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痛くない・怖くないを目指して。 子どもが笑顔で通える歯医者の必要条件とは?【大阪府豊中市 藤田歯科医院】

 公開日:2026/03/02

痛くない・怖くないを目指して。
子どもが笑顔で通える歯医者の必要条件とは?
痛くない・怖くないを目指して。
子どもが笑顔で通える歯医者の必要条件とは?

小さな子どものいる家庭では、親御さん自身の受診が後回しになりがちだ。さらに、「子どもは何歳から通えるのかわからない」「歯医者が怖くて嫌がる」といった不安から、“歯医者迷子”になるケースも少なくない。そうしたなか、大阪府豊中市の「藤田歯科医院」では親子で通いやすい院内環境を整え、画像を用いたわかりやすい説明と家庭で続けられるセルフケア指導を軸に、小児期からの予防をサポートしている。今回は同院の藤田院長に、小児歯科診療の考え方から、口腔機能(嚥下・構音)への取り組みまで話を伺った。

Doctor’s Profile
藤田 義典(ふじた よしのり)医師
藤田歯科医院 院長

1998年大阪大学歯学部歯学科卒業、同大学大学院歯学研究科進学。同大学附属病院では顎口腔機能治療部に入局し、構音、嚥下などの顎口腔機能に関する治療を中心に経験を積む。2002年大阪大学大学院歯学研究科修了。その後、勤務医を経て2010年、豊中市にて藤田歯科医院開院。自身が「歯科が苦手だった」経験を原点に、歯科に抵抗のある人が通いやすい医院づくりをめざす。口腔機能(噛む・話す・飲み込む)に関する分野にも注力し、嚥下や構音に関する相談に対応している。

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親子で通える心地よさが、健やかな口内環境を育む

子どもが小さく手が離せないため、なかなか歯医者に行けないという親御さんは多いのではないでしょうか?貴院ではどんな工夫をされていますか?

当院では、親御さんが受診される間にお子さんが待ち時間を過ごしやすいよう、院内環境を整えています。一人で遊べる年齢のお子さんにはキッズスペースを用意し、まだ小さなお子さんの場合は診療スペースを広めに確保しているので、保護者の目が届く範囲で一緒に過ごしていただきながら診療を進めています。

親子で通える心地よさが、健やかな口内環境を育む

貴院に来られるお子さんの年齢層を教えてください。また、最近の子どものお口の中の傾向として、昔とは違った症状などはあるでしょうか?

受診されるお子さんの年齢層は幅広く、「歯が生えるのが早すぎないか心配」「健診で指摘された」などの理由で来院されます。全体の傾向としては昔よりも口の中がきれいで、親御さんの意識の高まりや歯みがき習慣の定着がうかがえます。
一方で、近年は歯ぎしりが増えているように感じます。そもそも筋肉の発達や噛み合わせの変化に対する生理的な歯ぎしりはあると考えられていますが、それ以上の頻度ではないかと感じることがあります。その原因は断定できませんが、日中の精神的・身体的ストレスが睡眠中に表れ、歯ぎしりにつながっている可能性があります。

親子で歯医者さんに通えれば子どもにとっても安心ですね。貴院では「母子分離治療」を行っているとのことですが、何歳くらいから可能ですか?

母子分離治療は「何歳から」と決めているのではなく、お子さんの様子で判断します。基本は、親御さんがそばにいるほうが落ち着くお子さんは同席してもらい、反対に、近くにいることで甘えが強くなり、診療台に座れないなどの状態が続く場合は、ご理解をいただいたうえで、母子分離を行います。
母子分離治療は、治療をスムーズに進めるための選択肢として備えています。

親子は食生活も同じようになるので口の中も共通点があるように思いますが、実際にそういう傾向はありますか?

食生活は親子で共通しやすく、お口の状態も日々の習慣で変わっていきます。当院では、お口の中を確認し、必要な処置とともに「ここを丁寧に磨きましょう」などの具体的なアドバイスを行っています。ケアの大部分はご家庭での日々の積み重ねによるものです。むし歯になりやすさは菌の量にも関係するため、夜は眠くても寝る前の歯みがきを続けることが重要です。

子どもは歯医者さんに対して、「痛い」「怖い」といったイメージを抱きがちだと思います。それに対してどのような対策を行っていますか?

