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「大動脈瘤」が破裂する前の5つの前兆症状はご存知ですか?【医師解説】

 公開日:2026/02/18
大動脈瘤が破裂する前の前兆症状

大動脈瘤破裂とは?Medical DOC監修医が大動脈解離との違い・破裂する前の症状などを解説します。

※この記事はMedical DOCにて『「大動脈瘤破裂」の前兆症状はご存知ですか?破裂すると現れる症状も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

藤井 弘敦

監修医師
藤井 弘敦(医師)

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三重大学医学部卒業。沖縄県立中部病院で初期研修、河北総合病院で外科研修を経て現在は菊名記念病院で心臓血管外科医として日々手術・重症者管理を行っている。医療用アプリの開発や在宅診療、海外で医療ボランティアを行うなど幅広く活動している。外科専門医、腹部ステントグラフト実施医/指導医、胸部ステントグラフト実施医、米国心臓病学会ACLSプロバイダー、日本救急医学会JATECプロバイダーの資格を有する。

「大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)」とは?

大動脈は、心臓から出た血液を全身へと送り出す、体の中で最も太い血管です。大動脈はその走行によって、胸部を通る「胸部大動脈」と腹部を通る「腹部大動脈」に分かれます。
大動脈の血管壁が弱くなり、一部が風船のように膨らむ、または突出した「瘤(こぶ)」のようになった状態を「大動脈瘤」と呼びます。
正常な大動脈の直径は、胸部で約30mm、腹部で約20mmとされており、これが1.5倍以上に拡大すると大動脈瘤と診断されます。膨らむ場所によって「胸部大動脈瘤」や「腹部大動脈瘤」と呼ばれています。

「大動脈瘤破裂」とは?

膨らんだ大動脈瘤が限界を超えて裂けることが「大動脈瘤破裂」です。 破れると大量出血がおこります。大動脈は太く流れも速いため、破裂すれば短時間で致命的な出血になり一瞬で命を脅かす非常に危険な状況を招きます。

「大動脈瘤破裂」と「大動脈解離」の違いとは?

「大動脈瘤破裂」と「大動脈解離」の違いについて解説しましょう。「大動脈瘤破裂」は、瘤状に膨らんだ大動脈壁が破れて血液が体外(胸腔や腹腔)に出血する病気です。一方「大動脈解離」は、大動脈壁の一番内側の膜(内膜)が裂け、血液が壁の真ん中の膜(中膜)に流れ込むことで層状に剥がれていく病気です。大動脈解離では、血液は血管の外にはでませんが、血液が流れる本来の通り道が狭まり(狭窄)、臓器に血が届きにくくなる(虚血)など重大な合併症を引き起こします。
どちらも命に関わる危険な病気です。

大動脈瘤が破裂する前に現れる前兆症状

多くの大動脈瘤は、初期はほとんど自覚症状がありません。しかし、瘤が大きくなると、破裂の前兆ともいえるサインが現れることがあります。これらの前兆を知っておくことで、早めの受診や治療につながることもあります。ここでは、特に注意すべき5つの症状について解説します。

胸や背中の痛み

胸部大動脈瘤が拡大してくると、胸や背中に鈍い痛みや圧迫感を感じることがあります。今までに感じたことのないような強い痛みや、急激に悪化する痛みがある場合は特に注意が必要です。

咳や血痰

大動脈瘤が気管や気管支、周辺組織を圧迫することで、長引く咳や、まれに血痰が現れることがあります。通常の風邪とは明らかに違うと感じた場合は注意が必要です。

声のかすれ(嗄声)

大動脈瘤が喉の近くを走る神経(反回神経)を圧迫すると、突然声がかすれたり、弱々しい声しか出なくなったりすることがあります。特に、急な声の変化がある場合は注意が必要です。

食べ物が飲み込みづらい(嚥下困難)

