発達障害とは?発達障害の症状や種類、支援方法について解説
近年、発達障害が一般に知られるようになってきました。そのため「自分は発達障害ではないか」と医療機関を受診する患者さんの数が増加しています。
しかし、発達障害は幼少期から特徴的な症状が生じるため、成人してから突然症状が出るものは発達障害ではない可能性が高いです。
ただし、発達障害は多種多様で症状には個人差があり、発達障害と気付かず成人する場合もあります。
今回は発達障害のなかでも特徴的な広汎性発達障害・注意欠陥多動性障害・学習障害を解説します。
監修医師:
安藤 智道(秋葉原メンタルクリニック)
平成10年 東京慈恵会医科大学附属病院初期研修修了
平成11年 復光会総武病院勤務
平成17年 東京慈恵会医科大学附属病院勤務
平成20年 5月 秋葉原メンタルクリニック開設
目次 -INDEX-
発達障害とは?
発達障害は脳の機能障害で、ほとんどが幼少期から症状が出現します。
発達障害=知的障害と誤解されることも少なくありませんが、知的な障害が伴わないものもあります。特徴的な発達障害は以下のとおりです。
- 知的障害
- コミュニケーション障害
- 自閉症スペクトラム障害(ASD)
- 注意欠陥多動性障害(ADHD)
- 学習障害(LD)
- 発達性協調運動障害
- チック症
DSM-5(精神疾患の診断基準と分類マニュアル)では、上記7つの発達障害に分類されます。
子どもの発達障害
子どもの発達障害は、親が気付くことが少なくありません。乳児期に障害に気付くことは少なく、ほかの子どもと接する機会が増えた頃に、成長が遅い・運動機能がぎこちないなどで気付くことがあるでしょう。
学童期に入ると学習障害・注意力欠如・多動性障害などが目立つようになります。
発達障害は、知的障害を伴うとは限らず、特定の分野で優れた能力を持つ方もいます。症状は多彩で、障害が重複して生じることもあるため、慎重な診断が求められます。
自閉スペクトラム症や注意欠陥多動性障害は、幼少期に診断されても教育的な治療を行うことで成長とともに症状が安定する可能性があります。しかし、放置していると不安や猜疑心から過剰な興奮状態になり、感情のコントロールができなくなることもあります。発達障害は育つ環境によって変化するため、早期に発見し適切な治療を受けることが重要です。
大人の発達障害
大人になってから初めて「発達障害ではないか」と精神科を受診する方のなかには、自閉スペクトラム症(ASD)および、注意欠陥多動性障害(ADHD)の場合が少なくありません。障害の程度が軽く、成人するまで日常生活に支障がなかったと判断されることがあります。
学習障害は、学童期に発見されることが多く、未診断で大人になるまで放置されるのは稀です。
大人の注意欠陥多動性障害の症状は、十分に考えずに言葉を発することで相手を不快にさせたり、目的のない行動を起こしたりします。不注意から仕事でミスが目立ったり約束を守れなかったりするため、重要な仕事を任せてもらえないこともあるでしょう。
自閉スペクトラム症は、対人関係やコミュニケーションが苦手なことから、統合失調症と誤診されることがあります。2つの疾患の違いは、発達障害は幼少期から特徴的な症状が現れますが、統合失調症は思春期以降に症状が現れることがほとんどです。大人になっても発達障害の症状が軽減していない場合は、社会に順応できずストレスから内向性のうつ病を合併する場合があります。
発達障害の種類
発達障害では、自閉症・アスペルガー症候群・注意欠陥多動性障害・学習障害などを耳にしたことがあるのではないでしょうか。発達障害は種類によって分類され、日常の生活や社会生活に支障をきたす障害のことです。ここからは、発達障害の代表的な種類を解説します。
広汎性発達障害
広汎性発達障害(PDD)は、自閉症やアスペルガー症候群などで行動や物に強いこだわりを持ち、対人関係をうまく構築できない障害です。
自閉症児は定型発達児が成長とともに身につくはずの、社会的な行動力・コミュニケーション力・想像力が乏しいため、不適切な行動をとることがあります。しかし、暗記や計算能力などの分野で並外れた才能を発揮する場合があります。
注意欠陥多動性障害
注意欠陥多動性障害(ADHD)は、不注意や多動的・衝動的な行動が見られます。落ち着きがなく不注意な行動が目立ちます。注意欠陥多動性障害は、学童期の子どもの3~7%程度いるとの報告があり、学校生活に支障が生じる障害です。
