AGA治療は本当に効果がある?薬の種類・副作用・効果が出ない理由・対処法についてご紹介します
「AGA治療を始めてみたけれど、あまり効果が感じられない…。」そんなお悩みをお持ちではありませんか?
AGA治療にはクリニックに通う時間や金銭的な負担が必要であるため、思うように効果があがらないと治療を続ける意欲を保つのが難しくなってしまいます。
そこでこの記事ではAGA治療に使用される薬について紹介し、AGA治療の効果が出ない理由やその対処法などについて解説します。
AGA治療を続けるべきか他の治療法を検討すべきか、判断する際の参考にしてください。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
目次 -INDEX-
AGA治療は本当に効果がある?
AGAは「Androgenetic Alopecia」の略であり、「男性型脱毛症」と訳されます。
成人男性の頭髪が細く柔らかくなり、生え際や頭頂部の髪がどちらか一方または双方から薄くなっていく病気です。
AGAによる脱毛部からはジヒドロテストステロンという男性ホルモンが高濃度に検出されます。
ジヒドロテストステロンはテストステロンという男性ホルモンが5αリダクターゼという酵素の働きにより変換されて生まれるものです。
詳しい原因はまだ分かっていませんが、思春期以降の男性の体内において5αリダクターゼが活発化しジヒドロテストステロンが過剰に産生されるとAGAを発症します。
ジヒドロテストステロンが髪の毛の成長サイクルを短縮し、その結果髪の毛が長く太く成長する前に抜けてしまうと考えられているのです。
AGAはゆっくりと進行していきます。患部の髪の毛が徐々に短く細くなり、何もせず放置していると徐々に薄毛が目立つようになっていきます。
しかしAGAの場合、毛根を包んでいる毛包という皮膚組織が残ってさえいれば産毛は生えています。
ジヒドロテストステロンの産生を阻害し産毛を長く太い髪の毛に育てるのがAGA治療の目的であり、そうであるからこそ早期対応が肝心なのです。
もうひとつAGA治療で大切なのは、根気よく続けることです。AGAの治療効果が認められるようになるまで通常6ヶ月かそれ以上かかるといわれています。
従って「本当に効果があるの?」と不安な方も、最低6ヵ月は治療を継続してください。
AGA治療を長期間続けているにもかかわらず効果が全く出ない場合は医師に相談しましょう。
AGAの薬の種類
AGA治療には主として経口薬と外用薬が使用され、これらを併用する場合もあります。
それぞれ詳しくみていきましょう。
経口薬
AGA治療に使用される経口薬は、ほぼ以下の3種類だと考えてください。
プロペシアは現在最もスタンダードなAGA治療薬であり、フィナステリドという有効成分がジヒドロテストステロンの産生を阻害しAGAの進行を遅らせる効果があります。
ザガーロはデュタステリドを有効成分としており、ジヒドロテストステロンの産生を阻害するという点ではプロペシアと同じです。
テストステロンをジヒドロテストステロンに変換する5αリダクターゼにはI型とII型があり、プロペシアはII型の働きを抑制する効果があります。
一方でザガーロにはI型とII型両方に対して効果があり、その結果としてプロペシアよりも高く長い効果が得られるとされています。
しかしその反面、副作用の症例が多く治療費が比較的高額になるのがザガーロのデメリットだといえるでしょう。
こういった特徴をよく理解した上で、プロペシアとザガーロのどちらを使用するかは医師とよく相談して決めてください。
なおプロペシアとザガーロにはどちらもジェネリック医薬品が存在します。
AGA治療は基本的に自由診療であり保険は適用されませんので、費用を抑えたいという方にとっては有力な選択肢だといえるでしょう。
ミノキシジルについては外用薬としてご存じの方が多いのではないでしょうか。
ミノキシジルの効果については次で詳しく解説しますが、医師に内服薬を処方してもらうことが可能です。
ミノキシジル内服薬はより高い発毛効果を期待できる反面、副作用のリスクも相応にあると考えられています。
外用薬
外用薬とはつまり皮膚に直接塗布する薬であり、AGA治療に使用される外用薬といえばほぼミノキシジルのことであると考えて差し支えありません。
ミノキシジルは血管を拡張すると同時に発毛を促す因子を生み出し、毛髪の成長サイクルを延長させます。
