眼瞼下垂の手術後について解説!手術の流れやダウンタイムについて説明
目を大きく開くことが難しい。まぶたが重いと感じる。そんな悩みを持つ人にとって、「眼瞼下垂」という言葉は耳にすることがあるかもしれません。眼瞼下垂の手術は、目の印象を明るくしたり、視界を広げるためのものですが、手術前後の過ごし方や、手術後の変化など、知っておきたいことは多いですよね。
この記事では、眼瞼下垂手術の全体像から具体的な手術後のケアまで、詳しく解説していきます。
監修医師:
柳 靖雄(医師)
目次 -INDEX-
眼瞼下垂の手術後・手術前の準備や過ごし方
眼瞼下垂手術を受ける前や後には、何をすれば良いのか、どのように過ごすのが適切なのか、多くの疑問が浮かぶことでしょう。ここでは、手術前後のポイントや注意点についてまとめています。
眼瞼下垂手術とは
眼瞼下垂は、上まぶたの筋肉や腱膜が弱っているため、目をしっかりと開けることが難しくなる状態を指します。具体的には、健康な状態では自然と目が開いているのが普通ですが、眼瞼下垂の症状がみられる方はそれが難しく、まばたきをするたびに、まぶたの重さを感じることが増えます。
また、重度の場合は、まぶたが目の瞳孔部分を覆ってしまい、視界が狭くなるということが起こることもあります。例えば、読書をする際に文字が見づらくなったり、階段を上るときに足元が見えにくくなるなど日常生活の様々な場面での影響が出てくることがあります。
この手術の主な目的はそのような症状を改善することにあり、まぶたの筋肉や腱膜を適切に短縮・補強し、目を開ける力を取り戻すことにあります。これにより、日常生活でのストレスや不便を大きく軽減することが期待されるのです。
手術前の準備
手術を受ける前のプロセスは非常に重要で、しっかりとした準備が必要となります。まず、医師の指示に従い、術前の検査を受けることが一般的です。この検査では、手術に関するリスクやあなたの健康状態を詳しく確認し、手術を進める上での安全性を高めることが目的となります。また、この段階で疑問や不安な点があれば、医師としっかりとコミュニケーションを取るカウンセリングの時間も設けられることが多いです。
一方、生活習慣にも注意が必要です。たとえば、アルコールやタバコは血行を悪化させる効果があるため、手術の数日前からは控えることが推奨されます。
さらに、手術当日は特に注意が求められるポイントがいくつかあります。メイクは傷口に影響する恐れがあるため、避けるようにしましょう。また、コンタクトレンズも装着は避け、眼鏡を持参することが良いでしょう。
眼瞼下垂手術の流れ
手術は、局所麻酔のもとで行われます。次に手術の初めのステップとして、上まぶたの皮膚を切開します。次に必要な部分の筋肉や腱膜を短縮したり、補強したりしてまぶたの位置を正常な状態に戻す作業に取り掛かります。このプロセスは非常に繊細で、医師の経験と技術が求められる部分です。
手術時間は、大体1〜2時間程度となりますが、この期間は患者さんの状態や手術の内容によって変わることもあります。ここで多くの方が心配する痛みについてですが、手術中は麻酔の効果で大きな痛みを感じることは少ないと言われています。
眼瞼下垂の手術後についてより詳しく解説
手術が無事終わった後、大切なのは正しいアフターケアです。どのような症状が出るのか、ダウンタイムはどれくらいなのか、そして手術後の過ごし方や注意点はあるのか。ここでは手術後の身体の変化やケアについて、具体的に解説します。
眼瞼下垂手術後の痛みや腫れ具合
手術直後の眼瞼部分には、多くの人が少しの痛みや腫れを感じることがあります。これは、手術という外的な刺激に対して、身体が修復のプロセスを開始するときの自然な反応です。この反応は、手術を受けた部位の微細な組織や血管が再生し、回復を始めるサインでもあります。
この痛みや腫れについては、手術を受けた人それぞれの体質などによって回復のスピードは異なりますが、多くの場合この腫れや痛みは数日から1週間程度で徐々に収まっていきます。
これらの腫れや痛みを軽減するための対処法として、冷たいガーゼを当てる方法があります。例えば、手術直後の熱を持った部分に冷たいガーゼを当てることで、血流を調節し、腫れを和らげる効果が期待できます。このようなアフターケアは、医師の指示に従って正確に行うことが大切です。適切なケアを心がけることで、より速やかな回復を助けることができるでしょう。
