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むし歯は再発する!? 歯を守るための素材、「セラミック」による治療とは【札幌市 南2条千葉歯科クリニック】

 更新日:2023/03/27
南2条千葉歯科クリニック
南2条千葉歯科クリニック

現在、むし歯治療で広く用いられている銀歯には、審美的な問題だけでなく、むし歯の再発をはじめとした健康上のさまざまなリスクがあることをご存じだろうか。近年、銀歯の代替として注目を集めているのが、天然歯に近い自然な白さを持つ人体に優しい素材「セラミック」。今回は、詰め物・被せ物といった補綴歯科に豊富な経験を持つ「南2条千葉歯科クリニック」の千葉豊和先生に、セラミック治療において知っておくべきポイントを伺った。

Doctor’s Profile千葉 豊和
南2条千葉歯科クリニック 院長

東北歯科大学卒業後、奥羽大学大学院へ入学。卒院後は奥羽大学歯科補綴学 第2講座 非常勤講師を勤め、原宿デンタルオフィスにて勤務する。その後千葉歯科クリニックを開業、日本補綴歯科学会や日本歯周病学会など所属学会多数。

治療から時間が経って明らかになる「銀歯」の問題点

むし歯治療の詰め物や被せ物というと、保険適用である銀歯がもっとも一般的かと思います。まず銀歯とはそもそもどういうものか、ご説明いただけますか?

銀歯という呼び方が広く使われているため、銀歯は金属の「銀」でつくられていると思っている方も多いかもしれません。
しかし銀歯は銀ではなく、正確には金・銀・パラジウム・銅・インジウムなど複数の金属を含む「金銀パラジウム合金」です。現在、銀歯には見た目や健康上のさまざまな問題点があることがわかっており、以前に詰めた銀歯を、体に優しく自然で美しい仕上がりになるセラミックに替える治療を希望する方が増えてきています。
治療から時間が経って明らかになる「銀歯」の問題点

それでも銀歯が長く使われてきたのはどのような理由からなのでしょうか?

銀歯は保険適用の素材ですから、むし歯の詰め物や被せ物をつくる際、保険外の歯科治療に比べ、費用を抑えて治療することができます。
また、銀歯は金属なので、同じく保険適用であるプラスチックのレジンや、陶器と同じ素材でつくられている硬いセラミックなどと違って、割れたり欠けたりするなどのトラブルがほとんどありません。銀歯にはデメリットも多々ありますが、安価で強度が高いという、ほかの素材にないメリットがあるんです。
では、銀歯のデメリットについて詳しく教えてください。

まず、見た目の問題がありますね。口の中で黒光りして目立つので、銀歯を入れている患者さんの中には、口を大きく開けて笑うことに抵抗があるという方も少なくありません。
また、銀歯を長い間使用していると、金属の成分が溶け出して歯ぐきに沈着し、歯ぐきの色が黒ずむこともあります。
よくお年寄りなどで、歯と歯ぐきの境目に黒い線が出ている方を見たことはないでしょうか。「ブラックライン」と呼ばれるあの黒い線は、加齢などで歯ぐきが痩せ、歯の根元が露出してくると、より目立ってきてしまいます。そのため前歯のように目立つ場所の治療には、銀歯の使用は慎重になる必要があります。
あと、意外と知られていないのが、むし歯の再発の問題です。
銀歯とむし歯の再発に関係があるのですか?

はい。むし歯の部分に銀歯を詰めたり被せたりする際は、セメントで接着するのですが、このセメントは、時間とともに徐々に溶け出してきます。さらに銀歯は金属なので、酸化により劣化します。
そのため、治療から時間が経つと、歯と銀歯の間には隙間ができてくるのですが、この隙間に細菌が入り込むことによって、むし歯が再発してしまうのです。
むし歯治療を行った歯で二次的に起こるむし歯のことを「二次むし歯」、または「二次カリエス」と呼びます。歯の内部で進行するので痛みなどの自覚症状がない方も多く、銀歯が外れてしまって歯科医院を訪れ、歯科医に指摘されて初めて気づく方もいらっしゃいます。銀歯の治療から時間が経っている方にとても多い症例です。

治療から時間が経って明らかになる「銀歯」の問題点
銀歯は金属なので、金属アレルギーになることもあるのでしょうか?

