睡眠時無呼吸症候群の症状をチェック!原因や検査・治療方法も解説
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、患者さん自身が気付きにくく、知らない間に身体に不調をきたす疾患です。
睡眠時無呼吸症候群の発症に気付くためには、症状を見極める必要があります。ご自身やご家族に気になる症状がある場合は、早めの対処が必要です。
この記事では、睡眠時無呼吸症候群の症状を解説します。発症の原因から検査・治療方法までまとめているので、健康維持のために参考にしてみてください。
監修医師:
塚越 正章(医療法人恒信会 こやぎ内科)
目次 -INDEX-
睡眠時無呼吸症候群の症状
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)は明確な自覚症状が少なく、周囲からの指摘によって初めて発見されるのが一般的です。意識していないと見過ごされて受診が遅れてしまうことも少なくありません。
睡眠時無呼吸症候群の発症にいち早く気付くために、主にみられる7つの症状を解説します。
いびきをかく
人によって程度は異なるものの、いびきは睡眠時に一般的にみられる症状です。しかし、睡眠時無呼吸症候群の場合には基本的にいびきを伴うため、単なるいびきと考えるべきではありません。
いびきとは、睡眠中に上咽頭から発生する異常呼吸音のことです。睡眠中の筋緩和により、上咽頭に舌や軟口蓋などが沈下して上気道の一部を狭窄し、呼吸で空気が通る際に起こる振動音や狭窄音を指します。
睡眠時無呼吸症候群の患者さんの多くは閉塞性睡眠時無呼吸(Obstructive Sleep Apnea:OSA)に分類され、上気道が狭くなっているためにいびきが伴います。
睡眠中に息が10秒以上止まる
睡眠時無呼吸症候群は名称のとおり、睡眠中に息が止まる症状が顕著です。10秒以上息が止まり、1時間あたり5回以上、7時間の睡眠中に30回以上無呼吸や低呼吸が繰り返されるのが特徴です。
これは、上気道の大部分または全体が閉塞して空気が通らなくなることによって起こります。そのため、無呼吸時にはいびきが止まり呼吸再開時に大きないびきが出ます。パートナーや家族から指摘されて発覚するケースが多いでしょう。
眠気がする
無呼吸状態では血液中の酸素濃度が低下するため、必要な酸素を取り入れるために中途覚醒が頻繁に起こります。中途覚醒を繰り返すと深い睡眠がとれない状態が続き、日中に強い眠気が発現するのも睡眠時無呼吸症候群の代表的な症状です。予兆なく突然意識を失うように眠り込んでしまう場合もあり、交通事故につながった例もみられています。
疲れがとれない
脳は繊細な臓器で、連続運転に弱く機能が低下しやすい特性があります。特に大脳は全身の司令塔として機能しているため、機能が低下して正常な精神活動や身体動作ができなくなると、生命が危うくなるでしょう。
そこで、大脳を休息させて修復・回復させるのが睡眠の役割です。身体の疲労は安静にするだけでも回復しますが、脳は睡眠でしか回復できません。
睡眠時無呼吸症候群を発症すると深い睡眠がとれないため、脳を回復させられない状態が続きます。これにより、眠ったつもりでも疲れがとれなくなってしまいます。
寝相が悪い
睡眠時に舌や軟口蓋が沈下するのは、仰向けで眠っているためです。無呼吸や低呼吸が続くと息苦しく、快適さを求めて体位を変える目的で寝相が悪くなる方もいます。横向きで寝ると上気道が閉塞せず息がしやすくなるため、寝方を変えるだけで症状は緩和するでしょう。
しかし、仰向けで寝るようになると症状が再発してしまいます。ただし、寝相が悪いからといって睡眠時無呼吸症候群とは限りません。眠っている間に起き上がったり、手足をバタバタさせたりするなどの激しい動きがある場合には、別の疾患の可能性もあります。
睡眠時にトイレに起きる・夜尿症