眼瞼下垂手術後のダウンタイムの期間
「ダウンタイム」とは手術や治療後の回復期間を指し、この期間中は日常の生活や仕事、社交活動に支障をきたすことが考えられます。具体的には、体が手術の影響を受けて一時的に不調を示す時間を指します。眼瞼下垂手術後のダウンタイムは、切開手術の場合、個人差はあるものの2週間から3ヶ月ほどとされており、この期間中、瞼には手術の影響として痛みや腫れが現れることが多く、内出血が起こることもあります。
このダウンタイム期間中は、外出を控えることが一般的です。特に、外の紫外線や風、ホコリなどから手術部位を守る意味でも、家でゆっくりと休むことが望ましいのです。また、メイクやコンタクトレンズの使用も避けることが推奨されます。これは、まだ完全に治っていない手術部位に刺激を与えないため、また、感染のリスクを低減させるためです。
日常生活に戻る前のこの「ダウンタイム」は、自分の身体と向き合い、しっかりと休養をとる大切な期間です。手術の成功と同じくらい、この期間の過ごし方が後の回復に影響を与えることを忘れずに、適切なケアを心がけることが大切です。
眼瞼下垂手術後のダウンタイム中の過ごし方
眼瞼下垂手術後のダウンタイム中は、身体の回復と安静を重視した生活が大切です。手術後のダウンタイムは、身体が手術のストレスから回復しようとする非常に重要な期間です。そのため、以下のポイントに注意しながら、適切な過ごし方を心がけることが求められます。
・身体への負担を避ける
重たい物を持ち上げたり、激しい運動を避けることで、目の周辺に不必要な圧力をかけるのを防ぎます。
・目の衛生を保つ
頻繁に目をこすったり、手で触れることは避けることで、感染のリスクを低減します。
・適切な環境を保つ
高温の場所やサウナなど、身体に熱を持たせる環境は、腫れを悪化させる原因になるため避けることが好ましいです。
また、ダウンタイム中の家での過ごし方に関しては、穏やかでリラックスした時間を持つことが鍵となります。例えば以下のような方法をとるなどすると良いでしょう。
・音楽
好きな曲を聴きながら、ゆったりとした時間を過ごすことで、心の安定をはかることができます。
・読書
手術のストレスを忘れさせてくれるような気に入った本を読むことで、心身ともにリフレッシュできます。
・映画やドラマの鑑賞
ストレスを感じるなど視聴する内容に注意しつつ、好きな映画やドラマを楽しむこともおすすめです。
このように、ダウンタイム中はとにかく身体を労わることが重要です。自分の身体のサインをよく観察し、もし異常を感じたらすぐに医師に相談するようにしましょう。
眼瞼下垂手術後のダウンタイム中に気をつけるべきこと
手術後の回復を促進させ、トラブルを避けるためには、以下の点に注意が必要です。
・瞼に強い力がかかることを避ける
手術後のまぶたは非常に敏感です。突然の力や摩擦によって傷跡が広がったり、腫れが悪化するリスクがあります。例えば、目のかゆみを感じた時や、目の周りを洗うときなど、ついこすったり、押さえつけたりしてしまうことがありますが、このような行為は極力避けるよう心がけましょう。
・手術部位を清潔に保つ
清潔を保つことは、感染を予防するための基本です。手術直後は特に、微小な傷や手術痕が感染の入り口となり得ます。外出から帰った後や他人との接触後は、手をしっかりと洗ってから手術部位に触れるようにしましょう。
・アルコールやタバコは避ける
アルコールやタバコは、身体の回復を遅らせる可能性が考えられます。特にタバコは、血行を悪化させ、傷の治りを遅くするだけでなく合併症のリスクも高まります。飲酒についても、過度な摂取は回復を妨げる要因となるため、控えめにすることが望ましいです。
・医師の指示や処方された薬に従う
手術後のケアや治療は医師の指示に従って進めることが大切です。例えば、抗生物質や消炎剤など、処方された薬があれば指示通りのタイミングと量で服用しましょう。また、定期的な通院や検査も欠かさず行い、自身の回復状態をしっかりと把握することが大切です。
