「緑内障」治療で後悔しないために 眼科選びのコツや検査時の注意点も医師が解説
緑内障治療で後悔しないためには、最新の検査機器と知見を持つ眼科選びが重要です。視野検査やOCT検査を活用し、特に正常眼圧緑内障やレーシック経験者は注意が必要です。「小江戸眼科内科 白内障・緑内障・糖尿病クリニック」の庄司先生に解説していただきました。
監修医師:
庄司 拓平(小江戸眼科内科 白内障・緑内障・糖尿病クリニック)
編集部
緑内障の検査や治療を受ける際に、どのような眼科を選べばいいのでしょうか?
庄司先生
緑内障は眼科疾患の中ではありふれた病気なので、どの眼科医も治療経験はあります。しかし、緑内障の診断や治療方法も、この10年間で劇的に変化しているため、最新の知見を常にアップデートしている眼科を選ぶのがおすすめです。
編集部
具体的には、どのような点に注意すればいいでしょうか?
庄司先生
緑内障をいち早く見つけるには、検査がとても重要です。一般的に、緑内障は眼圧が高くなる病気として知られていますが、最近では眼圧が正常なのにも関わらず発症する正常眼圧緑内障の方がむしろ日本人では多数派になってきています。そのため、眼圧検査、隅角検査、眼底検査、視野検査など幅広く受けることで、早期発見につなげます。
編集部
検査がとても重要なのですね。
庄司先生
はい。特にOCT(光干渉断層計)検査といって、網膜の状態を断層ごとに分けて詳細にチェックする検査もあります。視神経乳頭の状態や網膜神経線維層の厚みを自動計測するなど、精密な検査を侵襲なくおこなうことができ、極初期の緑内障や視野異常が表れる前の緑内障(前視野緑内障)を見つけることができます。
編集部
極初期でも見つけることができるのですね。
庄司先生
はい。ただし、早期になると元々の体質なのか、それとも緑内障が始まっているのかを見分けるのが困難です。その点では、医師の経験や技量が問われると思います。
編集部
ほかに、検査で注意すべきことはありますか?
庄司先生
緑内障の進行を見極めるためには、見つめている中心から上下左右、どの範囲まで見えているかを確認する「視野検査」が重要です。動かない光を使って見える範囲や欠落部の有無を調べる「ハンフリー視野計」や、モニターを覗き込んで使用する視野計「imo」、外から中心に向かって光を動かして見えた位置をつなげて視野を調べる「ゴールドマン視野計」など、多角的に視野を測定すると、より早期発見につながりやすくなります。
編集部
様々な検査が必要なのですね。特に注意した方がいい人はいますか?
庄司先生
特にレーシックをおこなった人は今後、注意が必要です。レーシックの際に角膜を削るのですが、角膜厚が薄いと眼圧が低く表示されることが知られています。レーシックをおこなって近視を矯正しても、元来持っている眼球の形状が近視であれば、緑内障のリスクは近視でない人よりも高くなります。レーシックをおこなっている人は、眼圧が低いからといって緑内障にならないとは限りません。
※この記事はMedical DOCにて【緑内障治療を受ける際の医院選びのポイントを眼科医が徹底解説 どこで治療しても同じ?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。