「急性心不全の前兆となる3つの初期症状」はご存知ですか?医師が解説!

急性心不全の前兆とは?メディカルドック監修医が解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。
※この記事はメディカルドックにて『「急性心不全の前兆となる3つの初期症状」はご存知ですか?予防法も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
丸山 潤(医師)
【保有資格】
医師/医学博士/日本救急医学会救急科専門医/日本集中治療医学会集中治療専門医/DMAT隊員/日本航空医療学会認定指導者(ドクターヘリの指導者資格)/JATECインストラクター/ICLSインストラクター
目次 -INDEX-
「急性心不全」とは?
急性心不全とは、心臓が血液を体中に十分送り出すことができなくなる状態を指します。これにより、各臓器が必要な酸素や栄養を受け取れず、さまざまな症状が発生します。本記事では急性心不全の特徴やその予防法について詳しく解説します。
急性心不全の前兆となる初期症状
動いた時の息切れ
心不全では心臓のポンプ機能が低下し、体中の組織に十分な酸素を送り出すことができなくなります。これにより、ちょっとした運動でも、全力で走った後のように息切れが起きてしまうことがあります。重症の心不全では安静にしていても息が苦しく、酸素投与が必要な状態となりますが、急性心不全の初期は階段の上り下りなど、日常動作の中では少し負荷のかかる運動をした時だけ息切れが出現します。階段昇降や散歩などの際に息切れを自覚した場合は「年のせいかな?」と放置せず、一度医療機関を受診しましょう。息切れの原因は心不全のみではないため、まずはかかりつけの内科への受診を検討してください。心不全が疑われる場合は循環器内科への受診が適しています。
胸痛
心臓の病気といえば「胸痛」が起こるイメージがあるかもしれません。しかし、正確には急性心不全の症状そのものというより、同時に起こっている急性心不全の原因となる病気が胸痛を起こしている可能性があります。
少し負荷のかかる日常動作をした時にだけ一時的に胸痛が出現する場合は「狭心症」が考えられます。狭心症は、心臓への血流が一時的に不足することで発生し、胸の圧迫感や痛みが現れる病気で3種類に大別されます。運動した時だけ発生するものは「労作性狭心症(安定狭心症)」と呼ばれます。これは動脈硬化で心臓への血管(冠動脈)が狭くなっており、運動で酸素の必要量が増えた時に血液供給が追いつかず、胸痛が出現します。対して、「異型狭心症」は夜寝ているとき(特に明け方)などに、運動とは関係なく胸痛が出現します。多くの場合、異型狭心症では冠動脈が一時的にけいれんを起こして収縮し、血流が途絶えることで症状が起こります。最後に、最も危険な状態は「不安定狭心症」です。不安定狭心症は完全に閉塞していないものの、冠動脈の動脈硬化が進行し、血管が非常に狭くなっている状況で、動いたときだけでなく安静にしている時さえも症状が出現することがあり、心筋梗塞の一歩手前の状態と言えます。胸痛を自覚した時点で早めに医療機関を受診すべきですが、特に安静時に突然胸痛を自覚するようなことがある場合は、すぐに循環器内科を受診しましょう。
浮腫
急性心不全では心臓のポンプ機能が低下しているため、全身に送られた水を引き戻す力も弱まっており、その結果、体の浮腫が出現します。特に心臓から遠い下腿(膝より下側)の浮腫が出やすいです。浮腫がひどくなると、歩きにくくなるだけでなく、うっ滞性皮膚炎によって潰瘍ができたり感染しやすくなったりと生活の質が大きく下がる原因となります。
長時間の立ち仕事後や夜間にのみ浮腫を自覚する程度であれば、様子を見て、市販の弾性ストッキング着用程度のセルフケアをすれば良いですが、慢性的に浮腫が続く場合は心不全が背景に隠れている可能性があるため医療機関を受診しましょう。浮腫の原因はさまざまなので、まずはかかりつけの内科を受診してください。
「急性心不全の前兆」についてよくある質問
ここまで急性心不全の前兆などを紹介しました。ここでは「急性心不全の前兆」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
若い人の急性心不全の初期症状について教えてください。
丸山 潤(医師)
若い人の場合も息切れや脚の浮腫が主な初期症状です。特に運動後や横になった時に息苦しい時は急性心不全の可能性があります。若い人の場合、喘息発作でも似たような症状を自覚することがあるため、息苦しさを自覚した時は早めに医療機関を受診し適切な治療を受けましょう。まずは内科への受診をご検討ください。もし、症状が強い場合は救急外来を受診しましょう。
急性心不全の初期症状に腹痛はありますか?
丸山 潤(医師)
急性心不全の初期症状として腹痛が出現することはあります。例えば、心筋梗塞は「みぞおちの痛み」であり、それを「上腹部痛」と表現する方がいらっしゃいます。また、心筋梗塞は放散痛といって胸痛だけでなく顎・奥歯・肩・腹などに痛みが広がることもあり、その初期症状はさまざま です。その他、大動脈解離では腹部の血管が破裂した場合、腹痛や背部痛が出現します。腹痛が出現した時は、それがどんなタイミングで起きたのか、その痛みはどのくらいの強さで、痛い部分が移動するのかといった情報を集め、医師に伝えましょう。
編集部まとめ
急性心不全は予防できる可能性が高い病気であり、また、重症化する前に発見・治療することで余命を延ばすことができる病気です。健康的な生活習慣を心がけ、定期的な健康診断を受けることが、心不全を予防するための鍵です。また、日常生活で感じるささいな変化に注意を払い、息切れや浮腫に気づいた時には早めに医療機関を受診しましょう。
「急性心不全の前兆」と関連する病気
「急性心不全の前兆」と関連する病気は16個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
呼吸器科の病気
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- 喘息
腎臓科の病気
- 慢性腎疾患
- 低アルブミン血症
加齢に伴い運動で息切れしやすくなっているのを自覚する程度であれば様子を見ることができますが、階段昇降や平地での散歩で息が苦しくなったり、脚のむくみが慢性的に続いていたりするような場合には、病気が隠れている可能性があります。
「急性心不全の前兆」と関連する症状
「急性心不全の前兆」と関連している、似ている症状は10個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
これらの症状がある場合、「急性心不全」「喘息発作」「腎不全」などの疾患である可能性が考えられます。階段昇降など日常生活で少し負荷のかかる場面で息切れしたり、横になると胸が苦しくなってしまったりするような場合には、早めに医療機関を受診しましょう。