手術の成功はもちろん大切ですが、その後の適切なアフターケアも同じくらい、あるいはそれ以上に重要です。身体は自然に治ろうと努力していますが、そのサポートを怠ると、回復が遅くなるだけでなく、後遺症やトラブルのリスクも増えてしまいます。手術後のケアをしっかりと行い、早く健康な日常を取り戻しましょう。
眼瞼下垂の手術後に出ることがある症状
手術後、瞼の周りにはさまざまな変化が現れることがあります。これは多くの場合、一時的なもので、適切なケアとともに時間が経つことで改善されることがほとんどです。しかしその症状に驚かないよう、あらかじめ知っておくことで対策などを講じることもできます。
涙目
手術直後や回復過程で、目から涙が多く出ることがあります。これは手術による一時的な刺激や、まぶたの位置の変化によるもので、数日から数週間で自然に落ち着きます。
内出血
手術中にまぶたの微細な血管が損傷を受けることがあり、その結果、目の周囲に紫や青っぽい内出血が出現することがあります。この内出血は多少不快感を伴うことがあるものの、家庭でのケアとして冷たいガーゼを適宜当てることで、症状は日に日に薄れていくのが通常です。
ドライアイ
眼瞼下垂手術の後、目の乾燥を感じられる方もいます。これは、涙の生成や分泌のパターンやまぶたの位置が変化したために起こると考えられます。このようなドライアイの症状には、医師から処方される目薬を使用したり、定期的に目を休めることで、症状の緩和や改善が期待されます。
まぶたが腫れる
手術後にまぶたが腫れる現象は、手術を受けた患者の中で非常によく見られる症状です。この腫れは手術部位の治癒反応として起こるもので、一般的には一時的なものとして考えられます。一般的には適切なアフターケアや十分な休息を取ることで、数日から数週間でほぼ完全に収まるケースが多いとされています。
眼瞼下垂の手術後にありうるトラブル
手術の成功率は高いものの、手術後にトラブルが起きることもゼロではありません。これらのトラブルは必ずしもすべての患者さんに起こるわけではなく、予め知っておくことで適切な対処や早期の相談が可能となります。
糸が出てくる
埋没法などで眼瞼下垂の手術を行った場合、手術で使用された糸が一部皮膚の表面から出てくることがあります。大半の場合、健康上のリスクが高いわけではありませんが、患者自身が不快感を感じたり、外見上の気になる点として認識することが多いです。もし糸が飛び出してきた場合は、自分で無理に引っ張ったりせず、早めに医師に相談し、専門的な処置を受けることをおすすめします。
二重のデザインが思っていたものと違う
手術後に目の形状やデザインが、事前のカウンセリングや想像していたものと異なることは珍しくありません。このような場合、患者さんは落胆したり、不満を抱えることがあります。問題の原因や程度に応じて、追加の治療や修正手術が考慮されることもあるので、感じた違和感や不満点を医師にしっかり伝えることが大切です。
低矯正
低矯正は、手術後の瞼の位置が期待よりも低く、目が十分に開かない状態を指します。このような状況では、元の状態と大差ない見た目になってしまう可能性があります。患者さんが手術の結果に満足できない場合、再手術や追加の治療の検討が必要となることがあります。
過矯正
過矯正は、手術の結果、瞼が予想以上に高い位置になってしまう現象を指します。この状態では、目の形が不自然に見えることがあり、また、目の乾燥や不快感を引き起こす原因ともなりえます。そのため、症状が気になる場合や、不快感が強い場合は、速やかに医師と相談し、対処法を模索することが重要です。
編集部まとめ
眼瞼下垂の手術を受けることで、視野が広がって、ものが見やすくなることは大きな利点といえます。手術前後の準備や、手術後に起こり得るトラブルについてもしっかりと知識を持っておくことが、より良い結果を得るための鍵となります。
この記事を通じて、眼瞼下垂手術に関する基本的な知識から、具体的な手術後の症状やトラブルまで、幅広く知ることができたかと思います。手術を検討されている方、すでに手術を受けた方にとって参考になれば幸いです。
最後に、どんな医療処置にもリスクが伴います。自分の体や健康を託す大切な手術に関しては、専門的なカウンセリングを受けること、そしてご自身が納得した上で手術を選択することが大切です。何か不明点や不安があれば、迷わず医師に相談することをおすすめします。