ニキビ治療薬にはどんなものがある?ニキビの種類と原因・薬の主な使い方について紹介します
見た目も悪く・痛いニキビはできたら、すぐ薬を使い治したいと思う方がほとんどでしょう。しかし、ニキビ薬ならどれを使ってもニキビは治るのでしょうか。
できるニキビによって成分は異なるため、合った薬を使うのが良いです。
また、塗り薬のイメージが強いニキビですが、他にはどのようなものがあるのかご存じでしょうか。
そこでこの記事では、ニキビごとに合う治療薬をはじめ、ニキビの種類・原因・薬の主な使い方を解説します。
正しく使い分けることで、ニキビになりにくいお肌を目指していきましょう。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
目次 -INDEX-
ニキビ治療薬にはどんなものがある?
一括にニキビ治療薬といっても、その種類は様々あり成分も異なります。主なニキビ治療薬は以下のとおりです。
- 抗菌剤(塗り薬・飲み薬)
- 抗炎症作用薬(塗り薬)
- 角質剥離作用薬(塗り薬)
- 面皰(めんぽう)減少作用薬(塗り薬)
- 角化抑制作用薬(塗り薬)
- 漢方薬(飲み薬)
これらを組み合わせてニキビ治療をしていきます。薬による治療以外に施術もあり、その内容が以下です。
- ケミカルピーリング
- レーザー治療
- 面皰(めんぽう)圧出
ニキビ治療薬の種類
ニキビ治療に使われる薬は大きく分けて2つになり、「飲み薬」と「塗り薬」です。ニキビ治療薬は塗り薬だけではありません。
ここからは、飲み薬と塗り薬でどのような種類があるのかご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
飲み薬
飲み薬では、内服抗菌剤・漢方薬がニキビの治療薬として服用されています。内服抗菌剤はニキビの原因菌であるアクネ菌を弱らせ、増殖を抑えることが目的です。
テトラサイクリン系・マクロライド系・ニューキノロン系・セファム系の抗菌剤を使用し、ニキビ治療をします。具体的な抗菌剤は以下のとおりです。
(テトラサイクリン系)
- ドキシサイクリン
- ミノサイクリン
(マクロライド系)
- ロキシスロマイシン
- ファロペネム
(ニューキノロン系・セファム系)
- テトラサイクリン
- エリスロマイシン
- クラリスロマイシン
- レボフロキサシン
- トスフロキサシン
- シプロフロキサシン
- ロメフロキサシン
- セフロキシムアキセチル
推奨順があり、尋常性座瘡治療ガイドラインではテトラサイクリン系・マクロライド系・ニューキノロン系・セファム系の順で推奨しています。
特にテトラサイクリン系・マクロライド系は抗菌に加え、炎症反応を抑える役割もあるため、炎症が強くでているニキビ治療に対しおすすめです。
しかし1つ問題があり、それは長期服用による薬剤耐性化です。同じ種類の抗菌剤を長期期間服用することで、細菌が薬に耐性がつき効きが悪くなります。
塗り薬
次に塗り薬ですが、ニキビ治療薬の中では主流な治療薬として使用されます。抗菌剤・抗炎症剤・毛穴の詰まり改善・角質再生など、外からニキビを治します。
塗り薬として使用される薬は以下のとおりです。
- クリンダマイシン 1%/過酸化ベンゾイル2.5% 配合
- クリンダマイシン 1%/過酸化ベンゾイル3% 配合
- アダパレン 0.1%
- 過酸化ベンゾイル 2.5%
- クリンダマイシン
- ナジフ
- ロキサシン
- オゼノキサシン
この中から、ニキビの状態に合わせて使い分けられます。
市販のニキビ治療薬を使っても大丈夫?
ドラッグストアや薬局などで扱われている市販のニキビ治療薬を使っても問題ありません。しかし、医師が処方した薬ではないため、ニキビに合ったものを使用しましょう。
市販のニキビ治療薬の多くは塗り薬であるため、ニキビの状態に合わせたものを選びます。毛穴の詰まり・少し赤みがみられる場合は赤みを抑える塗り薬を塗り、顔の毛穴詰まりを改善させましょう。
赤みと痛みがあるニキビの場合は、ニキビの原因菌であるアクネ菌を殺す殺菌作用のある成分が含まれた塗り薬を使用すると良いです。
もしどの薬を使用すれば良いのかわからない場合は、薬剤師にご相談しておすすめの薬を選ぶようにしましょう。
そして、長期的に市販薬を使用するのはやめましょう。お肌はもちろん、体にもあまり良い影響を与えません。
添付文書に記載されている通り日数でひと区切りをし、きれいにニキビが治るよう病院へ受診し医師の診察を受けて正しい薬を処方してもらいましょう。
目的別のニキビ治療薬の使い方
ニキビ治療薬の中には、できてしまったニキビに対し使用する薬とニキビが治癒した後に使用する薬と、目的によって異なります。
目的に合った治療薬を使用することできれいにニキビを治せます。ここからはできてしまったニキビに対しての治療薬と治癒した後に使用する治療薬について解説しましょう。
正しく使い分けることで、ニキビが再発しにくいお肌を目指しましょう。
できてしまったニキビを治す場合
できてしまったニキビ治療には、塗り薬や飲み薬を使用します。しかし、ニキビの重症度によって使用する治療薬は異なります。
