歯科医師が語る根管治療「歯を抜かないという 選択肢」【札幌市 大通り吉田歯科医院】
しかし、歯科治療を進めていくなかで「歯を抜かなければならない」と選択に迫られるシーンは、誰にでも訪れる可能性があります。特にインプラント治療に力を入れている歯科クリニックでは、抜歯をしてインプラントにすることをすすめられるケースも考えられるでしょう。しかし、本当にインプラントという選択肢だけが良いのでしょうか?
そこで今回は、インプラント治療に詳しい【大通り吉田歯科医院 吉田博志先生】に、インプラントではなく、あえて根管治療を選ぶことのメリットと、根管治療を検討したときの歯科医院の選び方について解説をしていただきました。
大通り吉田歯科医院 院長
東北歯科大学(奥羽大学)卒業後、東北歯科大学口腔外科で6年勤務。1990年からは補綴を学ぶためコロンビア大学歯学部留学。その後、1994年に大通り吉田歯科医院を開業し現在に至る。日本口腔インプラント学会、日本メタルフリー歯科学会など多数の学会にも参加。
根管治療で歯を抜くのを回避できる?
もちろん、根管治療がその方にとって必ずしも適しているとは限りませんが、自分の歯を残すことには大きなメリットがあります。
根管治療のメリットを理解するためにも、まずは「根管治療」がどのような歯科治療か理解していきましょう。
目次 -INDEX-
根管治療とはどんな歯科治療?
根管治療とは、その名のとおり「歯の根」にまつわる治療のことです。根管治療は、おもに歯髄(しずい)に炎症や感染が起こったときに行われます。
また根管治療は、歯に穴を開けて歯の神経を抜き、被せ物で開けた穴を塞いでいくという治療です。これだけ聞くと「少し怖い」「痛そう」と感じるかもしれませんが、根管治療は一般的に局部麻酔を使用して行う治療のため、強い痛みを感じることはほとんどありませんので、安心して治療を受けられることでしょう。
歯髄の炎症や感染の原因
- 虫歯
- 歯の亀裂
- 外傷 など
上記のような原因で起こった歯髄の炎症や感染をそのまま放置すると、歯の痛みや歯肉の腫れはますます悪化していくことが考えられます。
また悪化が進めば、満足に食事ができない状態になるといった日常生活への支障も起こりかねません。
さらに、歯髄の炎症は、こういった一般的な症状だけでなく、リンパ節が腫れる・発熱するなどの「全身的な影響」を引き起こすこともあるのです。
そして日常生活に支障が出る、全身症状が出るようになると、根管治療が検討されるというケースが多いことでしょう。
では実際のところ、根管治療を行うとどのようなメリットがあるのか、考えていきましょう。そもそも根管治療は、歯の痛みの原因を根源から軽減し、「再び自分の歯できちんと噛む」ことを目指すための治療です。
こうして自分の歯を残してきちんと噛めるようになることは、虫歯や歯周病のリスクの軽減に繋がりますし、食事を楽しみ生活の質を上げることにも役立つと考えられます。
以上のことから、根管治療で歯を残すことにはメリットがあるといえるでしょう。
抜歯する必要があるのはどんなとき?
