「流行り」ではなく「確実なゴール」へ。オーダーメイドのワイヤー矯正で理想の顔貌と機能を追求する【福岡市中央区 せのお矯正歯科】


歯科矯正治療が一般化を見せ、手軽さを謳う装置が広く普及する現代において、あえてその時流に迎合せず、伝統的かつ高度な技術を要する「ワイヤー矯正」のみに特化して日々の診療に向き合う歯科医院。それが、せのお矯正歯科です。この歯科医院の院長である妹尾葉子先生は、既製品のワイヤーに頼るのではなく、患者さん一人ひとりの歯牙の形態や顎骨のバランスに合わせて0コンマ数ミリの単位でワイヤーを屈曲させる「スタンダードエッジワイズ法」という、いわばオーダーメイドとも呼べる技術を駆使して、数多くの複雑な症例をゴールへと導いてきた歯科医師です。近年、SNS等を通じて過剰な情報に触れ、自身の顔貌(Eラインや人中など)の変化に対して強い不安を抱いて来院する患者さんが増加傾向にある中、初診のカウンセリングに約1時間という長さを設け、決して理想論だけを語らない徹底した対話を重んじられているそうです。「矯正治療は悪いところを回復させるのではなく、新しい形を創る医療である」という哲学と、患者さん自身の人生に長期的な責任を負うという深い覚悟。今回は、機能美と審美性を両立させる職人としての矜持と、対話を重んじる温かな眼差しを併せ持つ妹尾院長に、矯正治療の本質と真髄についてじっくりとお話を伺いました。
妹尾 葉子(せのお ようこ)
せのお矯正歯科 院長
自身も幼少期と大学時代に矯正治療を受けた実体験を持ち、歯科医療の道を志す。大学での研修時代に、矯正歯科の分野で「職人肌」の恩師と運命的な出会いを果たし、矯正医としての誇りと技術の基礎を培う。その後、「Yogosawa Foundation(与五沢研究会)」に参加し、高度な技術を要する「スタンダードエッジワイズ法」と巡り合う。手軽な治療法がブームとなる現代においても「自分が責任を負える矯正治療」としてワイヤー矯正一択を貫き、対話を通じて不安を払拭する力と、一貫して質の高い治療を提供するため、研鑽と緻密な処置を継続している歯科医師。
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マウスピース全盛の時代に、あえて「ワイヤー矯正」のみを貫く理由
近年は手軽なマウスピース型矯正がブームとなり、患者さんからの要望も多いと推測されます。しかし、あえてワイヤー矯正のみに特化されています。その理由を教えてください。
最も大きな理由は「確実性」に尽きます。マウスピース型矯正装置は手軽で目立ちにくい利点がありますが、歯を動かす力学的な観点から見ると、どうしても適応できる症例を選んでしまうという側面があると考えているからです。一方、ワイヤー矯正であれば、適切に技術を駆使することで対応できない症例はほぼありません。私は矯正医として長い人生を送るうえで、患者さんのお口の健康にできる限りの責任を持ちたいと考えているからです。


ニーズを満たすことよりも、確実な結果を優先されているのですね。
ええ。扱っているのは生身の身体であり、患者さんが一生付き合っていく大切な臓器の一部です。流行りだから、手軽だからという理由で治療法を選択し、結果的に望むような咬み合わせにならなかった場合、患者さんが抱える精神的・肉体的なダメージは計り知れません。「目立たないものがいい」というお気持ちもよく理解できますが、それ以上に「治る、そして良好で長期の安定」という結果を提供することこそが、矯正医としての最大の責任だと思うのです。だからこそ、自分の目で見て、自分の手で調整し、責任を負うことができるワイヤー矯正にこだわっています。
フルオーダーメイドの職人技「スタンダードエッジワイズ法」

