健康診断前は朝食を食べてはいけないのはなぜ? 「血液検査」の注意点を医師に聞く
健康診断の前は絶食をしますが、それは血液検査の結果に大きく影響が出てしまうからだそうです。せっかくの検査の機会を最大限に活用するために、他にも検査前に注意したいポイントを末木内科医院の末木先生にお聞きしました。
監修医師:
末木 侑希(末木内科医院)
編集部
血液検査を受けるにあたり、注意すべきことはありますか?
末木先生
食事は前日の21時までに済ませ、当日は朝食を控えましょう。水分摂取は可能ですが、糖分や脂肪分の入った飲料では検査値に異常をきたすことがあるので、水やお茶を飲むようにしてください。
編集部
絶食をしなければいけないのはなぜですか?
末木先生
血液検査には、食事の影響を受ける項目があるからです。たとえば糖尿病の有無を調べるのに必要な血糖値は、食後すぐに上昇します。糖尿病の有無の診断には空腹時血糖の様子も参考にするので、食事を摂らずに採血を受けるようにしましょう。
編集部
普段から薬を飲んでいる場合はどうすればよいですか?
末木先生
普段、薬を服用している場合には健診の時に医師や看護師へ伝えてください。また健診の際は食事を摂らずに受診しますが、同時に水分も摂らずに過ごしてしまうと血液が濃くなり多血症と間違われることがあります。お水やお茶などを摂取して脱水には気を付けましょう。
編集部
ほかに注意すべきことはありますか?
末木先生
飲み込まないからといってガムを噛むと、わずかにふくまれる糖質が影響することがありますので、ガムやタブレットの摂取も控えましょう。また、1~2日前に筋トレや長距離ランニングなどの激しい運動をした場合には、採血の際に複数数値が異常をきたす場合があります。直前での激しい運動は控えましょう。
編集部
検査前に食事や運動をしてしまい、異常値がみられた場合にはどうすればいいですか?
末木先生
一過性の変動であることが多いですが、やはり改めて再検査して数値が元に戻っていることを確認する必要があります。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
末木先生
コロナの影響もあり、ここ2~3年健診を受けるのをためらっていた方も多くいらっしゃると思います。しかし、健診には生活習慣病を早期に発見する目的があります。生活習慣病は高血圧、脂質異常、糖尿病、高尿酸血症などを指しますが、これらを放置すると脳心血管や腎臓に悪影響を及ぼします。無症状のうちに治療介入することで、大きな病気を引き起こす確率を下げられますので、積極的に健診を受けて自身の体調を定期的に評価するようにしましょう。
※この記事はメディカルドックにて【【医師解説】健康診断の「血液検査」はなぜ必要? 検査結果の見方や病気との関係について】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。