脳疾患の早期発見に不可欠なMRI・CT。「安心」のための即日検査と説明・処方【大阪府堺市 前田脳神経外科クリニック】


慢性的な頭痛・繰り返される頭痛は、日常生活のさまざまな場面で私たちを困らせる。頭痛の背景に、重い病気が隠れていることもあるという。それでも頭痛を理由に受診する人が多くないのは、「脳神経外科」のハードルの高さが影響しているのかもしれない。また、市販の鎮痛剤を飲んで対応している人も多いだろう。病院と比べると相談しやすいクリニックでどのような診療が行われているのか、重い病気が見つかった時にはその後どのような流れになるのか、市販薬を飲み続けることのリスクなどについて、堺市西区に位置し頭痛外来を開設する「前田脳神経外科クリニック」の前田一史院長に詳しい話を伺った。
前田 一史(まえだ・かずし)
前田脳神経外科クリニック 院長
2002年琉球大学医学部医学科卒業後、九州大学病院研修医。九州大学病院脳神経外科、蜂須賀病院脳神経外科、嬉野医療センター脳神経外科、中部徳洲会病院脳神経外科医長、脳神経センター大田記念病院脳神経外科などを経て、2015年より馬場記念病院脳神経外科にて医長・副部長兼救急部長・脳神経外科兼脳神経血管内治療部長を務める。2024年前田脳神経外科クリニック開院。日本脳神経外科学会 脳神経外科専門医、日本脳卒中学会 脳卒中専門医、日本脳神経血管内治療学会専門医・指導医。頭痛外来を開設し、頭痛の治療と脳疾患の早期発見に努める。
目次 -INDEX-
- 検査・検査結果説明・処方を原則1日で。気軽に相談できる場所に
- 先生はもともと大きな病院の脳神経外科にいらっしゃいました。クリニックを開院されて、来院される患者さんの層に変化はありましたか?
- うれしく思うというのは、病気を早期に発見できるからということでしょうか?
- 二次性頭痛の原因にはどんな病気がありますか?
- 「頭痛がすると思って受診したら、実は重い脳の病気だった」ということもあるのでしょうか?
- 一次性頭痛や二次性頭痛は、貴クリニックで鑑別・診断できますか?
- お子さんもいらっしゃるとのことですが、MRI・CT検査は可能なのでしょうか?
- MRI・CT検査、頚動脈エコー検査などは、すぐに受けられますか?
- それは安心な体制ですね。一般的な病院だと3回は通院が必要になりそうな内容です
- 「よくある頭痛」もライフスタイルに応じた治療の選択が大切
- 市販鎮痛剤の飲み過ぎは薬物乱用頭痛に至る危険も!
検査・検査結果説明・処方を原則1日で。気軽に相談できる場所に
先生はもともと大きな病院の脳神経外科にいらっしゃいました。クリニックを開院されて、来院される患者さんの層に変化はありましたか?
病院にいた頃と比べると、気軽にご相談してくださる患者さんやお子さんの割合が増えたように感じます。この変化は私が開院するにあたって目指していたことなので、うれしく思っています。

