公園駅から徒歩4分
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
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9:00~18:00 | ● | ● | ● | ● | ● | - | - | - |
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参考文献