糖尿病の初期症状や自覚症状は?糖尿病の分類・合併症・予防のための対策について解説
更新日:2023/10/02

糖尿病は40歳以上の日本人の6人に1人が発症、もしくは予備群と言われ、年々増加している国民的な病気であり、さまざまな健康障害を引き起こします。重症化させないためには初期症状にいち早く気づき、治療を開始することが必要です。 今回は糖尿病の初期症状・自覚症状に加え、分類や合併症についても解説していきます。糖尿病の症状について興味がある方は、是非参考にしてください。

監修医師:
服部 麗(糖尿病・甲状腺・内科 はっとりクリニック知立)
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H20年3月
名古屋市立大学医学部卒業
H20年4月
旭労災病院(現旭ろうさい病院) 臨床研修医
H23年4月
旭労災病院 糖尿病・内分泌内科医師
H24年4月
刈谷豊田総合病院 内分泌・代謝内科(現糖尿病・内分泌内科)医師
R02年4月
名古屋市立大学 消化器・代謝内科学 病院助教
R03年4月
名古屋市立大学病院 内分泌・糖尿病内科 病棟医長(兼任)
R05年2月1日
糖尿病・甲状腺・内科 はっとりクリニック知立開院
名古屋市立大学医学部卒業
H20年4月
旭労災病院(現旭ろうさい病院) 臨床研修医
H23年4月
旭労災病院 糖尿病・内分泌内科医師
H24年4月
刈谷豊田総合病院 内分泌・代謝内科(現糖尿病・内分泌内科)医師
R02年4月
名古屋市立大学 消化器・代謝内科学 病院助教
R03年4月
名古屋市立大学病院 内分泌・糖尿病内科 病棟医長(兼任)
R05年2月1日
糖尿病・甲状腺・内科 はっとりクリニック知立開院
目次 -INDEX-
糖尿病の初期症状や自覚症状は?
糖尿病の悪化を防ぐために必要なのは、治療を少しでも早く開始することです。そのため定期的な健康診断に加えて、普段の生活から初期症状・自覚症状を意識する必要があります。また症状がなくても健康診断などで血糖値が高い、尿糖が陽性の段階で受診をおすすめします。ここからは糖尿病の初期症状・自覚症状について解説していきます。以下の症状を自覚したら、一度内科を受診してみましょう。
初期には症状があまり出ない
糖尿病に関連する症状は多く存在しますが、初期段階では症状を自覚しにくいのが特徴です。そのため糖尿病がある程度進行して症状がはっきりと現れ、治療が遅れるケースは珍しくありません。初期段階で症状を自覚するためには、自身の些細な変化を見逃さないことが重要です。また家族・パートナーとコミュニケーションを密に取るのも、自身が気づかない変化を知るきっかけとなります。
尿が増える
糖尿病を発症すると血液中のブドウ糖(血糖)が増加することで、血糖と水分が尿にあふれ出すため尿の回数や量が増えて(多尿)、泡立つようになります。泡立つようになる原因は尿の比重・蛋白・糖の濃度が高まるためです。健康診断で尿に糖が混ざっていることを指摘された場合は、内科に相談することをおすすめします。
のどが渇く
糖尿病の典型的な症状として、のどが渇く(口渇)こと、渇きを解消するために大量に水分を摂取すること(多飲)が挙げられます。なぜのどが渇くかというと、尿が増える結果脱水傾向が強まるためです。水分補給を行う際は、どの飲料を選択するかが重要です。糖が多く含まれるジュース・スポーツドリンクはソフトドリンク・ケトーシス(ペットボトル症候群)を引き起こす危険性があります。またコーヒーや緑茶に含まれるカフェインには利尿作用があるため、水分補給には不向きです。水分補給は水・お茶で行うことを心がけましょう。
自覚症状が出たらすぐに専門の医師のいる糖尿病内科に相談を
自覚症状が現れた場合、既に糖尿病を発症している可能性が高いです。症状が出たら糖尿病内科へ受診し、ブドウ糖負荷試験などで糖尿病を発症しているかを見極めてもらいましょう。糖尿病予防は個人の体質・生活習慣で大きく異なります。そのため専門の医師・栄養士といったスペシャリストの指導の下、適切な対策法を見つけることが重要です。
糖尿病の分類
糖尿病のおよそ9割は2型糖尿病と呼ばれるもので、糖尿病を発症しやすい遺伝子を持つ人が、それぞれの人の身体の持つ機能で克服できないライフスタイルの負荷(食生活の乱れ・運動不足・肥満・ストレスなど)がかかることで発症します。そのため、糖尿病は生活習慣が原因で発症すると考える方は少なくありません。しかし、糖尿病の原因は生活習慣だけではありません。自己免疫や薬剤などで発症する糖尿病も存在します。今回は代表的な2型糖尿病に加え、自己免疫やウイルス感染がきっかけで発症する1型糖尿病についても解説していきます。
1型糖尿病
