大人ニキビと思春期ニキビはどう違う?ニキビの種類やできる原因・治し方を詳しく紹介します
ニキビは、「尋常性痤瘡」と呼ばれる皮膚の病気です。
ニキビといえば思春期にできるものというイメージを持っている方も多いでしょう。しかし、大人になってからもニキビができる方は少なくありません。
大人ニキビと思春期にできるニキビのメカニズム・できる原因・対処法の違いを知りたい方もいるのではないでしょうか。
そこでこちらでは、大人ニキビと思春期ニキビの違いについて解説します。大人ニキビができる原因や治し方などもご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
目次 -INDEX-
大人ニキビとは?
大人ニキビとは、成人になってから発症するニキビのことです。医学用語では「思春期後痤瘡(ししゅんきござそう)」と呼ばれています。
大人ニキビは女性にみられることが多く、ストレス・睡眠不足・不規則な生活・間違ったスキンケアなどが主な原因です。
また、月経周期によるホルモンバランスの変化も、ニキビの発症と関係しています。
特に生理前の時期はホルモンバランスによって皮脂の分泌が過剰になるため、ニキビができやすい方が多いでしょう。
大人ニキビが続く場合、多嚢胞性卵巣症候群でホルモン異常が起こっている可能性も否定できません。
無月経が続いている・体毛が濃くなったなどという場合には、医師に相談することをおすすめします。
大人ニキビと思春期ニキビの違い
大人ニキビと思春期ニキビは発症するメカニズムは同じですが、できる部位や背景には違いがあります。
大人ニキビは、主にストレス・睡眠不足・食事のバランスなどによるホルモンの乱れや、メイク・スキンケアなどが原因で発症することが多いです。
さらに、大人になると角質が硬くなったり、古い角質が毛穴に詰まったりすることで毛穴が狭くなり、皮脂が詰まることでニキビができるといわれています。
そのため、あごや口の周りなど乾燥しやすい部位にできやすいのが特徴です。
一方で思春期ニキビは、ホルモンバランスの変化によって発症します。
思春期には性ホルモンの分泌が盛んになり、皮脂の分泌量が増加します。これに伴って毛穴に皮脂が詰まりやすくなることが、思春期ニキビの主な原因です。
さらに、大人ニキビと同じようにストレス・不規則な生活習慣・食生活の乱れなどが原因のケースもあります。
思春期ニキビは、皮脂の分泌が特に過剰なTゾーンなどにできることが多いでしょう。
思春期ニキビができたら、毛穴の汚れを取り除くためにしっかり洗顔を行いましょう。肌が乾燥しがちな方は、洗顔後に化粧水や乳液などでケアをします。
肌が乾燥する季節や乾燥しやすい部位は、マイルドな洗顔料を使用するなど、皮脂を落としすぎない工夫も必要です。
スキンケアやメイクをする場合には油分の多いものを避け、ノンコメドジェニックなどニキビができにくい処方のものを使用するのが良いでしょう。
思春期ニキビはなかなか治らないことも多いため、症状がひどい場合には皮膚科の受診をおすすめします。
大人ニキビの種類
大人ニキビは状態や重症度などによって、白ニキビ・黒ニキビ・赤ニキビ・黄ニキビなどの種類があります。それぞれの特徴を詳しくみていきましょう。
白ニキビ
皮脂が過剰に作られると、毛穴に皮脂が詰まりやすくなります。皮脂や角質からできたコメドが毛穴をふさいで白く見える状態を白ニキビと呼びます。
白ニキビは初期のニキビで、毛穴の先は閉じた状態です。外から見ると、白く盛り上がったように見えます。
黒ニキビ
毛穴にコメドが詰まり、毛穴の先が開いて中身が見える状態を黒ニキビと呼びます。毛穴が開いていることでコメドが空気に触れ、酸化して黒く見えるのが特徴です。
まだ炎症は起こしていない状態ですが、白ニキビよりは症状が進んだ状態です。炎症を起こす前にこの段階で早めにケアをしましょう。
赤ニキビ
ニキビの初期段階である白ニキビや黒ニキビの段階でケアがうまくいかないと、さらに症状が進み毛穴に炎症が起こります。
コメドの詰まった毛穴にアクネ菌が繁殖すると、炎症を起こして赤くなります。この状態が赤ニキビです。
赤ニキビは痛みやかゆみを伴うケースもあるため、症状がひどい場合には皮膚科を受診することをおすすめします。