ワイヤー矯正には、一人ひとりの患者さんに合わせてワイヤーを曲げる「スタンダードエッジワイズ法」に対して既成のワイヤーを使用する「ストレートワイヤー法」があり、多くの矯正歯科では「ストレートワイヤー法」が用いられていると伺いました。しかし、先生は「スタンダードエッジワイズ法」を採用されています。この2つの違いを教えていただけますか?
車の運転に例えると分かりやすいかもしれません。ストレートワイヤー法が「オートマチック(AT)車」だとすれば、私が採用しているスタンダードエッジワイズ法は「マニュアル(MT)車」のようなものです。ストレート法は、歯に接着するブラケット(四角い溝)に最初から傾きが組み込まれているため、そこに既製品の真っ直ぐなワイヤーを通せば、ある程度「平均的な歯並び」へと自動的に近づいていきます。非常に効率的ではあるのですが、人間の歯の形や顎の骨格は百人百様ですから、平均点にしかならないケースも出てくるのです。
では、マニュアル車である「スタンダード法」はどのようなアプローチなのでしょうか?
スタンダード法で使用するブラケットの溝は、傾きのないフラットな90度です。そこに通すワイヤーを、患者さん一人ひとりの歯の形、根の向き、顎の骨のアーチに合わせて、私自身の手でコンマミリ単位で三次元的に曲げていきます。歯に特定の傾きや動きを与えたい場合、ワイヤーの曲げ方を調整することで、1本1本の歯に対して全く違うオーダーメイドの動きをつけることができるのです。平均点を狙うのではなく、その患者さんにとっての「100点」を目指せるのが最大のメリットですね。ただ、細部にこだわるあまり、患者さんの負担を増やしてしまっては本末転倒ですから、独りよがりなエゴにならないよう常に全体を見渡すよう心がけています。

SNS時代の不安を紐解く、1時間超の徹底したカウンセリング

最近はSNSで事前に知識を得てから来院され、「矯正をすると人中(鼻の下)が伸びるのでは」「横顔のEラインがどうなるか不安だ」といった見た目の変化に対する悩みを抱える方も多いと伺いました。
おっしゃる通りです。スマートフォンで膨大な情報を集めてからいらっしゃる方はかなり増えています。ただ、初診の最初から「人中が…」と直接おっしゃる方は意外と少なく、お話を伺う中で「あ、この方はSNSのあの情報を気にして不安になっているんだな」と、経験から察することが多いですね。そうした見た目への懸念に対しては、口元という「一部分」だけを切り取って考えるのではなく、お顔全体のバランスや、治療前後の変化の見通しを包括的にご説明しながら不安を紐解くようにしています。
特に、治療後の安定は良好な機能の獲得からもたらされる部分が大きいため、見た目の美しさだけでなく、しっかり咬める咬み合わせも含めた『審美と機能の両立』を常に心掛けています。
事前のカウンセリングに「約1時間」もの時間をかけられているそうですが、そこまで対話を重んじる理由は何でしょうか?
長い時は1時間半ほどかかることもあります。なぜそこまで時間をかけるかというと、矯正治療は、患者さんご自身の協力も必要だからこそ、治療の途中で「こんなはずじゃなかった」というズレを防ぐためです。治療がうまくいくかどうかは、十分なコミュニケーションが取れているかどうかに直結します。私と患者さんが同じ目標に向かって歩調を合わせることが不可欠なんです。
理想だけでなく、現実的なお話もされるのですね。
はい。最も重要なのは、「できること」と「できないこと」を明確にお伝えすることです。骨格的な限界を超えて、身体にとって不自然な動きをするような無理な治療を行うと、必ず後戻りしたり、歯ぐきが下がってしまったりと悪影響が出ます。点ではなく、機能として維持できる「幅」や「ライン」があるので、そこを逸脱しない安全な治療計画を、時間をかけて共有しています。