また発毛のために必要な細胞を増殖させたり死滅を抑制したりといった働きにより発毛の促進が期待できます。
このように強力な発毛効果を生み出すミノキシジルですが、AGAの進行を抑制する働きはありません。
そのためAGA治療においては、プロペシアやザガーロとミノキシジルの併用によってより高い効果が得られる可能性があります。
しかし薬の併用には相応のリスクも存在するため、内服薬と外用薬のどちらを選択するのかも含め知識と経験が豊富な医師による正しい判断と処方が不可欠です。
AGAの薬の副作用
AGAに使用される薬は一般的に安全性が高いといわれていますが、それでもまれに副作用が出る可能性は否定できません。
発生頻度はかなり低いため恐がり過ぎる必要はありませんが、少しでも異常を感じたら速やかに医師へ相談してください。
精力減退
プロペシアやザガーロの有効成分は男性ホルモンであるテストステロンがジヒドロテストステロンに変換されるのを阻害します。
そうすると一時的にテストステロンの濃度が上昇し、体はこれを元に戻すためにテストステロンの生成を抑制します。
その結果精力減退や勃起機能不全といった副作用が出るのではないかといわれているのです。
頭痛
ミノキシジル内服薬の使用時、血管拡張作用によって頭皮の毛細血管が拡張し頭痛を引き起こす可能性があります。
中には頭痛だけでなく吐き気をもよおす方もいるようです。
しかしながらそういった症状がミノキシジルの使用に起因するものなのか分からない以上、安易に頭痛薬を服用すると思わぬ副作用を招く恐れがありますので注意してください。
めまい
こちらもミノキシジル内服薬の使用時、頭痛と同じ理由でめまいなどの症状が出る場合があります。
ミノキシジルの使用開始後にこういった症状が出たときはまず使用を中断し医師に相談しましょう。
頭皮のかゆみ
ミノキシジル外用薬の塗布により頭皮にかゆみが出る可能性があります。
ときに発疹などの炎症やフケの発生を併発することもありますので、医師と相談の上で治療方法の変更を検討しましょう。
AGA治療の効果が出ない理由は?
「AGAの治療をしているのに効果が出ない…。」
その悩みの理由は以下の4点が考えられます。
- 使用する薬が合っていない
- 効果が出る前に治療をやめてしまった
- 治療の開始が遅かった
- AGAではない薄毛だった
順番に解説します。
使用している薬が合っていない
AGA治療は医師の処方のもと、体質やAGAの進行具合に応じた適切な治療法を行うことがとても重要です。
特にAGAの進行が速い方は、薬の効果が進行スピードに追い付けないため効果が実感できない場合があるのです。
治療を継続していても抜け毛が続くという場合は医師に相談しましょう。
効果が出る前に治療をやめてしまった
髪の毛は通常2〜5年で生え変わりますが、AGAを発症すると6ヶ月〜1年で髪が抜け落ちるようになってしまいます。
また髪の毛は以下3つのサイクルで成長します。
- 毛母細胞が活発になり毛髪が成長する成長期
- 毛母細胞の成長が止まる退行期
- 毛の成長が完全に止まる休止期
AGA治療を始めて3~6ヶ月間はヘアサイクルを正常化していく期間であり、このため効果を実感するまで根気強く治療を続ける必要があるのです。
またAGA治療を開始して1週間〜1ヶ月程の間に一時的に薄毛が進行したような症状が出ることがあります。
これは初期脱毛と呼ばれ、ヘアサイクルが正常化する過程でおこるとされている症状です。
一定期間が経過しヘアサイクルが正常化されると徐々に改善しますので、むしろ薬が効いている証拠だと前向きに捉えましょう。
治療の開始が遅かった
実は、生涯でヘアサイクルにより髪が生える回数には限りがあります。
AGAはヘアサイクルの周期が短くなる病気であるため、より多くのヘアサイクルが残っている段階で治療を開始することが非常に重要です。
AGA治療の効果が全く出ない理由は既にヘアサイクルの回数を使い切ってしまった、つまり治療の開始が遅かったためかもしれません。
こういった残念な結果を避けるためにも、「AGAかな?」と気になったらなるべく早い段階で医師に相談することをおすすめします。
AGAではない薄毛だった
ひと口に「薄毛」といっても、AGA以外にも下記のような様々な種類があります。
- 円形脱毛症
- びまん性脱毛症
- 脂漏性脱毛症
- ひこう性脱毛症
- けん引性脱毛症
- 食事・生活習慣・ストレスによる脱毛
