糖尿病でも痩せられる?医師が教える正しいダイエット法と治療法

糖尿病の方にとって、体重管理は治療の重要な柱となります。しかし「痩せたいのに痩せられない」「ダイエットしても血糖値が安定しない」といった悩みを抱える方も少なくありません。糖尿病と肥満には深い関係があり、自己流のダイエットでは健康リスクを高める可能性があります。
本記事では、糖尿病専門の医師の視点から、糖尿病の方が安全に体重を減らし、血糖コントロールと体重管理を両立させるための正しい方法をお伝えします。
監修医師:
吉田 直史(東中野糖尿病内科クリニック)
2007年 東京女子医科大学糖尿病センター後期練士
2016年 東京女子医科大学糖尿病センター助教
2024年 東中野糖尿病内科クリニック院長
目次 -INDEX-
糖尿病と肥満の関係|なぜ痩せにくくなるのか

糖尿病と肥満は互いに影響し合う関係にあります。特に2型糖尿病の方の多くは肥満を伴っており、体重管理が治療効果を大きく左右します。
糖尿病と肥満は密接に関係している
2型糖尿病の発症には、肥満が大きく関わっています。体重が増えると内臓脂肪が蓄積し、インスリンの働きを妨げる物質が分泌されやすくなります。その結果、血糖値を下げるインスリンの効果が弱まり、血糖コントロールが困難になります。
また、糖尿病を発症した後も肥満が続くと、インスリン抵抗性がさらに悪化し、血糖値の改善が難しくなります。逆に体重を適正に保つことで、インスリンの効きが良くなり、血糖コントロールがしやすくなります。このように、糖尿病と肥満は互いに悪循環を生み出すため、早期からの体重管理が重要です。
インスリン抵抗性と脂肪代謝の仕組み
インスリン抵抗性とは、インスリンが十分に分泌されていても、身体がそれに反応しにくくなる状態を指します。肥満によって内臓脂肪が増えると、脂肪組織から炎症性物質が放出され、インスリンの働きを阻害します。
さらに、インスリン抵抗性があると、エネルギーとして使われるべき糖が細胞に取り込まれず、血液中に留まります。その結果、血糖値が上昇し、余った糖は脂肪として蓄積されます。このように、インスリン抵抗性と脂肪代謝の異常が重なることで、糖尿病の方は体重が減りにくくなります。
加えて、高血糖状態が続くと疲労感が強まり、運動意欲が低下します。活動量が減ることでエネルギー消費が少なくなり、さらに体重が増える悪循環に陥るケースも少なくありません。
体重管理が治療のカギになる理由
糖尿病治療において、体重管理は血糖コントロールと並ぶ重要な要素です。体重を適正範囲に保つことで、インスリンの効きが改善し、血糖値の安定につながります。実際に、体重を5~10%減らすだけでも、血糖値や血圧、脂質の数値が改善されることが報告されています。
また、体重管理は糖尿病の合併症予防にも直結します。肥満が続くと、糖尿病性腎症や糖尿病神経障害といった細小血管症のリスクが高まります。さらに、動脈硬化が進行し、脳梗塞や心筋梗塞といった大血管障害を引き起こす可能性もあります。
体重を適切に管理することで、これらの合併症リスクを低減し、長期的な健康維持が期待できます。糖尿病治療において、体重管理は薬物療法と同じくらい重要な役割を果たすのです。
糖尿病の方がやってはいけないダイエット法

糖尿病の方が安全に体重を減らすには、正しい方法を選ぶことが不可欠です。自己流のダイエットは、かえって健康リスクを高める可能性があります。
極端な食事制限や断食が招く低血糖のリスク
糖尿病の方が極端に食事を減らしたり、断食をしたりすると、低血糖を引き起こすリスクがあります。特に血糖降下薬やインスリン注射を使用している方は、食事量が急激に減ることで血糖値が急降下し、冷や汗やめまい、意識障害といった症状が現れることがあります。低血糖は命に関わる状態になることもあるため、食事量を減らす際は必ず医師に相談し、薬の調整を行う必要があります。
また、極端なカロリー制限は筋肉量の減少を招き、基礎代謝が低下する原因にもなります。結果として、リバウンドしやすい身体になり、長期的な体重管理が困難になります。
自己流ダイエットの落とし穴
インターネットや雑誌で紹介される流行のダイエット法は、糖尿病の方には適さない場合が多くあります。
たとえば、特定の食品だけを摂る単品ダイエットや、炭水化物を極端に減らす糖質制限ダイエットは、栄養バランスが偏り、血糖値の変動を招く恐れがあります。とくに糖尿病の方は、食事のバランスや摂取カロリーを慎重に調整する必要があります。
自己判断でダイエットを始めると、血糖コントロールが乱れて合併症のリスクが高まる可能性があるため、安全に体重を減らすには、医師や管理栄養士の指導を受けながら自分に合った方法を選ぶことが大切です。
痩せる前に「血糖コントロール」を整える重要性
体重を減らす前に、まず血糖値を安定させることが優先されます。血糖値が高い状態のままダイエットを始めると、身体に負担がかかり、体調を崩す原因になります。また、血糖コントロールが不十分なまま体重を減らしても、インスリン抵抗性が改善されず、期待する効果が得られないこともあります。
血糖値が安定していれば、エネルギー代謝が正常に働き、体重も減りやすくなるでしょう。まずは適切な食事療法と運動療法、必要に応じた薬物療法で血糖値を整え、その後に体重管理に取り組むことが、安全で効果的なダイエットにつながります。
糖尿病の治療法|血糖と体重を同時にコントロールするアプローチ

