「LDLコレステロール」の上昇を抑えるための予防法はご存知ですか?【医師解説】

Medical DOC監修医がLDLコレステロールの上昇を抑えるための予防法などを解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「LDLコレステロールの基準値」とは?下げる可能性の高い食べ物も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
村上 友太(東京予防クリニック)
2011年福島県立医科大学医学部卒業。2013年福島県立医科大学脳神経外科学入局。星総合病院脳卒中センター長、福島県立医科大学脳神経外科学講座助教、青森新都市病院脳神経外科医長を歴任。2022年より東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医、健康経営エキスパートアドバイザー。
目次 -INDEX-
コレステロールとは?(悪玉LDL/善玉HDL)
コレステロールは、私たちの体にとって必要不可欠な脂質(脂肪分)の一種です。細胞膜の構成成分となったり、ホルモンや胆汁酸の材料になったりするなど、生命維持に欠かせない役割を担っています 。ホルモンは体の機能を調節する物質、胆汁酸は脂肪の消化吸収を助ける物質です。コレステロールは、主に肝臓で作られますが、食事から摂取もされます。血液中では、リポたんぱく質という粒子と結合して全身に運ばれます。コレステロールには、LDLコレステロールとHDLコレステロールの2種類があり、それぞれ異なる働きをしています。
善玉コレステロール(HDLコレステロール)
HDLコレステロールは、血管壁や血液中に溜まった余分なコレステロールを回収し、肝臓へ運ぶ役割を担っています。つまり、血管を掃除してくれるようなイメージです。HDLコレステロールが増えると、血管壁にコレステロールが蓄積するのを防ぎ、動脈硬化を抑制する効果が期待できます 。 この働きから、HDLコレステロールは「善玉」コレステロールと呼ばれています。
悪玉コレステロール(LDLコレステロール)
LDLコレステロールは、肝臓で作られたコレステロールを全身の細胞に運ぶ役割を担っています。細胞は、LDLコレステロールを材料にして、細胞膜やホルモンなどを作ります。しかし、LDLコレステロールが血液中で過剰になると、血管の内壁にコレステロールが蓄積し、血管が硬く狭くなる動脈硬化を引き起こす原因となります 。 動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳卒中などの重篤な疾患を引き起こすリスクが高まります。そのため、LDLコレステロールは「悪玉」コレステロールと呼ばれています。
LDLコレステロールの基準値
LDLコレステロールの基準値は、日本動脈硬化学会が作成している「動脈硬化性疾患ガイドライン2022年版」で以下のように定められています。
140mg/dl以上:高LDLコレステロール血症
120~139mg/dl:境界型高コレステロール血症
男女別・LDLコレステロールの基準値
女性は、男性と比較してコレステロール値が変わりやすいことが分かっています。女性ホルモンであるエストロゲンは、LDLコレステロールを減らし、HDLコレステロールを増やす作用があります。エストロゲンの分泌が盛んな若い女性は、LDLコレステロールが低い傾向にあります。しかし、女性は更年期を迎えてエストロゲンの分泌量が減少すると、コレステロールのバランスが崩れてLDLコレステロールが増えやすくなります。そのため、閉経後の女性は、動脈硬化のリスクが高まることが知られています。男性は、加齢とともに徐々にLDLコレステロール値が上昇する傾向があります。
年齢別・LDLLコレステロールの基準値
加齢に伴い、男女ともにLDLコレステロール値は上昇する傾向にあります。
これは、加齢に伴い、コレステロールの代謝能力が低下するためと考えられています。特に女性は、閉経後にエストロゲンの分泌が減少することで、LDLコレステロールが上昇しやすくなります。高齢者は、動脈硬化が進んでいる場合が多く、LDLコレステロールが高いと、心筋梗塞や脳卒中などのリスクがさらに高まるため、注意が必要です。
LDLコレステロールの上昇を抑えるための予防法
コレステロールの摂取量を減らす
