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噛める機能が長く維持されるインプラントの本質的な価値とは?【石川県金沢市 Nデンタルクリニック】

 公開日:2025/05/30

噛める機能が長く維持されるインプラントの本質的な価値とは?
噛める機能が長く維持されるインプラントの本質的な価値とは?

歯を失ってしまった場合、その審美性・機能性を高いレベルで取り戻せるのがインプラントだが、自費診療であること、手術が必要であることなどから敬遠する人が少なくない。そういったデメリットを上回る価値が本当にインプラントにあるのか、あるとすればどのような価値なのか、十分な価値を感じ満足できる治療を受けるためにはどうすればいいのだろうか? 金沢市直江南に開院しているNデンタルクリニックの名倉功院長に、詳しく話を伺った。

Doctor’s Profile
名倉 功(なぐら・いさお)
医療法人社団Nデンタルクリニック(院長)

2001年、明海大学歯学部歯学科卒業。山梨医科大学(現・山梨大学医学部)歯科口腔外科学講座研修医、明海大学歯学部口腔外科学第2講座(現・病態診断治療学講座口腔顎顔面外科学第2分野)専攻。2003年より石川県立中央病院歯科口腔外科で勤務し、2008年から2018年まで医長を務める。2018年7月、Nデンタルクリニック開院。日本小児口腔外科学会・代議員。患者様ファーストを掲げながら、口腔外科で積み重ねた経験、知識・技術を活かしたインプラント治療を提供する。

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安心して受けられる治療のひとつになったインプラント

歯を失ったときの治療として、インプラントを選ぶ人は増えていますか?

インプラントに対応する歯科医院が増えていること、患者さんのインプラントへの安心感が高まっていることなどから、インプラントを選択する人は増加しています。
ただ、「普通は入れ歯・ブリッジ」と考える人もまだまだ多いですね。

安心して受けられる治療のひとつになったインプラント

入れ歯・ブリッジを「普通の治療」、逆にインプラントを「特別な治療」と捉えてしまうのはなぜでしょうか?

やはりインプラントが自費診療であり、治療費が高くなること、外科的な処置が必要になることが影響していると思います。
しかし、インプラントは機能的にも審美的にも非常に優れた治療です。初めから除外するのではなく、選択肢のうちのひとつとして考えていただきたいですね。

インプラントの機能的・審美的に優れた点とは、具体的にどのようなことでしょうか。まず機能的な魅力について、教えてください

インプラントは顎の骨に埋入して安定を得ます。部分入れ歯のようにまわりの歯に支えてもらったり、ブリッジのように両隣の歯を削ったりするようなことがありません。また、顎の骨に強固に支えられているという構造から、圧倒的に強く噛めます。

まわりの歯の健康を守るメリットもあるんですね。部分入れ歯やブリッジを選んだ場合、まわりの歯の寿命が短くなる、ということも考えられますか?

はい。特にブリッジでは、両隣の歯を大きく削るため、長期的に考えるとそれらの歯の寿命はほぼ確実に短くなってしまいます。ただ、ブリッジにも、「保険が効く」「インプラントに次いで強く噛める」といった短期的なメリットはあります。

患者さんが何を求めるかによって、適切な治療は変わってきそうですね。インプラントの審美的な魅力について教えてください

インプラントでは、自然な白さを持つ人工歯「セラミック」を使用します。また、部分入れ歯の金属のバネのような、いわゆる“見た目を損なう異物”は、外からまったく見えません。大きく口を開けるときも安心です。

保険の入れ歯やブリッジでも、白いレジンの人工歯を使用することがあると思います。同じ白い人工歯ですが、セラミックとレジンではやはり違いが出ますか?

天然歯をよく観察すると、透明感や艶、グラデーションがあるのがわかります。レジンの白さはどちらかというとのっぺりしており、「本物の歯じゃないな」と見分けがつきます。セラミックの人工歯では、透明感・艶・グラデーションのいずれの点においても、天然歯と変わらないレベルで再現できます。

インプラントを埋入する手術の際の痛みは、どれくらいのものでしょうか?