ADHDを発症する原因は、前頭葉や線条体の神経物質(ドーパミン)の機能障害や遺伝的な要因が関係しているといわれています。なお、ADHDは、医師の診察と観察で診断されます。しかし、身体疾患・神経疾患・子育て環境などで、ADHDに類似した症状を引き起こすことがあるため注意しましょう。
学習障害
学習障害(LD)は、読み書きや算数機能に関した特異的な発達障害です。読字障害・書字表出障害・算数障害の3つがあります。ASDやADHDを伴っている場合は、別の障害も考慮した配慮や学習支援が必要です。学習障害の診断は以下の検査を行います。
- 視覚認知機能検査
- 視空間認知機能検査
- 音韻認識機能検査
上記と併せて、精神運動発達や罹患歴の確認も行われます。学習障害は中枢神経系の疾患が要因になることもあるため、医学的な評価が重要です。
その他の発達障害
その他の発達障害には、協調運動症・チック症・吃音などがあります。
協調運動症は、微細運動が不器用でタイミングがずれる、身体のバランスが取れないなど動作の大きさの協調(調整)が苦手などが見られます。
チック症は、意思に関係なく身体が動いたり、声が出たりする症状が不随意に起こる疾患です。
吃音は、滑らかに言葉を発することができない発話障害です。
運動チックや音声チックが1年以上継続し、症状が強く日常生活に支障が出るものはトゥレット症候群と呼びます。体質的なチック症のため、ごく短時間しか症状の抑制ができません。
発達障害の症状
発達障害は放置すると症状が改善されず二次障害が起こるとされています。
二次障害が起こる要因になるのは過剰なストレスで、引きこもりやうつ病などを発症する場合があります。発達障害は日常生活や社会生活に支障が生じることも少なくないため、早期発見・早期治療が重要です。
広汎性発達障害の症状
広汎性発達障害の方は、手順や予定にこだわりがあり、思いどおりにならないとパニックを起こします。そのため、学校生活や仕事に影響を及ぼすこともあるでしょう。感覚過敏や学習障害を伴うことも少なくありません。広汎性発達障害の症状には以下のものがあります。
- ルールを守れない
- 周囲に合わせられない
- 常識的な行動ができない
- 挨拶のタイミングがわからない
- 要求ができない
- 予定変更に対応できない
- 新しいことが苦手
- 相手の表情を理解できない
- ごっこ遊びができない
- 1つのことに没頭する
幼少期には、多動性や衝動性が際立ちます。表情の認知能力が低いため、自分で適切な表情を作ることができません。
注意欠陥多動性障害の症状
注意欠陥多動性障害の症状は以下のものがあります。
- 集中力がなく気が散りやすい
- よく物をなくす
- 順序だてた行動ができない
- 整理整頓ができない
- 待てないため割り込む
- 静かに遊べない
- 考えずに行動する
成人すると多動性衝動性の症状は軽減しますが、精神的なストレスで不調が起こることがあります。
学習障害の症状
学習障害は読字障害・書字表出障害・算数障害の3つに分類されます。
読字障害は、文字を読むことが困難になります。書字表出障害は、文字を書くのが困難な学習障害です。算数障害は、計算や数などの推論が困難になります。
小児期から生じる特異的な学習障害で、苦手な分野以外では知的な遅れはみられないことも少なくありません。単に苦手な分野と判断されることもありますが、日常生活で支障が出る場合は検査が必要です。
発達障害の支援方法
発達障害者支援法が2016年に改正され、発達障害は脳機能障害であり、症状は低年齢期に発現すると政令で定められています。そして、全国でかかりつけ医発達障害対応力向上研修が行われるようになりました。
広汎性発達障害への支援方法
広汎性発達障害は、神経伝達物質の障害が原因と考えられ、非定型向精神薬で脳内濃度の調整を行えば行動や情緒の改善が見込まれます。また、障害の程度は個人毎に異なるため問題点を把握し、子どもの頃から療育指導を行うことで社会生活の適応能力が向上します。コミュニケーションの取り方・感情のコントロール・社会のルールなどの指導が中心です。
家族・学校・会社の関係者が連携したサポートが必要になるため、専門家に指導を仰ぐとよいでしょう。支援方法の一例として、手順を示し体験練習やモデルなどを見せる・新しい挑戦は少しずつ行うなどの、スモールステップが挙げられます。
伝え方も否定を行わず肯定することを意識して、図やイラストを使った内容の説明をする工夫をとる必要があるでしょう。感覚過敏には、音や肌触りに配慮して、ボードなどを利用して大声で説明しないようにします。支援は、本人が関心や興味がある方法を選ぶことがポイントです。
