FOLLOW US

目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 医科コンテンツ
  4. 五十肩の治療法は?原因や症状についても解説

五十肩の治療法は?原因や症状についても解説

 公開日:2024/07/30
五十肩の治療法は?原因や症状についても解説

50代を過ぎて肩の関節がスムーズに動かなくなることを、一般的に五十肩と呼びます。初めは軽い痛みがある程度ですが、徐々に痛みが強くなっていきます。

患者さんによっては自然と治る例があるものの、痛みを放置していると日常生活に大きな影響を及ぼすため、適切な治療が必要です。

この記事では、五十肩に有効な治療法をご紹介します。原因・症状もまとめているので、五十肩が気になる方はぜひ参考にしてみてください。

宇南山 賢二

監修医師
宇南山 賢二(うなやま整形外科)

プロフィールをもっと見る
埼玉医科大学卒業。その後、埼玉医科大学病院整形外科・脊椎外科、国立障害者リハビリテーションセンター病院、青梅市立総合病院、秩父市立病院、坂戸中央病院などで経験を積む。2005年、神奈川県横浜市に「うなやま整形外科」を開院。日本整形外科学会認定医・認定脊椎脊髄病医・認定リウマチ医・認定運動器リハビリテーション医、日本医師会認定健康スポーツ医。

五十肩(肩関節周囲炎)の原因

五十肩(肩関節周囲炎)の原因
五十肩と呼ばれる症状は、正式には肩関節周囲炎の病態を呈している場合がほとんどです。40~70代で発症する症例が80%を超えており、特に50代での発症が多いことから、五十肩という名称が浸透しました。
肩関節は、複数の骨と骨を覆う軟骨・関節を支える靱帯・腱が複合的に作用し、滑らかな動きを可能にします。しかし、加齢とともに肩関節が柔軟性を失って炎症を起こすことがあります。これが五十肩の原因とみられていますが、明確な原因は明らかになっていません。
五十肩が引き起こされるリスクファクターは加齢以外に、糖尿病や血中の脂質高値が上げられます。また近年はデスクワークの増加に伴い、年齢に関係なく長時間同じ姿勢で作業をする方の間で肩関節周囲炎が診断されるケースが増えています。加齢だけでなく普段の生活にも注意が必要です。

五十肩の症状

五十肩の症状
五十肩の症状は患者さんによって異なります。自分は五十肩ではないと決めつけて放置していると、症状がより深刻になってしまうでしょう。注意しておくべき主な5つの症状を取り上げます。

肩を動かすと痛い

五十肩は、大きなきっかけもなく突然痛みが生じ始めるのが特徴です。初期段階ではある一定の方向に肩を動かしたり、肩や腕を使う決まった動作をする際に痛みを自覚するケースが多くみられます。特に肩を捻るような動きで痛みが生じやすいです。
初めは肩が重苦しい感じがし、肩関節にピリッとした痛みを感じます。関節を包み込んでいる関節包が全体的に炎症を起こすため、その後肩の動かし方に関係なく痛みが広がっていくのが一般的です。
肩の前後左右のさまざまな方向に痛みがある場合は、五十肩が疑われます。ただし、肩甲骨が痛い場合は五十肩の症状とは異なる可能性があるため、注意しましょう。

肩関節の動きが悪くなる

肩に痛みを感じ始めると、やがて感覚異常も生じてきます。肩関節の動きが悪くなって感覚が鈍ってくるほか、腕の違和感や首・肩のハリを感じるようになるでしょう。
五十肩になる患者さんの多くは、以前から肩こりの症状を抱えています。そのため、肩こりが長引いているだけだと考えて、痛みがあっても受診を控えてしまいがちです。

腕が上がりにくい

単に肩関節が動かしにくいだけであれば、日常生活に支障は少ないでしょう。しかし、痛みを避けるために肩を動かさなくなると肩関節が拘縮し、肩の可動域が狭くなってあらゆる方向に可動制限がかかります。腕を肩の高さよりも高く上げられず、思うように行動できなくなります。
例えば、髪を整えたり服を着替えたりするのが難しくなるでしょう。日常の些細な動作に苦痛を感じるため、QOL(生活の質)の低下も避けられません。また五十肩が進行すると、痛みも可動制限も改善されない凍結肩と呼ばれる状態になってしまい、さらに症状が重くなります。

