一口腔単位で診ることの重要性。目的を見失わないことが治療の成功・満足につながる【兵庫県西宮市 医療法人社団なかの歯科クリニック】
公開日:2020/03/12 更新日:2021/09/16



インプラントが一般的な治療になってきたとはいえ、安全性、適応の範囲などに不安を持ち、正しく理解する前に遠ざけてしまう人は少なくない。また、普及してきたからこそ、費用に差があり、歯科医院選びも難しい。安全性や適応の範囲は何に左右されるのか、歯科医院はどのように選ぶべきなのか、日本口腔インプラント学会指導医である「医療法人社団なかの歯科クリニック」院長、中野先生に詳しい話を伺った。
Doctor’s Profile
中野 喜右人
医療法人社団なかの歯科クリニック 院長
中野 喜右人
医療法人社団なかの歯科クリニック 院長
大阪歯科大学卒業。昭和59年「なかの歯科」開業。平成3年「医療法人社団なかの歯科クリニック」設立、同17年に阪急西宮北口の南口に移転。日本口腔インプラント学会指導医、アメリカインプラント学会、アジアインプラント学会、日本インプラント臨床研究会副会長。その他参加学会多数。一口腔単位での歯科治療を掲げ、治療経験豊富なインプラント、新しい技法を取り入れた矯正歯科に力を注ぐ。歯学博士。
Doctor’s Profile
中野 喜恵
医療法人社団なかの歯科クリニック 歯科医師
中野 喜恵
医療法人社団なかの歯科クリニック 歯科医師
大阪歯科大学卒業。大阪歯科大学附属病院歯周治療科、医療法人清風会坂根歯科診療所を経て、現在の「医療法人社団なかの歯科クリニック」に。日本口腔インプラント学会、日本歯周病学会会員。院長とともに、一口腔単位での総合的な歯科治療に努める。人生100年時代を迎える今後は、患者のQOLを維持・向上を見据えた診療にさらに力を注ぐ。
口腔から全身へと広がる健康を、インプラントが支える
インプラントのご相談の数に変化はありますか?
はい。年々増えています。当院に通ってくださる患者さんが歯を失ってしまったときに選択されるケースのほか、他院さんからの紹介、当院でインプラント治療を受けた患者さんからの紹介も多くなっています。最近では、過去に指導していた先生から紹介を受けることもあります。

お悩みとしては、どのようなものが多いのでしょうか?
年齢は関係ありますか?たとえば、何歳以上の方はできない、といったような。

「まずはお口の中の健康維持です」ということは、全身の健康維持にも役立つのでしょうか?
はい。最近話題にもなっている「オーラルフレイル」の予防です。オーラルフレイルとは、口腔機能の低下によって食生活に偏りができたり、咀嚼・嚥下の力が低下したりすることが、全身の衰えにつながるという概念です。また、当然ながら、何でも食べられるということは誰もが感じる喜びであり、精神的な活力になります。
本当に優先すべきことを明確に。費用が高額になる理由
さまざまなメリットのあるインプラントですが、やはり決断できない方もいらっしゃいます。どんなところを気にされているのでしょうか?
手術の安全性は、どのように確保すべきですか?
まずは、担当する歯科医の知識と経験に支えられた技量です。専門医・指導医といった資格も一定の判断基準になるかと思います。ただ、勉強でもスポーツでもそうですが、経験数が多ければいいというわけではありません。一つひとつの症例に丁寧に向き合っているかどうかです。加えて、設備も重要になります。
貴院はCTを院内に設置されていますね。

費用を気にされる方が多いとのことですが、インプラントを1本入れるとすると、どれくらいかかるものなのでしょうか?
1本10万円を切るような、低価格のインプラント治療を謳う歯科医院も見られます。
歯科医院には、スタッフを預かり、また地域医療の質を維持していくため、“そこにあり続ける責任”があります。そのためには、経営をしていかなければなりません。あまりにも安い場合には、どこかで経費が過剰に削減されています。そして懸念されるのは、その削減が治療の質を低下させているケースです。
供給が止まると、どのようなことが起こりますか?
埋入後には定期的なメンテナンスが必要になるそうですが、どんなところに注意をされていますか?
小さな変化も見逃さないよう、当院では担当衛生士制を敷いています。その患者さんの前回のお口の中の状態を「自分の目で見た・自分の手でメンテナンスをした」ということは、何よりも大きな強みになります。

確かに患者さんも安心できますね。気になったことも聞きやすそうです。
インプラントを長持ちさせることだけでなく、お口全体の、そして全身へと広がる健康を手にしていただきたいと考えておりますので、私にも衛生士にも何でも聞いてください。カウンセリングや検査、手術の質が注目されがちですが、埋入後のメンテナンスも同じくらい大切な工程だといえます。
歯科医院を選ぶポイントは、技量や設備に加え「長く安心して任せられる」誠実さ
セカンドオピニオンとしてのご相談も多いそうですが、患者さんとはどんなことをお話しされますか?
セカンドオピニオンとしてお越しになる方ですから、「こう言われたけれど本当ですか?」という質問が多くなります。詳しい料金の比較もされるでしょう。また、顎の骨の量や厚みが少ないことから「インプラントができない」と言われた方も来院されます。

やはり顎の骨が不足していると、インプラントは難しいのでしょうか?
そういった症例はよく「難症例」と呼ばれますが、顎の骨が不足している場合には、サイナスリフトやソケットリフト、スプリットクレスト、GBR、そして顎の骨の吸収を防ぐためのソケットプリザベーションなどで対応が可能です。いずれも、当院でも行っている術式です。顎の骨が不足しているからできないというケースはほとんどありません。
歯周病の方は、インプラントより先にその治療が必要と聞きました。
では、インプラントを検討している方に「歯科医院の選び方」をアドバイスするならば、どんなことを伝えたいですか?
技量や設備といったことは前提として、やはり丁寧に対応してくれる歯科医をおすすめします。無料カウンセリングを実施する歯科医院も多くなってきましたので、利用してみるといいでしょう。
インプラント治療を受けるということは、基本的に治療後もその歯科医院でメンテナンスを受けるということですから、「長く付き合う」ことを念頭に置いて判断する必要があります。
インプラント治療を受けるということは、基本的に治療後もその歯科医院でメンテナンスを受けるということですから、「長く付き合う」ことを念頭に置いて判断する必要があります。
相談だけになってしまうと、ちょっと悪いという気がします…。
少なくとも当院ではそういったことは気になさらないでください。もちろん、当院で治療を受けてくださればうれしいことではありますが、最終的に、患者さんが納得した歯科医院で、満足できる治療と出会われることを願っています。おそらく、ほかの多くの歯科医院も同じだと思いますよ。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。
歯を失ってしまった方の選択肢として、「長期にわたって強く噛め、お手入れがしやすく、見た目の美しいインプラント」は大変優れた治療法です。ただ、情報過多の現代で、どれが正しくどれが間違っているかわからないこともあるでしょう。
当院では、フラットな目線から、患者さんにとってのメリット・デメリットを精査し、わかりやすくご説明します。ぜひ一度、ご相談ください。
当院では、フラットな目線から、患者さんにとってのメリット・デメリットを精査し、わかりやすくご説明します。ぜひ一度、ご相談ください。