定期的な口腔検査と新しい機器によるケアで、歯と全身の健康を保つ【大阪府藤井寺市 ヒロデンタルクリニック】


歯の痛みや腫れなどのトラブルを未然に防ぎ、将来の治療費も抑えられるということで、予防治療のあり方が注目を集めている。大阪府藤井寺市の「ヒロデンタルクリニック」は、定期検診を軸に予防治療を強く推進している歯科クリニックのひとつ。歯科用CTや水圧式クリーニング機器にプラークチャートなどを組み合わせた「見える予防」と、きめ細かなセルフケアの指導で、一人ひとりの歯と全身の健康維持を支えている。今回は同クリニックの保富貴裕院長に、予防治療への考え方やメンテナンスの流れ、毎日のケアのポイントについて話を伺った。
保富 貴裕(ほとみ たかひろ)
ヒロデンタルクリニック 院長
2016年 朝日大学歯学部卒業。同大学での研修を経て、2017年に大阪市立大学附属病院歯科口腔外科に入局。親知らずの抜歯や顎関節症、外科処置などを中心に経験を積む。その後、大阪府内の歯科医院勤務を経て、2021年ヒロデンタルクリニック開院。口腔外科で培った知見を生かし、「噛める」「長く保てる」ことを重視した予防・治療に取り組んでいる。
CIA中部インプラントアカデミー、P.G.I咬合・顎関節研修会所属、日本口腔インプラント学会会員などに所属。
治療より予防を。定期検診で一生自分の歯で噛むことをめざす
予防治療の重要性が認識されるようになってきましたが、その目的で歯医者さんに行く人はまだ多くないようです。この状況を先生はどのように思われますか?
歯科医院は「痛くなったら行く場所」というイメージがありますが、小さなむし歯であれば麻酔も不要な短時間の処置で済むことがほとんどです。痛みが出るまで放置してしまうと、大きく削る・神経を取る・抜歯するといった治療が必要になり、負担は一気に高くなります。顎の痛みや口内炎だと思って受診した方が、精査の結果、まったく別の病気だったケースもあり、歯科は早期発見を支える大切な役割を担っています。予防治療の重要性を、もっと多くの人に認識してもらいたいと思いますね。

年齢によって、歯の健康維持に対する意識の違いなどはありますか?
年齢そのものより、その人の考え方や習慣の影響のほうが大きいと感じています。70~80歳でも28本すべて自分の歯を保つ方がいる一方で、若くても歯にトラブルが多い方もいます。違いは、若い頃から定期的にメンテナンスに通っているかどうかです。
「痛くなったら行けばいい」と考えていると、悪化してから大きな治療が必要になってしまいます。何歳からでも意識を改め、予防を始めるのに遅すぎることはありません。
日頃の手入れの方法について教えてくれる歯医者さんは意外に少ないように思いますが、先生はどうお考えですか?
正しいケアの方法を歯科医院で学ぶことは、むしろ予防の要だと考えています。歯科医がそれを教えてくれないと患者さんが感じているとすれば、歯科医は反省しなければいけませんね。
当クリニックではクリーニング前に染色液でプラークを染め出し、口腔内写真とプラークチャートで磨き残しの部位を確認します。同じ場所に色が残りやすい方には、その部分を意識して磨けるよう、歯ブラシの当て方や動かし方、歯間ブラシ・フロスの使い方まで、癖に合わせて具体的に指導しています。わからないことがあれば、どんどん聞いていただければと思います。

諸外国の予防治療の事情など、ご存知でしたら教えてください
フィンランドやスウェーデンなど北欧では、子どもの頃から予防通院が習慣化し、国全体の歯の健康レベルも高いといわれます。海外には自費で予防クリーニングに通う国も多く、水圧とパウダーで汚れを落とす機器も一般的です。
日本は保険診療中心で予防文化は途上ですが、当クリニックではこうした機器を保険内で活用し、「治療より予防」という考え方を広めていきたいと考えています。
充実した設備と丁寧な処置で、痛みに配慮した予防診療を提供

予防治療における貴クリニックの診療の流れを教えてください。初診時にはどのようなチェックを行いますか?
まず、パノラマレントゲンでお口全体を確認します。当クリニックでは歯科用CTを備えているので、骨や神経の位置も把握することもできます。
続いて染色液でプラークを染め出し、口腔内写真とプラークチャートで磨き残しを説明します。歯周検査で歯ぐきの状態も確認します。
歯の清掃はどのようなことを行うのですか?
基本は、歯石やプラークを取るスケーリングと、歯面をなめらかに整えるクリーニングです。あらかじめ染め出しで汚れやすい部分を確認してから処置を行い、「どこを重点的に磨くべきか」をお伝えします。
水圧と微細なパウダーを使うEMSも併用し、歯や歯ぐきへの負担を抑えながら、着色やバイオフィルムの除去に役立てています。
検診でも歯石の除去には痛みが伴うイメージがあります。それに対して貴クリニックでは何か対策をされていますか?
「歯石取り=痛い」というイメージを少しでも変えたいと考え、当クリニックでは水圧で汚れを飛ばすクリーニング機器(EMS)を導入しています。これは水流に細かなパウダーを混ぜて歯面を洗浄する仕組みで、金属の器具だけでカリカリ削る場合と比べて、歯や歯ぐきへの刺激を抑えられるのが特徴です。
当クリニックではこの機械を活用し、「痛くて行きたくない」から「思ったより楽だった」に変えていけるように心がけています。
歯石をそのままにしておくとどんな不都合がありますか?
歯石を放置すると、その周囲で炎症が起こり、歯を支える歯根膜や顎の骨が少しずつ溶けていきます。土台となる骨が失われると歯はぐらつき、最終的には自然に抜け落ちてしまうこともあります。
「歯石は取らなくてもいい」という説も耳にしますが、これは明らかに誤りで、歯周病を進行させないためにも定期的な歯石除去は欠かせません。
悪化した歯の治療過程では、削ったりあるいは抜歯したりということもあるかと思います。それについて先生はどのようにお考えですか?
歯周病が進行して顎の骨が大きく失われてしまうと、その骨を再生させる治療は非常に難しく、外科手術をしても元どおりに戻るとは限りません。同じように、大きく進行したむし歯は、神経の処置や抜歯を避けられないこともあります。
もしすでに進行している場合でも、「どうせ抜かれるから」とあきらめるのではなく、「これ以上悪くさせない」「残せる歯は長く使う」という視点で、一緒に治療とケアに取り組んでいきたいと考えています。
貴クリニックの設備や院内の雰囲気について教えてください
パノラマ・デンタルレントゲンに加え、顎の骨や神経まで確認できる歯科用CTや口腔内スキャナー、水圧式クリーニング機器など、診断と予防に役立つ機器を整えています。
院内にはキッズスペースやゆったりとした待合スペースを設け、テレビやウォーターサーバー、雑誌をご用意し、リラックスしてお待ちいただける環境づくりを心がけています。