根管治療で「自分の歯を残す」ことのメリットは、ご理解いただけたことと思います。
では、根管治療が適応にならず、歯を抜かなければいけなくなってしまうのはどのようなときなのでしょうか。
大通り吉田歯科医院の吉田博志先生によると、抜歯は以下の3つの症状が現れた際に必要になると考えられるといいます。
- 歯が割れているとき
- 歯冠部(しかんぶ)(※)がなくなったとき
- 歯周病により根を支えている骨がなくなってしまっているとき
※歯冠部とは
歯全体のうち、歯肉部分よりも上側にある「歯の上側の部分」のことです。エナメル質に覆われ、冠状になっています。
このような状態に陥っていると物理的な歯の修復は難しく、抜歯が選択されることが多いと吉田先生はおっしゃっていました。
他の医院で抜歯しなければいけないと言われた……
実際に歯科医院で「抜歯しなければならない」と言われてしまい、ショックを受けてしまった経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ただ、最近は歯科医院で抜歯を告げられても、「本当に歯を抜かなければいけないのか?」と疑問を感じ、ほかの歯科医院で「セカンドオピニオン(※)」を受けて意見を求める方も増えているといわれています。
これについて吉田先生は、以下のようなエピソードをお話してくださいました。
大通り吉田歯科医院にも、「抜歯しないといけないと言われたが、ほかの治療法はないか」と相談に来られる患者さまが多くいらっしゃいます。ただし抜歯診断のセカンドオピニオンで来院された場合、根っこだけが残った状態(残根)でない限り、歯を残せる可能性があります。
またインプラントのセカンドオピニオンであっても、抜かなくても良いケースが多いといえるでしょう。その割合でいうと、セカンドオピニオンのご相談でいらした約3割の方は抜かなくても良い状況というのが当院の現実です。
このことからも、きちんとした診断を受けて、自分の意思で治療を選択する事が大事だといえるでしょう。
※セカンドオピニオンとは
第二の意見という意味で、ほかの病院の医師に診断内容や治療方法などについて意見を求めること。
あくまで吉田先生の概算による数字とはいえ、「インプラントのセカンドオピニオンを受けた方の、約3割が抜歯の必要がない」というお話には驚きを隠せません。
「可能な限り自分の歯を残したい」という思いは年齢を重ねるたびに増してくるものでしょうし、上記でも説明したように自分の歯を残すことにはメリットがあります。
だからこそ、たとえ歯科医師に抜歯をすすめめられたとしても、納得いかない場合は複数の歯科医師に意見を求めることで歯を抜かずに済む可能性があるといえるのです。
では歯科医院では、治療方法の選択についてどのような説明してもらえるのでしょうか。
次はこの点について伺ってみましょう。
編集部
来院した方から根管治療について相談されたとき、吉田先生はどのように説明をなさっていますか?
吉田先生
まず写真をお見せして、現状をきちんと正直に伝え、今の状態がどのようになっているか正しく理解してもらえるように心がけています。
また、治療方法は「ご自身」で決定してもらうことになりますから、「すべての治療の選択肢」を提示するようにしていますね。
根管治療は「歯の根」という見えないところの処置になるので、説明の時間をしっかりとり、似たような症例を見せて理解を深めていただいただくことも重要な取り組みだと考えています。
ただし最終的に治療方法を選ぶのは患者さまご自身になりますので、できる限りのことはしていきたいです。
今はインフォームドコンセント(※)を重視している歯科医院が増えていますので、どのような治療かよくわからずに治療を受けてしまったというケースは少なくなってきているといいますが、このように丁寧な説明を心がけている歯科医院が実際にあるということは、治療を検討するうえで非常に心強く感じます。
もちろんインプラント治療自体を否定するわけではありませんが、根管治療という「歯を抜かない歯科治療」があることを知っておくと、治療の選択肢が広がります。
自分の希望や歯の状態に合った「後悔のない選択」をするためにも、丁寧にカウンセリングしてくれる歯科医師を選ぶようにしましょう。
※インフォームドコンセントとは
治療について医療側から事前に説明を受け、患者自身が正しく治療の内容を理解し「自分自身や家族の意思で同意」したうえで治療を進めていくこと。
根管治療は痛いって聞いたけど……
根管治療は歯に穴を開ける治療ですので、さらに「痛みが強い」というイメージを持ってしまう方もいらっしゃるでしょう。
痛い治療が好きという方はいないでしょうし、治療の痛みで仕事や日常生活に影響が出てしまうのではと、根管治療を受けることに不安を感じていらっしゃる方もいるかもしれません。
ここからは、根管治療の痛みへの不安を解消するために、根管治療の痛みにどのように対処されているかについて吉田先生にお伺いしました。
もちろん、痛みの感じ方には個人差もあるでしょうし、先生のお話にもあったように「ほかの原因」によって痛みが出ることもありますが、大半は痛み止めや別の処置で対応してくださるといいます。
万が一治療後に痛みが出たときは、必ず歯科医師に相談し適切な処置をしてもらいましょう。
ここからは、歯の健康を保つために、根管治療とインプラント治療についてどのような知識を持っておく必要があるか考えてみましょう。
根管治療と比べたとき、インプラントにメリットはある?
