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「白内障手術」で近視も治るの? 白内障手術の仕組みを医師が解説!

 公開日:2024/12/30

白内障は視界がかすんで見える症状を引き起こす病気ですが、手術を受けることで視力を回復できる可能性があります。白内障手術でどのように視力が戻るのか、手術の仕組みやレンズの種類を、うえだ眼科クリニックの上田先生から、解説いただきました。

上田 至亮

監修医師
上田 至亮(うえだ眼科クリニック)

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防衛医科大学校卒業。防衛医科大学校病院眼科医員、自衛隊中央病院眼科医長、荻窪病院眼科部長などを勤めた後の2018年、東京都杉並区内に「うえだ眼科クリニック」を開院。「患者さんを自分の家族だと思う」スタンスの元、日々の診療にあたっている。

編集部編集部

白内障と診断された場合、手術すれば、視力を取り戻せるのでしょうか?

上田先生上田先生

「視力」が何を指しているかにもよりますね。我々眼科医が言うところの視力は、わかりやすく言うと「最適なレンズを入れて得られるクリアな視界」のことで、近視や遠視とは関係ありません。「クリアな視界」という意味であれば、白内障の手術によって、若かったころと同程度くらいまでは視力の回復は可能と考えます。

編集部編集部

詳しく教えてください。

上田先生上田先生

白内障とは、眼内でレンズの役割をする水晶体が濁ってしまうことで、視界がかすむ病気です。こちらを手術して治すことにより、「クリアな視界」を取り戻します。他方、近視や遠視は近く、もしくは遠くのモノにピントが合わなくなる状態を指します。なので、白内障治療を行い、視界のかすみを取り除いたとしても、ピント調節機能が良くなるわけではないので、近視や遠視が治るわけではありません。

編集部編集部

ちなみに手術では、どんな方法で行うのですか?

上田先生上田先生

白内障の手術では、濁った水晶体の代わりに、眼内レンズを移植します。眼内レンズの厚みは一定なので、ピント調節が効きません。なので、近視の方が、「遠くにピントを合わせた眼内レンズ」を埋め込めば、遠方の視力は出せます。しかし、今度は、手元が見えにくくなってしまいます。

編集部編集部

白内障の手術をしたら近くか遠くのどちらかしか見えなくなってしまうのでしょうか?

上田先生上田先生

そういうわけではありません。遠近両方に対応している多焦点眼内レンズや、遠近に限らず中距離にも対応している「三焦点レンズ」、「EDOF(イードフ)」と呼ばれる焦点距離の長いレンズもあります。ただし、一つの光を多焦点に振り分けますので、「光のにじみ」や「コントラスト感度の低下」などが報告されています。

編集部編集部

光のにじみやコントラスト感度は、個人差があるのですよね?

上田先生上田先生

もちろんです。また、脳の画像処理能力によって、慣れてくる方もいらっしゃるようです。とはいえ、夜間に乗車されるドライバーさんや、細かな色を使い分けるアーティストさんなどは要注意ですね。場合によっては、単焦点レンズとメガネを組み合わせたほうがいいかもしれません。

編集部編集部

ほか、注意したい年代や患者層はありますか?

上田先生上田先生

白内障は高齢者に多い病気ですが、若い方でも白内障を発症することがあります。老眼が始まる前は、ピント調節が十分に機能していますよね。このため、早期に手術を受けると、ピント調節機能の喪失により違和感が生じるようです。「クリアな視界」を優先するのか「裸眼での生活」を優先するのか、慎重に見極めていく必要があるでしょう。

※この記事はメディカルドックにて【白内障の手術を受けると、視力はどれくらい回復するの?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

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