「亜鉛不足のサインとなる症状」はご存知ですか?爪に現れる症状も管理栄養士が解説!

亜鉛不足のサインとなる症状とは?Medical DOC監修医が亜鉛不足のサインとなる症状・一日の摂取量・効果などを解説します。
※この記事はMedical DOCにて『「亜鉛不足のサインとなる症状」はご存じですか?不足する原因も管理栄養士が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修管理栄養士:
池田 早苗(管理栄養士)
目次 -INDEX-
「亜鉛」とは?

亜鉛は、健康維持に欠かすことのできない必須ミネラルの一つです。全身の細胞に存在し、遺伝情報を担うDNAやRNAの合成、たんぱく質の合成など様々な代謝活動をサポートしています。筋肉や骨、皮膚や肝臓などの組織にある成分で、体内で作ることができないため食事から摂取する必要があります。
亜鉛の一日の摂取量

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」より
【乳児の目安量】
0~11ヵ月:1.5~2.0mg
【幼児(男子)の推奨量】
1~9歳:3.5~5.5mg
10~17歳:8.0~10.0mg
【幼児(女子)の推奨量】
1~9歳:2.5~4.0mg
10~17歳:5.5~6.0mg
【成人男性の推奨量】
9.0mg~9.5mg
【成人女性の推奨量】
7.0~8.0mg
妊婦中期~後期(付加量):+2mg
授乳婦(付加量):+3.0mg
【成人男性の耐容上限量】
40~45mg
【成人女性の耐容上限量】
35mg
亜鉛の効果

亜鉛は新陳代謝やエネルギー代謝、免疫反応など、体内の様々な働きをサポートして正常に保つ役割を担っています。
味覚を正常に保つ
舌表面には味を感じとる「味蕾(みらい)」という受容器官があり、この中には味覚センサーのような働きを持つ「味細胞」があります。
味細胞は短いサイクルで生まれ変わっており、亜鉛が十分に摂取できていなければ味細胞の生まれ変わりが追い付かず、味覚が不安定になると考えられます。
皮膚や粘膜の健康を保つ
亜鉛は皮膚や毛髪などの構成成分であるたんぱく質の合成に関わります。
亜鉛を十分に摂取することで皮膚の炎症やかゆみなどのトラブル、脱毛などの症状を回避できると考えられています。
また、細胞の再生に関わっている亜鉛は皮膚の修復に必要なコラーゲンの生成を助け、皮膚の修復に重要な役割を果たします。
体の成長・発育を助ける
成長ホルモンの分泌に関わり、新陳代謝が活発な時期に必要量が増加するため、身長を伸ばすなど子どもの体を大きくすることに役立ちます。
免疫機能の維持
亜鉛には体内に侵入した細菌やウイルスなどを攻撃、排除したりする免疫機能を活性化させる働きがあります。
男性機能の維持
性腺(精巣)の発達や機能に関与し、不足すると男性ホルモンの合成や分泌が低下したり男性不妊の原因になることがあるといわれています。
亜鉛の不足のサインとなる症状

味覚障害
不足すると食事が美味しく感じられなくなる、味覚が鈍る、食べ物の味が変に感じるなどの症状が現れます。
皮膚炎・創傷治癒障害
亜鉛は皮膚のターンオーバーやたんぱく質の合成に関与し、不足すると炎症や感染を抑える機能も低下し、傷が治りにくく化膿しやすくなるといわれます。
貧血
赤血球の増殖や、赤血球に含まれるヘモグロビンというたんぱく質の合成には亜鉛が必要になるため、亜鉛不足によって貧血が生じ、疲れやすくなったり、立ちくらみやめまいなどの症状が出たりすることがあります。
食欲不振
亜鉛は味覚、消化機能、胃腸粘膜の保護など多くの機能に深く関わり、食欲不振を招きます。
免疫機能の低下
不足すると免疫細胞の働きが弱まり、風邪などの感染症にかかりやすくなるといわれています。
【子供】亜鉛の不足のサインとなる症状

発育の遅れ
身長の伸びが悪くなる、体重が増加しにくい、性成熟が遅れるといった発育障害がみられる場合があります。
皮膚トラブル
肌の乾燥やおむつかぶれ、口周りの湿疹、傷の治りが遅いなどの症状がみられます。母乳や離乳食からの供給が不足すると乳児湿疹などが起こりやすくなります.
食欲低下・下痢
亜鉛は味覚の維持や消化管の働きをサポートし、食欲に影響を与えるため、不足すると胃腸の働きが低下し、食欲不振や消化不良を招きます。
脱毛
亜鉛不足は毛髪の成長を阻害し、脱毛の原因となることがあります。
感染症にかかりやすい
不足すると免疫機能の低下を招き、感染症にかかりやすく、重症化する可能性があります。
心配な症状が見られた際は、内科やかかりつけ医へ相談しましょう。
亜鉛が不足すると爪にどんな症状が現れる?

爪の変形
爪の主成分であるケラチンというたんぱく質の生成には亜鉛が欠かせません。
爪が割れやすくなったり、爪の成長が一時的に停止したり遅くなることで「Beau‘s線(ボー線)」という横筋の線が現れることがあります。
爪周囲の炎症
爪の「甘皮」と呼ばれる薄い皮膚は、爪の根本の「爪母基(そうぼき)」を保護しています。甘皮はこの爪母基を覆い、細菌やウイルス、汚れなどの異物が侵入するのを防ぐ役割がありますが、不足すると甘皮が正常に形成されにくくなり、爪周囲が赤く腫れたり、痛みを伴うことがあります。
爪の白い斑点
亜鉛不足で爪に異常が出ることもありますが、白い斑点や半月状の部分は必ずしも亜鉛不足によるものとは限りません。
気になる症状が見られたら、皮膚科やかかりつけ医へ相談しましょう。
「亜鉛が不足すると現れる症状」についてよくある質問

ここまで亜鉛が不足すると現れる症状を紹介しました。ここでは「亜鉛が不足すると現れる症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
亜鉛が不足しているかどうかどのように判断すればいいのでしょうか?
池田 早苗
亜鉛不足は血液検査で血清亜鉛値を測定して判断します。80~130μg/dlが適切とされ、60μg/dl未満の場合は亜鉛欠乏、60~80μg/dl未満の場合は潜在性亜鉛欠乏と判断されます。
編集部まとめ
亜鉛は健康を維持するために欠かすことのできない栄養素で、体内でつくることが出来ないため食事から摂取する必要があります。食事だけで補充するのが難しい場合はサプリメントで補うのも一つの方法ですが、摂りすぎてしまうと消化器症状などの健康障害が生じることも知られていますので、利用する際は上限量を超えないよう注意が必要です。亜鉛を豊富に含む食品と動物性たんぱく質やビタミンC、クエン酸を組み合わせたり、汁ごと食べられる調理法で効率良く摂取し、バランスの良い食生活を意識していきましょう。
「亜鉛」と関連する病気
「亜鉛」と関連する病気は13個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
内科の病気
泌尿器科の病気
皮膚科の病気
- 腸性肢端皮膚炎
整形外科の病気
神経科の病気
- 銅欠乏性ミエロパチー
精神科の病気
- 精神疾患(うつ病、統合失調症)
「亜鉛」と関連する症状
「亜鉛」と関連している、似ている症状は16個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。