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【眼科の定期検診】目の病気を予防するという考え方が、今後必要になるワケ

公開日:2022/07/16  更新日:2022/07/15
眼科で検査を受けている男性

昨今、医療機関を「病気にかかってから治すところ」だけでなく、「病気にならないように通うところ」として活用する動きが広まってきました。そこで、「予防のための眼科検診」という切り口について、大川眼科の大川先生を取材してみました。どうやらキーワードは「寿命の身延」にありそうです。

大川 親宏

監修医師
大川 親宏(大川眼科)

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三重大学医学部卒業。三重大学眼科学教室入局後、眼科勤務を経た2009年、三重県四日市市に位置する「大川眼科」を父親より継承。よりレベルの高い医療に努めている。日本眼科学会認定専門医。日本緑内障学会、ドライアイ研究会の各会員。

人生100年時代を生き抜く

スマホ画面が見えづらそうにする中年男性

編集部編集部

先生のご専門ではないですが、「歯の定期メンテナンス」が周知されてきている印象です。

大川親宏医師大川先生

そうかもしれませんね。歯は削ったら元に戻らないので、「予防に努めて自分の歯を守っていこう」という機運が高まっているのかもしれません。国も、80歳になった段階で20本の歯を残そうという「8020運動」の周知に努めています。その一方、目の病気のなかにも、かかったら元に戻らない性質のものが多いですね。

編集部編集部

わかりやすいのは、目のレンズが白く濁る白内障です。

大川親宏医師大川先生

白内障には、人工レンズによる治療方法が確立されています。やはり怖いのは、視野欠損が起こりえる緑内障でしょうか。緑内障の症状は、1度出たら元に戻せません。早期発見によって、症状の拡大を防ぐしかないのです。なお、40歳以上における緑内障の発症率は、「約20人に1人」と言われています。

編集部編集部

しかし、老眼も含めて「なんとかなってしまう」気がするのですが?

大川親宏医師大川先生

そこが問題ですよね。日々の変化はわずかなので“慣れ”が生じます。その結果、治療により「快適な生活が送れていたはず」なのに、見えの悪さに甘んじてしまうのでしょう。そして、ある日突然、視野欠損が起きるかもしれないのです。今後、寿命が延びていくと、緑内障をはじめとした目の病気の発症率は増加するはずです。

編集部編集部

「なんとかなってしまう」のは50代・60代の話で、そこから先に長い人生が待っていると?

大川親宏医師大川先生

具体的な年代は個々によって違うにしても、「人生100年時代」を考えたとき、「100年間、見える目」を維持していかなくてはいけないということですよね。そして、「100年間、見える目」は、今までのヒトが想定していなかった領域です。医療によるカバーが必要でしょう。

見えの悪さは、ピントの取りづらさに限らない

眼科で視力の検査を受けている女性

編集部編集部

そうなると、目にも「予防」という考えが必須になってきそうですね。

大川親宏医師大川先生

ぜひ、目の定期検診を検討してみてください。ヒトが得る情報のうち、その8割は目から得ています。高齢になると運動器が衰えてきますから、それだけ「目の果たす役割」が重要になります。自宅での転倒による骨折などは、目がよく見えていれば防げていたかもしれません。

編集部編集部

そういえば、「ロコモ」という標語がありました。

大川親宏医師大川先生

はい。正式名称「ロコモティブシンドローム」は、運動・移動機能の低下した状態のことです。ロコモを防止するために、日頃からの運動の必要性が問われますよね。だとすれば、「見え」にも同じ事が言えるはずです。「見えの維持」はある意味で、将来の介護防止にもつながる観点だと考えています。

編集部編集部

運転免許の更新も、視力が0.7以上出ていないとできなかったはずです。

大川親宏医師大川先生

そうですね。一般に「目が悪くなったらメガネをかければいい」と思われていますが、メガネでは解決できない目の病気があります。例えば、白内障によるかすみや、緑内障による視野欠損です。単にピントが合わせづらいことと、「見る機能そのものが低下している」ことは、分けて考える必要があるでしょう。

編集部編集部

「見え」と認知症の関連も聞いたことがあります。

大川親宏医師大川先生

白内障と認知症の関連性を調べた調査については、筑波大学と奈良県立医科大学の研究が有名です。「白内障手術は認知症の予防策を兼ねる」と言っていいでしょう。モノがくっきり見えるほど、脳にたくさんの情報が届けられるからです。

症状がなくても、「1年に1回」受診

色覚検査の機械と眼科医

編集部編集部

具体的なケースを聞いているうち、目の定期検診について、少し前向きになってきました。

大川親宏医師大川先生

目の定期検診の頻度は「1年に1回」で十分です。歯科のメンテナンスほど頻回にする必要はありません。ただし、それだけに“忘れやすい”傾向もあるでしょう。ちなみに、「10」という数字を横にすると「まゆげと目の形」になることから、国は10月10日を「目の愛護デー」と定めています。または、ご自身の誕生日や、毎年の花粉症対策と合わせて検診を組み込んでもいいと思います。

編集部編集部

ところで、自覚症状のない段階で受診すると、自費扱いにならないのですか?

大川親宏医師大川先生

「自覚がない」ことと、「見えの状態に全く問題がない」ことは異なると思います。見えの不具合に対する“慣れ”があるからです。それこそが、眼科検診の目的といってもいいのではないでしょうか。「気づかないうちに失われているものがある」ということにご留意いただきたいです。

編集部編集部

ちなみに、目の定期検診はどれくらいの時間をみておけばいいですか?

大川親宏医師大川先生

特殊な検査を要しなければ、「20~30分」といったところでしょうか。検査項目として一般的なのは、視力測定、眼圧、目の状態を医師が見る診察などです。そして、最も力点を置いているのが緑内障の早期発見ですね。ほか、加齢黄斑変性など、年齢に応じて頻度の高い病気の有無を調べます。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージがあればお願いします。

大川親宏医師大川先生

「目の治療や予防を怠っていたから、要介護や認知症になった」と言うつもりはありません。そうではなく、一般的に生活の質を上げるのが、「見えの維持」だと考えます。視力が悪くなったら、原則として元には戻せません。視力が悪くなる素因を、病気と生活習慣の双方で、定期的に洗いだしてみましょう。

編集部まとめ

「見え」を維持しなくてはいけない期間は、かつてより、「50年間追加された」と考えていいでしょう。しかも、目の病気の多くは進行していき、元に戻りません。だとすれば、下り坂をいち早く平坦化する必要があるでしょう。そのきっかけが、眼科検診です。視力という財産を、知らないうちに減らしてはいませんか。その可能性だけでも知っておきましょう。

医院情報

大川眼科

大川眼科
所在地 〒510-0072 三重県四日市市九の城町1-9
アクセス 近鉄四日市駅西口より徒歩5分
診療科目 眼科