睡眠時無呼吸症候群では夜間頻尿も起こりやすいです。通常、夜間は下垂体からの抗利尿ホルモン分泌の増加と心房性ナトリウム利尿ペプチドの減少により、尿量が日中の約60%に低下するといわれています。また副交感神経の緊張緩和に伴い、膀胱容量は約1.5倍になるのが通常です。
しかし睡眠が十分にとれないことで、抗利尿ホルモン分泌が抑制されたり自律神経が失調したりすると、相対的膀胱容量が減少し頻尿が生じます。それにより、睡眠時に何度もトイレに起きることになるでしょう。
一方、無呼吸状態により脳内への酸素供給が極端に低下すると、覚醒への反応が低下し目覚めにくい状態に陥ります。そのため、実際にはトイレに起きたいのに起きられず、夜尿症(おねしょ)が生じやすくもなります。
これには、上気道閉塞による奇異性呼吸運動で腹腔内圧が高まり、膀胱内圧が上昇していることも関係していると考えられるでしょう。
起床時に頭が重い・すっきりしない
睡眠中に酸素欠乏状態が続くため、起床時に頭が重く感じる症状も睡眠時無呼吸症候群の患者さんでは多く認められます。頭がぼんやりしていて集中力が続かず、日中の仕事の効率が下がってしまうこともあります。さらに、起床時に頭痛が起こる場合もあるでしょう。
無呼吸状態が続くことで併発する低酸素血症や高炭酸ガス血症により、頭痛が引き起こされます。加えて、睡眠障害によるストレスも頭痛につながっていると予想されます。30分以内に消失する両側性の頭痛が、1ヵ月に15日以上生じている場合は、睡眠時無呼吸症候群の疑いが考えられるでしょう。
睡眠時無呼吸症候群の原因
もともと睡眠時は基礎代謝や酸素消費が少なく、活動時程は呼吸量が少ないものの、通常は無呼吸になることはありません。なぜ睡眠時無呼吸症候群を発症してしまうのか、大きく4つの原因を以下に取り上げます。
肥満
睡眠時無呼吸症候群の原因の1つとして挙げられるのは肥満です。
肥満になるとお腹周りだけでなく、首周り・舌・咽喉にも脂肪がつきます。これにより通常時から上気道が狭い状態になるため、睡眠時に仰向けになると閉塞しやすくなります。
肥満の方に、いびきをかく方が多いのもこのためです。閉塞性睡眠時無呼吸症候群の発症確率は、体重が10kg増えるごとに2倍、BMIが6増えるごとに4倍になるといわれています。
顎が小さい
日本人は上気道の軟部組織が収まる容器ともなる顎が小さく、相対的に上気道自体も小さい傾向にあるため、肥満ではなくても睡眠時無呼吸症候群を発症しやすいといわれています。
また、下顎が小さく後退していると、仰向けになった際に舌が沈下しやすく上気道の狭窄が起こりやすいです。さらに、軽度の体重上昇でも上気道が閉塞しやすくなります。
扁桃腺が大きい
扁桃腺(口蓋扁桃)が大きいことも、睡眠時無呼吸症候群の発症リスクを高めます。扁桃腺の大きさは個人差があるものの、一般的には、扁桃腺が上気道を閉塞することはありません。しかし、生理的および病的理由によって扁桃肥大を起こした場合、中咽頭を閉塞して睡眠時無呼吸症候群を起こしてしまいます。特に、小児の睡眠時無呼吸症候群は、扁桃腺やアデノイド(咽頭扁桃)の肥大によって発症するケースがほとんどです。
呼吸中枢の異常
睡眠時無呼吸症候群には閉塞性のほかに、上気道閉塞を伴わず、脳の呼吸中枢の異常によって発症する中枢性睡眠時無呼吸症候群(Central Sleep Apnea:CSA)があります。心不全・脳卒中に合併して発症するケースが多いです。
呼吸は、呼吸中枢が血液中の二酸化炭素に反応して指令を出してコントロールしているため、意識しなくても呼吸を維持できます。しかし、心不全により血流が悪くなると二酸化炭素が十分に送れず、呼吸の不安定性が高まります。
また、脳卒中で脳の呼吸中枢自体がダメージを受けることにより、呼吸が制御できなくなる場合もあるでしょう。
睡眠時無呼吸症候群の合併症やクリニック受診の必要性
睡眠時の無呼吸は、血圧を大きく変動させたり上昇させたりするため、高血圧症を合併しやすい状態です。約50%の患者さんが高血圧症を合併しているとの報告もあります。また、血液が固まりやすい状態にもなり、狭心症・心筋梗塞などの心血管疾患や脳卒中も合併しやすいです。