汚れた手で触ってしまったりメイクが落としきれなかったりした場合、さらに次の段階に進んでしまうため注意しましょう。
黄ニキビ
赤ニキビの状態からさらに炎症がひどくなると、膿が溜まったり、硬い硬結ができたりします。膿がたまって外から見ると黄色く見えることから、黄ニキビと呼ばれます。
黄ニキビの状態まで進んでしまうと皮膚の真皮まで傷がついてしまう可能性があり、ニキビが治った後にクレーター状のニキビ跡が残ることもあるため注意が必要です。
黄ニキビの状態になってしまったら、いじったり自分でつぶしたりせず早めに皮膚科を受診しましょう。
大人ニキビができる原因
大人ニキビの発症には、複数の原因が考えられます。
ニキビは過剰に分泌された皮脂によって毛穴が詰まり、そこにアクネ菌が繁殖して炎症を引き起こすことが原因で起こります。
皮脂の過剰分泌や毛穴の詰まりが起こる原因には、生活習慣の乱れや間違ったケアなどが考えられるでしょう。
大人ニキビができる原因として考えられるものを、1つずつ詳しくご紹介していきます。
食生活・生活習慣の乱れ
大人ニキビの原因として、食生活や生活習慣の乱れが挙げられます。
脂っこいものやチョコレートなどを食べるとニキビができやすいイメージがありますが、今のところ脂っこいものや甘いものとニキビの因果関係は明らかになっておりません。
また、これを食べればニキビに効くという食べ物も今のところありません。
特定のものを避けたり肌に良さそうなものを多く摂ったりするのではなく、栄養バランスの良い食事を朝・昼・晩摂るように心がけましょう。
また、生活習慣を整えることも大事です。睡眠不足になるとホルモンのバランスが乱れる可能性があるため、しっかりと睡眠をとりましょう。
睡眠不足で肌のターンオーバーが乱れると、古い角質が溜まって毛穴が詰まりやすくなります。これも、大人ニキビができる原因の1つです。
ホルモンバランスの乱
大人ニキビは、ホルモンバランスの乱れによってできやすくなることがあります。月経前にニキビができるのもそのためです。
月経前は女性ホルモンの1つであるプロゲステロンの量が増え、その影響で皮脂の分泌が増えてニキビができやすくなります。
また、ストレスがたまるとアンドロゲン(男性ホルモンの1つ)の分泌が増え、皮脂が過剰に分泌される可能性があります。
身体を動かす時間を作るなど、ストレスを溜めない工夫も行いましょう。
間違ったスキンケアをしている
大人ニキビができていても、基本的には1日2回洗顔をして、洗顔後には化粧水や乳液などで保湿を行うという一般的なスキンケアで問題ありません。
「ニキビができるのは肌が不潔なせいではないか」と感じて1日に何度も洗顔をしてしまうと、刺激によって余計に炎症がひどくなる可能性もあります。
皮脂を取りすぎることによってかえって皮脂の過剰分泌を招くことにもなりかねないため、洗顔は1日2回までとしましょう。
また、皮脂が多いのは保湿のし過ぎが原因と考えて全く保湿を行わないのも良くありません。
特に大人ニキビの場合は乾燥が原因になることもあるため、保湿は通常のスキンケアと同じようにしっかりと行ってください。
ただし、ニキビができている部位に油分たっぷりのクリームなどを付けると、毛穴がふさがる原因になることもあります。
油分の多いものは避け、可能であればノンコメドジェニック処方の基礎化粧品を使うことをおすすめします。
大人ニキビがなかなか治らない理由
大人ニキビができる原因は1つではなく、複雑な要因が絡み合っています。そのため、できやすく治りにくいのが特徴です。
治りにくいうえに、繰り返しできてしまう方も多いでしょう。
肌に合わないスキンケアアイテムを使うことで炎症が起きる・メイク用品が毛穴に詰まる・メイク汚れが落としきれていないなどが原因で治りにくいケースもあります。
ノンコメドジェニック処方など、ニキビができにくい処方の化粧品やニキビケア用の化粧品を使うのもおすすめです。
できてしまうとなかなか治らないので、大人ニキビができないように事前に対策をするのが大事です。
正しいスキンケアや生活習慣を見直しても改善がみられない場合は、皮膚科を受診しましょう。
大人ニキビを治すには?