夜中に痛みが出ることもある

症状が進行すると朝晩の痛みが強くなり、夜中にズキズキと疼くような痛みが出てきます。この夜間痛の症状は、五十肩で顕著な特徴の1つです。
痛みが強くてなかなか眠れず、熟睡できない日々が続くこともあるでしょう。寝付けないわけではなくても、寝返りを打ったときの痛みで何度も目が覚めてしまう患者さんもいます。

悪化すると日中何もしていなくても痛みが出る

炎症が悪化すると、日中何もせず安静にしているときにも痛みを感じるようになります。常に痛みを感じているため、集中力が欠如し作業能力が低下するでしょう。
本来五十肩は痛みと可動域制限が増す炎症期、痛みが軽減し拘縮だけが残る拘縮期、拘縮が軽減していく寛解期を経て自然寛解します。約12〜42ヵ月で寛解に向かっていくケースが多いものの、約50%の患者さんに2年以上の間症状が残るとも報告されています。悪化の仕方によっては腕が上げられなくなる可能性もあるため、自己判断で対処しないようにしてください。

五十肩の治療法

五十肩の治療法
五十肩は主に加齢に伴う炎症疾患ですが、適切に治療を行うことにより痛みを改善・軽減できます。状況に応じて取り入れるべき6つの治療法を解説します。

安静

明らかに痛みが増している炎症期には、安静にしておくことが一番の対処法です。五十肩の痛みには、炎症による痛みと関節の硬さからくる痛みの2種類があります。
症状が出始めた頃は、炎症による痛みが生じています。運動時・安静時・夜間にズキズキと痛むのであれば、2〜3日安静にしておきましょう。無理に動かすとかえって炎症を刺激してしまい、重症化する恐れがあります。

痛み止め

肩関節の炎症が強く、痛みが顕著に現れている場合には、痛み止めを内服し痛みを軽減させる方法があります。一般的に、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が処方されます。特に夜間痛で眠れないときには我慢せずに服用し、睡眠時間を確保できるようにしましょう。
反対に、痛みが少ない状態で飲み続けていると胃腸への負担が大きくなってしまうため、なるべく痛みが強い場合に限定して服用するのがよいでしょう。

湿布

湿布で症状を和らげることも可能です。痛みが出始めた初期は冷湿布で患部を冷やし、炎症を抑えましょう。
また、痛みは落ち着くものの肩の動きが悪くなってくる拘縮期には、患部を温める温湿布を使用するのが効果的です。血行不良を改善し、肩の動きがよくなる可能性があります。

注射

安静にしていても症状が改善されない場合は、注射による治療を行います。代表的なのは、関節内へのステロイド剤の注射です。ステロイド剤は大きな抗炎症作用を有しており、痛み止めが効かなかった方でも劇的に効果が得られるケースがあります。ただし、注射を繰り返していると関節が脆くなっていく副作用もあり、使用回数には注意が必要です。
また、ヒアルロン酸注射・ブロック注射を行う場合もあります。ヒアルロン酸はもともと関節液内にある主成分であり、身体への負担が少ない点がメリットです。注射によって肩関節に注入すればクッションの役割を果たし、症状の緩和が期待できます。しかし、いずれ体内に吸収されてしまうため、定期的に複数回注射を受ける必要があります。
ブロック注射とは痛みのある神経周囲に麻酔薬を注入し、短時間神経を麻痺させて痛みを取る方法です。主に痛みが一向に改善されない患者さんに対して採用されます。

ハイドロリリース

ハイドロリリースとは、エコーでリアルタイムに画像を確認しながら筋膜に薬液を注入し、筋膜同士の癒着を剥がす治療法です。五十肩では多くの場合、肩を動かす筋肉の腱板とその外側に位置する三角筋の筋膜が癒着し、痛みや運動制限を引き起こしています。そのため、癒着した筋膜を剥がし筋肉の動きが正常になると、症状は改善されます。
とはいえ、一時的に改善してもこれまでと同じ生活を繰り返すと、また癒着する可能性は高いでしょう。運動療法を併用して筋肉をつけ、正しい姿勢を保持すれば効果を持続できます。

栄養療法

偏った食生活で十分な栄養を摂れていないことが、五十肩を引き起こすとも考えられます。特に動物性の食品・砂糖類・アルコールを多く摂取している方は発症リスクが高いため、栄養バランスのよい食事を心がけるのは重要です。
管理栄養士の指導に基づく栄養療法では、患者さんに足りていない栄養素をチェックしたうえで、そのデータをもとに食生活の改善やサプリメントによる栄養補給の指導を受けられます。身体の内側からケアすれば、症状の悪化を抑えたり予防したりする効果が得られるでしょう。

五十肩の症状がある方がやってはいけないことは?

