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「寒いと眠くなる」原因・対処法はご存知ですか?医師が徹底解説!

 公開日:2024/12/29

寒いと眠くなるとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

木村 眞樹子

監修医師
木村 眞樹子(医師)

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医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事。妊娠、出産を経て、産業医としても活動するなかで、病気にならない身体をつくること、予防医学の大切さを改めて感じるようになる。医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行なっている。
総合内科専門医、循環器専門医、睡眠専門医、認定産業医の資格を持つ。

「寒いと眠くなる」症状で考えられる病気と対処法

夏は朝もスムーズに起きることができて日中も活動的なのに、冬になると眠くて眠くて睡眠時間も長く、昼間もだるいといった経験があるかたもいるかもしれません。特に病気と関係なく、寒い時期になると眠くなる症状はでてくることがありますが、まれに病気が隠れていることもあります。
また、冬山で寝てはいけないといった言葉をきいたこともあるでしょう。「寒いと眠くなる」症状で考えられる病気と対処法について解説していきます。

寒いと眠くなる症状で考えられる原因と対処法

冬の寒い時期になると暖かい時期に比べて眠気を感じやすくなることを、寒いと眠くなると表現するかたもいるでしょう。
どうしても冬になると日の出の時間が遅くなるため朝起きるのがつらくなってしまうのが要因のひとつと考えられます。
つらくてもそれまでと同じ時間で起きるようにすること、朝食をしっかりとるなど体内時計をしっかりリセットすること、日中なるべく外で過ごす時間を増やすことで改善が得られるかもしれません。
また、睡眠の質を良くすることも心がけてみてください。就寝の1時間ほど前に入浴をすることで入眠しやすく、睡眠の質も改善が得られます。これは、入浴で深部体温が上がり、入眠のタイミングで深部体温が下がることでスムーズに眠りにつくことができるためです。
寒い時期になると強い眠気に襲われ、身体もだるい、日常生活にも支障がでるという場合には「冬季うつ」を発症している可能性もあるため、その場合には医療機関を受診するようにしてください。
もうひとつ、「寒いと眠くなる」というと冬山などが連想されるかもしれません。
寒いところに長時間いることで深部体温が下がり眠くなること、さらに、身体が冷えることで低体温症となり意識が朦朧としてしまうことが原因です。
冬山に限らず、身体が冷える環境で起き続けることで、眠くなってしまう可能性があります。
低体温に至るような環境に身を置かないことがいちばんの予防と対策です。身体を冷やしてしまう可能性がある場合には事前に防寒対策を講じるようにしてください。
低体温症に至ってしまった場合には救急要請、速やかに医療機関を受診することが必要です。

すぐに病院へ行くべき「寒いと眠くなる」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

体温が低い場合は、救急科へ

防寒対策が甘い状態で登山に臨んでしまう、雨に降られて衣服が濡れた状態で長時間過ごすことになってしまった、水の中で長時間にわたり過ごすことになり体温を奪われてしまうといった状況では低体温症の危険があります。
身体が冷え切った状態で眠くなってしまい寝てしまうとさらに体温が奪われて重篤な状態になりかねません。
主に遭難など災害時になるかと思いますが、速やかに救急要請し、医療機関で適切な処置を受けるようにしてください。

受診・予防の目安となる「寒いと眠くなる」ときのセルフチェック法

  • ・寒いと眠くなる以外に気分の落ち込む症状がある場合
  • ・寒いと眠くなる以外に太りやすい症状がある場合
  • ・寒いと睡眠時間が長くなる場合

これらの症状が2年以上続いて同じ時期におこる、春になると症状が改善する

上記がある場合には「冬季うつ/季節性感情障害」の可能性が考えられます。

また、季節性うつ病のチェックリストとしてSPAQ(Seasonal Pattern Assessment Questionnaire)という質問票が開発されており、広く利用されています。
チェックリストの点数が7点以下の場合は「正常範囲」、8~11点「冬季うつの前段階」、12点以上「冬季うつの可能性あり」です。
冬季うつの可能性がある場合には積極的に医療機関受診を、12点に満たない場合にも日常生活に支障がでていると感じている場合には医療機関を受診することをお勧めします。

変化なし(0点) 少し変化(1点) 中等度変化(2点) かなり変化(3点) 極端に変化(4点)
A.睡眠時間
B.人とのつきあい
C.全般的な気分の良さ
D.体重
E.食欲
F.活動性

「寒いと眠くなる」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「寒いと眠くなる」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

冬季うつ

寒い時期になるとうつ病になって眠気などの症状がでるのは冬季うつです。「季節性感情障害(気分障害)」「ウインター・ブルー」「季節性うつ」とよばれることもあります。
毎年のように寒くなる11月頃からうつの症状が始まり、暖かくなってくる3月頃に症状が改善してくるのが特徴です。
冬の時期になると日が短くなることが原因とされ、日を浴びる量が減ることで1日を通してメラトニンの量が増えてしまうことでセロトニンの働きにも異常を来してしまうことでうつ病の症状が出ると考えられています。
対策としてはできるだけ光を浴びるようにすること。日中は屋内の照明をつけておくようにし、太陽の光を浴びるために日中の散歩を増やすようにすることは大切です。また、体内リズムを整えるため、季節にかかわらず起床時間を変えないようにするようにしてください。
そのほか、一般的なうつ病と同じように内服治療を行うこともあります。セルフケアで対処できない場合、眠気や過食、倦怠感、気分に波があるといった症状で日常生活に支障を来す場合には精神科や心療内科など専門の医療機関を受診するようにしてください。

「寒いと眠くなる」ときの正しい対処法は?