局所麻酔をかけますので、基本的に痛みはほとんどありません。また、点滴で鎮静剤を投与する静脈内鎮静法に対応する歯科医院も増えてきました。ウトウトとうたた寝をするような状態になり、恐怖心や痛みをより感じにくくなります。当院では、8~9割くらいの方が、静脈内鎮静法をご希望されます。

安心して受けられる治療のひとつになったインプラント

痛み、恐怖心が心配な方も安心ですね。笑気麻酔にも対応されていると伺いました

はい。笑気麻酔では、笑気という甘い香りのするガスを鼻から吸います。静脈内鎮静法と異なり鎮痛効果を持ちますが、鎮静効果はそれほど高くありません。「どうせやるなら」と考えると、静脈内鎮静法を選択されることが多くなります。

歯科医院ごとの治療の質を知ることで、高いか安いかが変わってくる

歯科医院ごとの治療の質を知ることで、高いか安いかが変わってくる

治療を検討する中で、気になるのが費用だと思います。決して安くないインプラントの値段について、どのようなお考えをお持ちでしょうか?

保険の入れ歯・ブリッジと金額だけを比べれば、自費となるインプラントは確かに「高い」です。ただ、何にでも言えることですが、本当に価値のあるものであれば、「適正価格」あるいは「安い」と感じるはずです。治療を比較する際には、費用対効果に注目することが大切です。

インプラントの費用対効果を考える場合は、機能的・審美的な面を見ればよいでしょうか?

より正確にいうと、その機能的・審美的な強みが長期にわたって持続するということです。入れ歯やブリッジは、一般に数年でつくり替えが必要になります。これは、患者さんが意外と見落としがちなポイントだと思います。

確かに、長く使用できればそれだけ“お得”になりますね。インプラントの耐用年数は、どれくらいですか?

平均10~15年といわれていますが、20年、30年以上使用されている方もいます。毎日の歯磨きを丁寧にすること、定期的なメンテナンスに通うこと、確かな技術と知識のある歯科医師の治療を受けることが、長持ちさせる上で特に大切になります。

ただ、自費診療であるインプラントは、クリニックによって価格が大きく異なります。なぜ、この差が出るのでしょうか?

さまざまな理由があるかと思いますが、特に使用しているインプラントの種類、設備面のレベルなどが価格の差に反映されていると考えられます。高いほどよくて安いほど悪いとは言い切れませんが、安すぎる場合には、少し慎重になった方がいいかもしれません。

インプラントの種類によっても値段は変わってくるんですね。貴院では、どのメーカーのインプラントを使用していますか?

当院では、高い成功率・生存率を世界的に評価されているストローマン社のインプラントを採用しています。大手メーカーのインプラントを使用する利点には、その実績と信頼性に加えて、将来的に不具合が発生したときにもパーツを供給しやすいということが挙げられます。メーカーが倒産してしまうと、パーツの供給が困難になります。

治療の安全性を高めるため、長く使うためには、インプラントの種類も重要なんですね。その他、長く快適にインプラントを使用するために大切なことはありますか?

噛み合わせを考慮して埋入の位置を決め、人工歯を設計することが大切です。インプラントに余計な負担がかかるということは、顎の骨にも同じように負担がかかります。歯ぎしりのある方には、夜間だけ使用するマウスピース(ナイトガード)の使用をおすすめします。

インプラント治療後は、メンテナンスが必須と聞きました。どれくらいの頻度で通院し、どのようなことを行うのでしょうか?

むし歯や歯周病のチェック、インプラント脱落の最大の原因となるインプラント周囲炎を防ぐためのクリーニング、歯磨き状況の確認・指導などを行います。頻度はお口の状態によって変わりますが、当院であれば3~6カ月に1回が目安となります。

メンテナンスに通うことが難しい場合には、インプラント治療は受けられませんか?

短期間で脱落してしまう可能性があるので、メンテナンスに通えない場合、インプラントはおすすめしません。
ただ、むし歯や歯周病の予防・早期発見のために通う歯科検診と同じようなものなので、定期的に通う意志があり、指導された歯磨きを実践する気持ちがあれば、過度に不安になる必要はありません。

設備面については、歯科医院によってどのような違いがありますか?

