足の悩みを見逃さないで!下肢静脈瘤の症状と安心の日帰り手術【大阪府堺市 ひとみるクリニック】

下肢静脈瘤という疾患は、世間にそれほど知られていない。命に関わることは少ないものの、しかし日常生活にいろいろ影響を及ぼす可能性がある。足のだるさやむくみ、夜間のこむら返り、皮膚のかゆみや変色などがあれば下肢静脈瘤のサインなのかもしれず、早めの治療が望まれる。今回は堺市の「ひとみるクリニック」の高見友也院長に、下肢静脈瘤の症状や原因、治療法、日帰りで受けられる手術などについて詳しく解説をしていただいた。
前兆とサイン。下肢静脈瘤の主な症状と原因は?
下肢静脈瘤とはどのような疾患なのでしょうか?
下肢静脈瘤は、足の血管がボコボコと浮き出て見える病気です。命にかかわることはほとんどありませんが、日常生活に影響するさまざまな症状が現れます。 主な症状としては、足のだるさや重さ、むくみ、疲れやすさ、夜間のこむら返りなどです。また、人によっては痛みやピリピリ感、かゆみ、湿疹、皮膚の茶色い色素沈着が現れることもあります。重症化すると皮膚に潰瘍ができることもあります。

どのような場合に受診を検討すべきでしょうか?
立ち仕事の後に足がだるい、重いと感じる場合や、夕方になるとむくみが強くなる場合は注意が必要です。足の血管が目立ってきたような気がする、また皮膚のかゆみや色に変化を感じるような場合も下肢静脈瘤が疑われますので、早めの受診をおすすめします。 また、中には「隠れ静脈瘤」と呼ばれるように、見た目に変化がなくても下肢静脈瘤が原因となっている場合もあります。足の症状でお困りの方は、ぜひ受診してください。
下肢静脈瘤はなぜ引き起こされるのでしょうか?
下肢静脈瘤の根本的な原因は、足の静脈にある逆流防止の弁(静脈弁)の機能不全です。通常、血液は筋肉のポンプ作用などで心臓に戻りますが、この弁がうまく働かなくなると血液が逆流し、足の静脈に血液が溜まります。その結果、静脈の圧力が高まり、血管が拡張して皮膚表面に浮き出るようになり、下肢静脈瘤が発生します。 静脈は重力に逆らって足から心臓へ戻る必要がありますが、弁が壊れると逆流して血液が足に溜まってしまいます。血管がだんだん拡張することで、だるさやむくみ、痛みなどさまざまな症状が起こるわけです。
下肢静脈瘤はどのような人に起こりやすいですか?
下肢静脈瘤は、長時間の立ち仕事や座りっぱなしのデスクワークなどの生活習慣がある方、加齢、妊娠・出産などによって起こりやすいといわれています。 また、遺伝的な要素も影響します。家族に下肢静脈瘤の方がいる場合や、生まれつき静脈の壁が弱い方は発症の可能性が高くなります。
遺伝的な要素もあるのですね?
ご両親のどちらかが下肢静脈瘤を患っている場合、発症する可能性は高くなります。もちろん、遺伝だけがすべての原因ではありません。生活習慣や環境要因も大きく影響します。遺伝があっても、適切な予防や早期発見によって症状の進行を遅らせることは十分可能です。
下肢静脈瘤を放置しているとどんな弊害がありますか?
下肢静脈瘤は見た目の問題だけではなく、医学的な疾患です。足のむくみやだるさ、痛み、こむら返りなどの症状が悪化したり、場合によっては皮膚が硬くなったり色が変わったりして、皮膚炎や潰瘍を引き起こすこともあります。 特に皮膚潰瘍は治りにくく、生活の質に大きく影響します。かなりまれにですが、血栓性静脈炎などの合併症が起こることもあり得ますので、症状がある場合は早めに専門医に相談することが大切です。
静脈瘤と動脈瘤の違いは何ですか?
大きな違いは命に関わるかどうかです。静脈瘤は基本的に命に関わりませんが、動脈瘤は破裂すると大出血を起こし、突然死につながる可能性があります。
女性は静脈瘤になりやすいと聞きますが、なぜでしょうか?
女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)の影響で静脈壁が柔らかくなり、静脈弁の機能不全が起こりやすくなることが大きな理由です。また、妊娠により大きくなった子宮が静脈を圧迫し、血液の流れが滞ることも影響します。さらに、女性は男性に比べて筋力が弱く、ふくらはぎのポンプ作用が低下するため、足に血液が溜まりやすくなることもリスク要因です。
下肢静脈瘤は、ふくらはぎ以外に症状が出ることはありますか?
ほとんどはふくらはぎに出ますが、太ももなどに発生することもあります。

食事や生活習慣が発症や症状に影響するようなことはありませんか?
食事が直接の原因になることはありませんが、塩分の過剰摂取や高脂肪食、食物繊維不足は、むくみや便秘を通して下肢静脈瘤の症状を悪化させることがあります。塩分を控えめにして適度な水分を摂ることは血液循環の改善に役立ちます。 生活習慣では、長時間同じ姿勢を避け、適度に足を動かすことが大切です。ふくらはぎの筋肉を鍛えるウォーキングやつま先立ちなどの運動は、静脈への負担を減らし、症状の進行を遅らせます。弾性ストッキングの着用も有効です。
負担をできる限り少なく。下肢静脈瘤の療法と手術の流れ