1型糖尿病は自己免疫やウイルス感染などがきっかけとなり膵臓に存在するβ細胞が破壊され、インスリンが分泌されなくなる病気です。体内でインスリンが分泌できなくなるため、食事の前後や決まった時間に注射してインスリンを投与する必要があります。インスリン治療で注意するべき点は低血糖です。運動ではエネルギー(血糖)が多く消費されます。強度の高い運動を行う前に通常通りのインスリン注射を行うと、通常より多くの血糖が消費され、低血糖となり手足の震え・めまい・けいれんなどさまざまな症状が発生します。低血糖にならないためのインスリンの使い方を医師とよく相談しましょう。
2型糖尿病
2型糖尿病は糖尿病全体の9割に該当すると考えられており、インスリンが持っている糖を取り込む作用が鈍くなっている可能性があります。糖を取り込むために膵臓が過剰にインスリンを放出する状態が続くと、徐々に膵臓のインスリン分泌量が低下し、結果として2型糖尿病を発症します。補足
糖尿病は1型と2型だけではありません。妊娠中にはインスリンの持っている作用が鈍くなることが原因で妊娠糖尿病を発症します。妊婦の約12%が妊娠糖尿病と診断されるため、妊婦定期健診で早期発見を心がけましょう。免疫反応・炎症を抑制するためステロイドを投与された際、発症するのがステロイド糖尿病です。このように糖尿病はさまざまな要因で発症するリスクがあります。初期症状で気づくのが難しいため、定期的に健康診断を受け糖尿病の進行を防ぎましょう。
糖尿病の合併症は?
糖尿病を持つと全身にさまざまな悪影響を与え、合併症を引き起こします。特に影響を強く受けるのは全身の血管・神経です。更に糖尿病の発症・悪化は免疫力の低下も引き起こすことを覚えておきましょう。ここからは糖尿病をもつ人が注意するべき合併症を3つ解説していきます。糖尿病治療中に合併症に関する初期症状が出たら、速やかに病院で受診を受けましょう。糖尿病網膜症
目の網膜を通る毛細血管がダメージを受け、視力の低下や最終的に失明する可能性があるのが糖尿病網膜症です。治療は血糖のコントロールを専門の医師のもとで行いながら、眼科医から網膜症の検査・治療を受けるのが一般的です。糖尿病網膜症は初期の「単純網膜症」・失明の原因となる血管の増殖が始まる「増殖前網膜症」・増殖と出血を繰り返し最終的に失明にまで至る「増殖網膜症」の3段階に分類されます。目に関係する糖尿病の合併症はこれだけでなく、黄斑と呼ばれるむくみが発生する「糖尿病黄斑浮腫」が存在します。視力の低下に直結するため、目の違和感には細心の注意を払いましょう。
糖尿病性腎症
腎臓は細い血管が多く存在し、血液を濾過し老廃物の排泄・血圧の調整などを行う重要な臓器です。糖尿病により血管が詰まったり破れたりすると腎機能が低下し、糖尿病性腎症を発症することがあります。進行するとむくみ・高血圧などを伴うだけでなく、最終的に人工透析が必要となります。透析を受ける患者の約4割が糖尿病性腎症であることが、統計によって分かってきました。腎機能は尿検査と血液検査で確認できるため、糖尿病のある方は定期的に検査を受け腎機能を確認しておきましょう。
糖尿病神経障害
糖尿病は神経にも悪影響を及ぼします。高血糖が持続した場合に特に悪影響を及ぼすのは知覚・自律神経の2種類です。現れる症状として考えられる症状は以下の通りです。- 知覚神経が障害され痛みが鈍くなる・強い痛みを感じるようになる
- 自律神経が障害され立ちくらみ・発汗などが起きるようになる
その他
また、糖尿病の合併症は上記3つ以外にもあります。狭心症・心筋梗塞などの大血管合併症もその1つです。大血管合併症は心臓・脳を始めとした太い血管に動脈硬化が起こる合併症です。心臓の動脈硬化は狭心症・心筋梗塞に繋がり、脳の血管に起きれば脳卒中・脳梗塞に繋がります。また近年の研究では、がんも引き起こされると言われています。大腸・肝臓・膵臓がんなどのリスクが上昇します。
認知症も合併症によって引き起こされることがあります。糖尿病は血管に悪影響を与え、脳へ血液が十分に行き渡らなくなり、脳組織にダメージが入る血管性認知症があります。血管性認知症だけでなく、認知症の代表例である、アルツハイマー型認知症の発症も高まると指摘されています。
その他にも歯周病や動脈硬化が進行することで足先に血液が十分に行き渡らなくなり、最終的に皮膚・筋肉・骨の組織が死んでしまう壊疽も糖尿病によって引き起こされる合併症と言われています。
糖尿病を予防するための対策
1型糖尿病は自己免疫が関係するため予防する方法はなく、体調不良から推測するしかありません。しかし2型糖尿病であれば、ライフスタイルの見直しで発症リスクを下げられます。また定期的に健康診断を受け、そこで指摘が入ったら専門機関を受診することをおすすめします。糖尿病を予防するライフスタイル