大人ニキビを治すためには、生活習慣の見直し・スキンケアの見直し・病院で治療を受ける・なるべく触らないようにするなどの方法があります。
大人ニキビはさまざまな要因が絡み合って発生しているケースもあるため、並行して対策を行っていきましょう。
大人ニキビを治す方法を詳しく解説していきます。
生活習慣やスキンケアを見直す
大人ニキビを治すためには、まず生活習慣やスキンケアを見直してみましょう。
バランスの良い食事・過度の飲酒や喫煙をしない・睡眠をしっかりとる・適度な運動をするなどの点を心掛けてください。
スキンケアを行う時には、ニキビに極力刺激を与えないようにするのが大事です。
洗顔は肌をこすらないように注意して行います。ニキビの部分をごしごしこすって皮脂を落としたくなってしまいますが、炎症が起こって悪化する危険があるため注意が必要です。
また、タオルで拭く時にもニキビを刺激しないように、優しく水分を吸い取るようにしましょう。
化粧水や乳液をつける時も、こするのは禁物です。コットンを使って肌をこすってしまうと、肌を傷つけたりニキビの炎症が悪化したりする可能性があります。
化粧水や乳液は手で優しくハンドプレスするように付けるのがおすすめです。
病院でニキビ治療をする
生活習慣やスキンケアを見直しても、なかなかニキビが直らないケースもあるでしょう。また、黄ニキビの状態まで悪化してしまうと痕が残る可能性があります。
セルフケアでは治らないと感じたら、早めに皮膚科を受診することをおすすめします。
皮膚科では抗生物質の飲み薬や塗り薬などを使った治療が行われるのが一般的です。ニキビが良くなってきたら、再発防止の薬が使用されます。
薬以外の治療では、針で穴を開けて溜まった皮脂を出す面皰圧出(めんぽうあっしゅつ)が行われます。
保険が適用されない自費診療にはケミカルピーリング・光治療・レーザー治療などの方法もあるので、必要に応じて検討すると良いでしょう。
ニキビに触らない
ニキビができると、気になってつい触ってしまったり、ニキビをつぶして皮脂を押し出したりしたくなる方も多いかもしれません。
しかし、ニキビをさわると手についた雑菌が繁殖する可能性があるため、触らないようにしましょう。
頬づえをつくなどの癖も、あごにできたニキビを悪化させる原因となります。
また、ニキビを自分でつぶしてしまうと痕が残ってしまう可能性があるので、つぶさないようにしましょう。
大人ニキビができた際の注意点
大人ニキビができた時には、先ほどもお話したように生活習慣・食生活・スキンケアなどに注意する必要があります。
そのほかに注意したいのはメイクです。ニキビができている時はあまりメイクをしない方が良いですが、全くメイクをしないわけにもいかないのが現実でしょう。
油分が多めのベースメイクアイテムは避け、パウダーファンデーションを薄く塗る程度にとどめておきましょう。
気になってニキビをコンシーラーで隠したくなる方もいるかもしれませんが、毛穴を詰まらせたりトラブルが起こったりする可能性があるためおすすめできません。
ベースメイクに力を入れるよりも、アイメイクやリップメイクにポイントを置き、視線を目元や口元に持って行くように工夫しましょう。
また、髪型にも工夫が必要です。髪の毛先がニキビに当たると刺激になるため、ニキビができている時はすっきりとまとめておくのがおすすめです。
編集部まとめ
ニキビといえば思春期にできるのが一般的ですが、大人にもできることがあります。
思春期のニキビは、性ホルモンの分泌が盛んになることで皮脂が過剰に分泌されるのが主な原因です。
一方で大人ニキビの原因は、ストレス・ホルモンバランスの乱れ・生活習慣の乱れ・メイクが落としきれていない・間違ったスキンケアなど多岐にわたります。
大人ニキビは一度できてしまうと治りにくいため、できないように予防をするのが大事です。
食生活や生活習慣を整え、適切なスキンケアを行いましょう。大人ニキビの原因となるストレスを解消するために、適度な運動で身体を動かすなど工夫が必要です。
また、ニキビを隠したいあまりに油分の多いコンシーラーなどを使うのも良くありません。ベースメイクはできる限り薄くし、ポイントメイクに力を入れるのがおすすめです。
ニキビができると憂鬱な気分になり、自分に自信が持てなくなってしまう方もいるかもしれません。
大人ニキビがなかなか治らない・炎症を起こしている・美容面が気になるといった場合には、早めに皮膚科を受診して治療を受けましょう。
参考文献
- Q5 大人のにきびとは?|公益社団法人日本皮膚科学会 皮膚科Q&A
- Q2.にきびはどうしてできるの?|日本痤瘡研究会
- ニキビ|一般社団法人 兵庫県医師会
- ニキビと上手に付き合おう!!
- 皮膚病のトピック|千葉県皮膚科医会
- ニキビの正しい治し方を知ろう!医師が教える即効治す方法|美容皮膚科タカミクリニック
- 治らない「大人ニキビ」の原因と対処法・予防方法|美容皮膚科タカミクリニック
- ニキビの場所別・症状別・タイプ別の原因と予防、あなたはどれに当てはまる?|美容皮膚科タカミクリニック
- Q7 月経との関係は?|公益社団法人日本皮膚科学会 皮膚科Q&A
- Q15.生理周期とにきびは関係があるの?|日本痤瘡研究会
- Q17 日常生活で注意することはありますか?|公益社団法人日本皮膚科学会 皮膚科Q&A
- Q10.にきびに適した化粧品は?ノンコメドジェニック化粧品とは?|日本痤瘡研究会
- Q8 皮膚科での治療法は?|公益社団法人日本皮膚科学会 皮膚科Q&A
- Q21 髪型や服装について|公益社団法人日本皮膚科学会 皮膚科Q&A