うれしく思うというのは、病気を早期に発見できるからということでしょうか?
はい。頭痛は脳卒中などの病気を原因として起こる「二次性頭痛」と、脳や身体に異常がないのに起こる慢性的な「一次性頭痛」に大きく分けられます。頭痛を訴えて受診される患者さんの大半が一次性頭痛ですが、早期発見という意味で特に重要となるのが二次性頭痛です。
二次性頭痛の原因にはどんな病気がありますか?
脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)、脳腫瘍、脳炎、髄膜炎、副鼻腔炎、高血圧などが挙げられます。一次性頭痛が「よくある頭痛」であるのに対して、二次性頭痛は「危険な頭痛」といえます。
「頭痛がすると思って受診したら、実は重い脳の病気だった」ということもあるのでしょうか?
脳の病気というと、いきなり倒れたり、身体が動かなくなったりといったイメージがあるかもしれませんが、頭痛・めまい・吐き気・しびれなどの比較的軽微な症状で当院を受診され、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血・慢性硬膜下血腫・脳腫瘍といった重大な脳疾患が見つかることがあります。
一次性頭痛や二次性頭痛は、貴クリニックで鑑別・診断できますか?
できます。新しいMRI・CTを院内に設置しておりますので、二次性頭痛の原因となる病気を早期発見したり、二次性頭痛の可能性を除外したうえで片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛の診断をしたりといったことが可能です。脳梗塞や心筋梗塞の原因となる動脈硬化の進行を調べる頚動脈エコー検査にも対応しています。
お子さんもいらっしゃるとのことですが、MRI・CT検査は可能なのでしょうか?
頭を打ったとき、あるいは二次性頭痛を除外するとき、必要に応じて実施します。おおよそ8歳くらいのお子さんであれば、問題なく受けていただけます。
MRI・CT検査、頚動脈エコー検査などは、すぐに受けられますか?
当院では、原則として初診の日に、診察に加え検査、検査結果説明、必要に応じたお薬の処方を行います。また、脳卒中などの重い病気が見つかった・入院や手術が必要になった場合には、速やかに提携病院をご紹介します。退院後・手術後の定期検査・薬の処方も、当院で受けていただけます。

それは安心な体制ですね。一般的な病院だと3回は通院が必要になりそうな内容です
私は「来たときよりも安心して帰ってもらう」ことを大切にしています。初診日に検査・検査結果説明・処方を行うのもそのためです。また、提携病院をご紹介する場合には、そこでどんな精査が行われるか、どのような治療の選択が考えられるのか、その時点でわかる範囲でご説明し、ほんの少しでもホッとしてもらえるように努めています。
「何もなくて安心する」のが一番ですが、次に大切なのが「病気が見つかっても前向きでいられる」ことだと思います。町のクリニックとして、そういったところまでお手伝いできる場所でありたいですね。
「よくある頭痛」もライフスタイルに応じた治療の選択が大切

脳や身体に異常がないのに起こる「一次性頭痛」とは、たとえば「片頭痛」などのことを指すのでしょうか?
一次性頭痛には、片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛があります。片頭痛はよく知られた一次性頭痛です。頭の左右片側あるいは両側に脈打つような痛みが見られ、発作的な吐き気を伴うこともあります。
「緊張型頭痛」とはどのような頭痛でしょうか?
これは主に身体的・精神的ストレスによって起き起こされます。数としては、片頭痛より多く見られます。近年は、パソコンやスマホの長時間使用が原因と思われるケースが増えています。
パソコンやスマホの長時間使用が、どのように緊張型頭痛を引き起こすのですか?
まずは姿勢です。長時間同じ姿勢でいることで、頭部から肩にかけての筋肉の緊張・血流低下が進み、疲労物質が溜まるなどして、後頭部または頭全体に締めつけるような鈍い痛み・圧迫感が生じます。小児の場合は、パソコンよりもスマホ・携帯ゲーム機が影響したと思われる割合が高くなります。
「群発頭痛」は最近メディアで取り上げられる機会が増えたように感じます
少数ですが、当院にも群発頭痛の患者さんがいらっしゃいます。数週間~数カ月にわたって、毎日のように耐え難い頭痛・目の奥の痛みが現れます。群発頭痛の原因は、片頭痛の原因と共に、未だはっきりしたことがわかっていません。
では、一次性頭痛の治療法について教えていただけますか?
片頭痛・緊張型頭痛については、まず鎮痛剤を処方します。効果が不十分である場合には、片頭痛に対してはエムガルディやアジョビなどのCGRP抗体関連薬(1~3カ月に1回の皮下注射)を、緊張型頭痛に対しては筋弛緩薬・抗不安薬・抗うつ薬などを、それぞれ予防薬として処方するのが基本となります。
群発頭痛の場合はいかがですか?
群発頭痛には、通常の鎮痛剤が効きません。主に発作治療薬であるスマトリプタンの皮下注射を行います。
ひと口に頭痛といっても、その種類によって使用する薬も違ってくるんですね
薬にはさまざまな種類があり、効き方・患者さんのお話などをお伺いしながら、適宜種類の変更などを行います。やはり患者さんにも「これはできれば飲みたくない」「この治療法は生活への負担が大きい」といった要望や事情があります。適切な治療を見つけ、継続していくためにも、柔軟に対応します。

市販鎮痛剤の飲み過ぎは薬物乱用頭痛に至る危険も!