当院では、お子さんが怖がっているときは無理に治療を進めず、「何が怖いのかな?」と気持ちに寄り添いながら、安心できる時間を通して少しずつ慣れてもらいます。治療は短時間で、痛みにも配慮し、終わったら「上手にできたね」と声をかけることで、歯医者によい印象を持ってもらえるよう工夫しています。

子どもの歯は乳歯から永久歯までいろいろな段階があります。一番注意しなければならないのはいつ頃の時期でしょうか?

どの時期も大事ですが、特に注意してほしいのは「永久歯が生えてくる瞬間」です。永久歯は生えたての頃がいちばんやわらかく、むし歯になりやすいからです。

乳歯は生え替わるので、少しくらいむし歯になっても大丈夫と考える親御さんもいるようです。乳歯の段階でむし歯になるとどんな悪影響がありますか?

「乳歯だから大丈夫」と油断するのは危険です。むし歯があるということは、口の中にむし歯菌が多い状態なんです。乳歯がむし歯だらけになると、たとえ抜けたあとでも菌の多い環境が残りやすく、永久歯に生え替わってもむし歯リスクが高いままになってしまいます。だからこそ、乳歯のうちから口内環境を整えておくことがとても大切です。

乳歯の役割や重要性について教えてください

当院では、歯を「口の機能を果たすための道具」と考えています。噛む力は、歯だけでなく、筋肉や顎の関節などがそろってはじめて成り立つからです。
乳歯はいずれ生え替わりますが、「噛む」「話す」「飲み込む」といった基本的な口の機能を育てる大切な時期でもあります。乳歯期の過ごし方は、次に生えてくる永久歯、さらには一生のお口の健康にも深く関わってきます。

親子で通える心地よさが、健やかな口内環境を育む

子どもの歯の病気について、むし歯や歯肉炎のほかには何がありますか?

むし歯や歯肉の炎症以外で多いのは、「歯並び」や「噛み合わせ」の悩みです。近年では、歯が1本多く生える「過剰歯」や、生まれつき歯が足りない「先天性欠損歯」なども、やや増加傾向にあると感じています。
原因はひとつに絞れませんが、環境要因が遺伝的な傾向の現れ方に影響を与えている可能性や、顎が小さいことで歯の数や大きさとのバランスが取りにくくなることが要因として考えられます。

定期的に歯科医院に通う習慣が、大きな安心に

定期的に歯科医院に通う習慣が、大きな安心に

小児歯科での貴院の診療の流れについてご説明をお願いします

来院後は、まず問診で状況を整理し、健診での指摘がある場合はその内容を確認します。そのうえで必要があれば治療を行い、併せてクリーニングやブラッシング指導を実施します。重要なのはご家庭でのケアを生活習慣として、無理なく継続できる形に整えることです。

院内にはどんな設備がありますか? キッズスペース完備とのことですが、そこには何を備えていますか?

キッズスペースは待合室の奥にあり、清潔感のある空間で、待ち時間もお子さんが退屈しないよう、知育玩具をご用意しています。
診療では、歯科用CT、マイクロスコープ口腔内カメラなどを用い、状態を画像で確認しながらわかりやすくご説明します。院内で模型などを作製できる3Dプリンターのほか、口腔外バキュームや医療用高圧洗浄機・高圧蒸気滅菌機による衛生管理体制も整えています。

子どもが歯医者さんに進んで定期的に通う習慣をつけるには、どのような働きかけが大切だと思われますか?

「歯科受診=痛い・怖い」という印象を固定させないことが重要です。痛みがない段階から定期的に受診し、落ち着いて診療を受けられる経験を重ねることで、定期健診は生活の一部として定着しやすくなります。

家で親が子どもの歯を見るとき、どのようにすればきちんとした手入れができるでしょうか?

親御さんの仕上げ磨きは、年齢が上がるほどお子さんの抵抗が出やすくなりますが、できる範囲で継続することが大切です。
幼少期は毎日の仕上げ磨きが理想ですし、永久歯が生えそろうまでの12歳くらいまでは、生えたての柔らかい永久歯があったり歯並びに凹凸がある状態なので点検磨きでもよいので続けるのが推奨されます。小学校高学年になると本人の歯みがきスキルも上達するのでつい放任になりがちですが、2~3日に1回でもよいので続けていただきたいと思います。デンタルフロスも、可能であれば取り入れると効果的です。

食べ物に関して、子どもは特にお菓子を欲しがります。食べた後、どのような手入れをすればよいでしょうか?

基本は「食後に磨く」ことです。外出先で難しい場合は、帰宅後すぐ磨く習慣をつけましょう。食後はむし歯菌が活動しやすい状態になるので、「だらだら食べ」「だらだら飲み」を避けること。お菓子を完全に禁止するのではなく、時間帯や回数を決めてお口の中を休ませる時間をつくるのが大切です。

お子さんの歯を守るために、親御さんに対して先生はどういうアドバイスをされていますか?

