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糖尿病の症状|早期発見のポイントや糖尿病腎症などの合併症についても解説

 更新日:2024/03/05
糖尿病の症状

初期の糖尿病では症状がほとんどありません。しかし、糖尿病は進行すると全身にさまざまな症状が現れる病気です。

この記事では、糖尿病が進行した場合に現れる症状・糖尿病の三大合併症などについて解説します。

記事の最後には、合併症の1つである「糖尿病腎症」にも対応可能なクリニックを紹介しますので、合併症に不安を感じている方もぜひ参考にしてください。

井上 禎子

監修医師
井上 禎子(まごめ内科・腎クリニック)

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東京女子医科大学医学部卒業。東京女子医科大学病院腎臓病総合医療センター入局、茅ヶ崎徳洲会病院、東京労災病院などで経験を積む。2016年、東京都大田区に「まごめ内科・腎クリニック」を開院。日本内科学会認定医・専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医・指導医、日本糖尿病学会会員。日本医師会認定産業医。

糖尿病の症状

糖尿病の症状
糖尿病とは、糖を細胞に取り込む働きが弱まる病気です。そのため、血中・尿中には取り込み切れなかった糖があふれて血糖値が高くなります。
糖尿病の症状の多くは、細胞に十分な糖が取り込まれないこと・血液や尿に含まれる糖が増えすぎてしまうことによって起こります。
まずは、具体的にどのような症状が起こるのかみてみましょう。

のどが渇く

血液や尿などの液体において、水分量に占める電解質・ぶどう糖などの濃度が上がると「浸透圧」も上がります。浸透圧とは、濃度の違う2つの液体のあいだで濃度の薄いほうから濃いほうへ水分が移動して、2つの液体濃度を均一に近づけようとする力のことです。
私たちの体内では、水分が足りていないことを感知するために、血液の浸透圧が利用されています。血中の水分量が減り浸透圧が上がることで「のどが渇いた」と感じるのです。
しかし、糖尿病の場合は水分量が正常であっても、血中に過剰な糖が含まれて浸透圧が高い状態になります。その結果、十分な水分を摂取してものどの渇きを感じてしまう「口渇(こうかつ)」や、必要以上に水分を摂り続けてしまう「多飲(たいん)」がみられることがあります。

尿の量が増える

糖尿病の進行に伴い尿量が増える理由は、大きく分けて2つあります。
1つめは、上記のようにのどの渇きを感じて過剰な水分を摂取することです。そして、2つめは「浸透圧利尿」という作用によるものです。尿は血液を濾過することで作られるため、血中で糖の濃度が上がると、尿に含まれる糖も増加します。
前述した通り、水分は濃度の薄いほうから濃いほうへ移動する性質があります。この性質により、尿中の糖が増加するのに伴って周囲の水分が尿に引き込まれて再吸収が減少するのが「浸透圧利尿」です。
この状態になると利尿作用により排尿の量が増え、脱水状態になりやすく、大量に水分を摂るとさらに尿量が増えるという循環に陥ります。

食べているのに体重が減る

糖尿病は「糖質の摂りすぎが原因」とされるため、体重の多い方がなりやすいというイメージをもたれるかもしれません。たしかに、生活習慣を原因とする糖尿病については、肥満がリスク因子の1つとなっています。
しかし、糖尿病とは糖を細胞に取り込む働きが弱まる病気です。このような状況では、十分な糖を摂取しているにも関わらず細胞はエネルギー不足になります。そして、不足した分のエネルギーは、体脂肪を消費することで補われます。
そのため、糖尿病が進行すると「しっかり食べているのに体重が減る」といった症状が現れるのです。

倦怠感がある

糖を過剰に摂取すれば糖尿病を悪化させる原因になります。しかし、糖自体は身体や脳が正常に働くために必要な栄養素です。
糖尿病になりインスリンの量・作用が十分ではない状態では、細胞に必要なエネルギーが不足して倦怠感・疲労感が現れることがあります。

手足のしびれ

糖尿病では、細胞が栄養不足により機能低下に陥ります。また、必要以上の糖が体内に留まることで「ポリオール代謝異常」が起こり、神経細胞内にソルビトールという物質が溜まるといわれています。その結果、神経障害が起こり手足のしびれ・冷えなどを感じるのです。
神経障害は末梢から始まることが多く、足裏や手のひらに物が触れても「紙が張り付いているような感覚」で細かい感覚はわからないといいます。末梢神経障害が起こると、生活の中で不便を感じるだけでなく、末梢の傷・やけどに気付きにくいという点にも注意が必要です。