糖尿病の発症・進行を抑えるにはライフスタイルの見直しが大切です。適切な食事を取り、適度な運動を行うことが重要です。また規則正しい生活を行うための睡眠も大切になります。日常でストレスをあまり抱え込みすぎないのも大切です。喫煙も糖尿病に関係があるので禁煙をおすすめします。年に一度は健康診断を受ける
健康診断を受けることは、糖尿病だけでなくさまざまな病気の兆候を知るために重要です。最低でも年に一度は健康診断を受けましょう。健康診断では血圧・糖代謝・肝機能検査など複数の検査を受けられます。結果により医療機関への受診をすすめられる場合がありますが、病気の早期発見に繋がる可能性があるためなるべく早く受けるようにしましょう。そして健康診断で血糖値・HbA1c・尿糖などに引っかかった場合は、糖尿病専門の医師のいる病院を受診することが重要です。
糖尿病内科で専門の医師・栄養士・療養指導士の指導を受ける
糖尿病を予防するためには初期症状を見逃さず、具体的な生活習慣の改善法を糖尿病専門医・栄養士・療養指導士を始めとするスペシャリストから指導を受け、糖尿病が発症しにくい生活を作っていくことも重要です。思い当たる節がある人は糖尿病内科を受診してみましょう。糖尿病の予防・治療なら糖尿病・甲状腺・内科 はっとりクリニック知立へ
糖尿病の治療・予防を考えている方は糖尿病・甲状腺・内科 はっとりクリニック知立の受診を検討してみましょう。
新しい治療を積極的に取り入れており、総合病院からかかりつけ医を探すよう提案された場合の候補としておすすめです。
血糖値やHbA1cの検査だけでなく、肝機能・腎機能・コレステロール値を測れる生化学検査も院内で行えるため結果をいち早く確認可能です。インスリンポンプ治療、持続血糖モニタリング(CGM)などの先進糖尿病治療を行なっている日本糖尿病学会認定糖尿病専門医の院長による治療を受けられます。
1型糖尿病を持つ糖尿病専門医の院長が診療
院長は日本糖尿病学会の糖尿病専門医であり、自身も1型糖尿病を持っています。名古屋市立大学医学部を卒業後は複数の病院に勤務し、名古屋市立大学病院の病棟医長を務めるなど経験豊富です。
自身の糖尿病治療を通して感じたことや、病気を抱えていても幸せに生活を送るために必要なことは何かを考え日々の治療に当たっているそうです。
一人ひとりの生活や身体に寄り添い、笑顔で日々の生活を過ごせるようにするのが糖尿病・甲状腺・内科 はっとりクリニック知立が掲げる信念です。
日本糖尿病療養指導士の資格をもつ看護師が在籍
糖尿病治療を支援する上で、重要となる高度な知識と経験を有する「日本糖尿病療養指導士」を持つ看護師が在籍しており、生活指導や療養の知識をお伝えできます。 また栄養指導を行う管理栄養士がスタッフに加わっており、実現可能な食事療法を提案することが可能です。食事に関する悩みだけでなく、料理教室を始めとしたイベントも開催しているので、料理に興味がある方にもおすすめです。糖尿病・甲状腺・内科 はっとりクリニック知立
アクセス・住所・診療時間
名古屋鉄道知立駅 徒歩5分
| 診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 8:30~11:30 | ● | ● | ★ | ー | ● | ● | - | - |
| 14:30~17:30 | ● | ● | ■ | - | - | ☆ | - | - |
■:14:30~18:30(17:30~18:30は予約のみ)
☆:13:30~15:30 ※予約優先制
参考文献
- 糖尿病|e-ヘルスネット[情報提供]
- 糖尿病ってどんな病気?|一般社団法人日本糖尿病学会
- 糖尿病に関するQ&A|公益社団法人 日本糖尿病協会
- 2型糖尿病はどのように治療するのか?|一般社団法人 日本糖尿病学会
- 1型糖尿病はどのように治療するのか?|一般社団法人 日本糖尿病学会
- インスリン抵抗性|e-ヘルスネット[情報提供]
- 妊娠糖尿病|一般社団法人 日本内分泌学会
- ステロイド糖尿病|一般社団法人 日本内分泌学会
- ミトコンドリア糖尿病|一般社団法人 日本内分泌学会
- 糖尿病網膜症|e-ヘルスネット[情報提供]
- 糖尿病神経障害|e-ヘルスネット[情報提供]
- 糖尿病性腎症|e-ヘルスネット[情報提供]
- 糖尿病血管合併症の疫学
- 糖尿病ってどんな病気?|日本歯科医師会
- 歯周病と糖尿病の関係|日本歯科医師会
- 糖尿病|糖尿病・甲状腺・内科 はっとりクリニック知立
- 糖尿病と癌に関する委員会報告
- 糖尿病合併症としてのアルツハイマー病




