「睡眠の質を高める寝る姿勢」 姿勢に加えて睡眠の質を向上させるための一工夫とは
「アンポ接骨院」院長の安保先生によると、寝るときの姿勢は仰向けが良いそうですが、落ち着く寝方は人それぞれです。仰向け以外でも睡眠の質を高められる方法はあるのでしょうか。さらに良い睡眠をとるためのポイントをお聞きしました。
監修柔道整復師:
安保 純一(アンポ接骨院)
編集部
仰向けが一番体に良いそうですが、「仰向けだと寝づらい」という人もいると思います。
安保先生
確かに、そういう人もいます。たとえば、「仰向けだといびきをかく」という人もいるでしょう。これは、重力で舌が落ち込み、気道の一部が塞がれてしまうから。この場合は無理に仰向けで寝る必要はありません。横向きに寝ることで、いびきをかきにくくなるでしょう。
編集部
「腰痛がひどくて仰向けで眠れない」という人もいますね。
安保先生
その場合は腰の下に枕やクッションを入れて高くし、膝を折り曲げて寝ると腰の痛みを緩和できます。あるいは、無理に仰向けで眠ろうとせず、横向きで眠るのもよいでしょう。横向きの姿勢になり、脚の間に枕やクッションを挟むと、腰の痛みが軽減されるので、ぜひ試してみてください。
編集部
安定して仰向けで眠るためには、どのような環境を整えれば良いでしょうか?
安保先生
マットレスや敷布団の硬さや反発力に気をつけましょう。反発力が強すぎると、自然な寝返りを妨げてしまいます。また柔らかすぎると、腰が沈み込んでS字カーブを保つことができなくなったり、頭や腰が落ち込んでしまったりします。
編集部
枕はどのような高さが良いのでしょうか?
安保先生
私が考えるベストな高さは、厚手のタオルを四つ折りにしたくらいの高さです。実際にタオルを四つ折りにしてその上に後頭部を乗せてみると、イメージがつきやすいでしょう。間違えてはいけないのは、タオルや枕を首に当てないということです。
編集部
なぜ、首に当ててはいけないのですか?
安保先生
枕を首に当てると全身の筋肉が硬くなり、緊張してしまうから。本来、寝るときには首に何も当てない方が良いのです。習慣的に、首に枕を当てていた人は、いきなり何も当てないと寝づらいと思うので、少しずつ高さを減らしていきましょう。枕やタオルを首に当てたときと、当てていないときで、自分の腕やふくらはぎ自身で圧迫して比較してみてください。はっきりと違いがわかるはずです。
編集部
そのほか、睡眠の質について寝るときの注意点はありますか?
安保先生
あとは、室温も気をつけましょう。冷え過ぎは禁物です。窓を開けて寝ている人は、できれば閉じて寝るようにしましょう。どうしても息苦しいという場合は、ベッドから遠く離れた窓を少し開けるようにしましょう。
編集部
ほかに、睡眠の質をあげるためにできることはありますか?
安保先生
お勧めしたいのは呼吸法です。真向(まっこう)法という呼吸法で内臓を整えると自然と睡眠が深くなります。具体的なやり方としては、まず、仰向けで横になります。そして両手をおへそのところに置き、鼻から吸って口から吐く呼吸を繰り返します。できれば7回、難しければ3回行いましょう。次に、両手をおへそと恥骨の間へずらして、同じ呼吸を繰り返します。次は恥骨の上へ両手を置いてまた呼吸。こうすることで筋肉が緩み、仰向けで質の良い睡眠を取ることができるでしょう。
編集部
呼吸によって内臓が整い、睡眠が深くなるのですね。
安保先生
大事なことは、ゆっくり呼吸をすること。これによって全身の筋肉が弛緩し、内臓も本来あるべき場所へ整います。できればこの呼吸法を習慣化し、毎日続けてみましょう。「仰向けでは寝られない」という人でも、次第に仰向けでも心地よく眠れるようになると思います。
編集部
最後に、読者へのメッセージがあれば。
安保先生
不眠は生活の質を左右する大きな問題。日本では多くの人が不眠症など、睡眠に関するトラブルに悩んでいます。自己流にあれこれ試してみるのではなく、治療院やクリニックなどの医療機関に通うと、スムーズに問題が改善されることもあります。ひとりで悩まず、専門機関に相談することをお勧めします。
※この記事はMedical DOCにて【寝るときの姿勢が体に与える影響は? 「仰向け・うつ伏せ・横向き」どれがいい?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。