「不整脈を発症しやすい人の特徴」はご存知ですか?セルフチェック法も医師が解説!
不整脈で突然死する前兆にはどんな症状がある?Medical DOC監修医が不整脈で突然死する前兆・不整脈を発症しやすい人の特徴や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。
※この記事はMedical DOCにて『「不整脈で突然死する前兆症状」はご存知ですか?予防法も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
丸山 潤(医師)
【保有資格】
医師/医学博士/日本救急医学会救急科専門医/日本集中治療医学会集中治療専門医/DMAT隊員/日本航空医療学会認定指導者(ドクターヘリの指導者資格)/JATECインストラクター/ICLSインストラクター
目次 -INDEX-
「不整脈」とは?
心臓は生まれてから死ぬまで鼓動を打ち続けます。不整脈は、この鼓動のリズムが狂う症状の総称です。安静にしている時の脈の回数はほぼ同じです。不整脈はいつものリズムより極端に脈が少ない、多い、脈が飛ぶなど、さまざまな種類があります。
不整脈は高齢になればなるほど増える傾向があり、決して珍しい症状ではありません。不整脈がすべて危険なわけではありませんが、中には突然死を引き起こす危険なものがあります。
子供でも突然命を失う重度の不整脈は、まれに起こります。日本の小中高校では年間40名前後の児童、生徒が心臓発作で急死しています。その原因の一つは不整脈と考えられ、一見すると健康そうな子供が突然発作を起こすことがあります。子供の心疾患は学校で行う心臓健診で見つかるケースがほとんどで、自覚症状に乏しいのが特徴です。
不整脈を発症しやすい人の特徴
先天性心疾患
生まれつき心臓に疾患がある方は、不整脈が発症しやすくなります。先天性心疾患には、主な種類だけで約50種類あり、大きく分けて、非チアノーゼ性心疾患とチアノーゼ性心疾患に分けられます。チアノーゼ性心疾患は血液中の酸素不足により皮膚が青く変色するタイプで、非チアノーゼ性心疾患は変色がないタイプです。非チアノーゼ性心疾患は見た目ではわかりにくく、大人になってから心電図検査や精密検査で診断されることがあります。一方、チアノーゼ性心疾患は外見で判別しやすく、多くの場合幼いうちに発見されます。
これらの先天性心疾患は心臓の構造が正常と異なるため、電気信号が適切に流れていかないケースや、正常とは異なる部分に負荷がかかるせいで成人になってから不整脈を起こしやすくなることがあります。
抗うつ剤、風邪薬などの服用
不整脈は薬が原因で起こることがあります。抗うつ剤や抗不整脈薬、過剰に動く心臓を落ち着かせるために服用するβ遮断薬、風邪薬などは、不整脈を誘発させる可能性があります。
抗不整脈薬やβ遮断薬は不整脈や心筋梗塞などを防ぐために服用する薬ですが、容量や薬の種類によっては脈を抑え過ぎてかえって悪化することがあります。服用中にますます体調が悪くなったら、早急に治療を受けている病院に相談して下さい。
風邪薬に含まれる成分、メチルエフェドリン塩酸塩は頻脈性不整脈を誘発、悪化させることがあります。市販薬にも含まれる成分なので、気軽に風邪薬を買って服用するのは控えましょう。漢方薬でも麻黄(まおう)という生薬が含まれる薬は、エフェドリンと同じ成分が含まれています。コーヒーに含まれるカフェインも交感神経を刺激し頻脈性不整脈を誘発するため、風邪薬と一緒に飲まないようにしましょう。
不摂生な生活
ストレスや寝不足、過剰なアルコールやカフェイン摂取、喫煙は不整脈を引き起こす生活習慣です。これらの不摂生は肥満や高血圧、生活習慣病を引き起こす原因ですが、不整脈を誘発するリスクも高めます。
生活する上でストレスをゼロにはできないので、夢中になれるもの、ストレス発散させるものを見つけることが良いでしょう。適度に身体を動かす、十分な睡眠時間を確保する、目覚めたらすぐに日光を浴びて体内時計を調整するなど、日常を整えることで自律神経が整い不整脈が起こりにくくなる可能性があります。
高血圧
高血圧は高齢になると起こりやすい症状ですが、放置すると不整脈を誘発します。高血圧を防ぎ、改善するには減塩がもっとも効果があります。男性7.5g/日、女性6.5g/日を目標に、減塩を実践しましょう。
野菜を積極的に食べる、ラーメンやうどんの汁を残す、塩、しょうゆをポン酢、ドレッシングなどで代用する、塩分を輩出するカリウムが多い食品(きゅうり、バナナ、海藻類など)を積極的に摂取するなど、食生活の工夫で減塩できます。
食生活を工夫しても血圧が下がらない場合は、降圧剤を服用します。特に女性は閉経すると、血圧を下げる作用のある女性ホルモン、エストロゲンが減り、高血圧を起こしやすくなります。子供や若い世代でも、肥満になると高血圧リスクが上がります。