頭痛を放置したり我慢したりする人の割合は結構多いと想像しますが、いかがしょうか?
そのとおりですね。比較的身近な症状であるためか、放置や我慢している方が少なくありません。頭痛のタイプを調べ、適切な治療を行えば症状をコントロールすることが可能ですので、放置・我慢せずご相談ください。また、市販の鎮痛剤で痛みを抑えているという方も注意が必要です。
市販の鎮痛剤を常に携帯しているという話はよく耳にします。何に注意が必要ですか?
まず、病気を原因として起こる二次性頭痛を見落としてしまう可能性があるという点です。一次性頭痛なのか二次性頭痛なのかは、MRIやCTのある医療機関でしか正確に判断できません。
それからもうひとつ、これは飲み過ぎた場合のことですが、MOH(薬物乱用頭痛)の危険があります。鎮痛剤の飲み過ぎによって効きが悪くなるばかりか、痛みに敏感になる・頭痛が複雑化することで、さらに頭痛が悪化してしまうのです。月に10回以上鎮痛剤を飲む人は、MOHが疑われます。
効かなくなるだけではなく、頭痛が悪化するというのは怖いですね
なかには「効かないな」と感じていながら飲み続けてしまう人もおり、その場合は特に危険です。「次の1粒は効くんじゃないか」と思いながら飲んでしまうようです。
また、まだ頭痛が起きていないのに予防的に飲んでしまい、そのために量が増えるという人もいます。MOHは片頭痛患者さんによく見られます。
MOHの治療はどのように進めますか?
徐々に使用量を減らすことが治療の基本になります。ただ、ご自身で適切に減らすというのはなかなか難しいため、受診をおすすめします。薬の種類や使用量、経過を確認したうえで、不安なく減らせるようサポートします。もちろん、必要に応じて画像検査、お薬の種類の変更も行います。
貴クリニックでは「脳ドック」を行っていますね。頭痛がなくても脳の病気が見つかることはありますか?
あります。微小脳梗塞・微小脳出血・脳動脈瘤・早期の脳腫瘍などは、頭痛を含めほとんど自覚症状がありません。40歳以上の方、生活習慣病の診断を受けた方、喫煙・飲酒の習慣がある方、肥満傾向のある方、脳卒中の家族歴がある方は、2~3年に1回は、脳ドックを受けることをおすすめします。
脳ドックの詳しい内容と費用を教えてください

コースは事前に決めておかなければなりませんか?
それは必須ではありません。検査の日に、私とお話をしてから選んでくださって構いません。年齢・生活習慣・既往歴・家族歴などを確認したうえで、リスクに応じたコースをご提案します。
最後に読者の方にメッセージをお願いします
実は私も、20歳の頃からの片頭痛持ちです。薬を処方するだけでなく、そのつらさに寄り添ったり、日常生活における工夫をお伝えしたりといった、きめ細やかな診療を行ってまいります。つらいと感じたとき、ふと脳の病気が心配になったときには、お気軽にご相談ください。
編集部まとめ
一次性頭痛との向き合い方、二次性頭痛やMOHの危険性について、詳しいお話を聞くことができましした。頭痛で悩んでいる方が、気軽に安心して相談できるクリニックであり、先生であると感じました。夜間の突然の頭痛に見舞われた方、日中の受診が難しい方のため、平日は夜間診(17:30~19:30)を行い、生活習慣病の治療にも対応されています。脳卒中や心筋梗塞などの合併症を予防するという意味でも、前田脳神経外科クリニックは頼れるクリニックとなりそうです。

医院名
前田脳神経外科クリニック
診療内容
頭痛外来 脳神経外科 生活習慣病治療 など
所在地
大阪府堺市西区鳳東町6丁637-1 2F
アクセス
JR阪和線「鳳」駅より徒歩9分
JR阪和線「津久野」駅より徒歩15分




