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なかなか治らない便秘の原因は?便秘の種類・治療法・予防法についてご紹介します

 更新日:2023/09/27
便秘に悩む女性

便秘とは本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態です。便秘といっても、お腹が張っている・残便感がある・排便時に腹痛がある・長期間排便がないなど症状は様々です。

便秘で悩んでいる方は多いですが治療せずそのまま我慢している方は多いのではないでしょうか。この記事を読むことで便秘の悩みがなくなり、爽快な生活を過ごせるようになるでしょう。

橋本 雄幸

監修医師
橋本 雄幸(汐留みらいクリニック)

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東京慈恵会医科大学 1982年卒。医学博士。
日本外科学会 外科専門医。日本消化器病学会 消化器病専門医。日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医

なかなか治らない便秘の原因は?

なかなか治らない便秘の原因は?
便秘の原因には主に食物繊維の不足・水分の不足・運動不足・ストレスや生活習慣の乱れ・排便習慣の乱れが考えられます。これらについて説明します。

食物繊維の不足

食物繊維は腸内環境を整えるため、不足すると便秘の原因となるのです。その逆に食物繊維を豊富に含む食べ物は、便秘に効くといわれています。食物繊維には水溶性と不溶性があります。水溶性の食物繊維は果物や海藻類に多く含まれているのです。また不溶性の食物繊維は、穀類やマメ類に豊富に含まれています。便秘に良い食事は玄米ご飯に豆腐とワカメのお味噌汁です。

水分の不足

大腸は消化された食べ物の残りカスから水分を吸収し、便を形成します。適切な水分摂取があれば、水分を含んだ程よい硬さの便が腸内をスムーズに移動することにつながります。水分によって便の量も増え、腸壁を刺激して蠕動運動(ぜんどううんどうとは腸管の口側が収縮し、肛門側が広がって内容物を先へ押し出していく運動のこと)を活発にするのです。しかし、水分が不足すると便から水分を吸収する必要があるため、便が硬くなり腸内での移動が困難になります。
たとえば、1リットルの水を飲んだとしても約900ミリリットルが小腸で吸収され、大腸に到達するのは約100ミリリットル程度と言われているのです。便秘の場合、水分が不足している上に大腸に滞留する時間も長くなるためさらに水分が奪われ、便がますます硬く排出しにくくなってしまいます。ただし、一気に大量の水を飲むと体内に吸収されず・すぐに尿として排出されるため、適度な水分摂取に注意が必要です。

運動不足

デスクワークなどで長時間同じ姿勢を続けると、筋肉が緊張し血流が滞って肩こりなどが生じることがあります。同様に、腸も運動不足になると硬くなり運動が鈍くなる傾向があります。
体を動かすことで、腸も伸縮したり揺さぶられたり刺激を受けたりして、便を前進させる蠕動運動の活性化に繋がるのです。また、排便時には腹筋が重要な役割を果たしています。運動不足で腹筋が衰えると、便を押し出す力が低下し、便秘の原因となるのです。高齢者の便秘が多いのは、腸の機能が加齢によって衰えるだけでなく、腹筋の力が低下していきむ力が弱まることも原因の一つとされています。

ストレスや生活習慣の乱れ

便秘がストレスによって悪化することは知られています。ストレスは自律神経の乱れを引き起こし、それによって便秘の症状が悪化する可能性があります。通常、排便時には副交感神経が優位になるため便が出やすくなりますがストレスを感じると交感神経が優位になり、排便が困難になるのです。このように、ストレスをためない生活を送ることは排便にとって非常に重要です。

排便習慣の乱れ

便意を感じても長時間我慢し続けると、排便反射が鈍化し、便意を感じにくくなることがあります。便が排出されないまま腸内に留まると、水分がますます吸収されて硬くなり、便秘が悪化する結果となります。便意を感じたら、我慢せずにすぐにトイレに行くことが大切です。

便秘の種類

便秘の種類
便秘の種類はいくつかの方法で分類されており、日本の医師が便秘の治療時に参考にしている慢性便秘症診療ガイドラインでは、原因による分類と症状による分類があります。
原因による分類では、大腸の形状が病気によって変化して起こる便秘を器質性便秘とし、大腸の形状に変化がない場合を機能性便秘としています。便秘は、症状によりさらに分類されており、今回は便秘の種類について説明します。

器質性便秘

大腸の形状が病気によって変化して起こる便秘を器質性便秘といいます。器質性便秘はさらに、大腸がんなどの病気によって大腸の一部が狭くなる狭窄性と、狭くなっている部分がない非狭窄性に分けられるのです。
非狭窄性は、巨大結腸などによって大腸の一部が広くなり、2種類に分けられます。

