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歯が欠けたときの治療 被せ物の種類別メリット・デメリットを解説

 更新日:2023/03/27
歯が欠けたときの治療 被せ物の種類別メリット・デメリットを解説

歯が欠損した場合、被せ物をする補綴(ほてつ)治療を行うのが一般的です。しかし実際は、被せ物といっても素材や機能によってさまざまな種類があり、どれを選ぶべきか、素人にはわかりません。そこで、木村歯科の木村卓哉先生から、補綴治療の種類別にメリットとデメリットを教えてもらいました。

木村先生

監修医師
木村 卓哉(木村歯科 院長)

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1995年大阪歯科大学卒業、その後、大阪歯科大学欠損歯列補綴咬合学講座所属。神戸の地で開業して40年以上になる木村歯科の院長に就任し、専門分野である補綴修復に注力。治療後の定期的なメンテナンスによって、治療箇所、さらには口腔全体を長期的に健やかに保つことを心掛けている。その他、審美歯科(補綴修復治療)、矯正歯科、インプラント治療なども行う。丁寧でわかりやすいカウンセリングと双方向のコミュニケーションを心がけ、機能性や審美性だけでなく、噛み合わせも念頭に置いた「総合治療」を提供している。

「補綴治療」とは、一体どんな治療のこと?

「補綴治療」とは、一体どんな治療のこと?

編集部編集部

補綴(ほてつ)治療とは、どのような治療のことですか?

木村先生木村先生

一般的に、むし歯や歯周病、怪我などで歯を失ってしまったとき、人工的に歯を補う治療のことを補綴治療といいます。

編集部編集部

歯を失うといっても、「歯を完全に失った場合」と「歯を削ったり欠けたりして一部を失った場合」の両方がありますよね。どちらも補綴治療を行うのですか?

木村先生木村先生

そうです。補綴治療にはさまざまな種類があり、歯を完全に失った場合には入れ歯やブリッジ、インプラントを、歯の一部を欠損した場合にはクラウン(被せ物)の治療を行います。

編集部編集部

それらを全部合わせて、補綴治療というのですね。

木村先生木村先生

正確にいえば、補綴治療はもっと細かく分類されます。たとえば歯の一部を欠損した場合に行うクラウンの治療にも、クラウンに使用する素材によってさまざまな種類があり、それぞれにメリットやデメリットがあるので、歯の機能を取り戻すには、自分の状況に応じて適切な選択が大切です。

保険適用の「被せ物」には、どんなものがある?

保険適用の「被せ物」には、どんなものがある?

編集部編集部

クラウンにもいろいろな種類があるため、自分に適しているのがどのクラウンなのか、見極めなければいけないということですね。

木村先生木村先生

そうです。大きく分けて、クラウンには保険適用の素材と、保険適用外の素材があります。保険適用外の素材は自費になるため出費が大きくなりますが、その分、保険適用に比べて素材や材質の選択肢が増え、仕上がりも美しくなります。

編集部編集部

まず、保険適用のクラウンには、どのようなものがありますか?

木村先生木村先生

代表的なものに、硬質レジンジャケット冠(コンポジットレジンジャケット冠)があります。これはコンポジットレジンという、高い強度を持ったプラスチックを使ったクラウンのことです。ただし、健康保険では前歯の領域だけに適用され、奥歯には適用されません。

編集部編集部

硬質レジンジャケット冠には、どのような特徴がありますか?

木村先生木村先生

金属を使っていないので、金属アレルギーの人でも使用できるというのがメリットです。その一方、金属に比べてすり減りやすく、柔らかいので、使用しているうちに削れやすいというデメリットがあります。

編集部編集部

そのほか、保険適用の被せ物には、どのようなものがありますか?

