銀歯が原因で金属アレルギーを発症するって本当?
虫歯の一般的な治療とされている銀歯。確かに保険適用されるので価格は安いのですが、それだけで判断するのはもしかしたらリスクかもしれません。肌に金属が触れるとアレルギー反応がでる人はいますが、口の中に入れる銀歯でも症状がでる可能性があります。それ以外で、金属アレルギーでない人も銀歯によって金属アレルギーを発症してしまうことはあるのでしょうか? だとしたら、銀歯の代わりにどんな素材を選ぶべきでしょうか? 銀歯と金属アレルギーついての疑問を、アンチエイジングデンタルクリニック恵比寿の小川先生に聞いてきました。
監修歯科医師:
小川 朗子(アンチエイジングデンタルクリニック恵比寿 院長)
鶴見大学歯学部卒業。用賀歯科デンタルクリニックに勤務、南青山デンタルクリニックで副院長を経た後、2006年にアンチエイジングデンタルクリニック恵比寿を開院。単に歯を治すのではなく、歯科におけるアンチエイジングの観点を大切にし、今まで以上にキレイで健康的な口になって欲しいと、患者さんの治療に取り組んでいる。日本抗加齢医学会認定専門医、高濃度ビタミンC点滴認定医、インディアナ大学歯学部日本矯正歯科プログラム認定医。日本抗加齢医学会、抗加齢歯科医学研究会、ドライマウス研究会、日本審美歯科学会、日本矯正歯科学会の各会員。
発症まで2年ほどかかる銀歯のアレルギー
編集部
銀歯でアレルギーが起こると聞いたことがありますが本当でしょうか?
小川先生
歯に銀歯を使うことでアレルギーが起こる人は、いらっしゃいます。金属アレルギーなどが元々ある人はつける前から注意が必要ですが、そうでない人も銀歯によりアレルギーが発症することはあります。
編集部
どのような症状が起こるのですか?
小川先生
顔や手に赤い湿疹がでる、口のまわりに赤いブツブツができる人が多いようです。中には手の甲や足の裏など、歯から離れた場所で湿疹がでる場合もあります。
編集部
銀歯が触れる口の中にでるわけではないのですね。症状はすぐにでるのですか?
小川先生
銀歯をつけた直後にでることは、ほとんどありません。即時型のアレルギーではなく、年単位で症状は現れます。銀歯をつけてから、数ヶ月から2年くらい経過してからでることが多いですね。
編集部
アレルギーがわかるまでに2年もかかるんですか! アレルギーがわかったら、銀歯は外すのでしょうか?
小川先生
人によりますが、銀歯を外してほかの素材に変える人もいます。銀歯を取り除くと、アレルギーも徐々に消えていきますよ。
溶けて蓄積した銀によりアレルギーを発症
編集部
銀歯を入れる前に、金属アレルギー検査などは行うのですか?
小川先生
元々金属アレルギー体質の人には、皮膚科で歯科用の金属パッチテストなどを受けてもらっています。ただ、そうでない人に、金属アレルギー検査を勧めることはあまりないですね。
編集部
銀歯を入れてアレルギーが起こるのはなぜなのですか?
歯に入れた銀歯に含まれる金属イオンが少しずつ溶けていき、体の中に蓄積されてアレルギーが発症します。だから発症するのに時間がかかるのです。個人的には銀歯はあまりおすすめしませんね。
編集部
それは金属アレルギーが起きるからですか?
小川先生
それもありますし、銀歯は空気に触れた瞬間から酸化し始め、高温多湿の口の中で少しずつ錆びていきます。そして唾液や食物の酸で腐食して噛むときの摩擦により溶けていきます。わかりやすく例えると、銀のスプーンをずっと舐めているような感じです。その溶けた有害金属が長年かけて体の中に蓄積するので、体にとってよいということはありません。
保険適用外なら銀歯以外の素材も
編集部
では、銀歯の代わりにどのような素材を入れるのがいいのですか?
小川先生
一般的にはゴールド、セラミック、ジルコニア、コンポジットレジンなどが使われることが多いですね。素材によっては銀歯よりも費用は高くなってしまいますが、その分メリットも大きいです。
編集部
どういったメリットがありますか?
小川先生
銀歯と比べて、これらの素材はアレルギーをもつ人がゼロではありませんが、ない人がほとんどだと思います。ほかにも素材によってそれぞれメリットがあります。例えば、ゴールドは銀歯と違って有害重金属(有害ミネラル)を含んでいないので比較的安心です。ちなみに歯科用金属に含まれる有害金属とは、パラジウム、銀、コバルトクロム、ニッケルなどのことです。また、歯に近い硬さなので機能面も優れています。セラミックなどの素材は、違和感なく色を自然歯に合わせることができるため、審美的な側面でのメリットが挙げられます。
編集部
一方で最近でも銀歯を入れる人がいますが、なにかメリットがあるのでしょうか?
小川先生
銀歯は保険適用になるため、価格が安いというのは魅力だと思います。保険適用であればプラスチック素材でもいいのですが、虫歯が大きいと使うことができません。その場合は保険適用だと、銀歯を使わざるを得ないケースもあります。
編集部
最後に、読者へのメッセージがあれば。
小川先生
銀歯はあまりおすすめはしたくないですが、予算的に保険適用外の治療が難しい人もいると思います。現在は歯の位置や条件によっては、保険で白い歯を入れられるところもあります。もし銀歯以外で探している場合は、対応しているクリニックを探してみるとよいと思います。
編集部まとめ
金属アレルギーでなくても、銀歯を入れたことでアレルギーが発症することもあるようです。 即時型のアレルギーではなく年単位で発症するのが、銀歯によるアレルギーの特徴です。先生いわく銀歯はあまりおすすめではないため、ほかの素材も含め検討してみるのがよいでしょう。
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診療科目 | 歯科 |