  • 排便回数減少型:大腸を通過する時間が長くなって排便の回数が減る
  • 排便困難型:直腸瘤などによって直腸の形が変形し便が排出しにくくなる

機能性便秘

機能性便秘は、便の排出機能の低下や食事量の不足などによって引き起こされます。まず、大腸通過遅延型とは代謝や内分泌疾患・薬の影響によって便が大腸を通過する時間が長くなる状態を指すのです。
次に、大腸通過正常型とは便は正常に大腸を通過しているが、食事の量が不足していたり過敏性腸症候群などにより便が硬くなって排便が困難になる状態を指します。そして、便を排出するために必要な機能である骨盤底筋の働きや腹圧、直腸の感覚が低下していることによって引き起こされる便秘は機能性便排出障害として分類されます。

単純性一過性便秘

単純性一過性便秘は、一定期間だけ便秘になるタイプの便秘です。排便環境の変化や一時的なストレスによって引き起こされます。この便秘は急に現れる特徴がありますが、原因が取り除かれ、通常の排便環境に戻ると治ります。一般的な原因は、旅行などによる排便環境の変化・食事内容や生活の変化・一時的なストレスです。
ただし一時的なストレスであれば単純性一過性便秘として済みますが、ストレスが蓄積すると過敏性腸症候群となり、便秘に加えて腹痛が伴うこともあります。ストレスをこまめに発散するよう心がけることが重要です。

痙攣性便秘

不規則な大腸の運動によって引き起こされるのが痙攣性便秘です。精神的なストレスが主な要因であり、これが自律神経に影響を与え腸の一部が痙攣を起こすことで、腸の運動が不安定になり便秘が発生します。また、便秘と下痢が交互に繰り返されることや逆に持続的な下痢が起こることもあります。

弛緩性便秘

弛緩性便秘は、大腸の蠕動運動が減少することで大腸内の糞便の通過時間が延びるのです。結果として水分が多く吸収され、便が硬くなる状態を指します。この現象は主に高齢者や体型が細めの女性、長期的に寝たきりやベッドでの生活をしている人によく見られます。

直腸性便秘

便が直腸に到達すると排便反射(便意を感じ排便が促される反応)が起こります。しかし、直腸性便秘の場合排便反射が発生せず便が直腸に停滞するのです。さらに、直腸に便が存在していても便意を感じにくくなります。この状態の原因は、便が蓄積されても便意を我慢し続けることです。
排便が抑制されると同時に直腸が拡張されます。直腸の内圧が上昇せず、便意を感じにくくなるため、結果的に便秘となるのです。この状態は、排便を我慢する人だけでなく、寝たきりの人や高齢者にもよく見られると考えられています。

その他の便秘

これ以外にも次のような便秘があります。

  • 症候性便秘:他の疾患(糖尿病・甲状腺機能低下症・パーキンソン病など)、症状によって生じる便秘です。この場合、元々の疾患の治療が必要となります。
  • 薬剤性便秘:抗コリン薬・向精神病薬・抗がん剤などの薬剤の使用によって生じる便秘です。この場合、原疾患の治療と便秘の管理を両立させるために、薬の利点と欠点を考慮しながら便秘の治療薬を併用することが検討されます。

便秘の適切な治療法は?

便秘の適切な治療方法は?
便秘の種類に応じて、治療や対策が異なる場合があります。特に機能性便秘の場合は生活習慣の見直しを始めることが重要です。

  • 毎日の排便リズムを整えるために、3食しっかりと摂取すること
  • 根菜や海藻類などの食物繊維が豊富な食材を意識的に摂ること
  • 乳酸菌を摂取すること
  • 適度な運動を行うこと

また、便秘薬(下剤)を使用して便を排出させることも場合によっては有効です。便秘によるストレスによる症状悪化を防ぐために、便を薬によって排出させます。ただし、自己判断による市販薬の使用は、下痢や腹痛などの副作用が生じる可能性もあるため消化器専門の医師からの処方に従って使用することが理想的です。
一方、器質性便秘の場合は、まず原因となる疾患や病気の治療が最優先です。疾患が便秘の原因となっている場合、他の症状もしばしば現れます。便秘が長期間続き、血便や下血などの他の症状がある場合は、重篤な疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病・大腸がんなど)が潜んでいる可能性があるため適切な検査を受け・適切な治療を行うことが重要です。