木村先生木村先生

CAD/CAM冠という治療法もあります。これは、プラスチックとセラミックの混合物であるハイブリッドレジンブロックを素材に、コンピューターを使って精密に作るものになります。原則、前歯から第一大臼歯(きゅうし)までが保険適用になります。

編集部編集部

保険適用の被せ物だけでも、いろいろな種類があるのですね。

木村先生木村先生

ほかにも金銀パラジウム合金という、いわゆる「銀歯」があります。金属なので強度があるのがメリットですが、銀色なので口のなかで目立ちやすいことがデメリット。また、銀歯の材料の金属から金属イオンが放出されるため、経年的に歯や歯ぐきが黒ずむこともあります。加えて、金属アレルギーの人はアレルギー症状が出やすい傾向にあります。

審美性にこだわるなら「保険適用外」という選択肢も

審美性にこだわるなら「保険適用外」という選択肢も

編集部編集部

それでは、保険適用外の被せ物には、どのようなものがありますか?

木村先生木村先生

よく使用されるものは、セラミックを使用した被せ物です。セラミックは、茶碗などにも使われている陶材。白くて美しく、強度も十分であるため、審美的にも、また、機能的にも優れた治療といえるでしょう。ただし、「セラミックを使用している」といっても、実際には100%セラミックのものや、金属とセラミックを併用しているものなど、さまざまな種類があります。

編集部編集部

具体的には、どのような種類があるのですか?

木村先生木村先生

見た目が美しいのは、オールセラミックです。保険適用の硬質レジンジャケット冠(コンポジットレジンジャケット冠)に比べて強度が高く、見た目も美しいうえ、長期間使用してもほとんど変色しないのが特徴です。ただし、セラミック製のクラウンのなかでは強度が劣り、割れやすいという難点があります。

編集部編集部

ほかには、どのような種類がありますか?

木村先生木村先生

表面がセラミックで、内側が貴金属のメタルボンドや、人工ダイヤのジルコニアを使ったジルコニアクラウンがあります。どちらもすぐれた強度の治療法ですが、特にジルコニアクラウンは強度にすぐれ、見た目も美しいのが特徴です。

編集部編集部

本当にいろいろな種類があるのですね。

木村先生木村先生

またセラミックではありませんが、いわゆる「金歯」のゴールドクラウンもあります。それぞれ見た目や強度が異なりますし、価格も変わってきます。また、歯科医院によっても用意しているクラウンの種類も違うので、あらかじめよく確認することをおすすめします。

編集部編集部

たくさんの種類のなかから、自分に適したクラウンを選ぶにはどうしたら良いでしょうか。

木村先生木村先生

歯科医師によって意見が分かれると思いますが、私が行う治療では、奥の歯と前の歯で、素材を変えることも比較的多くあります。どの歯に治療を行うかによって、必要な要件は変わりますし、審美面を配慮すべきか、それとも、見た目の優先順位はそれほど高くないのかで変わってきます。私であれば臼歯の場合メタルボンドを、また、前歯は審美を重視したものを使うことが多いです。ただし、噛み合わせなど機能面も考慮して被せ物の素材を選ばなければならないので、詳しくは歯科医師に相談しましょう。

編集部編集部

最後にメッセージをお願いします。

木村先生木村先生

金属製の被せ物を作る場合は、削って歯の形に合わせますが、セラミック製の場合はセラミックを補うなどして、もっと細かく調整することができます。そのため、精度の高い治療を受けたいと思ったら、セラミックでできた被せ物を選ぶのがお勧めです。ただし、クラウンにもいろいろな種類があるので、しっかりカウンセリングを受け、納得してから治療を始めるようにしましょう。

編集部まとめ

補綴治療といっても、さまざまな選択肢があります。保険適用のものにするか、自費診療のものにするか、また、審美面を重視するのか、価格を重視するのかなど、選び方もいろいろあります。口腔内の状態によっても最適な選択肢は変わりますので、補綴治療を行う時は歯科医師にじっくり相談するようにしましょう。

医院情報

木村歯科

木村歯科
所在地 〒651-0087 神戸市中央区御幸通8-1-6 神戸国際会館13階
アクセス JR「三ノ宮」駅、阪急「三宮」駅、阪神「三宮」駅、ポートライナー「三宮」駅、地下鉄「三宮」駅より各徒歩3分

診療科目 一般歯科、予防歯科、審美歯科、インプラント

この記事の監修歯科医師