黄ばんだ歯、黒ずんだ歯茎、あるいは以前に治療した銀歯が目立つなど、お口にお悩みではないだろうか?
歯科は歯の病気を治すだけでなく、機能や見た目を追求した治療法として審美治療という領域がある。虫歯の保険治療では補綴物に銀が広く使われているが、まず見た目がよくないというのが問題。また、それ以外にも銀歯は金属アレルギーが引き起こされる可能性をはらんでいるなど、いろいろなトラブルの原因にもなるという。「立川さくら歯科クリニック」の木曽先生に、歯を美しくする
審美治療とそのメリットについてお話を伺った。
Doctor’s Profile
木曽 祐美
立川さくら歯科クリニック 院長
歯科開業医だった祖父母の影響で幼少の頃から歯科医を志す。2002年、日本大学松戸歯学部卒業。2003年から医療法人社団和晃会「ゆみーる歯科」勤務、2008~2015年医療法人社団和晃会「松飛台歯科」分院長を務める。2016年に医療法人社団桜歯会「立川さくら歯科クリニック」の分院長に就任。子どもでも大人でも気軽に通院できる地域に根付いた治療を目指す。歯科臨床研修指導医。
虫歯を治療したときの被せ物や詰め物として、保険診療の代表的なものは銀歯ですが、銀歯にはどんな問題点があるのでしょうか。
銀(銀合金)は素材の強度的には問題ないのですが、治療した箇所が目立つので審美性に劣るのが大きな特徴です。また金属アレルギーをお持ちの方なら、じんましんなどのアレルギー反応が出る可能性があります。さらに、装着するために用いたセメントが劣化して溶け出し、そこから菌が入って虫歯が再発する恐れがあり、金属からイオンが溶け出し歯や歯茎が変色する恐れもあります。
保険診療の場合、銀以外ではどんな素材があるのですか?
強度的に銀よりも劣りますが、プラスチック素材でレジンがあります。レジンは色を選ぶことができ、銀よりも審美性に優れているというメリットがあります。現在の素材は以前よりも強度が高くなり、銀同様に一般的に使用されるようになりました。ただし、プラスチック素材なので、変色しやすいという欠点もあります。
以前はアマルガムという金属もよく使われていましたが、水銀が含まれていて金属アレルギーを引き起こしやすいので現在では使われていません。
審美性に優れた素材には、ほかにどんなものがありますか?
いちばん審美性に優れているのは
セラミックです。透明感があり、天然の歯と見まがうほどです。
硬度的にも優れており、天然の歯と同等、もしくはそれ以上です。硬度の異なる
セラミックを噛み合わせで用いると柔らかいほうが負けて欠けてしまうことはありますが、一般的には欠けてしまうことはまずありません。
見た目がよいことや硬度以外ではどうでしょうか。ほかにもメリットはありますか?
銀のような金属でないのでアレルギーの心配がありません。天然の歯の材質に近いので歯や歯肉への影響もありません。メリットを整理すれば、自然の歯のように見た目がよく、変色の心配がなく、汚れが付きにくい。また、銀に比べると歯との密着度が高く、セメントが溶け出すことがなく、外れるリスクも少ないということです。まさに理想的な素材だといえます。
いいことだらけのセラミックですが、逆にあえて欠点を探すとすれば、何かありますか?
セラミックは保険が適用されないので
自費診療になり、被せ物でおよそ1個5万〜14万円です。治療費が高額になるのが欠点といえば欠点でしょうね。
ただし、保険診療の銀やレジンなどに比べると
耐久性がはるかに高く、長期にわたって使い続けることができます。ですから、銀やレジンで何度も治療を繰り返してその都度治療費を払うよりも、長い目で見るとトータル金額的にはお得だといえるでしょう。
どんな方がセラミックを選択されるのでしょうか?
当院に見える患者さんは、若い女性の方から年配の男性の方まで、
年齢や性別を問わずいろいろな方がセラミックを選択されています。
特に入学式や結婚式など人生の節目に、ご自身の歯を美しく健康的に見せたいと来院される方が増えています。
セラミックで価格の安いものはあるのですか?
セラミックにもランクがあり、バリエーションはいろいろありますよ。代表的なものが
ジルコニアで、その
ジルコニアにも各種あります。最上級のタイプはご自身の歯に調和した自然な色にすることができ、なおかつ透明感もありますが、比較的安価なタイプは決まった色しかなく、透明感もありません。強度については、価格の違いによる多少の差はあるけれど、それほど大きなものではありません。
セラミックを用いた歯には、どんな種類がありますか?