手足がつる

足がつる症状(こむら返り)は、筋肉が何らかの原因でけいれんすることで起こります。健康な方でも運動による疲労時などにみられ、必ずしも病的な原因があるとはいえません。ただし、筋肉のけいれんには筋疲労のほかに脱水状態・電解質バランスの崩れ・末梢の血行不良などが関わっているといわれています。
糖尿病になると脱水を起こしやすい状態に陥り、症状が進行すると末梢の血行・神経も障害される可能性が高いです。そのため、糖尿病の方は激しい運動をしていないにも関わらず、安静時にこむら返りを繰り返す場合があります。

糖尿病の主な合併症

糖尿病の主な合併症
長期間にわたり血糖値が高い状態が続くと、血管が傷ついたり神経が障害されたりした結果、さまざまな合併症が起こります。糖尿病の合併症として代表的なものは、糖尿病腎症・糖尿病網膜症・糖尿病神経障害などです。また、糖尿病の患者さんは血行・神経障害を起こしやすいことから足病変のリスクも高いとされています。
それぞれ、どのような症状なのかみていきましょう。

糖尿病腎症

腎臓の主な機能は、血中の老廃物・余剰な成分を濾過して尿を作ることです。効率よく濾過するために、腎臓の中には多くの毛細血管が存在します。
しかし高血糖状態が続き腎臓の血管が傷むと、濾過のためのフィルターが目詰まりを起こしたような状態になり、体内の老廃物・水分などをうまく排出できなくなります。この状態が「糖尿病性腎症」です。
初期のうちは自覚症状がありませんが、尿検査では尿たんぱくがみられるようになります。また、糖尿病性腎症が進行すると人工透析が必要になるため注意が必要です。

糖尿病網膜症

糖尿病網膜症は、眼の中にある細い血管が傷むことで起こる病気です。血管が傷ついたり詰まったりすると、その血管を補うために新しい血管(新生血管)が作られます。
しかし、新生血管は通常の血管に比べて脆く、頻繁に破れてしまうのです。その結果、水晶体混濁・眼底出血・網膜剥離が起こり、飛蚊症や視力低下の原因となります。
さらに、網膜剥離が進行すると失明する可能性もあります。

糖尿病神経障害

糖尿病の症状としても紹介した通り、糖尿病になって神経に十分な栄養が届かなくなることで現れる症状が神経障害です。
しびれなどは手足の末端から始まりますが、神経障害が進行すると症状は末端に留まらず全身に広がっていきます。その結果、自律神経の機能低下により下痢・排尿障害・立ちくらみなどを起こすことがあります。
また、心筋梗塞になっても胸痛を自覚できないなど、感覚鈍麻により重篤な病気の発見が遅れることもあるため注意が必要です。

足病変

足裏は身体の中心から最も遠い場所で、糖尿病による血管の狭窄・神経障害の影響を受けやすい部位とされています。その結果、健康な方ならば治癒できる傷・水虫などの細菌感染・タコなどがもとで、潰瘍や炎症を起こし壊疽に至ることがあります。
壊疽とは細胞が死んでしまった状態で、主な治療法は壊疽した部分を取り除くことです。壊疽の範囲が小さい場合は患部を削り取るような処置になりますが、壊疽が広範囲にわたる場合は足指・下肢の切断が必要になる可能性もあります。

糖尿病と腎臓病の関係・リスク

糖尿病と腎臓病の関係・リスク
糖尿病腎症は糖尿病の代表的な合併症です。では、なぜ糖尿病になると腎機能に障害が起こるのでしょうか。
ここからは、糖尿病と腎臓の関係について詳しく解説します。

腎臓病とは

腎臓病とは、腎臓の中にある糸球体や尿細管などの器官が障害されることで、腎臓の果たすべき機能が低下する病気の総称です。腎臓病には大きく分けて急性腎臓病・慢性腎臓病(CKD)があります。
慢性腎臓病の患者さんは成人の8人に1人ともいわれ、糖尿病による腎症も慢性腎臓病です。慢性腎臓病になると腎機能の回復は困難であり、人工透析・腎移植など腎臓の機能をほかの方法で代替する「腎代替療法」が主な治療方法となります。

