「急性大動脈解離になりやすい人の特徴」はご存知ですか?医師が解説!
急性大動脈解離で急死する原因・急死する前の症状とは?Medical DOC監修医が急性大動脈解離で急死する原因・症状・なりやすい人の特徴・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。
※この記事はMedical DOCにて『「急性大動脈解離で急死する前に現れる症状」はご存知ですか?原因も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
佐藤 浩樹(医師)
目次 -INDEX-
「急性大動脈解離」とは?
心臓から出た大動脈は、外膜、中膜、内膜の3層構造となっていて、十分な強さと弾力を持っています。これがなんらかの原因により、内側にある内膜に裂け目ができ、その外側にある中膜に血液が入り込みます。このように大動脈が避けた状態を、(急性)大動脈解離といいます。急性大動脈解離は、急死する原因にもなります。そこで、この記事では急性大動脈解離の命に関わる重要な症状や、起こりやすい人の特徴などについて解説します。
急性大動脈解離になりやすい人の特徴
身体的・精神的ストレス
急性大動脈解離は身体的なストレスや精神的なストレスによって、急性大動脈解離は発症しやすくなる可能性があります。重量挙げや激しい運動を繰り返すことで、血圧が上昇し、大動脈に負担をかけることがその要因だとされています。このような身体的ストレスだけでなく、激しく怒ることが急性大動脈解離発症に関与しているとされています。
高血圧
急性大動脈解離は約8割の方が高血圧を合併していますし、高血圧があると急性大動脈解離の発症率も上がることが知られています。中には、急性大動脈解離の発症前から180mmHgを超えるような高血圧の状態の方もおり、治療が可能な危険因子とされています。
睡眠障害
急性大動脈解離を発症している方は睡眠障害を認める方も多いとされています。さらに、睡眠障害は高血圧の発症率を上げるため、間接的に急性大動脈解離の発症リスクを上げる可能性があります。睡眠障害には不眠症、睡眠不足、閉塞型睡眠時無呼吸症候群などがあります。日中に眠くなりやすい、仕事や勉強に集中できないなど、睡眠障害が疑われる症状は確認しておく必要があるでしょう。
すぐに病院へ行くべき「急性大動脈解離で急死」
ここまでは急性大動脈解離での急死について紹介してきました。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
激しい胸や背中の痛みがある場合は、循環器内科へ
激しい胸や背中の痛みは、急性大動脈解離の特徴的な症状の1つです。特に、その痛みが移動する、避けるような痛みがある場合は救急車を呼び、早めに循環器内科を受診するようにしましょう。
受診・予防の目安となる「急性大動脈解離で急死」のセルフチェック法
- ・失神症状がある場合
- ・手足の痺れや麻痺の症状がある場合
- ・呂律がまわらない症状がある場合
急性大動脈解離を予防する方法
血圧管理を徹底する
高血圧は急性大動脈解離の危険因子で、血圧が180mmHgを超える患者さんも少なくありません。高血圧は塩分摂取を制限するなど生活習慣の是正や、内服薬による治療でコントロール可能な危険因子です。高血圧を指摘されている場合は、近くにある内科医などを受診するようにしましょう。
ストレスを減らす
激しい運動などの身体的ストレスや精神的なストレスは、急性大動脈解離の原因になる恐れがあります。重量挙げなど、強い負荷がかかる場合は定期的な検診を行うと安心です。精神的なストレスが強くかかる場合も、適切な対応を取るため心療内科などで相談するのもストレス軽減に繋がります。
睡眠障害がないか確認する
睡眠障害は急性大動脈解離の発症に関わることが知られています。なかなか夜に眠れなかったり、昼間に眠気を感じたりする場合は睡眠障害の可能性があります。また、睡眠障害は高血圧の原因になることがあるため、間接的に急性大動脈解離のリスクを高める恐れがあります。現在の睡眠に不安がある場合は、精神科や呼吸器内科などを受診するようにしましょう。
「急性大動脈解離で急死」についてよくある質問
ここまで急性大動脈解離での急死などを紹介しました。ここでは「急性大動脈解離で急死」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
急性大動脈解離を発症してから、どれくらいで亡くなることが多いですか?
佐藤 浩樹 医師
心臓を出てすぐの、心臓に近い大動脈(上行大動脈)で解離が起こった場合、治療をせずに放っておくと、発症して48時間以内に約半数の人が亡くなる、と言われています。
若い方でも急性大動脈解離で急死することはありますか?
佐藤 浩樹 医師
はい。急性大動脈解離は男性70歳代、女性80歳代に多いですが、10歳代から発症が報告されています。Marfan症候群など先天的な疾患などが発症に関与しています。
編集部まとめ
急性大動脈解離は迅速な対応が必要で、放っておくと亡くなってしまう病気です。高血圧やストレス、睡眠障害など日常生活が、急性大動脈解離のリスクに関わってきます。日常生活を見直すことで、急性大動脈解離のリスクが減る可能性があります。血圧やストレス、睡眠に関して不安があれば近くの医療機関を受診することから始めてみましょう。
「急性大動脈解離で急死」と関連する病気
「急性大動脈解離で急死」と関連する病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
心療内科、精神科の病気
急性大動脈解離は心タンポナーデや脳梗塞など、生死や重大な後遺症を残す疾患と密接な関係があります。それらを引き起こさないよう、高血圧の管理や睡眠障害の是正が重要です。
「急性大動脈解離で急死」と関連する症状
「急性大動脈解離で急死」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 呼吸とともに痛みが変動する
- 胸が痛い
- 背中を動かすと痛い
- 手足を動かすと痛い
- 背中の片側が痛い
- 視界の半分が見えづらい
急性大動脈解離には鑑別が必要な疾患があります。また、痛みがなくても急性大動脈解離を発症することがあるため、上に挙げた症状などにも注意する必要があります。