毎日のセルフケアと通うリズムで、歯を守る習慣をつくろう

お子さんの場合、何歳くらいから歯医者さんでの対応が可能でしょうか? また、子どもの診療で先生が大切にしていることや、親が気をつけておきたいことについてお聞かせください
基本的に0歳から受診可能で、歯が生える前でも舌や小帯(舌や唇の裏側にあるすじ)の状態を確認できます。
子どもの診療で最も大切なのは、コミュニケーションです。「ここ(歯医者)は怖くない」と感じてもらうことだと考えています。ご家庭では、小学生のうちは仕上げ磨きを続けること、ダラダラ食べやジュースの飲みっぱなしを避け、食事・おやつの時間を決めることを意識していただきたいと思います。
定期検診は、どのくらいの頻度で歯医者さんに通うのがよいですか?
一般的な目安としては、「3カ月ごと」がひとつの基準で、当クリニックでも年4回のメンテナンスを推奨しています。
ただし、お口の状態は人それぞれですので、汚れがつきやすく3カ月空けると状態が悪くなりそうな方には1~2カ月ごとのペースを提案することもあります。大切なのは、「忘れずに継続して通える間隔」を一緒に決めるということです。「どれくらいのペースがよいかわからない」という方には、診察のたびに次回の目安をこちらからご提案しています。
歯磨きをはじめとする毎日のセルフケアのポイントなどを教えてください
歯ブラシはただ動かすのではなく、歯と歯ぐきの境目にきちんと当てて、1本ずつ丁寧に磨くことが基本です。理想は毎食後に磨くことで、特に寝ている間は唾液の分泌が減り、むし歯や歯周病が進行しやすくなるため、寝る前は時間をかけてしっかり磨くことが大切です。
また、歯と歯の間は歯ブラシだけでは不十分なので、歯間ブラシやフロスの併用をおすすめしています。
貴クリニックでの費用全般について教えてください
予防治療に関しては、当クリニックでは基本的に保険診療の範囲内で行っており、特別な自費の予防メニューは設けていません。費用の差を強調するよりも、まずは保険内でできるケアをきちんと継続していくことが大切です。
具体的な金額については、処置内容によって変わりますので、来院時に保険証の負担割合と合わせてご確認いただく形をとっています。

予防治療において先生が一番重視していることは何でしょうか?
一番重視しているのは、患者さんご自身による丁寧なセルフケアです。食後はできるだけ毎回磨くこと、特に寝る前の歯磨きを徹底すること、そして歯間ブラシやフロスも取り入れていただくことを大切にしています。
そのうえで、歯科医院での定期的なスペシャルなケアを組み合わせ、「セルフケア」と「プロのメンテナンス」の二本立てで歯を守ることが予防治療の根幹だと考えています。
最後に、Medical DOCのサイトを訪れた読者へのメッセージをお願いします
今から予防を始めても、決して遅すぎることはありません。一生、自分の歯でおいしく食べられることは、健康で長く生きていくうえで大きな財産になります。費用や時間の面で歯科を後回しにしてしまう方も多いと思いますが、歯を大事にすることの価値は非常に大きいと感じています。
「痛くなってから」ではなく、ぜひ定期的なチェックを受ける一歩を踏み出していただければうれしく思います。
編集部まとめ
今回の取材を通じ、予防治療の重要性や検診の流れがよく理解できました。ヒロデンタルクリニックは、地域でも屈指のパノラマレントゲンや歯科用CT、EMS、光学印象スキャナーなど充実した設備を持ち、染色・口腔内写真・プラークチャートを組み合わせて「痛みが出る前に守る予防治療」を実践しています。また、年齢を問わずセルフケアと定期検診の両立を重視しながら、0歳から高齢の方まで一人ひとりに合った通院間隔を提案する保富院長の姿勢も印象的でした。

医院名
ヒロデンタルクリニック
診療内容
予防治療 一般歯科 歯周病治療 など
所在地
大阪府藤井寺市岡1-16-31
アクセス
近鉄南大阪線「藤井寺」駅より徒歩3分



