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「血管炎」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2025/01/24

血管炎とよばれる病気をご存じでしょうか。血管は血液を送る循環路として全身に張り巡らされています。そのため、どこかの血管で炎症などの問題が生じた場合、血管炎として全身に症状が広がってしまう恐れがあるのです。そこで本記事では、以下の3点について詳しく解説しています。

  • 血管炎の代表的な症状と原因

血管炎は比較的珍しい病気です。本記事を通して血管炎に関する知識を深めていただき、予防対策の参考にしてください。

※この記事はMedical DOCにて『「血管炎」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

血管炎の症状と原因

病気や問題を発見する女性医師

血管炎はどのような病気ですか?

血管炎とは、全身に広がっている血管に炎症が生じる病気です。血管は主に動脈・静脈・毛細血管の3つに分けられます。
動脈がもっとも太く、毛細血管がもっとも細いです。また、炎症が起きた血管の太さによって病名が異なります。太さごとの病名は以下の3種類です。

  • 大型血管炎
  • 中型血管炎
  • 小型血管炎

上記の血管炎をまとめて血管炎症候群とよびます。また、体の臓器や全身に渡って広範囲に悪影響を及ぼす血管炎を全身性血管炎とよぶため覚えておきましょう。

血管炎でみられる代表的な症状を教えてください。

血管炎の症状は、全身性血管炎から血管の太さによって症状が変わるものまで多くの種類があります。まずは全身性血管炎の代表的な症状からみていきましょう。全身性血管炎の代表的な症状には以下のものが挙げられます。

  • 発熱
  • 頭痛
  • 食欲不振
  • 倦怠感
  • 関節痛(筋肉痛)

また、影響を受けた臓器によっては以下の症状も表れます。

  • 腎不全
  • 高血圧
  • 肺炎
  • 消化管潰瘍
  • 神経炎

さらに血管の太さごとの症状についてもみていきましょう。

  • 大型血管炎(動脈)
    大動脈に炎症が起きた場合、高安動脈炎や巨細胞動脈炎などを引き起こす可能性があります。高安動脈炎の症状は、発熱や関節痛、全身の倦怠感などです。巨細胞動脈炎の症状は、側頭部の頭痛や視力低下、首や方などの痛みがみられます。
  • 中型血管炎(静脈)
    中動脈に炎症が起きた場合、結節性多発動脈炎や川崎病などの症状にかかる恐れがあります。結節性多発動脈炎は、40~60歳の中年層に多くみられる血管炎です。全身の症状として、38℃以上の高熱・体重減少・高血圧がみられます。川崎病は4歳以下の乳幼児に好発する病気です。高熱・両目の充血・手足の腫れが症状としてみられます。
  • 小型血管炎(毛細血管)
    毛細血管で炎症が起きた場合、顕微鏡的多発血管炎(MPA)やヘノッホ・シェーンライン紫斑症(IgA血管炎)といった血流障害や皮膚疾患が起こります。顕微鏡的多発血管炎とは、臓器の血管壁に炎症が生じることで、臓器組織に血流障害や壊死の症状が表れる病気です。肺機能の障害により、血たんや息切れなどが生じるでしょう。ヘノッホ・シェーンライン紫斑症とは、皮膚の細い血管に障害がでることで、紫斑・血疱・びらんなどが生じる病気です。皮膚障害の他に、関節症状や腎症状も併せて発症する可能性があります。

発症する原因を教えてください。

血管炎が発症する原因は、抗好中球細胞質抗体(ANCA)とよばれる自己免疫抗体が関係しているとされています。例えば、風邪を引いた際に細菌を倒して治そうとして自己免疫抗体が誤って血管を攻撃してしまうことがあるそうです。
その結果、血管内で炎症が起きてしまい、臓器や皮膚障害につながるとされています。こうして引き起こされる病気をANCA関連血管炎とよばれ、以下の3つの血管炎が該当します。

  • 顕微鏡的多発血管炎(MPA)
  • 多発血管炎性肉芽腫症(GAP)
  • 好酸球性多発血管炎肉芽腫症(EGPA)

血管炎は難病に指定されていると聞いたのですが…。

血管炎の症状の中で顕微鏡的多発血管炎(MPA)とよばれる血管炎は難病に指定されています。名前のとおり、顕微鏡を使用して観察できる小型の血管壁に炎症を起こす病気です。腎臓の糸球体や肺の毛細血管を壊死させる恐れがあります。
国内の年間発症者は100万人中18人と珍しい疾患であり、60~70代の高齢者に多く発症するようです。発症すると、発熱・食欲全身の倦怠感・体重の減少といった全身症状がみられます。
さらに腎臓や肺の機能障害により、血尿や肺胞出血などの症状を伴う可能性がある病気のため注意が必要です。

編集部まとめ

案内する笑顔の女医
本記事では、比較的珍しい病気である血管炎に関するさまざま情報について解説してきました。

血管炎は体内の血管内で炎症が起こることで全身や臓器に障害が起こる病気です。

血管炎の初期症状として、発熱・倦怠感・体重減少などが挙げられます。臓器に影響がある場合、腎不全・高血圧・肺炎などが引き起こされます。

血管炎を発症する原因として、抗好中球細胞質抗体(ANCA)とよばれる自己免疫抗体が関係しているとされていますが、正確な原因は未だ解明されていません。

血管炎は、症状が進行して長期化することで人体にさまざまな悪影響を及ぼす危険な病気です。血管炎の疑いがある場合には、膠原病内科または神経内科を受診しましょう。

病気は早期発見・早期治療するに越したことはありません。そのため、定期的に診察を受けて自身の体の状態を常に把握しておくことが大切です。

本記事が、血管炎で悩む方の参考になれば幸いです。

この記事の監修医師