目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 歯科TOP
  3. コラム(歯科)
  4. 歯科医に聞く「矯正治療と金属アレルギー」歯列矯正はアレルギー体質でも治療できる?

歯科医に聞く「矯正治療と金属アレルギー」歯列矯正はアレルギー体質でも治療できる?

 公開日:2023/05/01
歯科医に聞く「矯正治療と金属アレルギー」歯列矯正はアレルギー体質でも治療できる?

金属アレルギーの人が歯科治療を受ける場合、あらかじめその旨を担当医に伝えて治療に配慮してもらう必要があります。これは歯列矯正も例外ではなく、矯正装置の中にはアレルゲンとなる金属が用いられているものもあるため注意が必要です。今回は、金属アレルギーの方が矯正治療を受ける際に気をつけたいことや、安心して受けられる治療法などを「つみき矯正歯科稲毛」の戸嶋未妃先生にお聞きしました。

戸嶋 未妃

監修歯科医師
戸嶋 未妃(つみき矯正歯科稲毛)

プロフィールをもっと見る
東京歯科大学卒業。同大学歯科矯正学講座研修過程修了。東京歯科大学水道橋病院、都内歯科医院での勤務を経た後、「つみき矯正歯科稲毛」の副院長に就任。日々の診療では女性ならではの目配り・心配り・気配りを大切にしている。日本矯正歯科学会認定医。東京矯正歯科学会、日本口蓋裂学会の各会員。

金属アレルギーだと歯科の矯正治療は受けられない? 歯列矯正の器具・装置に金属アレルゲン物質は含まれる?

金属アレルギーだと歯科の矯正治療は受けられない?歯列矯正の器具・装置に金属アレルゲン物質は含まれる?

編集部編集部

金属アレルギーがある人でも、矯正治療は受けられるのでしょうか?

戸嶋 未妃先生戸嶋先生

結論、金属アレルギーがあっても矯正治療はできます。ただし、治療で使用する装置の中には金属を用いたものもあるため、治療に際しては必ず金属アレルギーがある旨を矯正医に伝えるようにしてください。そうしていただくことで、歯科医側から金属アレルギーに配慮した装置を提案してもらえるようになります。

編集部編集部

矯正装置や器具に含まれる金属アレルギーの原因物質(アレルゲン)に、どのようなものがありますか?

戸嶋 未妃先生戸嶋先生

金属アレルギーを引き起こす原因物質(アレルゲン)では、「ニッケル」「コバルト」「銀」「クロム」「銅」「錫(すず)」が代表的です。このうち、矯正治療で使用する装置には「ニッケル」「クロム」を含むものがあります。具体的には、ワイヤー矯正で用いられるワイヤーとブラケットです。これらが矯正装置に含まれる金属アレルギーの主なアレルゲンですが、患者さんによってはそのほかの金属に対してもアレルギー反応が起こる可能性もあるため注意が必要です。

金属アレルギー体質で歯科矯正を受けるリスクや注意点を歯科医が解説

金属アレルギー体質で歯科矯正を受けるリスクや注意点を歯科医が解説

編集部編集部

金属アレルギーの人が歯列矯正を受ける場合、起こり得るリスクにどのようなことがありますか?

戸嶋 未妃先生戸嶋先生

一番は、お口の中や全身に生じるアレルギー反応です。具体的な症状に、口内炎や唇の腫れ、湿疹、かゆみ、赤みなどの症状があります。また、症状が重い場合は意識障害なども起こり得ます。ただし、重度のアレルギーの人の場合は、その前にほかの症状が表れるはずなので、そこまで重篤な状態に至るケースは非常に稀です。

編集部編集部

これまで金属アレルギーの自覚がなかった人でも、そのような症状がでてしまうこともあるのでしょうか?