そうですね、むし歯の再発のほかに、健康面では金属アレルギーも問題となっています。
銀歯を使い続けていると、唾液に溶け出した銀歯の金属イオンを長期間飲み続けることになり、体内に蓄積されていきます。
そのため、これまで金属アレルギーがなかった方でも、突然、金属アレルギーを発症する可能性があるんですよ。
また、銀歯の表面は一見ツルツルしているように見えますが、歯の表面に汚れが付着しやすく、むし歯や歯周病のリスクが高くなり、将来的に歯を失う可能性が高くなります。

セラミックの種類とメリット・デメリット

銀歯の代わりに注目されている素材にはどのようなものがありますか?

陶器と同じ素材でつくられているセラミックがおすすめです。
同じ白い素材でも、保険適用であるプラスチックのレジンに比べ、セラミックは天然歯に近い透明感やつやが得られます。微妙な色の調整も可能なので、ほかの歯と比べて色が浮いて目立つこともありません。自然で美しい仕上がりを再現できます。
また、セラミックは銀歯のような金属の素材に比べて生体親和性が高く、アレルギーの心配がない素材です。体に優しい素材で歯を治療したい、銀歯で治療した歯を白くしたいなどの患者さんのご要望に応えられるのが、セラミックを用いた治療です。
セラミックの種類とメリット・デメリット

セラミックのメリットはほかにもありますか?

セラミックは経年劣化が起こりにくく、長く使ってもほとんど変色が見られないのもメリットです。治療費は決して安価ではありませんが、銀歯に比べてむし歯の再発も少なく、長く使い続けることができます。
また、セラミックは、銀歯のように歯ぐきが黒ずむこともありません。硬くて傷つきにくいので、銀歯のように表面に汚れが付着することもないので、口内環境を清潔に保つことができます。

セラミックの種類とメリット・デメリット
なるほど、素晴らしいですね! しかしセラミックにはデメリットはないのでしょうか?

あります。陶器をイメージしていただくとわかりやすいと思うのですが、強度があるということは、つまり硬いということでもあり、その分強い力がかかると割れやすいのです。そのため、奥歯には強度の高いセラミックを選んだり、自分で意識できない就寝中は歯ぎしり防止のためマウスピースを装着したりするなどの対策が必要となります。
また、セラミックは強度を確保するために金属よりも厚みが必要になるため、その分、土台となる歯を銀歯の治療よりは多く削る傾向にあります。
自由診療なので、医院により、またセラミックの種類によっても違いますが、費用が高額な点も患者さんにとってはデメリットといえるでしょう。

セラミック治療は審美面も機能面もドクター次第

セラミック治療の種類には、どのようなものがあるのでしょうか?

長い間、歯科治療で使われてきたセラミック素材は「ポーセレン」といい、陶器のように強度が高く非常に硬い分、強い力がかかると割れやすいといったデメリットがありました。特に、奥歯のように噛みしめる部位の被せ物には不向きとされていました。
そこで登場したのが、金属の枠や土台にセラミックを焼き付けた被せ物「メタルボンドセラミッククラウン」です。芯に金属を使用することで強度は高められましたが、金属は光を通さないため仕上がりの透明感は低くなり、さらに加齢で歯ぐきが下がると金属部分が黒く見えてしまうといった審美面での問題がありました。また、歯科治療に金属を使用することは金属アレルギーの懸念もあります。
そこで近年では、金属を使用せずに高品質のセラミックだけで被せ物を製作する「オールセラミッククラウンの人気が高まっています。金属の代わりにジルコニアと呼ばれる素材で内側を補強する「ジルコニアオールセラミッククラウンもおすすめです。
セラミック治療は審美面も機能面もドクター次第

ジルコニアとはどんな素材なのでしょうか?