これらの重大な合併症を伴う場合、原因となる睡眠時無呼吸症候群の治療をしないままでは死亡リスクが高まります。睡眠時無呼吸症候群が疑われる症状を自覚している方や、周囲から関連する症状について指摘された経験がある方は、早急にクリニックを受診しましょう。
睡眠時無呼吸症候群の検査・治療方法
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合、ポリソムノグラフィーによる検査を行います。ポリソムノグラフィーは、睡眠中の呼吸状態や血液中の酸素状態(酸素飽和度)を測定する検査です。
これには自宅で行う簡易検査と、入院して行う精密検査があります。検査によって睡眠時無呼吸症候群と診断されると、主にCPAP・マウスピース・手術などの治療法から適切な方法を選択して治療を行います。
特に治療効果が高く、生命予後の改善効果が証明されているのがCPAPです。CPAPとは、睡眠中に特殊なマスクを通して空気を送り込み、閉塞する上気道を空気圧で広げる治療法です。また、下顎が後退しやすい方はマウスピース、扁桃肥大がみられる方は手術が適応されるでしょう。
睡眠時無呼吸症候群でお悩みなら医療法人恒信会 こやぎ内科にご相談を
睡眠時無呼吸症候群の疑いがある方や治療を検討されている方は、群馬県高崎市小八木町にある医療法人恒信会 こやぎ内科を受診してみてはいかがでしょうか。こやぎ内科は、睡眠時無呼吸症候群に加えて内科・呼吸器全般の疾患を幅広く診療している内科医院です。以下に、こやぎ内科の3つの特長を紹介します。
携帯型ポリソムノグラフィー検査器の貸し出しで自宅での検査が可能
こやぎ内科では、患者さんの時間的負担や経済的負担を軽減できるよう、睡眠時無呼吸症候群は外来で治療を開始できる体制をとっています。また、自宅で睡眠中の呼吸状態を検査できるよう、携帯型ポリソムノグラフィー検査器(スマートウォッチ)の貸し出しが行われています。
小さく軽い機器を導入し、患者さんご自身が簡単に装着・操作ができるようにされている点がポイントです。基本的には睡眠時無呼吸症候群の当日検査が可能なため、忙しくてなかなか時間がとれない方も検査を受けやすいでしょう。
さまざまなメーカーのCPAPを取り扱っており自分に合うものを選べる
睡眠時無呼吸症候群の代表的な治療として選択されるCPAPは、メーカーや機器の種類によって、患者さんにフィットするかどうかが変わります。そのため、こやぎ内科では、複数種類のCPAPを導入し、患者さんに合う機器を選択できるように配慮されています。
また、実際に使用してみて効果が感じられない場合には、製品の変更も受け付けているそうです。
治療状況をパソコンで確認可能
こやぎ内科のCPAP治療では、外来受診時にCPAP本体やデータカードから使用状況をダウンロードし、パソコンで確認が可能です。
その結果に基づいて、より適切なCPAP圧に設定を調整していくため、外来治療でも効果を実感しやすいでしょう。
こやぎ内科では、開院以来数多くの睡眠時無呼吸症候群治療に携わってきた知識と経験に基づき、患者さんに寄り添った治療を提供されてきました。これまで効果を感じにくかった方や、治療に不安を感じている方は、ぜひ一度こやぎ内科に相談してみてはいかがでしょうか。
医療法人恒信会 こやぎ内科の基本情報
アクセス・住所・診療時間
JR上越線 井野駅より徒歩8分
関越自動車道前橋インターから車で5分
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
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9:00〜12:00 | ● | ● | ● | ● | ● | ★ | - | - |
15:30〜19:30 | ● | ● | ● | ● | ● | - | - | - |
★:第1・第3
参考文献