「カリウムを摂りすぎると現れる症状」はご存知ですか?管理栄養士が解説!

カリウムを摂りすぎると現れる症状とは?Medical DOC監修医がカリウムの一日の摂取量・効果などを解説します。
※この記事はMedical DOCにて『「「カリウムを摂りすぎると現れる症状」はご存知ですか?管理栄養士が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修管理栄養士:
衞藤 しおり(管理栄養士)
目次 -INDEX-
「カリウム」とは?

カリウムの一日の摂取量

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
生活習慣病の予防を目的とした目標量
成人男性(18歳以上):3,000mg以上/日
成人女性(18歳以上):2,600mg以上/日
また2012年に公表されたWHOのガイドラインでは、生活習慣病予防のために男女とも3,500mg/日を推奨しています。
カリウムの効果

高血圧の予防
腎臓でのナトリウムの再吸収を抑え体内の余分なナトリウムの排泄を促すため、血圧を下げる効果があります。ナトリウム(食塩)の摂りすぎによって起こる高血圧や、高血圧によって起こる動脈硬化や心臓病、脳血管疾患などの予防・改善効果にもつながります。むくみの予防・軽減
むくみは、体内の水分代謝が滞り、循環が悪くなることで引き起こされることがあります。水分の排出にはカリウムとナトリウムが密接に関係しており、特に塩分(ナトリウム)の過剰摂取は、体液濃度を一定に保つために体内に水分を溜め込み、むくみの原因となります。カリウムには、余分なナトリウムや水分を尿として排出する働きがあるため、むくみの予防や軽減に効果的です。この働きは腎臓を通じて行われるため、カリウムを適切に摂ることで体内の水分バランスを整えることが期待できます。筋肉を正常に保つ
カリウムは筋肉の収縮にも関わっています。カリウムやナトリウムが細胞に出入りすることで電気信号が発生し、神経を伝って信号を伝達することで筋肉を収縮・弛緩させたりしています。このため、ナトリウムとカリウムをバランス良く摂ることは筋肉が正常に収縮することにつながります。カリウムを過剰摂取すると現れる症状

吐き気
カリウムは細胞内の酵素反応を調整し、エネルギー代謝をスムーズに行うための環境を整える重要な役割を果たしています。しかし、過剰に摂取すると、消化器系への影響によって悪心や嘔吐といった胃腸症状が現れる場合があります。また、これらの症状はカリウムの欠乏によっても引き起こされることがあるため、原因を適切に見極めることが重要です。脱力感
カリウムは体内の神経細胞と筋肉細胞の収縮を調整し、体内の電解質バランスを維持する役割を果たしています。筋肉の収縮が調節しにくくなり、脱力感や筋力低下などの四肢の症状が現れる可能性があります。この症状はカリウムの欠乏でもみられることがあります。しびれ
カリウムの働きは筋肉の収縮や神経の情報伝達にも関わるため、筋収縮が調節できなくなり現れることがあります。不整脈・心停止
カリウムは心臓の正常なリズムを維持するために不可欠です。血液中のカリウム濃度が高すぎたり低すぎたりすると、心臓機能の調節ができなくなり不整脈など心電図異常の症状が現れます。重篤な場合は心停止を起こすこともあります。全身倦怠感
電解質異常により、だるさや倦怠感といった症状が現れることがあります。「カリウムを摂りすぎると現れる症状」についてよくある質問

ここまでカリウムを摂りすぎると現れる症状について紹介しました。ここでは「カリウムを摂りすぎると現れる症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
カリウムを下げる食べ物について教えてください。
越川 愛子
カリウムの値を下げる食べ物はありません。ですが、カリウムの含有量が少ない食品としては、うどんやそばなどの麺類、米や春雨などがあります。
カリウムが高い人はどんな食べ物を摂取すればいいのでしょうか?
越川 愛子
カリウムは海藻類、果物、芋類、豆類、肉類、魚介類、野菜類など幅広い食べ物に豊富に含まれています。生鮮食品に多く、加工や精製が進むと含有量は減少します。さらにカリウムは水に溶けやすい性質があるため、調理法によってカリウムの含有量が変わります。例えば野菜をサラダなど生で食べるのではなく、茹でたり、水にさらしたりすることでカリウムの量を減らすことができます。その際茹で汁にはカリウムが溶け出しているので、茹で汁は捨てて調理することがポイントになります。果物では生の果物より、缶詰の方がカリウムの量が少ないです。ただしシロップにカリウムが溶け出しているので、シロップは飲まないようにしましょう。また100%果汁ジュースやドライフルーツにはカリウムが多く含まれますので注意が必要です。
まとめ
カリウムは健康や生命維持に欠かせないミネラルのひとつです。身近な食べ物に豊富に含まれているため、基本的に普段の食事で不足や摂りすぎることはないと言われています。摂りすぎても、余分なカリウムは腎臓で処理された後に尿中に排泄されるため、こまめに摂ることがおすすめです。ただし、サプリメントを利用している方や、腎機能が低下している方は血中のカリウム濃度が高くなる場合があります。特に腎機能が低下している方は重篤な症状が現れる可能性があるため、摂取量については医師の指示に従うようにしましょう。「カリウム」と関連する病気
「カリウム」と関連する病気は5個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。循環器系の病気
腎・泌尿器系の病気
- 腎疾患