バセドウ病(甲状腺機能亢進症)
のどにある甲状腺という器官から、甲状腺ホルモンが分泌されます。この甲状腺ホルモンが多すぎるとバセドウ病という病気を発症します。甲状腺ホルモンは代謝をコントロールする大事なホルモンで、多すぎると常に全力疾走しているような状態になります。放置すると不整脈のひとつ、心房細動を引き起こし、突然死を引き起こすことがあります。
バセドウ病は何もしていないのに動悸が止まらない、汗が出る、体重減少、疲れが取れない、眼球が突出するなど、さまざまな症状が起こります。20代から30代の女性に多い疾患ですが、男性や子供も発症することがあります。これらの症状が改善しない時は、できるだけ早く内科、できれば甲状腺・内分泌内科を受診しましょう。
バセドウ病は自分の免疫が自分の身体を攻撃する自己免疫疾患です。発症する原因やメカニズムはまだ解明されていませんが、治療法はあります。
すぐに病院へ行くべき「不整脈で突然死する前兆」
ここまでは不整脈の症状を紹介してきました。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
突然の胸痛と失神を自覚した場合は、救急科へ
突然の失神や激しい胸痛が起こる場合は、早急に救急車を呼びましょう。心筋梗塞や不整脈を引き起こしている可能性が高く、ただちに処置をしなければ突然死するリスクがあります。
突然失神して倒れた場合は、心房細動でできた血栓が脳血管で詰まり脳梗塞を起こしている可能性があります。意識が戻らない、激しいいびきをかいている、身体や顔の半分がまひしている場合は脳梗塞を起こしている可能性があります。脳梗塞は時間との勝負で、数時間以内に治療を行えば回復する可能性が上がります。ただちに救急車を呼びましょう。
受診・予防の目安となる「不整脈」のセルフチェック法
- ・何もないのに動悸が続く場合
- ・胸が痛い場合
- ・息切れが続く場合
- ・突然意識を失う場合
「不整脈で突然死する前兆」についてよくある質問
ここまで不整脈で突然死する前兆を紹介しました。ここでは「不整脈で突然死する前兆」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
子供が不整脈で突然死する前兆にはどのような症状や原因がありますか?
丸山 潤(医師)
子供の不整脈は自覚症状がないことが多く、前兆が表れにくい傾向があります。一般的な不整脈でよく現れる症状に、動悸があります。突然胸がドキドキと早鐘を打つように心拍が速くなる、逆にドキン、ドキンと急に遅くなる場合は、すぐに安静にしましょう。
心拍が速すぎると胸の痛み、胸やけのような症状が出ます。脳まで血流が流れず、めまい、失神などが現れることがあります。子供だと、これらの症状が起きても運動を続けてしまいがちです。心臓健診で正常だった子でも、これらの症状が出たら一旦休んで様子を見るようにしましょう。
子供の場合、何の前触れもなく突然致死的な不整脈で倒れることがあります。そんな時でも速やかにAEDを使用することで救命できる可能性があります。周囲の皆様にはぜひ定期的にAED講習を受けていただき、いざという時に実践してもらえたら嬉しいです。
編集部まとめ
日常生活の中で「不整脈」は身近な存在かもしれませんが、重大な合併症を引き起こす可能性があります。日々の小さなサインを見逃さず、早期発見・早期治療につなげることができれば、突然死のリスクを大きく減らすことができます。もし心配な症状があれば、遠慮せずに医師の診察を受けてください。
また、予防策としては、バランスの取れた食生活、適切な運動、十分な睡眠、ストレスの管理など、健康的なライフスタイルを心がけることが何よりも重要です。健康は一日にしてならず、日々の積み重ねが大切です。不整脈の予防と管理で、より良い生活を手に入れましょう。
「不整脈で突然死する前兆」と関連する病気
「不整脈で突然死する前兆」と関連する病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
循環器科の病気
- 心臓震盪
- 心室細動
- 心室頻拍
- 心筋梗塞
- QT延長症候群
- 房室ブロック
- 洞不全症候群
時々脈が飛ぶことがある程度であれば様子見で大丈夫ですが、動悸がひどい場合や気が遠くなる場合は病気が隠れている可能性があります。
「不整脈で突然死する前兆」と関連する症状
「不整脈で突然死する前兆」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 胸痛
- めまい
- 失神
- 目の前が真っ暗になる
- 動機
不整脈の前兆は胸痛やめまい、動悸、失神など、さまざまな症状が現れます。めまいや失神は貧血、起立性低血圧などでも起こり、自己判断が難しい症状です。何度も続くときは、早急に医療機関に受診して精密検査を受けましょう。