顎の骨の厚み、神経・血管の位置を正確に把握できる歯科用CTは、外科処置を伴うインプラントにおいて必須だと私は考えます。また、当院では生体モニターを導入しており、手術中の心拍数・体温・血圧・酸素飽和度・心電図を常に測定・記録しています。万が一の体調の異常にすぐに気づき、対応ができます。

歯科医院ごとの治療の質を知ることで、高いか安いかが変わってくる

口腔外科の知識・技術が生かされることで、より安全・確実な治療へ

口腔外科の知識・技術が生かされることで、より安全・確実な治療へ

先生は長く口腔外科の道を歩まれてきたわけですが、口腔外科を専門とする歯科医師のインプラント治療を受けるメリットは、具体的にどのようなところにありますか?

ほかの口腔外科の先生にもいえることだと思いますが、感染予防に対する意識は総じて高いと感じます。清潔・不潔を明確にするドレープの使用、抗生剤の投与などにおいて、より基準の高い予防がなされていると思います。もちろん、各先生によって考え方には違いがあり、一概には言い切れませんが。

インプラントの手術自体におけるメリットについてはいかがでしょうか?

やはり、対応力という点でしょうか。顎の骨の量が不足している場合にも、骨造成という処置で骨の量を補うことでインプラントの埋入が可能になったり、より長期の安定性をもたらしたりといったことが期待できます。口腔外科の歯科医師は、インプラントを埋入する以外の外科的な処置も数多くこなしています。

骨造成が必要になるのは、具体的にどのようなケースでしょうか?

抜歯直後であったり、逆に歯を失ったまま何年も経ってしまったり、歯周病が進んでいたりといったことで、顎の骨が不足しているケースです。
ただ、骨造成が必要になる割合は、全体の1割未満に留まります。多くの方が、骨造成なしでインプラント治療を受けられます。

骨造成を行ってもインプラント治療が受けられないという場合には、どうなりますか?

保険、またご希望に応じて自費の入れ歯・ブリッジをご案内します。当院では、金属のバネのないノンクラスプデンチャー、小型のインプラント入れ歯を支えるオーバーデンチャーも用意しています。インプラント入れ歯・ブリッジのどれにするか迷っているという方も、お気軽にご相談ください。

口腔外科の知識・技術が生かされることで、より安全・確実な治療へ

貴院のインプラント治療の料金について、教えてください

検査・診断料、手術費用、インプラント・上部構造(人工歯)代などを含め1本につき税込44万円です。骨造成については、サイナスリフトが税込16万5,000円、ソケットリフトGBR法がそれぞれ税込5万5,000円となります。
また、小規模な骨造成は税込2万2,000円で対応いたします。
治療期間は6ヶ月~1年程度で、通院回数は5~10回程度です。

最後に、読者の方にメッセージをお願いします

近年は、医療の進歩によってインプラントの安全性は飛躍的に高くなっています。適応の範囲も拡大し、以前であれば難しかった症例でも、高い安全性を確保しながら、インプラントが受けられるようになっています。
インプラントは決して“バラ色の治療”ではありませんが、まずはその機能性・審美性のすばらしさを知っていただきたいですね。入れ歯・ブリッジと比較しながら、ご満足いただける治療法を選んでいただければと思います。

編集部まとめ

インプラントには、「噛める」「見た目がきれい」といった価値に加え、その状態が“長く維持される”という価値があることに気づけた取材となりました。痛みや恐怖心に対する静脈内鎮静法、安全性を高めるための歯科用CTや生体モニターなどの要素も、インプラントのデメリットを軽減・解消してくれそうです。
「高い」「痛い」といったイメージだけでインプラントを選択肢から外すのではなく、まずは相談してみて、正しい理解を得ること、その歯科医院の治療の内容を知ることが大切になると感じました。

医療法人社団Nデンタルクリニック

医院名

医療法人社団Nデンタルクリニック

診療内容

インプラント 審美治療 歯周病治療 など

所在地

石川県金沢市直江南1丁目31番1

アクセス

北陸鉄道浅野川線「三口」駅より車で4分