糖尿病治療では、血糖値と体重を同時に管理することが求められます。適切な治療法を組み合わせることで、無理なく健康的な身体を維持することが期待できます。
基本は「食事・運動・薬物療法」の3本柱
糖尿病治療の基本は、食事療法、運動療法、薬物療法の3つです。
食事療法では、栄養バランスを考えた食事を規則正しく摂ることが重要です。炭水化物、たんぱく質、脂質をバランスよく摂り、ビタミンやミネラルも欠かさず取り入れることで、血糖値の安定と体重管理が可能になります。
運動療法では、ウォーキングや自転車、スイミングといった有酸素運動を週3回程度、1回20~40分行うことが推奨されます。運動によってエネルギー消費が増え、インスリンの効きも良くなります。ただし、運動の強度や頻度は個人の体力や合併症の有無によって調整する必要があるため、医師の指導を受けることが大切です。
薬物療法では、血糖降下薬やインスリン注射を用いて血糖値を適切に管理します。近年では、体重増加を招きにくい薬や、体重減少効果が期待できる薬も登場しており、医師と相談しながら適切な治療法を選ぶことができます。
血糖コントロールと体重管理を両立する治療薬
糖尿病治療薬の中には、血糖値の改善と体重管理を同時にサポートできるタイプがあります。
GLP-1受容体作動薬 は、インスリン分泌を促すだけでなく、胃の動きをゆっくりにして「満腹感を持続させる」作用があり、過食を防ぎながら血糖を安定させる特徴があります。
さらに、GIP/GLP-1受容体作動薬(マンジャロ)は、2つのホルモンに働きかけることで、より高い血糖改善効果と体重減少効果が期待される新しい治療選択肢です。体重管理に悩む2型糖尿病患者さんに有効な可能性があるとされています。
これらの薬は低血糖を起こしにくいとされますが、効果の出方や副作用には個人差があります。適切な薬を選ぶためにも、医師と相談しながら自分に合った治療方針を決めることが大切です。
治療選択は医師と相談しながら自分に合った方法を
糖尿病治療は、一人ひとりの生活環境や病状に応じてカスタマイズする必要があります。
たとえば、仕事が忙しく運動時間が取れない方には、食事療法と薬物療法を中心とした治療が適しています。一方、運動が好きな方には、運動療法を積極的に取り入れた治療が効果的です。
また、合併症の有無や進行度によっても、治療方針は変わります。糖尿病専門の医師は、豊富な知識と経験をもとに、それぞれの方に適切な治療法を提案します。定期的に通院し、医師と対話しながら治療を進めることで、安全かつ効果的に血糖値と体重をコントロールできます。
生活習慣を見直し、治療効果を高めるために

糖尿病治療の効果を高めるには、日々の生活習慣を整えることが欠かせません。食事、運動、通院の3つを継続することで、健康的な身体を維持できるでしょう。
食事の見直しで血糖変動を抑える
食事は血糖値に直接影響を与えるため、何をどのように食べるかが重要です。食事の際は、野菜やきのこ、海藻類といった食物繊維を多く含む食品を先に食べることで、血糖値の急上昇を抑えられます。また、よく噛んでゆっくり食べることで満腹感が得られやすくなり、食べ過ぎを防げます。
さらに、1日3食を規則正しく摂ることも大切です。食事を抜くと、次の食事で血糖値が急上昇しやすくなります。間食をする場合は、果物やヨーグルトといった栄養価の高いものを選び、量を控えることがポイントです。
管理栄養士による栄養指導を受けることで、自分の生活スタイルに合った食事方法を学べます。無理なく続けられる食事療法を見つけることが、長期的な血糖コントロールにつながります。
継続可能な運動習慣をつくる
運動は血糖値を下げるだけでなく、体重管理や心肺機能の向上にも役立ちます。しかし、無理な運動は長続きせず、かえって身体に負担をかけます。自分の体力に合った運動を選び、楽しみながら続けることが大切です。
たとえば、通勤時に一駅分歩く、エレベーターではなく階段を使う、テレビを見ながらストレッチをするといった工夫で、日常生活に運動を取り入れられます。また、友人や家族と一緒に運動することで、モチベーションを保ちやすくなるでしょう。運動前後には血糖値を測定し、低血糖に注意しながら進めることも重要です。不安がある場合は、医師に相談し、安全な運動方法を確認しておきましょう。
定期的な通院で「治療の質」を維持する
糖尿病は、長期的な管理が必要な病気です。定期的に通院し、血糖値や合併症の進行度を確認することで、早期に問題を発見し、適切な対応ができます。また、医師との対話を通じて、治療に対する疑問や不安を解消できます。
通院を続けることで、治療への意欲も高まります。医師や看護師、管理栄養士といった医療スタッフと協力しながら、自分に合った治療法を見つけていくことが、糖尿病と上手に付き合う秘訣です。
糖尿病なら東中野糖尿病内科クリニックにご相談を