戸嶋 未妃先生戸嶋先生

可能性としてはあり得ます。ただ、矯正治療をきっかけに金属アレルギーの症状が出るというのは非常に珍しいケースだと思います。とくに女性の場合は、ネックレスやピアスなどをつける機会も多いので、アレルギーの自覚のある人は割と多いようです。その一方で自覚の機会がこれまでなく、自身が金属アレルギーであることに気づいていない人もいらっしゃいます。したがって、装置をつけた後に気になる症状が表れたら、速やかに担当歯科医に伝えるようにしてください。

編集部編集部

金属アレルギーのある人、またはアレルギーが心配な人が矯正治療を受ける場合に、どのような点に注意したらいいでしょうか?

戸嶋 未妃先生戸嶋先生

繰り返しになりますが、まずは金属アレルギーがあることや具体的なアレルゲン(金属名)などを担当歯科医に伝えることが重要です。そうしていただければ、歯科医側もアレルギーの起こりにくい・アレルギーの心配のない装置や治療法が提案できます。また、どの金属にアレルギーがあるかわからない場合は、料金や期間がかかってしまいますが、装置を少しだけ装着してみて反応を見ることも可能です。

編集部編集部

アレルギーのリスクを軽減するために、まずは歯医者さんに自分が金属アレルギーであることを伝えることが大切なのですね。

戸嶋 未妃先生戸嶋先生

そうですね。一口に金属アレルギーといっても、軽度のものから重度のものまで多岐にわたります。例えば、金属アレルギーがある人でも、お口の中に銀歯が入っていて症状のない人も実際にいらっしゃいます。そういう場合は、矯正治療もとくに心配はありません。

金属アレルギーがある人におすすめの歯列矯正方法 金属を使わない(メタルフリー)セラミックブラケットやマウスピース型矯正は安全?

金属アレルギーがある人におすすめの歯列矯正方法  金属を使わない(メタルフリー)セラミックブラケットやマウスピース型矯正は安全?

編集部編集部

金属アレルギーの人でも安心して治療ができる矯正装置を教えてください。

戸嶋 未妃先生戸嶋先生

ワイヤー矯正の場合であれば、セラミック製のブラケットが金属アレルギーの人には適しています。また、金属でも「チタン」はアレルギーを起こしにくいため、金属アレルギーの人にも使用が可能です。ワイヤー矯正以外では、マウスピース型矯正であれば金属アレルギーの方でも安心して治療を受けていただけます。

編集部編集部

マウスピース(アライナー)矯正は金属アレルギーの方でも問題ないのですね。

戸嶋 未妃先生戸嶋先生

はい。マウスピース型矯正は金属が使用されないため、金属アレルギーの方には適しています。ただし、マウスピース型矯正はすべての歯並びに適応できる治療法ではありません。歯並びの状態によっては選択できないこともあるので、その場合は先にご紹介したセラミックブラケットやチタン製のワイヤーなどで対応していきます。

編集部編集部

最後に、読者へメッセージをお願いします。

戸嶋 未妃先生戸嶋先生

金属アレルギーがあるからといって、矯正治療を諦める必要はありません。近年は医療技術や材料の発展によって、金属アレルギーの人でも安心して治療できる装置が増えています。アレルギーに関して不安なこと、疑問に思うことがあれば、遠慮せずに矯正医にご相談ください。

編集部まとめ

矯正治療で用いられる装置の中には、金属アレルギーのアレルゲン(原因物質)が含まれる装置も一部にあります。一方で、近年は昔にはなかった治療法や矯正装置が誕生し、金属アレルギーのある人でも安心して治療が受けられるようになっています。アレルギーが不安で治療を迷っている場合は、1人で悩まずにまずは矯正医に相談してみましょう。

医院情報

つみき矯正歯科稲毛

つみき矯正歯科稲毛
所在地 〒263-0043 千葉県千葉市稲毛区小仲台6-19-28 FYSIIIビル1F
アクセス JR「稲毛駅」 徒歩3分
診療科目 矯正歯科

この記事の監修歯科医師