基本の柱は3つです。第一に、「だらだら食べ」を避けること。第二に、仕上げ磨きを2~3日に1回でもよいので継続すること。第三に、必要に応じてフッ素など予防の考え方も取り入れることです。
フッ素については親御さんと考え方が分かれることもあるため、説明したうえでご意向を伺い、無理にすすめることはしません。重要なのは、むし歯菌が活動しにくい環境をつくり、ご家庭で続けられる形で予防を積み重ねることです。

定期的に歯科医院に通う習慣が、大きな安心に

むし歯から嚥下・構音まで、口腔機能をトータルケア

むし歯から嚥下・構音まで、口腔機能をトータルケア

ところで、貴院では嚥下(えんげ)障害の治療を行っていらっしゃいます。嚥下障害とはどのような状態を指しているのでしょうか?

嚥下障害とは、飲み込み(嚥下)の機能が十分に働かない状態を指します。飲み込みがうまくいかないと、むせや誤嚥につながり、食事そのものが負担になります。小児でも、「給食がうまく食べられない」「飲み込むことが怖い」といった形で問題が表れることがあります。

なぜ嚥下障害が引き起こされるのでしょうか?原因にはどんなことがありますか?

原因はさまざまです。心理的な不安で食べられなくなる場合もあれば、永久歯への生え替わりで噛みにくくなり、「詰まりそう」と感じることもあります。
噛むリズムや噛み方の変化が影響するケースもあるため、当院では必要に応じて嚥下(造影)検査(VF)で飲み込みの動きを評価します。

貴院ではスピーチエイドという装置を用いているそうですね

スピーチエイドは、もともと口唇口蓋裂(*)術後の鼻咽腔閉鎖不全などによる「開鼻声」を改善するための発音補助装置です。形は入れ歯やマウスピースに少し似ています。オーダーメイドで製作され、軟口蓋を持ち上げて呼気の漏れを防ぎ、鼻咽腔閉鎖を補助して構音時の負担を軽減します。必要に応じて言語聴覚士と連携しながら、開鼻声を呈する方に使用します。
(*)生まれつき唇が割れた口唇裂(こうしんれつ)や、口蓋が裂けて口腔と鼻腔がつながっている口蓋裂(こうがいれつ)と呼びます。上顎の歯茎が裂けている場合は顎裂(がくれつ)といいます。そういった状態の総称

むし歯から嚥下・構音まで、口腔機能をトータルケア

嚥下障害治療ができる歯科医院は非常に稀なのではないかと思います。こうした治療に対応するに至ったきっかけや理由などがあれば教えてください

大学院でスピーチエイドを含む口腔機能の領域と向きあって臨床経験を重ねてきた背景があります。そのため、嚥下や構音など口腔機能に関する困りごとを抱える方が来院された際に、歯科医として対応できる体制を整えておきたいと考えてきました。言語聴覚士の領域と重なる部分は、必要に応じて連携や紹介を行いながら、歯科として担うべき範囲を適切に提供する方針です。

最後に、Medical DOCのサイトを訪れた読者(親御さん)へのメッセージをお願いします

お子さんの受診は、痛みが出てからではなく、痛みが出る前から始めることが重要です。これは成人も同様です。歯科医院に「痛い」「怖い」という印象を持っている人もいますが、治療の考え方や方法は変化しています。小さいうちから定期的に通い、歯科医院を「痛みの場」ではなく「口の健康を守る場」にしていくことが、長期的な予防につながります。まずは気軽にご相談ください。

編集部まとめ

「子どもと通える歯科医院が見つからない」「何歳から受診すればよいかわからない」と悩む保護者にとって、藤田歯科医院は心強い存在です。予防を軸に、成長に伴うお口の変化にも丁寧に寄り添い、先生のやさしい対応が安心感につながっています。スピーチエイドなど、専門的なサポートにも対応しており、ご家庭で無理なく続けられるケアのポイントも的確に伝えてくれます。取材を通じ、親子で通える“かかりつけ歯科”として信頼できる体制が整っていると感じられました。

藤田歯科医院

医院名

藤田歯科医院

診療内容

小児歯科 予防治療 むし歯治療 など

所在地

大阪府豊中市寺内2丁目3-15
リアライズ緑地北104

アクセス

北大阪急行線「緑地公園」駅より徒歩3分

この記事の監修歯科医師