歯科治療に限らず、治療はその方の状態や希望に合ったものを受けることが大切です。
そのため、インプラント治療と根管治療と比べて「どちらが優れている」と断言できるわけではありません。
ただし、根管治療とインプラント治療のどちらも選択できる状態であった場合、インプラント治療にメリットはあるのでしょうか。
吉田先生の考えを、お伺いしてみましょう。
インプラント治療にも多くの知見を持つ吉田先生から「根菅治療と比較したときにインプラントのメリットはない」というご意見をいただけることは、とても貴重といえるのではないでしょうか。
安易にインプラントをすすめない、患者の歯の健康を第一に考えている吉田先生だからこそお伺いできるご意見ですね。
セカンドオピニオンを受けたいと多くの方が大通り吉田歯科医院に来院されている理由も想像できます。
根管治療とインプラント、両方の知見が求められる
歯の健康、お口の健康を考えたときには、できる限り歯を残すための処置が必要というは理解できましたが、実際に治療を検討したときにどのような歯科医院を選べばいいのでしょうか。
吉田先生
根管治療であれば無菌処置を徹底してくれる医師を選ぶことがポイントです。
札幌市内ですと提携している根管治療専門医院のカナルデンタルオフィスをご紹介しております。
カナルデンタルオフィスでは無菌処置を徹底し、世界基準の精度の高い治療を提供されています。
顕微鏡などの医療器具があるから良い治療ができるとは限りませんから、その点は注意してください。
インプラント治療に関しては、骨の状況をきちんと確認したうえで、審査・診断をしてくれる歯科医院を選ぶことが大切です。
初めの診断を誤ると、インプラント周囲炎(※)で骨がとけてしまいその後の処置が難しくなることがあります。
また、骨はインプラントの土台になるものです。そのため初めの診断が非常に大切になってきます。この点を考えても、しっかりとした診断をもとに施術をしてくれる医師を選ぶようにしましょう。
※インプラント周囲炎
プラーク(食べ物のカスが歯の表面につき細菌が増殖したもの)によって、インプラントやインプラント周辺の組織に炎症が起きること。
インプラント治療には見た目が良くなるというメリットがありますし、根管治療の適応にならない場合は、入れ歯やブリッジ以外の「治療の選択肢」が増えるというメリットもある、魅力のある歯科治療といえるでしょう。
しかし、吉田先生がおっしゃっているようにインプラント周囲炎のリスクがありますので、歯科医師選びには慎重になる必要があります。
インプラント治療にはインプラントのメリットがあるわけですから、根管治療が受けられる状態ではなかったとしても、一概に悲観する必要はありません。
ただし、歯の健康やお口の健康を考えたときには、できるだけ自分の歯を残せる処置をしてくれる歯科医師を選んだほうがいいでしょう。
歯の健康・お口の健康を保つためにも、根管治療が難しくインプラント治療になったときのリスクを軽減するためにも、以下のようなことに注意して歯科医院を選ぶようにしましょう。
- 根管治療とインプラント治療のどちらにも知見がある
- 納得できるまで、十分に説明してくれる
- 治療方法の決定については、患者自身の意思を尊重してくれる
- 自分の歯をできるだけ残すことを考えてくれる
- 根管治療では、無菌処置を徹底してくれる
- インプラント治療前に、骨の状態をきちんと確認し、診断をしてくれる
大通り吉田歯科医院の根管治療とインプラント治療の治療費
インプラント治療
治療費は、治療の部位や治療本数によって異なります。大通り吉田歯科医院では、診察を行った上で治療費の説明をしております。
医院情報
所在地 | 〒060-0042 北海道札幌市中央区大通西4-1 新大通ビル5F |
アクセス | 地下鉄「大通駅」3番出口 地下直結 |
診療内容 | インプラント治療・予防治療・歯科検診・虫歯治療・根管治療・歯周病治療・親知らず・審美治療(ホワイトニング・歯肉ピーリング・美容治療)・骨造成治療 |