矯正治療で絶対に失敗しないために! 専門医が教える歯科クリニックの選び方

矯正治療は期間が長期にわたることや費用面を考えても、歯科医院選びは慎重に進めたいものです。治療で失敗しないためには、どんな点に着目してクリニックを探し、何を基準に選べばよいのでしょうか? そこで矯正治療の失敗しない歯科クリニックの探し方について、しぶたに矯正歯科の渋谷先生に解説してもらいました。

監修歯科医師:
渋谷 直樹(しぶたに矯正歯科)
編集部
矯正治療で歯科医院を探す際、どのような点に注目するとよいでしょうか?
渋谷先生
まずはホームページなどで担当歯科医の経歴を確認することをおすすめします。出身大学や大学院、歯学博士の有無、日本矯正歯科学会の認定医や専門医の資格の有無が、判断するうえでわかりやすい目安となります。また、矯正治療は保定期間も含めると4~5年ほど通院が必要です。基本的には月1回程度の通院となりますが、診療時間や医院の立地などから、通院を生活スタイルに無理なく組み込めるかどうかもしっかりチェックしてみるとよいでしょう。
編集部
近年は一般歯科でも矯正治療を行っているところも多いのですが、矯正歯科専門医院との違いについて教えてください。
渋谷先生
一般歯科のなかには、月に1~2回ほど矯正歯科専門医が来院して治療を行っているクリニックがあります。このような歯科医院は矯正歯科専門医院と同等の治療が受けられるほか、むし歯や矯正治療後の補綴処置(被せものの治療)などもスムーズに行えるのがメリットです。一方で、矯正治療日が限られるため、患者さんの都合が合わない場合は治療間隔が空いてしまい、全体の治療期間が延びる可能性があります。また、矯正専門医の不在時に装置が外れた場合などに、専門的な処置ができないこともあります。したがって、そういった緊急時の対応についても事前に確認しておくことが大切です。また、一般歯科では矯正歯科専門医ではない歯科医が、民間のセミナーを受けて治療しているパターンもありますので注意が必要です。
編集部
矯正治療に必要な設備や機器について、どのような点を確認しておくとよいでしょうか?
渋谷先生
矯正歯科治療には「頭部X線規格写真(セファログラム)」の撮影が必須です。矯正歯科専門医院であればこの設備は整っていますが、一般歯科で設備がない場合は、他施設に撮影を依頼することもあります。これにくわえ、歯の型取りの際に「口腔スキャナー」があれば、従来のピンク色の粘土(印象材)を使った型取りよりも負担は軽減されるでしょう。さらに、「3Dプリンター」を導入している医院では、治療後のリテーナー(保定装置)をその場で作成することが可能です。
編集部
近年は「コンピュータを使った治療シミュレーション」も話題になりますが、こちらについてはいかがでしょうか?
渋谷先生
コンピュータを使ったシミュレーションシステムは、治療後の理想的な歯並びのイメージを矯正歯科医と患者さんで共有しやすいといったメリットはありますが、シミュレーション上では実現不可能な歯並びも自由に作成できてしまいます。実現可能なシミュレーションを作成し、その通りに歯が動くかどうかは矯正歯科医の専門的な技術が必要なため、この点は注意が必要です。
編集部
今はインターネットの口コミや評判を見て歯科医院を探す方も多いと思いますが、情報を見る際の注意点を教えてください。
渋谷先生
ネット上の口コミは参考程度に留めておくことをおすすめします。矯正治療は個人差が大きく、患者さんの求めている治療と歯科医が提供できる治療との間に差が生じることもしばしばです。そのため、同じ治療法でも患者さんによって、結果や満足度が異なることがあります。したがって、実際にカウンセリングを受けてみて、歯科医やスタッフの対応、治療方針、クリニックの雰囲気などを自分で確かめてみることが大切です。
※この記事はメディカルドックにて<矯正治療を受ける前に確認すべき歯科クリニック選びのポイント【歯科医解説】>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。



