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「血圧の下が高い」とどんな病気が考えられる?医師が5つの病気を解説!

 公開日:2025/12/15

血圧の下が高いとどんな病気が考えられる?Medical DOC監修医が解説します。

※この記事はMedical DOCにて『「血圧の下が高い」原因はご存知ですか?男女別の原因・血圧の下の基準値も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

血圧とは?

血圧とは心臓から送り出された血液が血管の内側にかかる圧力のことです。心臓から押し出される血液の量(心拍出量)と血管の太さや弾力性が影響します。
いくつから高血圧と診断されるか、血圧が高いと考えられる病気や対策について解説します。

血圧の数値で体の何がわかる?

血圧が異常値であっても症状が現れない場合がほとんどですが、血圧が高ければ高血圧の可能性があり、動脈硬化が進行するリスクになります。
血液検査など、血圧測定以外の検査も行うことで、腎臓病・心臓病など他の病気の発見にもつながります。

血圧の測定方法

家庭での血圧測定方法は、上腕式の血圧計を使用し2回測定した平均値を測定値とします。
家庭血圧を朝と晩の2回、それぞれ7日間測定した平均値が家庭測定値の高血圧の判断基準です。
朝の血圧は起床後1時間以内、排尿後、朝食前、座って1〜2分安静後に測定し、晩の血圧は座って1〜2分安静後に測定します。
寒さ・会話・カフェインの摂取・喫煙などは血圧上昇に、入浴や飲酒は血圧の低下に影響を与えます。環境を整えて測定しましょう。

血圧の上とは?

心臓が収縮して血液を送り出す時の血圧が収縮期血圧で、一般的に上の血圧と呼びます。

血圧の上の基準値

正常血圧は診察室で120mmHg未満、家庭で115mmHg未満です。

血圧の上はいくつから高いと判断できる?

診察室で140mmHg以上、家庭で135mmHg以上の場合、高血圧と診断されます。
収縮期血圧の分類(mmHg)

  診察室血圧 家庭血圧
正常血圧 120未満 115未満
正常高値血圧 120~129 115~124
高値血圧 130~139 125~134
I 度高血圧 140~159 135~144
II 度高血圧 160~179 145~159
III 度高血圧 180以上 160以上

血圧の下とは?

血液が心臓に戻ってきて拡張している時の血圧が拡張期血圧で、一般的に下の血圧と呼びます。

血圧の下の基準値

正常血圧は診察室で80mmHg未満、家庭で75mmHg未満です。

血圧の下はいくつから高いと判断できる?

診察室で90mmHg以上、家庭で85mmHg以上の場合、高血圧と診断されます。
拡張期血圧の分類(mmHg)

  診察室血圧 家庭血圧
正常血圧 80未満 75未満
正常高値血圧 80未満 75未満
高値血圧 80~89 75~84
I 度高血圧 90~99 85~89
II 度高血圧 100~109 90~99
III 度高血圧 110以上 100以上

「血圧の下が高い」状態の特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「血圧の下が高い」に関する病気を紹介します。
どのような病気や症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

高血圧

高血圧の原因は食塩の過剰摂取・肥満・過剰飲酒・運動不足・喫煙・加齢・遺伝などです。高血圧の状態が続くと動脈硬化が進み、脳卒中・心臓病・腎臓病などの病気を発症するリスクが高まります。

食塩制限・肥満の解消・節酒・禁煙や運動など、生活習慣の改善と必要に応じた薬物療法が主な治療法です。
健康診断などでの高血圧の指摘や、家庭での血圧が基準値を越える状態が続くようなら早めに循環器科や一般内科を受診しましょう。

動脈硬化

動脈硬化とは血管が硬くなった状態です。高血圧など生活習慣病・加齢・喫煙などが原因で、血管の弾力が低下したり、血管内が狭くなり血管が厚くなります。
動脈硬化が進行すると、脳卒中・心臓病・腎臓病などの病気を発症するリスクが高まります。

