斜めに倒れた歯を起こせば、抜歯せずに矯正できる【東京都世田谷区 桜新町グリーン歯科・矯正歯科】
歯並びの悪さは見た目の問題だけではなく顎関節症などのリスクがある。矯正しようとして歯科医院を訪れ、「抜歯が不可欠」と言われてためらっている人もいることだろう。しかし、抜歯には「隙間ができる」「かみ合わせが乱れる」「ほうれい線が目立ちやすくなる」「口元が老けて見える」といったリスクも。そこで桜新町グリーン歯科・矯正歯科では「できるだけ抜かない矯正治療」を標榜。約95%の矯正を抜歯なしで実践している。同院を運営する医療法人社団緑幸会理事長の鈴木聡先生にお話を伺った。
鈴木 聡
医療法人社団緑幸会 理事長
1989年に広島大学歯学部を卒業後、神奈川・東京で展開する厚誠会有馬歯科勤務を経て1994年、川崎市登戸にグリーン歯科クリニックを開業。2013年には医療法人社団緑幸会を設立して理事長に就任。2015年、登戸グリーン歯科の隣に登戸クローバー歯科を開業し、2022年には桜新町グリーン歯科・矯正歯科をオープン。「できるだけ抜かない矯正」を標榜するとともに、地域に密着し、患者に寄り添う、総合的に診られる歯科医院であり続けることに力を入れている。
歯並びやかみ合わせの問題は、全身の健康にも悪影響
歯並びの悪さや、かみ合わせの悪さが気になって、矯正をしたいと思ってる人は多いと思います。矯正治療の目的は何でしょうか?
患者さんからすれば、きれいな見た目が一番大きな理由だと思います。しかし、歯並びが悪いとかみ合わせも悪くなり、慢性的な頭痛や肩こり、手足のしびれ、口が開けにくくなったり音が鳴ったり、痛みが出たりする顎関節症につながることがあります。これを予防したいというニーズ、あるいはこれらの症状を若いうちに治しておきたいというニーズもあります。
顎関節症を予防する上でも矯正したほうがいいのですね
そうですね。お子さんの場合、理想的なのは上の前歯2本が生え変わったタイミング、8歳前後で一度受診されるのがいいと思います。すでに下の前歯は生え変わっているはずですから、ズレているかどうかがわかりやすいのです。顎の関節の位置は12~13歳くらいで決まります。上顎や下顎が出てる子はそれまでに治しておけば、顎の関節を正常な位置にできる。放置しておくと、将来的に手術が必要になることもあります。
ズレているのが明らかでなくても、検査すればズレが判明する場合が少なくありません。放置しておくと成長に伴いズレも大きくなりますから、少しでも不安があれば矯正に詳しい歯科医に見てもらうことをお勧めします。
もちろん顎関節症の予防を意識して成人相談される成人の方も多数いらっしゃいます。
かみ合わせの悪さの原因は何でしょうか?
原因はいろいろありますが、一番多いのは現代人、特に若い人は顔の骨格が細くなっていることでしょうか。歯の本数は変わらないのに、むしろ歯が大きくなっている傾向が見られます。狭い面積に大きくなった歯が同じ数だけ生えれば、当然ながら歯並びに影響してかみ合わせも悪くなります。
親知らずが横から生えて隣の歯が押され、ドミノ倒しのように次々と押されるパターンもよくありますし、いつも同じ側で頬杖をつくなどの生活習慣が原因になることもあります。だから年齢とともに前歯が出てくる人も結構多いんですよ。
かみ合わせは定期的に調整すべきものなのでしょうか?
実は歯も動きますから、調整は本来必要です。健康な方であれば、3~6カ月に1回ぐらいは虫歯や歯周病の検査・予防とともに、かみ合わせの確認をしてもらうことをお勧めします。
小児のうちはあまり必要ありませんが、下顎が出て受け口(反対咬合)になっている場合、犬歯が尖っているために自然と正しい位置に戻ろうとしても戻れず、反対咬合が治らない子もいます。こうした場合は調整したほうがいいですね。
桜新町グリーン歯科・矯正歯科ならではの、技量の求められるワイヤー矯正
矯正したくても健康な歯を抜かなければならないと聞き、躊躇する方は多いと思います。なぜ健康な歯を抜かなければならないのでしょうか?
健康な歯は本来抜く必要はないのですから、なるべく抜きたくない、抜くのであれば最小限にしていきたいというのが当院のスタンスです。歯は少ないほど安定性が悪くなり、かみ合わせに影響が出ます。10代で抜歯してしまうと、平均寿命を考えればその後の70年以上を歯が少ない状態で過ごすことになります。
どうしても抜かなければならない場合もありますが、当院では小児矯正でも成人矯正でも90%くらいは抜かずに矯正できます。ですから、ほかの歯科医院で「抜歯しないと矯正できない」と言われてセカンドオピニオンを当院に求めるケースも圧倒的に多いんですよ。
抜歯する矯正治療との違いを教えてください
矯正で第一小臼歯(前から4番目の歯)を抜く歯科医院はまだ多くあります。歯を奥や上下に動かすことが難しいので、抜いてスペースをつくるというわけです。第一小臼歯を抜くのは「ほかの歯より重要性が低い」と考えられているからで、便宜的に抜くので「便宜抜歯」と呼ばれています。けれども多くの場合、スペースがないのは歯が斜めに倒れているから。ならば、それをちゃんと起こしてあげれば抜かなくても矯正できるのです。
当院では歯を奥や上下に立体的に動かすことで、斜めに倒れている歯でもまっすぐにすることができるため、抜歯で無理にスペースをつくらなくてもきれいに歯を並べられます。
従来の矯正治療では子どもも抜歯をしていたのでしょうか?