LDLコレステロールを上昇させないためには、コレステロールの摂取を控えるようにしましょう。鶏卵、魚卵などの卵類や、レバーなどの内臓類はコレステロールを多く含む食品です。完全に避ける必要はありませんが、普段の食事で摂取しすぎないように心がけましょう。
飽和脂肪酸の摂取を抑える
飽和脂肪酸は、血中コレステロールを上昇させる作用があります。肉類の脂身、バター、ラード、生クリームなどは飽和脂肪酸が多く含まれるため、控えるようにしましょう。調理方法を工夫することも大切です。例えば、揚げ物ではなく、蒸し料理や煮込み料理を選ぶなど、油の使用量を減らすようにしましょう。
適正体重の維持
肥満はLDLコレステロールを上昇させるリスクがあります。内臓脂肪の蓄積は、動脈硬化を促進する悪玉物質を増やし、善玉物質を減らすことが知られています。肥満の方は、バランスの取れた食事と適度な運動によって、体重を減らすようにしましょう。
無理なダイエットは、栄養不足を招く恐れがあるため、医師や栄養士に相談しながら、健康的な減量を目指しましょう。
定期的な運動
定期的な運動習慣として、1日30分以上、週3回以上を目安に運動する習慣をつけると良いでしょう。難しければ休日だけで良いので週150分以上行うようにしましょう。ウォーキングなどの、軽く汗をかく程度の有酸素運動が効果的です。
食物繊維の摂取
食物繊維の摂取は、腸内環境を整え、コレステロールの吸収を抑える効果を高めます。主食を白米から玄米や麦ごはんに変えるだけでも、食物繊維の摂取量を増やすことができます。毎日の食事に野菜や果物、海藻などの食物繊維を積極的に取り入れましょう。
「LDLコレステロールの基準値」についてよくある質問
ここまでLDLコレステロールの基準値について紹介しました。ここでは「LDLコレステロールの基準値」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
瘦せている(太っていない)のにLDLコレステロールが高い原因について教えてください。
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
LDLコレステロールが高い原因は必ずしも肥満だけではありません。女性は、女性ホルモンの影響でコレステロールの値が大きく変動します。そのため、痩せていてもLDLコレステロールが高くなってしまうことがあります。また、コレステロールや飽和脂肪酸を多く含む食品を摂りすぎると、LDLコレステロールが高くなることがあります。例えば、揚げ物や加工食品、スナック菓子などを頻繁に食べていると、痩せていてもコレステロール値が高くなることがあります。このような食生活に心当たりのある方は、食事の内容を見直してみるのも良いかもしれません。
LDLコレステロールがどれくらい高いと注意が必要ですか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
日本動脈硬化学会によると、LDLコレステロールが140mg/dl以上になると、高LDLコレステロール血症と診断されます。140mg/dlを超えている場合は、生活習慣の見直しや医療機関への受診を検討しましょう。
まとめ 生活習慣の見直しでコレステロールをしっかり管理!
LDLコレステロールは、増えすぎると血管の弾力性を低下させ、動脈硬化を進行させる原因となります。動脈硬化は、心筋梗塞や脳卒中などの命に関わる病気を引き起こす危険因子です。しかし、適切な食事療法や運動療法、生活習慣の改善などを行うことで、LDLコレステロール値をコントロールし、これらのリスクを減らすことができます。健康診断などでLDLコレステロール値の異常を指摘された場合は、放置せずに、早めに医療機関を受診し、医師の指導のもと適切な対策を講じることが大切です。
「LDLコレステロール」の異常で考えられる病気
内科の病気
- 脂質異常症
- 低LDLコレステロール血症
- 家族性高コレステロール血症
脳神経系の病気
健康診断で指摘されるコレステロール値の異常は、自覚症状がないので放置しがちとなりますが、動脈硬化性の変化は徐々に進んでしまい、結果的に重篤な病気を発症する原因となってしまいます。バランスの取れた食事、運動習慣を身につけるなどの対策によって、コレステロール値を改善することができますが、数値の改善が見られない場合には、医療機関への受診をお勧めします。