糖尿病と腎臓病の関係

糖尿病になると腎機能が障害されやすい理由は2つあります。
1つめは、血糖値が高い状態が続き、血管が傷んだり狭くなったりすることです。腎臓は微細な血管が多く集まる器官なので、血管が障害されることで機能低下をきたします。
2つめは、高血圧です。糖尿病の患者さんは高血圧を合併していることが多いです。高血圧は非常に腎機能に負担が大きくなり、腎機能悪化の原因になります。
3つめは、脱水・感染症が挙げられます。今回の記事でも紹介した通り、糖尿病の患者さんは脱水を起こしやすい状態です。また、免疫機能も低下するため感染症にかかりやすく重症化しやすいとされています。
このような背景から腎臓に負担がかかりやすいことも、糖尿病の方が腎臓病を合併しやすい原因といえるでしょう。

糖尿病を早期発見するポイント

糖尿病を早期発見するポイント
糖尿病の自覚症状が現れるとき、すでに糖尿病は進行して血管・神経などに影響が出始めています。このような状態になる前に糖尿病を早期発見するためには、定期的な検査・早期受診が重要です。
自覚症状のない段階で糖尿病に気付くきっかけは、検診や献血などの血液検査が多いとされています。血糖値の異常を指摘されても「検査値が高くても症状がない」という理由から受診に至らない方も多いですが、症状が現れたときには初期ではなくなっているという認識を持って早期の受診に努めましょう。

糖尿病・腎臓病のことならまごめ内科・腎クリニックにご相談を

まごめ内科・腎クリニック院長
糖尿病とは血糖値が安定しにくいだけでなく、放置すると全身にさまざまな合併症が現れる病気です。そのため、患者さん一人ひとりに合った治療・合併症への対策など、幅広い視点からの診療が必要となります。

「薬での治療だけでなく食生活などについてもしっかり改善をサポートして欲しい」「合併症についても専門知識のある医師の診察を受けたい」と考えている方は、まごめ内科・腎クリニックに相談してみてはいかがでしょうか。

最後に、まごめ内科・腎クリニックの特徴をご紹介します。

一人ひとりの症状に合わせたオーダーメイド医療

血糖値をコントロールするための薬には、多くの種類があります。まごめ内科・腎クリニックでは、治療の際にその中から画一的な処方でなく、患者さんの状態に合った薬を選択していきます。

また、まごめ内科・腎クリニックには管理栄養士が在籍していることも重要なポイントです。

糖尿病の治療では、薬で血糖値をコントロールするだけでなく、正しい食習慣・運動習慣などを身に付けることも大切な治療となります。

このような生活改善については、医師だけでなく管理栄養士も患者さんの治療をサポートします。

専門的な検査機器を完備し迅速な診療を提供

まごめ内科・腎クリニック受付
糖尿病の診断・治療効果の判定には、採血時の「血糖値」と、過去1~2ヶ月の血糖コントロールを反映する「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」が指標として用いられます。

まごめ内科・腎クリニックでは、このHbA1cについて採血後5~10分と短時間で結果がわかる測定機を導入しています。

院内で基本的な検査が完結し、結果待ちに多くの時間をかけないため、迅速な治療効果の確認が可能です。

腎臓専門の医師が糖尿病腎症に悩む方に適切な治療法を提案

まごめ内科・腎クリニックは、在籍する医師全員が日本腎臓病学会・日本透析学会が認定する専門の医師です。そのため、糖尿病だけでなく合併症である糖尿病腎症についても専門的な知識・経験をもとに適切な治療法の提案などが可能です。

糖尿病の治療は血糖値をコントロールするだけでなく、合併症の発症や進行を防ぐことが重要となります。また、中途半端な治療はかえって逆効果になるため、正しい治療を長期にわたって続けることが大切となります。

まごめ内科・腎クリニックでは、糖尿病の治療に加え、腎臓内科の専門の医師として糖尿病性腎症の進行をいかに遅らせるかを患者さんと一緒に考えて、一人ひとりに適切な治療を提供されています。

まごめ内科・腎クリニックの基本情報

アクセス・住所・診療時間

都営浅草線 西馬込駅より徒歩2分

東京都大田区南馬込5-27-13

診療時間
8:45~12:00
14:00〜18:00

★…8:45~13:00
▲…13:30~17:00
※診療スケジュールは変更されることがあります。

参考文献

この記事の監修医師