この症状、もしかして白内障?白内障の症状や治療について徹底解説!
この瞳の症状は白内障なのではないか、そう思ったことはありませんか?
本記事では白内障の症状について以下の点を中心にご紹介します。
・白内障とは
・白内障の症状
・白内障の治療
白内障の症状について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。
監修医師:
柳 靖雄(医師)
目次 -INDEX-
そもそも白内障とは?
白内障は、目の水晶体が濁る病気で、主に加齢によって発生します。水晶体は本来透明で、年齢を重ねるにつれてその透明さを失い、濁りが出てきます。これが白内障の主な症状です。白内障は、全世界で失明原因のトップに上がりますが、国によっても状態や進行具合に違いがあります。
白内障は主に3つのタイプに分けられます。皮質白内障は、水晶体周辺部のやわらかい部分が濁るタイプで、進行はゆっくりとしています。次に、核白内障は、水晶体の中央部が硬くなって均一に濁るタイプで、近視が進行しやすい特徴があります。最後に、後嚢下白内障は、水晶体を包んでいる袋の後ろの部分が濁るタイプで、初期のうちから症状が現れやすく、視力低下の進行が早いのが特徴です。
白内障の原因は主に加齢ですが、特定の薬剤を長期にわたって使用している場合や持病がある場合にも、白内障になるリスクがあります。例えば、副腎皮質ステロイドホルモンを長期に服用している人や、アトピー性皮膚炎、糖尿病を持つ人は白内障になりやすいとされています。
白内障の症状は、まぶしさを感じて見えない、ものがダブって見える、色の見え方がおかしいなどがあります。しかし、白内障はゆっくりと進行するため、症状が出てから発見されることも少なくありません。そのため、50歳を超えた人や、何かしらの症状がある人は、早めに眼科を受診して検査を受けることが推奨されています。
白内障になる原因とは?
白内障になる原因について以下に詳しく解説します。
加齢
加齢性白内障は、白内障の中でも最も一般的なタイプで、主に加齢によって引き起こされます。このタイプの白内障は、40代から自覚症状が認められることがあり、80歳ではほぼ全ての人が何らかの白内障の症状を示します。しかし、高齢者の場合、自覚症状が出にくいことがあり、その結果、白内障の対応が遅れることがあります。
加齢性白内障の発症は、生活習慣や体質によっても影響を受けます。したがって、自覚症状がある場合は、早めに眼科を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。
また、白内障の発症や進行には、紫外線や喫煙、過度のアルコール摂取などの生活習慣も影響を及ぼすことが知られています。これらの要素は、白内障だけでなく、他の健康問題を引き起こす可能性もあるため、健康的な生活習慣を維持することが推奨されます。
糖尿病の方
糖尿病は白内障の発症に大きく関与します。糖尿病の症状であるインスリン分泌の異常が引き起こす血糖コントロールの不調から、目の水晶体にソルビドールという糖の一種が蓄積します。この蓄積が白内障の発症を引き起こす可能性があります。
また、糖尿病患者は加齢性白内障の進行が早いともされています。糖尿病を発症している場合、白内障の有無にかかわらず定期的に検査を受け、早期発見に努めることが重要です。さらに、糖尿病患者は糖尿病性網膜症という目の合併症も懸念されます。
アトピー性皮膚炎の方
アトピー性皮膚炎は、白内障の一因となる可能性があります。特に、アトピー性皮膚炎の合併症としてアトピー性白内障が存在します。この白内障は若い人の発症率も高く、痒みによって目を掻いたり、叩いたりした際の刺激が関係していると考えられています。
また、アトピー性皮膚炎は免疫系の異常が関与している病気であり、この免疫の異常による働きからアトピー性白内障を発症することもあります。
ステロイド薬を使っている方
ステロイド薬剤の長期使用は、白内障の発症リスクを高める可能性があります。
ステロイドは、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の治療に広く使用されており、長期にわたって使用すると、目の水晶体の機能に影響を及ぼす可能性があります。
具体的に、ステロイド薬剤は水晶体の代謝を変化させ、その結果、水晶体が濁り、白内障を引き起こす可能性があります。このため、ステロイド薬剤を長期間使用する人は、定期的な眼科検診を受け、早期に白内障の兆候を見つけることが重要です。
白内障の主な症状
白内障の主な症状はなんでしょうか。解説していきます。
霧のような視界
白内障は、視力の低下や視界の霞みなど、さまざまな症状を引き起こす疾患です。その中でも、霧のような視界は白内障の典型的な症状の一つです。これは、目の中の水晶体が白く濁ることで起こります。水晶体は、カメラのレンズのような役割を果たし、外から入ってきた光を網膜にピントを合わせる働きがあります。しかし、この水晶体が白く濁ると、光が網膜に届かなくなり、視界が霞んで見えるようになります。
人や物が二重に見える
白内障が進行すると、片目で見たとき物が二重や三重に見えることがあります。これは単眼性複視と呼ばれ、角膜や水晶体の異常が原因です。
水晶体は、入射した光を屈折させる役割があり、これにより光は網膜に届きます。しかし、白内障が進行し、水晶体内部に透明と濁った部分が混在すると、光はスムーズに通過せず、散乱して目に入ります。それにより、物が二重、三重に見える現象が引き起こされます。
視力低下
白内障の進行は水晶体の濁りを増加させ、これにより光の通過が妨げられ、網膜への光の供給が減少し、視力が下がることにつながります。
さらに、白内障が進むと水晶体が硬化し、その結果、屈折力が強まり、網膜の前で焦点が合ってしまい近視症状が出現することがあります。これにより、以前は老眼鏡なしでは近くが見づらかったのに、白内障の進行で老眼鏡なしでも近くの物が見やすくなることがあります。