寒い時期になると眠くなることには日照時間が大きく関わっています。光を浴びる時間が減ることでセロトニンという物質が減ってしまうのです。セロトニンは心を安定させる作用もあることから、セロトニンが不足することで気分の落ち込みにもつながります。
冬になると眠くなることについての対処法としてまずは光を取り入れる工夫をすること。
光を浴びることでセロトニンが分泌されますが、朝にはしっかりとカーテンを開ける、日中に散歩する時間を設けることで光を浴びる時間を増やすことができます。
また、軽い運動をすることでもセロトニンを増やすことができます。
リラックス効果や心地よい疲労感から夜の睡眠の質をあげることで昼間の眠気の改善にもつながるでしょう。
冬に日照時間が短くなるのは周期的に起こることで、それに伴い多少眠気が増強したり、気分が落ち込みやすくなるものです。しかし、それが日常生活、社会生活に支障を及ぼすことになる場合には季節性うつ病の可能性があります。うつ病に準じて内服薬といった治療も検討されますので医療機関を受診するようにしてください。

「寒いと眠くなる」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「寒いと眠くなる」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

寒いと眠くなるのは病気なのでしょうか。

木村 眞樹子医師木村 眞樹子(医師)

寒い時期、冬になると眠くなる、睡眠時間が長くなるのは病気ではありません。人は朝に光を浴びることで体内時計をリセットしますが、日の出の時間が遅くなることで、光を浴びる時間が遅くなり目覚める時間も遅くなる傾向にあります。就寝時間が変わらないにもかかわらず起床時間が遅くなることで必然的に睡眠時間は長くなるといえます。

寒い季節は寝ても寝ても眠さが取れません。冬季うつでしょうか?

木村 眞樹子医師木村 眞樹子(医師)

寒い時期は日照時間が短くなることも影響し、睡眠時間が長くなることが考えられます。日中にセロトニンが、夜にはメラトニンというホルモンが働くことで睡眠のリズムが作られますが、光を浴びる時間が短くなることでこのホルモンのバランスが乱れてしまいます。誰でも冬にはだるく、眠気が強くなる傾向にあるため一概「冬季うつ」とはいえないかもしれません。
しかし、冬になると異常な眠気に襲われる、意欲が極端に低下してしまい日常生活に支障を来す程度となると話は別です。2年続けて同じような時期になると生活に苦しむほどの眠気や疲れやすさ、抑うつを感じる場合には冬季うつを考え医療機関を受診してください。

寒くて体温が下がると眠くなるのはなぜなのでしょうか?

木村 眞樹子医師木村 眞樹子(医師)

人は眠りに入るときには深部体温が下がることが知られています。そのために就寝前に入浴をして深部体温をあげると睡眠の質があがるといわれるのです。
しかし、冬山などの極端な寒冷環境では深部体温が下がることで低体温症になってしまいます。低体温症で「寝る」のは生命維持活動が困難であり意識を失うということ。防寒ができていない状態で眠るのは死に至る状態の可能性があります。

寒いと眠くなるのですが、そのまま寝ても問題ないですか?

木村 眞樹子医師木村 眞樹子(医師)

冬になると睡眠時間が長くなるといった意味で眠くなる場合には問題ありません。
冬山などの極端に寒い環境で眠くなるのは寒さで体温が奪われて低体温症になっている状態を考えます。その状況で眠ってしまうのは意識を失う、命を落とすことにつながる可能性があるため回避すべきといえるでしょう。

まとめ

「寒いと眠くなる」ことについて解説しました。
冬になると眠くなるのは概ね気候によるものと考えてよさそうです。季節にかかわらず、同じリズムで睡眠時間をもつことや睡眠の質をあげることを心がけることで、寒い時期になると眠くなるという症状の改善が得られるかもしれません。
日常生活に困るほどの眠気や倦怠感を伴う場合には冬季うつなどを考え医療機関を受診するようにしてください。
あまりに寒い環境での眠気は低体温症、意識障害によるものの可能性を考えますので暖かくして速やかに病院を受診するようにしてください。

「寒いと眠くなる」症状で考えられる病気

「寒いと眠くなる」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

精神科の病気

内分泌系の病気

頭の病気や内分泌の病気などによって睡眠に影響が出ることがあります。

「寒いと眠くなる」に似ている症状・関連する症状

「寒いと眠くなる」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

「寒いと眠くなる」の症状の他にこれらの症状がある場合でも「特発性過眠症」「ナルコレプシー」「睡眠時無呼吸症候群」「うつ病」「甲状腺機能低下症」「副腎不全」などの疾患の可能性が考えられます。睡眠時間が長くなったり、気分がおちこみ、元気がなかったり、太りやすいなどの症状がある場合には、早めに医療機関を受診しましょう。

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