まったく金属を使用しない
「オールセラミック」のものから、フレームに金属を使用した
「メタルボンド」、
セラミックとプラスチックを掛け合わせた
「ハイブリッド・セラミック」などさまざまな種類があり、それぞれ価格が異なります。
セラミックは被せ物(クラウン)、詰め物(インレー)に使われるほか、前歯の表面を削って薄い
セラミックを接着する
「ラミネートベニア」という治療法もあります。
素材の価格による違いは、耐久性はもちろんですが、人体への親和性、色調の違いなどによります。新しい素材もどんどん開発されているので、詳しくはお問い合わせください。
セラミックの治療にはどのくらい期間が必要でしょうか?
治療の進め方は
保険診療の銀歯の場合と同じです。一般的な被せ物の銀歯を1個つくる場合、型を取って装着するまで1週間ほど必要ですが、
セラミックの場合は10日ほど。若干日数を要しますが、
セラミックだからといって、それほど時間がかかるわけではありません。
自費診療の場合、以前は金が使われていたと思うのですが?
金は安定した素材なので金属アレルギーが起こりにくく、耐久性があり、外れにくいので素材的には非常に優れています。ただ、
金歯にしたところは
かなり目立つので、やはり審美的によくないですよね。年配の方の中には「金でお願いします」という方もいらっしゃいますけれど、近年は
セラミックが多いですね。
金は使用する量で価格が変わりますが、費用的には
セラミックと大差ありません。
セラミックの治療をした場合、アフターケアは必要ですか?
セラミックは耐久性が高く変色の心配もないので、アフターケアが不要だと思われている方もいらっしゃいますが、そんなことはありません。せっかく
セラミックを入れても、歯周病になってしまったら元も子もありません。
歯科医院でメンテナンスもしっかりと行なって欲しいと思います。
歯のメンテナンスで歯医者さんに通うとすれば、どれくらいの頻度で通院すればいいのですか?
セラミックに限らず、アフターケアは重要です。当院では治療後も経過を見て、患者さんのケアを行なっていきたいと考えています。1カ月毎に来院されている方もいらっしゃいますが、
最低半年に1回はケアしたほうがいいと思います。
患者さんにはお葉書で定期メンテナンスのお知らせを出していますが、治療が終わった日に、次のメンテナンスの予約を入れる方もいらっしゃいます。定期的なメンテナンスは、病気の早期発見・治療にもつながりますので、ぜひ受けていただきたいと思います。
ホワイトニングはどのようにして行なうのですか?
ホワイトニングの方法にはいろいろありますが、当院では歯科医院で行なう
オフィスホワイトニングと、ご自宅で薬剤と専用のトレーを使う
ホームホワイトニング・ケアの両方を提供しています。
ホワイトニングを行なうことで、薬が歯に悪い影響を与えることはありません。カウンセリングや検査を行なってから治療を進めていきます。詳しく知りたい方はお問い合わせいただければと思います。
審美治療を含め、治療全般に関して立川さくら歯科クリニックではどのようなことに留意していますか?
患者さんのご要望にできるだけ応えられるように、じっくりとお話をお聞きすることを心がけています。現状を確認させていただいてから、ご希望をお聞きしたうえで治療プランの説明を行います。決して無理強いはせず、ご納得いただいた上で治療方針を決定いたします。
その他、Medical DOCの読者にメッセージなどがあればお願いします。
立川さくら歯科クリニックは、私をはじめ女性スタッフが多いのが特徴です。女性ならではの気配りで、きめ細かな配慮でリラックスして治療を受けていただけるように心がけています。ご要望に沿えられるよう、保険診療でも自費診療でも、ご予算に応じていろいろな治療法のご提案が可能ですので、どうぞお気軽にご相談ください。
虫歯治療などでの詰め物や被せ物は、以前は銀歯や金歯が主に使用され、見た目の悪さから治療をためらった人も多かったことでしょう。現在では優れた素材が開発され、見た目の悪さはほぼ解消されています。なかでもセラミックを用いた治療法は、年齢性別を問わず、歯をきれいに見せたい方、歯・体全体を大切にお考えの方におすすめです。これまで歯にコンプレックスを抱いていた方は、セラミックの歯を入れることで自然な笑顔を取り戻せるのではないでしょうか。自費診療で費用はそれなりに必要ですが、ストレスのない明るい人生を送ることができると考えれば、それほど高い投資にはならないようにも感じました。
医院情報
立川さくら歯科クリニック
所在地 |
〒190-0012
東京都立川市曙町2-18-18
MEGAドン・キホーテ2F
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アクセス |
JR中央本線 立川駅 徒歩4分 |
診療内容 |
歯科一般 審美治療 ホワイトニング 歯周病治療 小児歯科 インプラント 他 |