大動脈瘤が食道を圧迫すると、食事中に飲み込みにくさを感じることがあります。特に固形物が詰まるような感覚があれば、注意が必要です。

腹部や腰の痛み、拍動するしこり

腹部大動脈瘤の場合、お腹や腰に鈍痛を感じたり、臍周辺で拍動するしこり(腫瘤)に気づいたりすることがあります。痛みを伴う拍動性の腫瘤を感じた場合は、特に注意が必要です。

これらの症状に気づいた場合は、放置せずすぐに病院を受診してください。大動脈瘤が一度破裂してしまうと命に関わるため、迅速な対応が必要です。

なお、大動脈瘤は薬で進行を止めることはできず、基本的に外科的治療(手術)が必要となります。そのため、受診する際は、心臓血管外科・血管外科のある病院を受診しましょう。

「大動脈瘤破裂」についてよくある質問

ここまで大動脈瘤破裂について紹介しました。ここでは「大動脈瘤破裂」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

大動脈瘤が破裂すると即死なのでしょうか?

藤井 弘敦藤井 弘敦 医師

大動脈瘤が破裂すると、その出血量や破裂した部位によっては即死の可能性もあります。しかし、必ずしも全ての方が即死するわけではありません。破裂の程度が比較的軽微なケースや、出血部位によっては、救急搬送され適切な治療を受けることで救命できる場合もあります。ただし、破裂後の状態は非常に危険であり、病院に到着する前に亡くなるケースも多く、早期発見と迅速な治療が命を守る鍵となります。
なお、搬送までの間に心肺停止に至った場合は、心臓マッサージなどの心肺蘇生が行われることもありますが、大動脈瘤破裂に対しては根本的な処置にはならず、あくまで応急的な対応となります。

大動脈瘤破裂で助かる確率はどのくらいなのでしょうか?

藤井 弘敦藤井 弘敦 医師

大動脈瘤破裂で助かる確率は、破裂した部位や患者さんの状態によって大きく異なり、一概には言えません。大動脈瘤破裂の具体的な生存率のデータはありません。大動脈瘤破裂は、病院に搬送される前に亡くなる方もいることを考慮すると、決して高い確率で助かるわけではありません。ただし、迅速に医療機関へ搬送され、適切な救命処置と手術が受けられた場合には、助かる可能性も十分にあります。

大動脈瘤破裂で亡くなる確率はどのくらいなのでしょうか?

藤井 弘敦藤井 弘敦 医師

大動脈瘤破裂で亡くなる確率は、破裂した部位によって異なります。胸部大動脈瘤破裂は病院に到達して手術が受けられた場合でも、術後の死亡率は約17〜30%とされています。また、腹部大動脈瘤破裂の場合も、肝臓や腎臓などいろいろな臓器の働きが悪くなる多臓器不全になると、死亡率は50%から70%に達し、手術に至っても依然として死亡率は高く予後不良な疾患です。さらに、これらのデータはあくまで病院にたどり着いた方の死亡率であり、病院に搬送される前に亡くなる方も多くいることを考えると大動脈瘤破裂は非常に危険性の高い病気です。

編集部まとめ

大動脈瘤破裂は、自覚症状がないまま進行し、ある日突然命に関わる状態に陥る非常に危険な病気です。破裂すると大量出血を引き起こし、救命できたとしても長期の入院やリハビリ、さらには後遺症が残る可能性もあります。
大動脈瘤破裂を防ぐには、動脈硬化や高血圧、喫煙といったリスク因子を早期にコントロールすることが何より重要です。大動脈瘤破裂は、発見の遅れが命取りになる病気です。年齢や症状に関係なく、定期的な検診と健康管理を心がけることが、最善の予防となります。

「大動脈瘤破裂」と関連する病気

「大動脈瘤破裂」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

大動脈瘤を大きくしないことが重要です。大動脈瘤の原因を放置すると、瘤が大きくなり破裂につながります。

「大動脈瘤破裂」と関連する症状

「大動脈瘤破裂」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

血圧が高い状態を放置していると大動脈瘤破裂につながります。大動脈瘤が破裂すると激しい痛みが起こり、短時間のうちに致命的な状況になります。

この記事の監修医師

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