手術にはいくつかの種類があるそうですが、どのような方法があるのでしょうか?それぞれについて教えてください
「血管内焼灼術」「グルー治療」「ストリッピング手術」「硬化療法」があります。 まず「血管内焼灼術」はカテーテルを静脈内に入れ、レーザーや高周波で血管の内側から熱処理して血管を収縮させる方法です。 「グルー治療」は、同じくカテーテルを静脈内に入れ、医療用接着剤で静脈を閉じる新しい方法で、熱を使わないため術後の神経障害が起こる心配はほとんどありません。いずれの治療も、手術直後から歩行でき、翌日には通常通り生活できますので、仕事にも行っていただくことが可能です。 「血管内焼灼術」も「グルー治療」も日帰りで行え(※術後は経過観察のため通院いただく場合があります)、治療時間も片足であれば30分から1時間程度です。傷跡は針穴程度で、当院では鎮静剤も併用しますので、眠ったまま手術が終わるので体への負担も少なくて済みます。 「ストリッピング手術」は従来から行われている方法です。太ももの付け根やふくらはぎの静脈を切除する手術ですが、現在はほとんど行うことはありません。 「硬化療法」は、薬剤(硬化剤)を静脈内に注入し、血管を閉塞させて下肢静脈瘤を縮小・消失させる治療法です。主に軽症例や再発例に適しています。 「焼灼術」や「グルー治療」は、国際的ガイドラインでも第一選択として推奨されており、患者さんへの負担が少なく、日常生活への影響も最小限で済むことが大きな特徴です。
静脈麻酔と局所麻酔を併用しておられるとのことですが、併用している理由は何でしょうか?
下肢静脈瘤の手術は局所麻酔のみでも行えるのですが、やはり眠っている間に治療が終わるほうが、患者さんの心理的な負担も少なくなりますからね。胃カメラ検査も起きたままでも受けていただけますが、眠って受けた方が楽に感じるのと同じように、安心して治療を受けていただけますよ。
手術後の再発はありますか?
再発率は10年でおおよそ10%程度といわれています。また、新たな静脈に静脈瘤ができる可能性はゼロではありません。生活習慣の改善や定期検診でリスクを下げることは可能です。

安心してまかせられる病院選びと生活ケアのポイント

それでは改めて治療の流れを教えてください
まずはエコー検査で静脈の状態を確認し、弁の異常があるかどうかを調べることで、下肢静脈瘤の確定診断が行えます。その後は、必要に応じて採血や心電図、ABI検査などを行う場合もあります。 手術は日帰りで行います。鎮静をかけて行うので眠ったまま手術が終わり、術後は院内で60分ほど経過を確認した後に歩いて帰宅が可能です。原則として日常生活は通常通り送れますが、治療内容によっては手術当日のみ包帯固定する場合や術後しばらく弾性ストッキング着用をしていただく場合があります。 術後は1週間以内、1か月後、3か月後、半年後、1年後に状態を確認します。
治療にあたって、貴クリニックではどのような設備が使われているのでしょうか?
手術後の日常生活では、どのようなケアが必要ですか?
手術後は特別に気を付けることはなく、普段どおりの生活を送っていただいて構いません。むしろ、術後の合併症を防ぐためには、安静にするよりも、適度に体を動かすことが大切です。弾性ストッキングは、焼灼術後の痛み予防として約1週間の着用をおすすめしています。その後は、再発予防のために必要に応じて着用を続けてください。また、必要に応じて、足の使い方をサポートする靴下(ケアソク)も院内に用意しています。

手術や治療にかかる費用はどのくらいですか?
体格や治療内容によって多少変わりますが、健康保険を使った場合の費用(1割~3割)を目安にしてください。 ◎診察・エコー検査:約1,000円~2,800円(税込) ◎術前検査(必要な場合):約1,000円~3,000円(税込) ◎血管内焼灼術(片脚):約13,000円~39,000円(税込)、両脚:約23,000円~69,000円(税込) ◎グルー治療(片脚):約18,000円~51,000円(税込)、両脚:約32,000円~94,000円(税込) ◎硬化療法(片脚):約3,700円~11,000円(税込)、両脚:約5,400円~17,000円(税込) 弾性ストッキングは3,740円~4,070円(税込)高額療養費制度も適用されます。
これから診療や手術を受けようと考えている方やMedical Docの読者へ、メッセージをお願いします
下肢静脈瘤は認知度が高い疾患ではないため、「静脈瘤かも」と気づくこと自体が大切な一歩です。病院で相談したら「放っておいて大丈夫」「もう年だからそのままでいい」などと言われた方も、ぜひ相談してほしいですね。 命にかかわる病気ではありませんが、患者さんの身体への負担をできるだけ抑えた治療方法がありますので、気になる症状があれば、早めに相談していただくのが一番です。
編集部まとめ
下肢静脈瘤は命に関わる病気ではありませんが、足のだるさやむくみ、夜間のこむら返りなど、日常生活に影響を与えることもあります。今回、高見院長にお話を伺い、ちょっとした症状にも一人ひとりに寄り添い、身体への負担をできるだけ減らす治療を心がけている姿勢に感銘を受けました。院長は、緩和ケアに携わった経験から、医療だけでなく生活面も考えられるようにと、ファイナンシャルプランナーの資格まで取得されたとのこと。こうした温かい心配りがあるからこそ、患者さんも安心して相談できるのだと感じました。

医院名
ひとみるクリニック
診療内容
下肢静脈瘤 生活習慣病 内科 など
所在地
大阪府堺市西区上野芝町2丁3-18
上野芝クリニックモール2階
アクセス
JR阪和線「上野芝」駅東出口より徒歩8分