五十肩の症状がある方がやってはいけないことは?
肩が動かしにくいと、何とかして元の状態に戻そうと勢いをつけて関節運動をしたり、制限がある範囲まで動かしたりしてしまいがちです。しかしこれらの行動は炎症を悪化させる恐れがあるため避けましょう。また患部が熱をもっている場合には、温めると逆効果になる可能性があるため注意してください。
さらに、肩こりと勘違いして自己流のマッサージで解そうとしたり、マッサージを受けたりするのも避けましょう。炎症が広がり、これまで以上に痛みが強まって可動制限の範囲が広くなることが考えられます。ただし、何もせず長期間放置していると日常生活がますます不自由になっていきます。早めに医療機関を受診して、適切な処置を行うことが必要です。

五十肩でお悩みならうなやま整形外科にご相談を

うなやま整形外科
五十肩の痛みにお悩みの方は、横浜市保土ヶ谷区にあるうなやま整形外科を受診してみてはいかがでしょうか。整形外科の専門的な診療を中心に、身体の痛みの診療に対応している医院です。以下に、うなやま整形外科の3つの特長を紹介します。

症状の治療・予防・リハビリまで幅広い診療

うなやま整形外科では痛みや痺れなどの不快な症状の治療・予防・リハビリまで、幅広く診療しています。

院長は日本整形外科学会 認定脊椎脊髄病医・認定リウマチ医・認定運動器リハビリテーション医の資格を持ち、整形外科の豊富な知識と経験に基づいてさまざまな症例に柔軟に対応されています。また、うなやま整形外科では身体の健康状態を維持するための予防医療にも力を入れており、管理栄養士による栄養管理も受けられます。いろいろな視点から複合的な五十肩の治療・予防を受けられるでしょう。

さらにリハビリの際には、リハビリに精通した理学療法士が患者さん専用のリハビリテーションメニューを作成し、目標を達成できるようサポートされています。

ハイドロリリースやサイレントマニュピレーションによる治療に対応

うなやま整形外科治療
うなやま整形外科の五十肩治療には、内服薬・湿布の処方や注射に加えて、ハイドロリリースやサイレントマニュピレーションが採用されているのも特徴です。

ハイドロリリースで注入するのは生理食塩水とごく少量の麻酔薬・鎮痛薬で、副作用の心配が少ないとともに身体への侵襲が少なく、高い効果を期待できます。

サイレントマニュピレーション(非観血的関節受動術)は、凍結肩まで進行した拘縮期の患者さんに適応する治療法です。エコーガイド下で肩周囲の知覚に関わる頸部の神経に伝達麻酔をかけて無痛にし、腕をゆっくりと動かして筋膜の癒着を剥離させ拘縮を取り除きます。手術は日帰りで受けられ(※)、治療後すぐに効果を実感できるといいます。さらにリハビリと組み合わせることにより迅速に痛みを取り除き、再発予防も期待できるでしょう。
※術前検査・術後の経過観察が必要です。

身近なかかりつけ医を目指した苦痛の少ない治療を提供

うなやま整形外科は2005年の開業以来、地域の方の身近なかかりつけ医を目指し、患者さん一人ひとりに合った苦痛の少ない治療の提供にこだわっています。患者さんの話にしっかりと耳を傾け、わかりやすい説明を行うことをモットーとし、患者さんが納得して治療を受けられるように配慮されているそうです。
気になる症状を気兼ねなく相談できるクリニックとして、スタッフ全体で温かく親切な対応を心がけているため、前向きに治療を受けられるのではないでしょうか。

うなやま整形外科の基本情報

アクセス・住所・診療時間・費用

相鉄線 西谷駅より徒歩4分

神奈川県横浜市保土ヶ谷区西谷4-5-1

診察時間
8:45~12:00
14:45〜18:00

※初診の方はAM12:00・PM18:00迄にご来院ください。

【費用】
1割負担の方:2,440円程度
3割負担の方:7,320円程度

この記事の監修医師