糖尿病治療は、専門的な知識と経験を持つ医師のもとで行うことが、安全かつ効果的な血糖コントロールにつながります。東中野糖尿病内科クリニックは、糖尿病専門の医師による丁寧な診療と、患者さん一人ひとりに寄り添ったサポート体制が特徴です。ここからは、東中野糖尿病内科クリニックについて紹介します。
日本糖尿病学会 糖尿病専門医が適切な治療を提案
東中野糖尿病内科クリニックの院長は、日本糖尿病学会 糖尿病専門医の資格を持ち、約20年にわたり大学病院で病棟・外来診療、透析業務に従事してきた豊富な経験をお持ちです。日本糖尿病学会 糖尿病専門医は、専門的な研鑽を積み、新しい治療薬や治療法に関する知識を常にアップデートしています。特に近年開発された治療薬は、血糖値を下げるだけでなく、体重管理にも効果が期待できるものが多くあります。東中野糖尿病内科クリニックでは、患者さんの病状や生活環境に応じて、DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬といった先進的な治療薬を適切に選択し、個別化された治療を提供されているそうです。
また、糖尿病の合併症である糖尿病性腎症の進展を抑制するため、定期的な検査と腎保護薬の使用を徹底しています。透析に至らないよう、予防医療の観点から長期的な視点で治療を行う姿勢が東中野糖尿病内科クリニックの大きな強みだと言えるのではないでしょうか。
生活習慣全体を見直す総合的なサポート
東中野糖尿病内科クリニックでは、薬物療法だけでなく、食事療法と運動療法を組み合わせた総合的な治療を重視しているとのことです。
管理栄養士による栄養指導では、患者さん一人ひとりの生活スタイルや食の好みを考慮し、無理なく続けられる食事方法を一緒に考えていくそうです。カロリー計算や単位数管理といった従来の「糖尿病食」ではなく、日常生活の中で実践しやすい食事の工夫を提案することで、患者さんが前向きに食事療法に取り組めるようサポートを行い、また、運動療法についても、患者さんの体力や生活リズムに合わせた運動計画を立て、継続しやすい方法をアドバイスしてくれるそうです。
糖尿病と上手に付き合うためには、患者さん自身が治療に納得し、前向きに取り組むことが欠かせません。「患者さんとの対話を大切にする」ことを診療方針に掲げ、院長をはじめとするスタッフ全員が患者さんの悩みや不安に耳を傾け、一緒に治療方針を考える姿勢を大切にしているそうです。
継続的なフォローで安心感のある治療体制

糖尿病治療は、長期的な管理が求められます。東中野糖尿病内科クリニックでは、定期的な検査を通じて血糖値の推移や合併症の有無を確認し、早期に問題を発見することを心がけているそうです。特に糖尿病網膜症や糖尿病性腎症、糖尿病神経障害といった三大合併症の予防に力を入れており、必要に応じて専門医療機関との連携も行っているそうです。
東中野糖尿病内科クリニックは、糖尿病の合併症である腎不全や透析を回避することを目指し、10年、20年先を見据えた診療で、患者さんのよりよい未来のため丁寧な対応を意識されているといいます。
糖尿病と診断された方、血糖値が気になる方、体重管理に悩んでいる方は、東中野糖尿病内科クリニックに相談してみてはいかがでしょうか。専門的な知識と豊富な経験を持つ医師が、一人ひとりに合った治療法を提案し、健康な生活へのサポートが期待できるでしょう。
東中野糖尿病内科クリニックの基本情報
アクセス・住所・診療時間・費用
JR中央線 東中野駅より徒歩1分
| 診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 9:00~13:00 | ● | - | ● | ▲ | ● | ● | - | - |
| 15:00~19:00 | ● | - | ● | ● | ● | - | - | - |
▲:第1・3木曜午前は休診