ジルコニアは人工ダイヤモンドとも呼ばれ、強度と美しさを兼ね備えた素材です。硬さとしなやかさを併せ持ち、曲げる力にも強く、破損しにくいのが特長です。また、生体親和性も高く体に優しい素材です。
近年では、内側の補強材としてだけではなく歯冠部全体をジルコニアで製作する「フルジルコニア」が注目を集めています。歯の形状をスキャンしたデータをもとに、機械でジルコニアの塊(ディスク)を削り出し、精密な形状の歯を製作します。
ジルコニアより若干強度は劣りますが、二ケイ酸リチウムガラスを主成分とした歯科用セラミックも、内側を金属で補強することなく透明感のある美しい歯を作れるセラミック素材です。
セラミックは被せ物で1本約70,000~150,000円と非常に高価ですね。

セラミックの中には、保険治療で使われるレジンを混ぜた「ハイブリッドセラミック」という素材もあり、そちらは比較的安く製作することができます。
ハイブリッドセラミックは、レジンのみの場合に比べると強度は高まりますが、ほかのセラミック素材と比べると強度はどうしても劣り、長年の使用で割れてしまう可能性があります。また、仕上がりも純粋なセラミックのほうが自然な透明感があります。
さらに、ハイブリッドセラミックは食事やブラッシングの際に細かな傷がつきやすく、表面にプラークが付着しやすく変色しやすいというデメリットがあります。審美治療で、もっとも大切な色合わせにも限界があります。
セラミックを用いた審美治療は高価ですが、単に見た目が美しいだけでなく、体にも優しく、将来にわたって長く健康な歯を手に入れられる治療とお考えいただければ、金額にもご納得いただけるかと思います。

セラミック治療は審美面も機能面もドクター次第
セラミック治療を受ける医院選びの際、抑えておくべきポイントを教えてください。

セラミック治療は詰め物や被せ物といった補綴物製作になるため、医師の知識・技量によって治療の質に大きく差が出るということをまず覚えておいていただければと思います。
具体的には、素材選びから歯型の採取、土台となる天然歯を削るなどの治療、セラミックの加工技術、接着技術などの作製工程まで、すべての精度が最終的な仕上がりに関わってきます。
その意味では、補綴を専門とする歯科医師が在籍する歯科医院や、補綴治療に数多くの実績を持つ歯科医院を選んだほうが後々も安心です。
また、セラミック治療は先ほど申し上げたように種類もさまざまなものがあるので、きちんと相談できる環境を整えているクリニックを選ぶことも重要です。
たとえば当院では、最初に医師による丁寧なカウンセリングを行って患者さんとしっかりコミュニケーションをとるだけでなく、院内に補綴物を製作する技工所を設けています。補綴物を製作する歯科技工士との密な連携により、患者さんのご要望をダイレクトに反映させることで、長年にわたり、満足度の高いセラミック治療を提供しています。

編集部まとめ

千葉先生のお話を伺い、従来の銀歯治療にはむし歯の再発をはじめとした多くのリスクがあることと、セラミック治療のメリット・デメリットについても理解することができました。歯科治療の中でも、セラミック治療は特にドクターの腕が重要となる治療です。治療費も高額となりますから、後悔はしないためにも、事前に十分な説明をしてくれる、セラミック治療に豊富な実績がある歯科医院を選ぶことをおすすめします。

医院情報

南2条千葉歯科クリニック

南2条千葉歯科クリニック
所在地 〒060-0062
北海道札幌市中央区南2条西10丁目7-1
アクセス 地下鉄東西線西11丁目駅3番出口から徒歩3分 市電中央区役所前から徒歩2分
診療内容 インプラント治療 歯科一般 予防治療 審美治療 など

この記事の監修歯科医師