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生理痛・PMSは食事と薬でラクになる?婦人科医が教える痛みの原因と3つの治療選択肢

 公開日:2026/03/10

月経痛やPMSは、ホルモンの変動や子宮の収縮など、身体の自然な機能に伴って起こる症状です。痛みの種類や精神的な不調には個人差があり、日常生活に支障をきたす方も少なくありません。本記事では、月経痛とPMSのメカニズムを整理し、食生活や生活習慣による改善方法、医療機関での治療の選択肢について解説します。症状の程度に応じた対処を知ることで、自分に合ったケアを実践できるようになるでしょう。

馬場 敦志

監修医師
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)

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筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。

月経痛とPMSのメカニズム

月経痛やPMSは、多くの女性が経験する症状で、ホルモンの変動や子宮の収縮など、身体の自然な機能に伴って起こります。ただし、程度には個人差があり、日常生活に支障をきたすほど重い症状に悩む方もいらっしゃいます。

月経痛は、子宮内膜が剥がれ落ちる際に起こる子宮の収縮によって生じます。プロスタグランジンという物質が過剰に分泌されると、子宮の収縮が強まり、痛みが増すとされています。PMSは、月経前の1週間から数日間に現れる心身の不調で、イライラ、憂うつ感、乳房の張り、頭痛、むくみなど、多様な症状があります。

月経痛の種類と原因

月経痛には、機能性月経困難症と器質性月経困難症の2種類があります。機能性月経困難症は、特定の病気がないにもかかわらず起こる月経痛で、若い女性に多く見られます。プロスタグランジンの過剰分泌が主な原因とされており、子宮口が狭いことや冷えなども関係しているといわれています。

器質性月経困難症は、子宮内膜症や子宮筋腫などの婦人科疾患が原因で起こる月経痛です。この場合、原因となる疾患の治療が必要となります。年齢とともに月経痛が強くなる、鎮痛剤が効きにくい、月経時以外にも痛みがあるといった症状がある場合は、器質性の可能性があるため、婦人科での検査が推奨されます。

PMSの多様な症状

PMSの症状は、身体的なものと精神的なものがあります。身体的症状としては、乳房の張りや痛み、頭痛、腹痛、腰痛、むくみ、体重増加、肌荒れ、便秘などが挙げられます。精神的症状には、イライラ、怒りっぽくなる、憂うつ感、不安、集中力の低下、眠気、不眠などがあります。

PMSは、黄体ホルモンであるプロゲステロンの変動が関係していると考えられていますが、詳しいメカニズムは完全には解明されていません。セロトニンなどの神経伝達物質の変化も関与している可能性が指摘されています。症状の出方や程度は個人差が大きく、毎月同じパターンで現れることもあれば、月によって異なることもあります。

特に精神症状が強く、日常生活や対人関係に深刻な影響を及ぼす場合は、月経前不快気分障害(PMDD)と診断されることがあります。PMDDは、PMSよりも重度の症状を示し、専門的な治療が必要となる場合があるため、症状が重い方は医療機関への相談が推奨されます。

月経痛とPMSへの対処法

月経痛やPMSの症状を軽減するためには、生活習慣の見直しと適切な治療法の選択が重要です。症状の程度に応じて、セルフケアから医療機関での治療まで、さまざまな選択肢があります。軽度から中等度の症状であれば、生活習慣の改善や市販薬の使用で対処できることも多いでしょう。しかし、日常生活に支障をきたすほどの症状がある場合は、婦人科を受診し、専門的な治療を受けることが推奨されます。

生活習慣による改善

食生活の工夫は、月経痛やPMSの軽減に役立ちます。月経前や月経中は、カフェインやアルコール、塩分の過剰摂取を避けることが推奨されます。カフェインは血管を収縮させ、痛みを強める可能性があります。塩分の取りすぎは、むくみを悪化させることがあるでしょう。

ビタミンB6、マグネシウム、カルシウムなどの栄養素は、PMSの症状軽減に有効とされています。これらの栄養素を含む食品を積極的に摂取することが推奨されます。また、大豆製品に含まれるイソフラボンは、エストロゲンに似た働きをするため、ホルモンバランスを整える助けになるといわれています。

身体を温めることも効果的です。入浴で全身を温めたり、腹部や腰にカイロを当てたりすることで、血行が促進され、痛みが和らぐことがあります。適度な運動も血行改善に役立ちます。ウォーキングやストレッチなど、無理のない範囲で身体を動かすことが推奨されます。

医療機関での治療

市販の鎮痛剤は、月経痛の緩和に広く使用されています。痛みが出始めたら早めに服用することで、効果が得られやすくなります。ただし、使用量や頻度には注意が必要で、添付文書をよく読んで使用することが大切です。市販薬で効果が得られない場合は、医療機関を受診することが推奨されます。

婦人科では、症状に応じてさまざまな治療法が選択されます。低用量ピルは、ホルモンバランスを整え、月経痛やPMSの症状を軽減する効果があります。排卵を抑制することで、プロスタグランジンの産生を減らし、痛みを軽減します。また、月経周期を規則的にする効果もあります。

漢方薬も、月経痛やPMSの治療に用いられます。当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、加味逍遙散(かみしょうようさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などが、症状や体質に応じて処方されることがあります。漢方薬は、身体全体のバランスを整えることを目的としており、効果が現れるまでに時間がかかることもあります。

器質性月経困難症は、子宮内膜症や子宮筋腫などの婦人科疾患が原因で起こる月経痛です。この場合、原因となる疾患の治療が必要となる場合もあります。

まとめ

フェムケアは、女性が自分の身体を理解し、適切にケアすることで、生活の質を高めるための重要な概念です。デリケートゾーンのトラブル、月経に伴う症状、産後や更年期の身体の変化など、女性特有の悩みは多岐にわたりますが、正しい知識と適切な対処法を持つことで、これらの問題に向き合うことができます。日常生活でのセルフケアを基本としつつ、症状が重い場合や改善が見られない場合は、医療機関を受診することが推奨されます。自分の身体の声に耳を傾け、必要なケアを実践することで、より快適で健康的な生活を送ることができるでしょう。

この記事の監修医師