慢性的で重症度が高い場合はクリニックに相談を

便秘に悩まされている方は多いですが、どうせ治らない・便秘は別に問題はないものだ、と特に治療の必要性を感じていただいていないことが大半です。なお、男性が60代から増加傾向にあり、80代では女性より便秘の患者さんの数が上回るというデータもあります。便秘は正しく処置を施すことで症状を改善できます。症状が続いてお困りの方はぜひ医療機関にご相談ください。

市販の薬を使用する前に医師に相談するのが望ましい

薬は、便秘を治療したり軽減したりする役割がありますが、同時に望ましくない副作用を引き起こすこともあります。市販の薬を使用する前に医師に相談するようにしましょう。

便秘の予防法は?

便秘の予防法は?
便秘の予防は食生活が基本となります。
以下の点に留意しましょう。

  • 規則正しい食事:毎日の食事を規則正しく摂ることは、正常な排便につながります。特に朝食は欠かさず摂るようにしましょう。穀物を適量摂取し、肉類の摂取を控えることも重要です。食物繊維を十分に摂ることが大切です。食物繊維は水分を吸収して便を柔らかくし、便量を増やしてくれます。野菜や海藻類を豊富に摂取しましょう。適量の油も必要です。油は腸内で潤滑剤となり、排便を促進します。過度な油抜きの食事は便秘を引き起こすこともあるため、適量の油摂取を忘れずにしましょう。酸味や刺激物も適量摂取することが有効です。酸味のある食品や香辛料は腸を刺激し、排便を促します。また、適量のアルコールも腸を刺激して便通を改善する効果があります。ただし、適量を守って摂取することが重要です。
  • 体を冷やさない・冷たい飲み物やアイスクリーム・生野菜の摂取を控える:肛門の血行を悪化させないためにも、おしりや腰を冷やさないようにしましょう。便意を感じたら排便するといいです。便意を我慢することは便秘を引き起こすことになりますので、適切なタイミングで排便を行いましょう。
  • 適度な運動:ウォーキング、ジョギング、体操などの適度な運動を取り入れることは腸の活動を促進します。特に快便体操をおすすめします。
  • 十分な水分摂取:水分摂取量を適切に保つことは快便につながります。人間の体は約70%が水分で構成されていますので、毎日の水分補給は欠かせません。忙しい日中でも水分不足にならないよう、お茶などで水分補給を忘れずに行いましょう。また、朝起き抜けにコップ1杯の冷水を飲むこともおすすめです。これは腸を刺激し、排便の合図となります。

慢性的な便秘でお悩みなら汐留みらいクリニックに相談を

汐留みらいクリニック
汐留みらいクリニックは、内科・外科・消化器内科・肛門外科を専門とするクリニックです。消化器疾患を中心に、生活習慣病などのプライマリケアから痔や便秘といった相談しづらいトラブルまで、幅広く対応しています。

便秘を専門的に長く診てきた実績があり安心

汐留みらいクリニックは、便秘外来は勿論のこと2002年4月~2022年12月で食道・胃・十二指腸内視鏡(上部内視鏡検査)10,236件、大腸内視鏡(下部内視鏡検査)2,500件の実績があります。

便秘を専門的に長く診てきた実績があり安心して診断を受けられます。

問診を重視し患者さんの状態をしっかり把握

汐留みらいクリニック
排便の状態や頻度・経過・生活習慣・既往症や服用しているお薬などについて問診で詳しく伺います。

その後、触診や検査によって便秘の原因や腸の機能、便秘のタイプを診断し適切な治療についてご相談していきます。

患者さんに合ったオーダーメイドの治療や薬の処方が可能

便秘外来では症状や状態をしっかり見極めて、さまざまな薬剤や漢方薬から処方を行い、経過によってきめ細かく処方を変えることで適切な薬物療法を行っているのです。

下剤や浣腸を常用することでかえって悪化させているケースがよくあります。市販薬に頼らず、必ず専門の医師を受診して適切な処方を受けてください。

汐留みらいクリニックの基本情報

アクセス・住所・診療時間

JR山手線 新橋駅 銀座口 徒歩1分
浅草線 新橋駅 A3出口 徒歩1分
銀座線 新橋駅 2番出口 正面
都営地下鉄大江戸線 汐留駅 徒歩7分

東京都港区新橋2丁目19-2 リプロ新橋ビル3F

診療時間
8:00〜13:00
15:00〜18:00

▲9:00~13:00
※初診の方は17:30までに受付をしてください。

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