「糖尿病性腎症」の原因・症状をステージごとに医師が解説! 注意したい症状とは?

糖尿病性腎症は、血糖値が高い状態が続くことで腎臓の細かな血管がダメージを受け、糸球体の機能が低下する病気です。初期は自覚症状がほとんどありませんが、進行するとむくみや倦怠感、さらに腎不全に移行する可能性もあるそうです。徳井内科クリニックの徳井先生に糖尿病性腎症の原因や症状、治療の目的についてお聞きしました。

監修医師:
徳井 幹也(徳井内科クリニック)
編集部
糖尿病性腎症の原因はなんですか?
徳井先生
本来、腎臓は糸球体と呼ばれる組織で血液をろ過して不純物や余計な水分を取り除き、尿として排泄する役割を担っています。そのため、糸球体には細かな血管が張り巡らされているのですが、血糖値が高い状態が続くと、動脈硬化によって血管が傷ついたり詰まったりします。それにより、糸球体の機能が低下してしまうのです。
編集部
どのような症状が出るのですか?
徳井先生
症状が進行している程度により、病期は1~5期まで分類されます。初期には無症状のことが多いのですが、進行するにつれてむくみが生じてきます。さらに、第4期になって腎不全になると、息切れ、貧血、食欲不振、全身倦怠感などの症状が表れることがあります。
編集部
腎不全とはなんですか?
徳井先生
糸球体の血管が動脈硬化により傷害され、腎臓の働きが正常の30%以下に低下した状態を腎不全と言います。
編集部
腎不全は、治療をすれば治るのですか?
徳井先生
いいえ、一度腎不全を発症したら腎機能を回復させることは困難です。そのため、腎不全へ至る前に治療を開始し、腎症の進行を抑制する必要があります。特にアルブミン尿が多いほど、その後の腎機能低下を招く可能性が高くなります。さらに、腎機能の低下は心筋梗塞などの心臓血管合併症を併発しやすいので注意が必要です。
編集部
そうなると、治療はどのような目的でおこなわれるのですか?
徳井先生
治療において重要なのは、それ以上病状を進行させないことです。そのため、血糖値は勿論のこと、ほかのリスクファクターもコントロールし、腎機能をキープすることを目的におこなわれます。
※この記事はメディカルドックにて【「糖尿病性腎症」の診断基準はご存じですか? 症状・原因・予防法も医師が解説!】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。