「亜鉛が不足する原因」はご存知ですか?不足しやすい人の特徴も管理栄養士が解説!
公開日:2025/11/26

亜鉛不足の原因とは?Medical DOC監修医が一日の摂取量・効果などを解説します。
※この記事はMedical DOCにて『「亜鉛不足のサインとなる症状」はご存じですか?不足する原因も管理栄養士が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修管理栄養士:
池田 早苗(管理栄養士)
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病院やクリニックで給食・衛生管理業務に従事後、企業で商品開発や食品表示作成を担当、管理栄養士資格取得後は、介護老人保健施設で栄養管理を通して利用者様に寄り添いながら安心・安全にお食事できるようサポートしています。
目次 -INDEX-
「亜鉛」とは?

亜鉛の一日の摂取量

【乳児の目安量】
0~11ヵ月:1.5~2.0mg
【幼児(男子)の推奨量】
1~9歳:3.5~5.5mg
10~17歳:8.0~10.0mg
【幼児(女子)の推奨量】
1~9歳:2.5~4.0mg
10~17歳:5.5~6.0mg
【成人男性の推奨量】
9.0mg~9.5mg
【成人女性の推奨量】
7.0~8.0mg
妊婦中期~後期(付加量):+2mg
授乳婦(付加量):+3.0mg
【成人男性の耐容上限量】
40~45mg
【成人女性の耐容上限量】
35mg
亜鉛の効果

味覚を正常に保つ
舌表面には味を感じとる「味蕾(みらい)」という受容器官があり、この中には味覚センサーのような働きを持つ「味細胞」があります。 味細胞は短いサイクルで生まれ変わっており、亜鉛が十分に摂取できていなければ味細胞の生まれ変わりが追い付かず、味覚が不安定になると考えられます。皮膚や粘膜の健康を保つ
亜鉛は皮膚や毛髪などの構成成分であるたんぱく質の合成に関わります。 亜鉛を十分に摂取することで皮膚の炎症やかゆみなどのトラブル、脱毛などの症状を回避できると考えられています。 また、細胞の再生に関わっている亜鉛は皮膚の修復に必要なコラーゲンの生成を助け、皮膚の修復に重要な役割を果たします。体の成長・発育を助ける
成長ホルモンの分泌に関わり、新陳代謝が活発な時期に必要量が増加するため、身長を伸ばすなど子どもの体を大きくすることに役立ちます。免疫機能の維持
亜鉛には体内に侵入した細菌やウイルスなどを攻撃、排除したりする免疫機能を活性化させる働きがあります。男性機能の維持
性腺(精巣)の発達や機能に関与し、不足すると男性ホルモンの合成や分泌が低下したり男性不妊の原因になることがあるといわれています。亜鉛が不足する原因

摂取不足
動物性たんぱく質を日常的にあまり食べない方や加工食品に偏りがちな方、ダイエットによる食事量の制限や高齢による食欲の低下などが原因となります。吸収阻害・吸収不良
亜鉛の吸収を阻害する食品には、フィチン酸、食物繊維、シュウ酸、タンニンなどがあります。特に未精製の穀類・豆類に多いフィチン酸や食物繊維、ほうれん草などの青菜に含まれるシュウ酸、緑茶・コーヒーなどに含まれるタンニンのほか、インスタント食品・加工食品の保存や品質保持の目的で使用される食品添加物のポリリン酸も亜鉛の吸収を妨げる可能性があります。排泄・需要の増加
慢性的な病気(肝臓病、糖尿病、腎臓病等)のある方や、激しいスポーツなど発汗が多い状況では排泄が増加します。 また、妊娠・授乳、成長期などでは需要が増大し不足する可能性があります。薬の影響
亜鉛を排出しやすくする作用のある薬を長期利用しているなど、薬の種類によっては亜鉛不足につながることがあります。 心配な時はかかりつけ医や薬剤師に相談することをおすすめします。ストレスの多い生活
亜鉛は精神的な安定や睡眠に重要な役割を担うセロトニンやメラトニンなどの神経伝達物質生成に必要です。ストレスがかかると、亜鉛の消費量が増加するため不足しやすくなります。亜鉛が不足しやすい人の特徴

偏った食生活の方
インスタント食品・加工食品の利用が多い方、動物性たんぱく質をあまり食べない方、小食、無理な食事制限、好き嫌いが多いことなども亜鉛不足に繋がります。激しい運動や力仕事をされる方
亜鉛は汗で排泄されやすく、スポーツや力仕事などでよく汗をかく方は発汗量に比例して体外へ流れ出る量も増加します。また、運動強度が高くなるほど亜鉛の体内消費量は増加し不足しがちとなります。お酒を飲む機会の多い方
亜鉛はアルコールを肝臓で分解する際に消費されます。飲酒量が多くなると、その量に比例して代謝に使用される量も増えるので、お酒を飲む機会の多い方は不足しやすいといえるでしょう。「亜鉛が不足すると現れる症状」についてよくある質問

ここまで亜鉛が不足すると現れる症状を紹介しました。ここでは「亜鉛が不足すると現れる症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
亜鉛が不足しているかどうかどのように判断すればいいのでしょうか?
池田 早苗
亜鉛不足は血液検査で血清亜鉛値を測定して判断します。80~130μg/dlが適切とされ、60μg/dl未満の場合は亜鉛欠乏、60~80μg/dl未満の場合は潜在性亜鉛欠乏と判断されます。
編集部まとめ
亜鉛は健康を維持するために欠かすことのできない栄養素で、体内でつくることが出来ないため食事から摂取する必要があります。食事だけで補充するのが難しい場合はサプリメントで補うのも一つの方法ですが、摂りすぎてしまうと消化器症状などの健康障害が生じることも知られていますので、利用する際は上限量を超えないよう注意が必要です。亜鉛を豊富に含む食品と動物性たんぱく質やビタミンC、クエン酸を組み合わせたり、汁ごと食べられる調理法で効率良く摂取し、バランスの良い食生活を意識していきましょう。「亜鉛」と関連する病気
「亜鉛」と関連する病気は13個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。内科の病気
泌尿器科の病気
皮膚科の病気
- 腸性肢端皮膚炎
整形外科の病気
神経科の病気
- 銅欠乏性ミエロパチー
精神科の病気
- 精神疾患(うつ病、統合失調症)