動脈硬化の進行予防は、危険因子である生活習慣病を改善することです。

健康診断などで高血圧を指摘されたら早めに循環器科や一般内科を受診しましょう。

慢性腎臓病

慢性腎臓病とは腎機能の低下や腎障害が3ヶ月以上持続した状態です。

発症の主な原因は高血圧・糖尿病・高尿酸血症などの生活習慣病や喫煙です。

治療は食事療法や症状に応じた薬物療法を行います。

健康診断で高血圧や腎機能の低下を指摘されたり、むくみ・夜間尿などの症状がある場合は早めに腎臓内科を受診しましょう。

脳卒中

脳卒中とは高血圧や動脈硬化が主な原因で、脳の血管が詰まって起こる脳梗塞と脳の血管が破れて起こる脳出血・くも膜下出血があります。

脳卒中の予防のために、高血圧などの生活習慣病の治療を行います。肥満の解消・禁煙・節酒など生活習慣の改善も必要です。

ろれつが回らない・体の半身が動かないなどの症状があれば早急に救急要請をしましょう。

虚血性心疾患

虚血性心疾患とは心臓の冠動脈という血管に動脈硬化が起こることで、血管の閉塞や、心臓に血液が十分に届かなくなり、心臓の細胞の壊死が起こる病気です。
狭心症は血管が狭くなった状態、心筋梗塞は血管が詰まり、心臓の細胞の壊死が起こった状態です。
発症の主な原因は高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病や喫煙による動脈硬化です。
虚血性心疾患の予防は高血圧などの生活習慣病の治療を行います。減塩食・肥満の解消・禁煙・節酒など食事療法や生活習慣の改善も必要です。

激しい胸痛や呼吸困難、吐き気、嘔吐などの心筋梗塞を疑う症状の場合は早急に救急要請をしましょう。

血圧の下が高くならないための予防法

血圧の下が高い原因は肥満・過剰飲酒・食塩過剰摂取・喫煙などによる動脈硬化です。これらの生活習慣がある場合は改善することで予防効果が期待できます。

肥満があれば解消しましょう

内臓脂肪が蓄積された肥満は、ホルモンのバランスを乱し血圧を上げる原因になります。
BMI(体格指数)20kg/m²と比べて、BMI25〜29.9kg/m²では高血圧の発症リスクが1.5〜2.5倍になると推定されています。

BMIの正常範囲は18.5~25です。25以上が肥満と判定されます。

BMIの算出式
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
例)165cmで60kgの場合
BMI=60kg÷1.65m÷1.65m=22.0

標準体重までの減量が難しくても、現体重から3%以上の減量で降圧効果が期待できます。現状より少しでも減量できるような生活改善に取り組みましょう。

節酒や禁酒しましょう

多量飲酒の習慣は高血圧の原因となります。
節酒を1~2週間継続すると降圧効果が期待できます。推奨されている摂取量の達成が難しい場合は、現状より少しでも節酒しましょう。

高血圧治療ガイドライン2019では、一日の摂取量で、男性では純アルコールで20〜30ml以下、女性は10〜20ml以下が推奨されています。

純アルコール20gの目安(アルコール度数により異なります)
・ビール 500ml
・日本酒 1合(180ml)
・焼酎 約110ml
・ワイン 180ml
・缶チューハイ 500ml

減塩にしましょう

食塩の過剰摂取は血圧が上がる原因です。
目標は一日6g未満ですが、日本人の食塩摂取量は多く、減塩を意識していても達成が難しい目標値です。

食塩は調味料、梅干しや漬け物などの塩蔵品、汁物、麺類、加工品などに多く含まれます。

目標の一日6g未満の実践が難しくても、一日の食塩摂取量を約2.5g減らすことで降圧効果が期待できます。市販品や外食の栄養成分表示で食塩含有量の確認を習慣化し、どれくらい食塩を摂取しているか把握することから始めてみましょう。

「血圧の下が高い」についてよくある質問

ここまで血圧の下が高いことについて紹介しました。ここでは「血圧の下が高い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

血圧の下が90以上だと体にどんな影響を与えますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

血圧の下が90以上は高血圧と診断されます。高血圧が持続することは、動脈硬化進行のリスクになります。動脈硬化が進行すると心臓病や脳卒中などの病気の発症の原因となります。下の血圧が上がり始めたら、生活習慣を見直し注意しましょう。

編集部まとめ 血圧の下が高いのは動脈硬化のサイン!

下の血圧は、食塩の過剰摂取・肥満・過剰飲酒の習慣・喫煙など生活習慣が原因で高くなります。高血圧が続くと動脈硬化が進行し、腎臓病や脳卒中や心臓病を起こしやすくなります。
家庭測定の血圧が高い・健康診断で高血圧を指摘されたら医療機関の受診と生活習慣の改善に取り組みましょう。

「血圧」で考えられる病気と特徴

「血圧」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

腎臓科の病気

脳血管系の病気

呼吸器科の病気

眼科の病気

血圧は肥満や過剰飲酒や喫煙などの生活習慣や脂質異常症、糖尿病、高尿酸血症などの生活習慣病が原因で高くなります。血圧を上げる原因となる病気を発症している場合もあるので、健康診断などで血圧の異常を指摘されたら早めに医療機関を受診しましょう。

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