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軽いストレッチで血糖値コントロールできる可能性!? 効果的な方法とは?

 公開日:2023/06/21
軽いストレッチで血糖値コントロールできる可能性!? 効果的な方法とは?

血糖値が関係する現象の1つである「血糖値スパイク」とは一体なんなのでしょうか? また、軽いストレッチは血糖値コントロールにどのような効果が期待できるのでしょうか? そこで理学療法士の河江さんに「血糖値スパイク」についての解説と具体的なストレッチ方法や注意点について、話を聞きました。

河江 敏広

監修理学療法士
河江 敏広(理学療法士)

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東都大学幕張ヒューマンケア学部理学療法学科准教授として理学療法士の育成に従事し、同時に糖尿病の運動療法に対する研究も数多く行っている。日本糖尿病理学療法学会副理事。Asian Association for the Study of Diabetes、American Diabetes Association、日本糖尿病協会、日本リハビリテーション医学会に所属。

血糖値スパイクとは

血糖値スパイクとは

編集部編集部

血糖値スパイクとはなんですか?

河江 敏広さん河江さん

血糖値スパイクとは食後に血糖値が急激に上昇し、その後、急激に低下することを指しています。血糖値スパイクの原因は過食、食事の際の咀嚼不足、肥満、膵機能の低下などが挙げられます。この血糖値スパイクは短時間のみ食後血糖が上昇するため、糖尿病の血糖コントロール指標であるHbA1cに反映されないことがあるので注意が必要です。血糖値スパイクを見つけるためには持続グルコースモニタリング(CGM)が有効とされています。

編集部編集部

血糖値スパイクが起こると、どのような健康リスクがありますか?

河江 敏広さん河江さん

血糖値スパイクを生じると急激な血糖値低下により、眠気や集中力不足を伴うことがあります。また、血糖値スパイクの状態を放置することで動脈が硬くなる動脈硬化を生じ、心臓血管疾患や脳血管疾患などを発症させるリスクを上昇させることもあるので注意が必要です。

編集部編集部

血糖値スパイクを防ぐためには、どんな食事や生活習慣が大切ですか?

河江 敏広さん河江さん

血糖値スパイクを予防するためには、食事の際、最初に野菜を摂取し、その後糖質の多い白飯などを摂取することが推奨されています。これは野菜には糖の吸収を緩やかにする食物繊維が含まれているためです。

編集部編集部

ほかにもあれば教えてください。

河江 敏広さん河江さん

食事は必ず朝・昼・晩の3食摂取することも大切です。どれか1食を欠いてしまうと次の食事の際に、より多くの糖を体内に吸収する働きが生じて、血糖値スパイクを起こしやすくなることがあります。また、食後に運動を行うことも血糖値スパイクを予防する有効な手段の1つです。

軽いストレッチの効果と注意点

軽いストレッチの効果と注意点

編集部編集部

そもそもストレッチとは、どのような運動のことを指しますか?

河江 敏広さん河江さん

ストレッチとは筋肉や靭帯や腱など関節周囲の組織を伸長させる運動で、運動の前に実施するアキレス腱伸ばしなどがストレッチに分類されます。また、ストレッチには他人に自身の体を伸長してもらう他動的ストレッチと自分で体を伸長させる自動的ストレッチの2種類が存在します。

編集部編集部

軽いストレッチを行うことで、どのように血糖値がコントロールされますか?

河江 敏広さん河江さん

ストレッチが血糖コントロールに有益な効果を発揮するのかということについて、十分な科学的根拠はいまだ示されていません。しかしながら、他動的ストレッチについては血糖コントロールの指標であるHbA1cを低下させるという報告が、数こそ少ないものの検証されています。糖尿病においては不活動の時間を減少させることが推奨されていますので、ストレッチも身体活動の1つと考えると今後、血糖に与える影響も明らかにされるかもしれません。

編集部編集部

ストレッチを行う際、注意すべきことはありますか?

河江 敏広さん河江さん

糖尿病の方でインスリンを腹部に注射している方は、食事直前にお腹周りをねじるようなストレッチは避けるべきでしょう。腹部にインスリン注射を行い、腹部にストレッチを頻回に行うことでインスリンの作用が急激に働き、低血糖を引き起こす可能性も考えられます。

タイミングと方法

タイミングと方法

編集部編集部

軽いストレッチの具体的な方法について教えてください。

河江 敏広さん河江さん

簡単なストレッチの方法としては椅子に座りながら行う方法をいくつか紹介します。

椅子に座ったまま、息を吐きながら両足首を握ります。これは背中の筋肉を伸ばすストレッチです。

椅子に座りながら両足を可能な限り開脚し、床に手をついてみましょう。これは股関節周囲の筋肉を伸ばすストレッチです。

椅子に座りながら右足を左ひざの上にのせてみましょう。左右交互に行います。これは、おしりの裏側の筋肉を伸ばすストレッチです。実施の際は椅子からの転落に十分に注意を払いながら行いましょう。

編集部編集部

ストレッチの効果的な強度はどのくらいですか?

河江 敏広さん河江さん

我々が実際に指導しているストレッチの強度、時間、回数をご紹介いたします。強度については痛みを感じるほど伸ばすことは避け、筋肉が伸ばされている感覚を感じる程度に行いましょう。自分で心地いい程度のツッパリ感が得られれば、適切な強度になります。

編集部編集部

ストレッチの時間、回数について教えてください。

河江 敏広さん河江さん

時間については1つのストレッチで10秒程度伸ばすようにしましょう。これを2回程度繰り返します。注意事項としては強く伸ばしすぎないこと、呼吸を止めずに実施することが挙げられます。

編集部編集部

食前・食後のどちらでストレッチを行うと、血糖値コントロールに効果的ですか?

河江 敏広さん河江さん

ストレッチも身体活動の一部になるという考え方であれば、食前、食後のどちらに実施しても良いと思います。もし、ストレッチに十分な時間を確保することが出来れば食事後30分〜1時間休憩の後、血糖値が高くなっている状態で実施することが血糖コントロールには効果的かもしれません。

編集部まとめ

血糖値スパイクとは、血糖値の急激な上昇と下降が起こる現象で、食べ過ぎや咀嚼不足、肥満などが原因であり、糖尿病の状態把握の指標には現れず、健康リスクもあるとのことでした。また、軽いストレッチも血糖値のコントロールに役立つ可能性があるかもしれないようです。食事や生活習慣の改善が重要なので、野菜を食事の最初に摂ることや食後の軽い運動を取り入れていけるといいですね。

この記事の監修理学療法士