こういったAGAではない薄毛に対してAGA治療を行っても、当然ながら効果は出ません。
AGA治療を始める前に、医師のカウンセリングによりその薄毛の原因がAGAなのかしっかり確認しましょう。
AGA治療の効果が出ない場合の対処法
AGA治療の効果が出ない理由についてみてきましたが、ここからはその対処法について解説します。
薬を適切に服用する
AGA治療薬に限らず、薬は医師により適正に処方されたものを用法用量を守って適切に使用しなければ正しい効果を期待できません。
医師に処方された薬であっても自己判断で多く飲んだり逆に飲み忘れたりしないように気を付けてください。
また外用薬は一度に塗布する量が決められていますので、特に広範囲に及ぶ場合などは使い過ぎないように気を付けましょう。
近年、AGA治療薬を個人輸入する方が増えています。クリニックで処方されるより安価で、ときに高濃度の治療薬が手に入るためだと考えられます。
「クリニックに赴いて医師のカウンセリングを受ける手間が煩わしい」・「AGAで悩んでいるという事実を誰にも知られたくない」という方も一定数いるでしょう。
一見メリットが多い個人輸入ですが、こういった薬の使用には大きな危険が潜んでいます。
AGA治療薬に限らず、一般的に国内で販売される医薬品は「医薬品医療機器等法」に基づき有効性及び安全性が確認されています。
しかし個人輸入されたような医薬品は当然こういったチェックを受けておらず、狙った効果が出ないだけでなく想定外の副作用や健康被害を引き起こす恐れがあります。
有効成分を全く含まない偽造品の可能性すら否定できないと考えますと、医薬品の個人輸入は控えるのが賢明といえるでしょう。
担当の医師に相談する
ここまで解説してきた通り、AGAの治療にあたっては「薄毛の原因」・「進行具合」・「体質や体調」・「希望する効果」・「別の疾患や使用している薬」などさまざまな要因を総合的に判断して方針を決定します。
こういった判断を自己で行うことは極めて困難であり、医師の診断のもと適切な治療を行うことではじめて効果が期待できると考えてください。
また治療を継続しているにもかかわらず効果が実感できない場合は、その旨を医師に相談しましょう。
自毛植毛を検討する
投薬治療によりAGAの改善効果がみられない場合、自毛植毛という治療方法の可能性を検討してもよいでしょう。
自毛植毛とは、AGAの影響を受けていない後頭部などの毛髪を皮膚組織ごとAGAの患部に移植する施術方法です。
自身の皮膚組織を使用するため施術による拒絶反応を起こすリスクが少なく、生着すれば正常に毛髪が成長するようになります。
一方、自毛植毛には以下のようなデメリットがあります。
- 投薬によるAGA治療を継続する必要がある
- 植毛した部位以外はAGAが進行する
- 合併症のリスクがある
- 傷跡が残る可能性がある
- 費用が高額になる場合がある
現在は以前に比べ失敗するリスクは少なくなっていますが、技術力が問われる治療法であるため実績が豊富で安心して任せられるクリニックを選びましょう。
AGA治療は早めの開始が肝心
残念ながら、現在のAGA治療には今後の進行を抑制する効果しか望めません。
このためAGAが進行してから治療を開始したのでは遅いともいえるでしょう。
さらにいえば、早期の治療開始により治療費が安く済むという大きなメリットも期待できます。
「このくらい普通だ」・「まだ若いから」などと多寡をくくらず、少しでも気になったらまずは相談から始めるようにしてください。
編集部まとめ
本記事では、「AGA治療って本当に効果があるの?」・「AGA治療を始めたものの効果が出ない」といったお悩みを持つ方に向け、原因や対処法をお伝えしました。
生涯で回数に限りがあるヘアサイクルを1回でも多く残した段階で周期を正常化するため、AGAには早期の治療開始がいかに重要かお分かり頂けたのではないでしょうか。
最後になりますが、AGAの改善には食生活や生活習慣の改善も効果的です。
油分・糖分・塩分の多い食事をしていると栄養が偏ってしまい頭皮に悪影響を及ぼします
ので、タンパク質・亜鉛・ビタミン」をバランスよく摂取するよう心掛けましょう。
また質の良い睡眠をとること、喫煙・飲酒を控えることも薄毛の予防に効果があるといわれています。
このような生活改善と医師の適切な診断・処方による治療を組み合わせ、AGAを改善に導いて参りましょう。
参考文献