ニキビの重症度は尋常性痤瘡治療ガイドラインにて定められており、以下が基準です。
- 軽 症:顔半分に赤ニキビが5個以下
- 中等症:顔半分に赤ニキビが6〜20個以下
- 重 症:顔半分に赤ニキビが21〜50個以下
- 最重症:顔半分に赤ニキビが51個以上
この基準に従い、患者さんのニキビの状態を確認し処方する治療薬を決定します。
軽症の場合、アダパレン 0.1%・過酸化ベンゾイル 2.5% ・アダパレン 0.1%/過酸化ベンゾイル 2.5%配合を使用します。
これらはピーリング作用があるだけでなく、毛穴の詰まりを改善したりアクネ菌の増殖を抑えたりする薬です。
中等症以上の場合、抗炎症薬と抗菌薬の塗り薬・抗菌剤の飲み薬を処方し、中と外から治療していきます。
使用する薬はクリンダマイシン 1%/過酸化ベンゾイル2.5%と3% 配合・軽症の場合に使用する薬も使用します。
塗り薬の抗菌剤はクリンダマイシン・ナジフ・ロキサシン・オゼノキサシンの成分が入ったものを使用し、アクネ菌の増殖を抑えるのです。
ニキビは一度できると治りづらく、治療期間は長期的になりがちです。さらにニキビのなかったお肌にもなるとさらに期間が必要になります。
少しでも早く、そしてきれいに治すにはご自身の判断で治療しないことが良いです。医師の正しい指導を守ることが一番です。
主なニキビの種類
ここまでニキビタイプ別にニキビ治療薬について解説しました。そもそもニキビはどのような種類があるのでしょうか。
ニキビは年齢・肌質・生活習慣・環境などの影響によりできるタイプが異なります。主なニキビは3タイプです。
ニキビの予防対策はさまざまありますが、まずはストレスを溜めないように心がけましょう。特に環境や人間関係による心理的ストレスは、ニキビを悪化させるといわれています。
主なニキビは3タイプです。
- 白ニキビ
- 黒ニキビ
- 赤ニキビ
ニキビができる順番は白ニキビ・黒ニキビ・赤ニキビです。ここからは各タイプのニキビについて解説しましょう。
ニキビが発症する原因
年齢・性別にかかわらず発症するニキビですが、発症原因は様々です。皮膚を清潔にしていないのも1つの原因ではあるものの、それ以外の原因もあります。
どのような原因があるのか、ここからは具体的にみていきましょう。
毛穴が閉塞する
毛穴は皮脂や汗を皮膚表面に排出するための大切な器官です。
そこに皮脂や老廃物などが溜まり毛穴が詰まってしまうと、そこでアクネ菌や雑菌などが繁殖しニキビが発症します。
本来、皮膚はターンオーバーするため毛穴に皮脂や老廃物などは溜まることはありませんが、ターンオーバーが乱れれば毛穴に溜まりやすくなります。
ターンオーバーの乱れを改善するためには、栄養バランスのとれた食事・睡眠・ストレスを溜めないなど日頃の生活習慣が非常に重要です。
そして、毛穴に皮脂や老廃物などが溜まらないよう、丁寧な洗顔・十分な保湿なども忘れずしっかり行いましょう。
皮脂が過剰に分泌される
皮脂の過剰分泌もニキビができやすい原因です。
本来、皮脂は必要な分のみ分泌されますが、皮脂腺の機能異常・ホルモンバランスの乱れなどが原因で皮脂が過剰に分泌されます。
皮脂は毛穴を詰まらせるだけでなく、アクネ菌を増やしニキビになりやすい環境へと変化させてしまいます。
皮脂が過剰に分泌が原因でニキビを発症するのが思春期ニキビです。思春期は性ホルモンの分泌が増え、皮脂腺が活発になることで発症します。
皮脂が過剰に分泌されないためにも、生活習慣は整え刺激が少なく皮脂コントロールできるスキンケアを使用しながら皮脂コントロールをしていきましょう。
アクネ菌の繁殖
元々常在菌として存在するアクネ菌は、エサである皮脂を分解することで増殖します。
皮脂の分泌が多ければ多いほど、アクネ菌は繁殖し続けるためニキビができやすい状態になるのです。
アクネ菌を増やさないためにも皮脂の分泌を抑えるよう生活習慣を見直すことが大切になります。
ニキビ治療についてもっと詳しく知りたい場合は
ニキビ治療薬について解説しましたが、ニキビ治療薬にも様々あり、また重症度によって使用できる薬も異なります。
薬はリスクを伴うものであり、正しい知識が必要です。市販薬を使用するのが悪いわけではありませんが、ご自身がどのタイプのニキビであるか把握しておくと良いでしょう。
どのニキビか把握することで正しいニキビ治療薬を選択できます。この機会にどのような薬がどのようなニキビを改善するのか調べてみてはいかがでしょうか。
編集部まとめ
ニキビ治療薬は医師の処方薬を含め市販でも取り扱われ、身近な薬の1つですが、正しく使用しなければ悪化する可能性もあります。
ニキビは美容の一環として扱われそうですが、ニキビは呼称であり尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう)という皮膚疾患の1つです。そのため、適切な治療を受ける必要があります。
時間はかかるものの、正しく薬を使い分けることでニキビのないお肌を目指すことも可能です。自己判断はせず、病院へ受診し治療を試みてみてください。
参考文献