乳歯を抜いた後に永久歯を抜くという考えの歯科医すらいるのは事実です。しかし、実は乳歯からやっていくと、ほとんど抜かないで矯正できるようになります。治療費も、お子さんの矯正は成人の半額以下になることが珍しくありません。
貴院では、ワイヤー矯正とマウスピース矯正の両方を行なっているとのこと。まずはワイヤー矯正のメリット・デメリットを教えてください
当院では歯を奥や上下に立体的に動かすことで、斜めに倒れている歯でもまっすぐにすることができることはお伝えしましたが、これを可能にするのがワイヤー矯正です。症例等に応じてMEAWワイヤーかゴムメタルワイヤーどちらかのワイヤーを使います。
一般的な矯正ではニッケルチタンワイヤーが主に使われますが、垂直方向に歯を動かすのに難があり、奥へ動かすこともできません。MEAWワイヤーはこの欠点を解消するもので、歯を3次元的に、立体的に動かすことができます。また、かみ合わせのバランスを整えることができるのもMEAWワイヤーの大きな特長です。
ゴムメタルワイヤーは前述のニッケルチタンワイヤーと同様に、形状記憶合金でありながら、ニッケルチタンワイヤーにはない「曲げることができる」特性を持つワイヤーです。
いずれのワイヤーも優れた特性があるだけに、症例にもよりますが1年程度と比較的短期の治療期間です。
マウスピース矯正のメリット・デメリットを教えてください
ニーズに合った治療の提供こそ目指すべき方向
貴院の矯正治療の流れを教えてください
初診時に写真を撮影し、その写真を元に患者さんへ状況を説明し、治療の流れ、治療法が複数あるならそれぞれの特徴やメリット、デメリットをお伝えし、治療法を確定していくといった流れになります。
ただ、細かいことは個々の患者さんに応じて異なりますので、実際には精密検査をしてからこの流れが変わる可能性はあります。それを説明し、「治療をしたい」となれば精密検査の予約を取っていただいて、検査から2週間ぐらいかけて検討していきます。その結果「どういう風に動かすか」「こういう治療法が一番お勧めです」と提案します。
矯正治療にあたって、大切にしていることは何でしょうか?
今は歯科医が選ばれる時代です。選んでいただくにあたり、何よりも重視すべきことは、まず顧客である患者さんが「どういうことを望んでいるのか」を把握すること。患者さんが選択する際に重視するのはコストであることが多いため、何も情報のない状況で選択肢を示せば「一番安いので」となるのが一般的です。ただ、費用の高低含め多くの選択肢から「一番望む医療」を選べるのであれば、それが一番いいと思うのです。患者さんのニーズに合った治療の提供。これが、私たちの目指すべき方向だと思っています。
矯正する上で、患者さんのほうで気を付けるべきことは何でしょうか?
矯正は共同作業です。たとえば、小児矯正では取り外しができる矯正器具を使うことが多いのですが、だからこそ着けてくれないと矯正できません。つまり、歯科医の指示をきちんと守っていただくこと。これができればうまくいきます。
矯正した歯並びが元に戻るようなことはないのでしょうか?
骨にはゴムのような性状があるので、後戻りといって1mmくらい動く可能性があります。これを防ぐために、当院では上下の前歯の裏側をワイヤーで固定します。非常に細く、ぴったり接着しますので違和感はありません。
また、マウスピースのようなリテーナーを矯正後2年間、就寝時に装着すれば後戻りを防ぐことができます。
予算や患者さんの悩みにどのように対応されていますか?
一般的なお悩みであれば、できる限り懇切丁寧にうかがって全力で対応することはいうまでもありません。予算面においては、ワイヤー矯正に関しては窓口での分割払いならば金利や手数料はいただいておりません。ほかの一般治療と同じようにデンタルローンもあります。ただし、一括払いなら医療費控除が大きいので、一括払いをお勧めはしています。
最後に、Medical DOCのサイトに訪れた読者へのメッセージをお願いします。
当医療法人は桜新町グリーン歯科・矯正歯科を含めたグループ3院で歯科医師が15人、歯科衛生士が14人、管理栄養士が5人、ほかのスタッフが20人ほど在籍しています。矯正治療でいえば、歯科医だけでなく歯科衛生士がワイヤー矯正の際の歯磨き指導などを、管理栄養士はお子様への食育のお手伝いなどを担っています。1人の患者さんにそれぞれのスペシャリストが力を合わせ、総合力で治療を進めています。
矯正だけでなく虫歯や歯周病などの一般診療やインプラント、ホワイトニングなども幅広くカバーし、ワンストップでの医療サービスの提供こそが町医者本来の役割と心得ています。セカンドオピニオンにも対応いたしますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
編集部まとめ
肌感覚での常識が人の本当のニーズだと思うんです――。「歯は抜かない方がいいよねって、一般の方も常識として認識されていますものね」という質問に、こうコメントした鈴木先生。患者の立場に寄り添って診療されている姿勢が、この言葉に凝縮されているように感じました。こうした思いを原点に、「矯正は抜歯するもの」という旧来の「常識」にとらわれず、新しい考えを採り入れた治療法を積極果敢に実践されている姿勢に感銘を受けました。
医院名
桜新町グリーン歯科・矯正歯科
診療内容
所在地
東京都世田谷区桜新町2-9-1
小泉ビルB1F
アクセス
東急田園都市線「桜新町」駅西口より徒歩30秒