「尿検査」や「血液検査」って、何がどこまでわかるの?
定期健診などでおなじみの尿検査や血液検査。あれはいったい、何を調べているのでしょう。もし病気が疑われるとしたら、どの程度の精度で判明するのでしょうか。気になる疑問を、「KYBクリニック」の金子先生に答えていただきました。あわせて、受診の適切なタイミングも把握しておきましょう。
監修医師:
金子 俊之(医療法人社団同心会 KYBクリニック)
尿検査は病気を発見する手がかり
編集部
健診などでおこなう尿検査は、何を調べているのでしょう?
金子先生
腎臓や尿路の状態を調べています。具体的な方法としては、「尿の色を見て潜血の有無などを判断する」「さまざまな指示薬が染み込んだ試験紙に尿をひたして反応を見る」「尿を遠心分離器にかけ、沈殿した赤血球や白血球などの数や種類を調べる」などですね。
編集部
そこから何がわかるのですか?
金子先生
例えば尿潜血なら、炎症や結石、腫瘍などが疑われます。尿糖の数値が高ければ、糖尿病かもしれません。このように、腎疾患、肝疾患、泌尿器の疾患、感染症、糖尿病、結石、腎臓や肝臓の腫瘍などの可能性がわかります。
編集部
それぞれの疾患リスクは、どこまで判明するのでしょう?
金子先生
尿検査で診断確定に至るケースは、ほとんどありません。あくまで病気を発見する「手がかり」なので、疑わしき疾患を、別の専門的な検査で評価していく必要があります。
編集部
尿を提出するとき、なぜ、最初の尿は捨ててしまうのですか?
金子先生
出始めの尿の中には、細菌や細胞成分などが混入していることがあるからです。ですので、出始めの尿ではなく、途中からの尿を調べる必要があります。このような排出途中の尿のことを「中間尿」と呼んでいます。
病気の8割は血液検査で判明する
編集部
続いて、血液検査の目的についてもお願いします。
金子先生
検査項目は40以上あり、白血球や赤血球の数、コレステロール値、肝機能や腎機能の確認など、さまざまな目的に分けられます。
編集部
同じく、そこから何がわかるのでしょう?
金子先生
8割以上の病気や異常は、血液検査で調べることができます。「血液は体のカルテ」と言っても過言ではないですよね。
編集部
尿検査より精度が高いのですね?
金子先生
そのとおりです。血液検査は、「手がかり」にも使われますが、診断確定をつけるための特別な検査としても有効です。
検査のタイミングは、「5時間以上食事を取っていない空腹時」がベスト
編集部
検査結果は、その日の食生活などで変わりやすいような気がします。
金子先生
特に血液のほうは食生活に左右されやすいですね。例えば血糖値は、食事の前後で大きく変わります。ですから採血は、「5時間以上食事を取っていない空腹時」におこないます。
編集部
血液検査が「5時間以上食事を取っていない空腹時」だとすると、尿検査のタイミングはどうでしょう?
金子先生
同じく「5時間以上食事を取っていない空腹時」がいいでしょう。自宅で採尿する場合、起床後の最初の尿を指示されることが多いと思います。
編集部
指示されたタイミングを守れば、「たまたまの異常値」は起こりにくいのですか?
金子先生
「たまたまの異常値」は、筋トレやマラソンの直後などに起こることがあります。健診の時間に遅れそうでも、走って来院するようなことは避けましょう。遅れそうな旨を電話などでご連絡いただければ十分です。
編集部
尿検査や血液検査を、健診以外のタイミングで受ける意義はありますか?
金子先生
尿検査や血液検査の必要性を判断するのは医師です。症状や違和感などがあれば、随時、医師へご相談ください。その結果、尿検査や血液検査を勧められることはあるでしょう。この場合は、もちろん保険が使えます。他方、症状がなく、予防目的などで単独の尿検査や血液検査をすると、自費扱いとなってしまいます。
編集部
症状がなければ、定期健診のタイミングで十分ですね?
金子先生
そのとおりです。ただし、定期健診や特定健診は、1年に1回、必ず受けるようにしてください。費用負担をしてもらえますし、健康管理の要です。
編集部
最後に、読者へのメッセージがあれば。
金子先生
尿検査や血液検査は、ご存じのとおり、数字の評価でおこないます。このとき重要なのは、時系列の変化です。その時だけの数字で一喜一憂することに“あまり”意味はありません。ぜひ、定期的な健診を続けていただきたいですね。
編集部まとめ
自分の身体の状態を把握する為に、尿検査も血液検査も非常に重要な役割を果たしているということがよくわかりました。特に血液は体のカルテといわれるほど病気や異常を発見するのに有効なのですね。金子先生もおっしゃるように、1年に1回は必ず受けるようにしてください。
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