矯正は「回復させる」のではなく「新しく創る」医療

先生は「矯正治療とは、悪いところを回復させるのではなく、歯並びや咬み合わせを新しく作る治療だ」とお考えだと伺いました。この言葉に込められた意味について詳しくお聞かせいただけますか?
普通の医療、例えば一般歯科のむし歯治療というのは、もともと「健康だった状態(ゼロ)」が悪くなって「マイナス」に落ちてしまったものを、できる限り元のゼロに回復させる行為ですよね。しかし矯正治療は全く違います。出っ歯や受け口といった、その人が生まれ持った本来の形を、術者である私たちが設計図を引き、新しい状態へと作り変えるのです。
つまり、担当する歯科医師によってゴールが変わるということですか?
その通りです。術者の考え方や技術によって、仕上がるゴールが全く異なってきます。だからこそ、将来の機能や口元の形を総合的に考えて、新しい健康を「創る」という責任重大なプロセスなんです。抜歯をするかしないかという議論がよくありますが「抜く」と「抜かない」は対義語ではありません。新しい理想の形を創るための手段としてどちらが適切か、というだけのことです。患者さんには「いくつか他の医院を回ってみてもいいよ」とお伝えしています。ご自身が心から納得でき、相性が良いと感じる場所を選んでいただきたいからです。
「昔、別の医院で矯正したけれど後戻りしてしまった」という“やり直し”の相談で来院される方もいらっしゃると思います。再治療のケースではどのような点に注意されていますか?
過去の治療を途中でやめてしまった方や、満足いく結果が得られずにやり直しを希望される方は、歯並びに対してさらに深いコンプレックスやトラウマを抱えていることが多いです。小さい頃からずっと悩んできた、という方も少なくありません。ですから、まずはそういった心の重荷や不満を丁寧にお聞きして、精神的な負担を軽くしてあげることを第一に考えています。技術的なリカバリーはもちろんですが、もう一度歯科医療を信じていただくための対話が何より重要ですね。

恩師との出会いと、未来の患者さんへのメッセージ

ワイヤー矯正の確実性は理解できても、やはり「装置が目立つのが嫌だ」「痛そう」と懸念される患者さんも少なくないと思います。心理的ハードルを下げる工夫はされていますか?
私自身が子どもの頃に矯正治療を受けていたので、装置の違和感や「目立つのが恥ずかしい」という気持ちは痛いほどよく分かります。完全に白いワイヤーというのは扱っていないのですが、光を反射しにくい目立ちにくい色の装置などはしっかりとご用意しています。まずは患者さんのご希望をしっかりと受け止めることが第一歩です。その上で、良いことも悪いことも包み隠さずお話しし、その人に合った治療を提供しています。

ご自身の患者さんとしての体験が、今の治療方針に繋がっているのでしょうか。
そうですね。自分が患者だったからこそ矯正が身近にあり、歯科医療の道に進みました。その後、大学の研修時代に私の人生を変える恩師との巡り合わせがありました。子どもが好きだったので小児や矯正の分野に進んだのですが、そこでお世話になった先生が、まさに絵に描いたような「職人気質」の方で。ご自身の仕事が大好きで、矯正医であることに絶対の誇りを持っていらっしゃいました。その後、「与五沢研究会」に連れて行っていただき、そこでスタンダードエッジワイズ法という奥深い世界に、さらに深く触れることができました。もともとスタンダードエッジワイズに取り組んでいましたが、「与五沢研究会」でその理解を一層深め、高度な世界を知ることができたのです。「これしかできない」と思えるほど仕事に没頭できるのは、その恩師のおかげですね。
編集部まとめ
マウスピース型矯正という手軽な選択肢が溢れる現代において「自分が責任を負える矯正治療」としてあえてワイヤー矯正一択を貫く、せのお矯正歯科。今回の取材を通じて最も深く心に刻まれたのは、妹尾院長が放つ「矯正は回復させるのではなく、新しく創る医療である」という言葉の重みでした。既製品に頼らず、患者さんの骨格や歯の形態に合わせて自らの手でワイヤーを曲げるスタンダードエッジワイズ法は、効率の追求ではなく、目の前の患者さんに最善を尽くすための、精密な手技と情熱そのものと言えるでしょう。SNSによる情報過多で患者さんが不必要な不安を抱えやすい状況下において、1時間以上もの時間をかけて「できることと、できないこと」を明確に伝え、骨格的な限界を逸脱しない安全なゴールを共有する姿勢は、矯正歯科医としての、真摯な診療姿勢の表れといえます。過去の治療によるコンプレックスを抱える大人から、これから成長していく子どもまで。ご自身の歯並びや咬み合わせに不安を感じ、確実で妥協のない治療を求めている方は、高度な技術と温かな対話が交差するせのお矯正歯科へ、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。