まぶしく感じる
まぶしく感じる症状は、白内障が進行している兆候としてよく見られます。白内障が進行すると、目の中のレンズの役割を果たす水晶体が白く濁り、入ってきた光が乱反射し、まぶしさを感じるようになるからです。
水晶体は、外から入ってきた光を網膜にピントを合わせる働きがありますが、白内障が進行するとこの水晶体が白く濁り、光が乱反射してまぶしさを感じるようになります。濁った水晶体が光を適切に通過させられなくなるためです。
この症状は、特に明るい場所や日中に強く感じられることが多いです。また、白内障が進行するにつれて、このまぶしさはさらに強くなり、日常生活に影響を及ぼすこともあります。
白内障の診断方法
白内障はどうやって診断されるのでしょうか。以下に解説します。
視力検査
白内障の診断には、視力検査が重要な役割を果たします。白内障は、目の水晶体が濁ることで視力が低下する病気であり、視力検査によりその影響を確認できます。視力検査の際は裸眼と眼鏡やコンタクトレンズを使用した時の両方の視力を測定します。白内障が進行すると、眼鏡などで矯正しても視力が上がらない場合があります。このような症状は、白内障の可能性を示しています。
屈折検査
白内障の診断には、視力検査だけでなく、屈折検査も重要な役割を果たします。
屈折検査は、目に入った光の屈折の状態を測定することで、視力の問題の原因を特定します。白内障が進行すると、目の水晶体が濁り、光の屈折が正常に行われなくなるため、この検査により白内障の存在を確認できます。
細隙灯顕微鏡検査
白内障の診断には、視力検査や屈折検査の他に、細隙灯顕微鏡検査という方法があります。細隙灯顕微鏡検査は、細長い光を当てて、顕微鏡で眼球を内部まで詳しくチェックすることで、どこにどの程度の濁りがあるのかを確認します。
この検査により、白内障の状態を詳細に把握し、適切な治療法を選択できます。この検査は重要であり、白内障の診断と治療の過程で欠かすことのできない手段となっています。
眼圧検査
眼圧検査は、眼球の内圧を測定することで、緑内障など他の眼疾患の存在を確認します。
白内障自体と眼圧は直接関連はありませんが、白内障の患者が緑内障を併発している可能性があるため、この検査が行われます。
緑内障は眼圧が高い状態が続くことで視神経が傷つき、視力低下を引き起こす病気です。したがって、白内障の診断と治療の過程で、眼圧検査により緑内障の早期発見・早期治療に繋がることもあります。
白内障の治療
白内障はどうやって治せばいいのでしょうか。治療法を解説します。
手術
白内障が進行し、日常生活に影響を及ぼすようになった場合、手術が適応となることが多いとされています。白内障手術は科学的な進歩により、その安全性が大幅に向上しており、早期の段階で医師から提案されることもあります。
一般的に眼に関する手術は少々不安を感じるかもしれませんが、白内障手術は広く行われている処置で、手術技術の進歩と医療機器の改良により、より安全に受けられます。手術は入院が必要な場合もありますが、多くの場合は日帰り手術ができ、生活への影響を抑えられます。
点眼薬
白内障が進行する前の初期段階では、通常、点眼薬の投与が推奨されます。眼科で処方される薬品は、白内障の進行を遅らせる効果が期待でき、厚生労働省によりその効能・効果が承認されています。しかし、すべての患者さんに効果があるわけではなく、白内障の進行状況によっては効果を感じられない場合もあります。
飲み薬
白内障の進行を予防するための薬は存在しますが、白内障を劇的に改善するものではありません。また、予防のための飲み薬には副作用が出る可能性があるので、注意が必要です。薬の種類によっては、黄疸や肺炎、肝臓への影響、発疹などの副作用が報告されています。
白内障の合併症とリスク
白内障によって発生する可能性がある合併症とリスクについて解説します。
後天性白内障のリスク要因
後発白内障は、白内障手術後に生じる合併症の一つです。手術を受けた患者さんに発症することが多く、頻度が高い合併症です。
一部の誤った医学情報では、「白内障は手術しても数年後に再発する」と言われることがありますが、これは正確ではありません。実際には、適切な手術を受けた患者さんのほとんどは目の機能が回復します。
しかし、一定期間が経過した後に再び視力の低下を感じる場合は、後発白内障の可能性があります。
後発白内障の主な原因は、手術後に水晶体を包む水晶体嚢(透明な袋状の組織)内の細胞の増殖により、嚢が濁ることです。このため、後発白内障は白内障手術のリスクの一つとされています。
レーザー治療で対処ができますが、完全な予防法は存在せず、点眼薬や手術方法などを用いて進行を遅らせる処置が行われます。
白内障手術の合併症
白内障手術自体は大幅に安全性が向上していますが、合併症のリスクはゼロではありません。中でも最も深刻な合併症は「感染性術後眼内炎」です。
これは細菌が眼の内部で増殖し、眼組織を侵食する恐ろしい合併症であり、全国的には約2000件に1件の割合で発生するとされています。現時点では、この合併症の予防は難しいとされています。また、「感染性術後眼内炎」はまれではありますが、治療が遅れた場合は失明につながる可能性があります。
まとめ
ここまで白内障の症状についてお伝えしてきました。
白内障の症状の要点をまとめると以下の通りです。
・白内障とは、目の「水晶体」と呼ばれる部分が曇ってしまう状態を指す疾患である
・白内障は、霧のような視界になったり、人や物が二重に見えたり、視力が低下したり、まぶしく感じる症状がある
・白内障は進行した場合、手術治療をし、初期の段階では点眼薬を使用する。しかし、進行を予防するための飲み薬もあるが、白内障を劇的に改善するものではない
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。