

渥美先生
親方の現役時代の食事回数を教えてください。
秀ノ山親方
朝食を食べずに稽古していたので、朝・昼兼用の食事と夕食の2回でした。
渥美先生
朝食なしで午前中の稽古はつらくなかったですか?
秀ノ山親方
当時は慣れもあって気になりませんでした。
渥美先生
睡眠についてはいかがですか?
秀ノ山親方
朝の稽古が6時半からなのですが、夜の10時半には消灯になるので、睡眠は9時間くらいとれていたと思います。
渥美先生
親方は睡眠時無呼吸症候群を治療されているとお聞きしたのですが、体に影響はありましたか?
秀ノ山親方
体のだるさが抜けなかったり、いくら寝ても眠くなったりしていたので睡眠時に無呼吸とならないようマスクから空気を送り込むCPAPを使用していました。
渥美先生
CPAPによる治療を始めて楽になった実感はありますか?
秀ノ山親方
目覚めが変わり頭の中もクリアになる感覚はありました。
渥美先生
現役時代の体づくりで大切にしていたトレーニングはありますか?
秀ノ山親方
稽古では四股やすり足などの基本を大事にしていました。
渥美先生
ウェイトで負荷をかけるようなトレーニングはされましたか?
秀ノ山親方
私はスクワットが得意だったので、300kgの負荷をかけながらやっていました。
渥美先生
有酸素運動についてはいかがですか?
秀ノ山親方
200m先のお店に行くのもタクシーを呼ぶくらいだったので、歩くことを含めて有酸素運動はしていなかったと思います。
渥美先生
体づくりにおいて食事で気を付けていたことはありますか?
秀ノ山親方
高校卒業時の体重が140kgでしたが、入門当初に生活や稽古についていけず体重が30kg落ちました。そこからはしっかりと食べて体をつくり直すことを意識していたと思います。大関の頃には180kgまで体重を増やしました。
渥美先生
体重を増やすため、食べることに専念したのですね。
秀ノ山親方
そうですね。相撲という競技は体を大きくすることが強くなるための要素の一つなので、体づくりにおいて食べることは意識していましたね。
渥美先生
体脂肪率はどれくらいでしたか?
秀ノ山親方
10〜20%くらいだったと思います。
渥美先生
一般的にはもっと高い体脂肪率をイメージしますが、体脂肪率15%前後だと相当な筋肉量ですね。
秀ノ山親方
そうですね。脂肪が付くことで衝撃を吸収しながら相手に反発できる強みにもなるので、筋肉だけでなく脂肪も付けながら体を大きくすることが重要だと思っています。体づくりにおいて、朝食を抜くことでデメリットはありますか?
渥美先生
朝食を抜いた後の食事は、体へ吸収しやすくなり体格を大きくするうえではメリットですが、その分血糖値も上がることはデメリットになると思います。
秀ノ山親方
相撲界は1日2食という先入観がありましたが、糖尿病のリスクを考えると気を付けなければいけませんね。
渥美先生
そうですね。親方は現役時代に飲酒や喫煙はしていましたか?
秀ノ山親方
奈良漬でも酔ってしまうくらいお酒は弱いので飲んでいませんでした。ストレス解消も含めてタバコは吸っていましたが、1年前にやめています。
渥美先生
ストレスも糖尿病のリスクになりますが、それ以上に喫煙は糖尿病発症のリスクとなります。食事の量や有酸素運動が少なかったことも考慮すると、糖尿病のリスクは高かったかもしれませんね。親方の糖尿病に対するイメージを教えてください。
秀ノ山親方
悪化すると怖いイメージがあります。血液検査ではHbA1cが7.0くらいなのですが、体の中で起きていることは分かりにくいので、しっかり向き合うことが大切ですよね。
渥美先生
そうですね。HbA1cが7.0を超えると目や腎臓などの合併症が起こる可能性もあるので、注意はしていただきたいですね。
秀ノ山親方
気を付けます。定期的に検査することが大切ですか?
渥美先生
そのとおりですね。糖尿病の初期には症状がほとんどありませんので、血液検査で血糖値やHbA1cの経過を追っていくことが大切だと思います。
秀ノ山親方
相撲協会では年に2回の健康診断があるのですが、早期に異常を発見して対処すればよくなりますか?
渥美先生
そうですね。早期に発見して対処することで良くなる可能性はあります。
秀ノ山親方
強くなるために体づくりも大切ですが、問題は早期に発見して自分の体と向き合わないといけないなと感じました。ありがとうございました。