注意欠陥多動性障害への支援方法
注意欠陥多動性障害は、意識的な症状の改善や予防は困難です。失敗行動を叱責され続けると、学業や対人関係に不信感を抱き気分が落ち込んだり不安感を持ち続けたりします。
ADHDの治療は、環境や行動への介入、および薬物療法が効果的とされています。具体的には、机の位置や掲示物を工夫して集中しやすい環境を整えたり、勉強や作業の時間割を集中できる短時間の設定にしたりします。問題行動の抑制や頻度が減少したときは即座に褒める・好ましい行動ができたときは報酬を与える(特別なご褒美)・過剰な叱責を避けるなども好ましいでしょう。
ペアレントメンター制度は、発達障害のある子どもの子育てを行ったことがある保護者が、ペアレントトレーニングを受けて相談やサポートを行っています。薬物療法で多動衝動的な症状を軽減する方法もありますが、無理に押さえ込んでもよい結果を得られるとは限らないため、親子の信頼関係を築ける治療を優先しましょう。
学習障害への支援方法
学習障害は、限局性学習症(SLD)とも呼ばれ、教育的な支援が必要な障害です。
教育現場では、大きな文字を指でなぞりながら読む・文章や文節を分割して読む・電子教科書や音声教材を活用するなどの支援を行います。
また、マス目の大きなノートやICT機器の活用したり、絵で視覚化したりなど多様な支援方法があります。
子どもの学習能力には個人差があるため、学習障害と断定するのは難しいでしょう。そのため、発達障害と判断するには、正確に子どもの症状を把握する必要があります。
発達障害のことなら秋葉原メンタルクリニックにご相談を
発達障害は、家庭内だけで解決するのは難しく、周囲の支援や専門家のサポートが必要です。
秋葉原メンタルクリニックは、JR秋葉原駅から1分の場所にある精神科や心療内科を診療できるクリニックです。
千代田区で社会復帰のための治療を行う心療内科を探しているのなら、秋葉原メンタルクリニックに相談してみてはいかがでしょうか。
メンタルヘルスの問題を気軽に相談できる「こころのかかりつけ医」
秋葉原メンタルクリニック院長の安藤先生は、日本精神神経学会 精神科専門医として豊富な経験を持つ医師です。
2008年に秋葉原メンタルクリニックを開院し、メンタルヘルスの相談や治療に注力されています。
薬物療法や認知行動療法を取り入れた心理療法を行い、一方的な治療はせず、患者さんとともに考えるをコンセプトに地域のこころのかかりつけ医を目指しているそうです。
社会機能回復を目指した専門的治療
メンタル面の疾患を抱えながら社会生活を送るのは大変です。そのため、休職して早期に社会復帰を目指すには、リハビリテーションが重要だそうです。
秋葉原メンタルクリニックでは、患者さんの社会復帰のためのメンタルヘルスの支援を行っています。
治療の初期段階から治療・リハビリテーション・再発の予防の3つを一体化して行うことで、早期の社会復帰が期待でき、再発率も低下するそうです。
患者さんのプライバシーに配慮したクリニック
秋葉原メンタルクリニックは精神疾患の治療を行っていることもあり、プライバシーの保護に尽力されています。クリニックでは、個人情報保護管理責任者が個人情報の管理を行っているそうです。
また、患者さん同士が顔合わせることを極力避けるため、受付や診察室は動線を考えた配置になっています。
初診から予約制が導入されているため、待合室が混み合うことはなく、気まずい思いをすることもありません。受付では名前の代わりに番号で呼ぶ配慮もされているそうです。
秋葉原メンタルクリニックは患者さんの問題解決に向けてサポートし、社会機能回復を目指した専門的治療を提供されています。
秋葉原メンタルクリニックの基本情報
アクセス・住所・診療時間
JR総武線 秋葉原駅より徒歩1分
東京メトロ日比谷線 秋葉原駅より徒歩1分
つくばエキスプレス 秋葉原駅より徒歩1分
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
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10:00~13:30 | ● | ● | - | - | ● | ● | - | - |
15:30~19:00 | ● | ● | ● | ● | ● | - | - | - |
※初診も予約制
※当日でも空きがあれば受診可能
参考文献