高齢で歯のインプラントを考えている人への注意点 インプラントにできないケースとは?
インプラントができないケースや高齢の方でインプラントを検討している人への注意点を歯科医の入江先生に教えてもらいました。
監修歯科医師:
入江 陽一(入江歯科クリニック)
編集部
インプラントか入れ歯かで悩むのは、どちらかというと高齢者が多いと思うのですが「年齢的にインプラントができない」というケースはないのですか?
入江先生
年齢はとくに関係ありません。高齢者でも全身疾患がなく、顎骨の状態が良ければインプラント治療は可能です。ただし、インプラントを選ぶ際、将来的に入院や介護が必要になった場合にメンテナンスをどうするかということを考えておくべきです。介護者にメンテナンスをお願いする場合、インプラントよりも、取り外しができる入れ歯の方がお手入れしやすいという利点があります。
編集部
そうなると、介護や寝たきりが心配な場合は「入れ歯」を選択した方がいいのでしょうか?
入江先生
仮にインプラントにする場合でも、いざというに備えて上部構造(人工歯)だけを外して、入れ歯に変えられるようにインプラントを設計することが可能です。将来的な介護や入院が心配な人はその旨を担当医と相談し、インプラントを入れ歯に変更できるような設計にしてもらうことも選択肢の1つとして考えてみるのもいいでしょう。
編集部
設計次第ではインプラントを後から入れ歯に変えることも可能なのですね。一方で、「インプラントにしたい」と希望してもインプラントにできないケースもあるのでしょうか?
入江先生
そうですね、インプラントにしたくてもできないケースはあります。例えば、ずっと昔に抜歯をして入れ歯を使っていた、あるいは何も入れずに放置していた場合に、骨の厚みが足りなくてインプラントにできないケースがあります。そのような場合でも「骨造成」という処置で骨を増すことはできますが、通常の治療よりも費用も時間もかかることから、断念する人も少なくありません。
編集部
そのほかに、インプラントができないケースはありますか?
入江先生
糖尿病や高血圧、心臓疾患などの持病があって検査の数値が悪い場合は、インプラント治療がおこなえません。このようなケースでは、まず医科での治療で病状をコントロールすることが優先されます。また、服用している薬の種類によっては、インプラントができない場合もあるため担当医によく確認しておきましょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いいします。
入江先生
何らかの原因で歯を失った場合、自分の歯に最も近いという意味においてインプラントに勝るものはありません。しかし、「コスト的に厳しい」「手術が怖い」などの理由でインプラントにできない場合は、いったん入れ歯に寄り道してみるという選択肢があってもいいと思います。ゴールまでの道のりは少し長くなりますが、担当医と相談しながら自分にふさわしい治療を選択していきましょう。
※この記事はMedical DOCにて【インプラントと入れ歯はどう違う? それぞれのメリット・デメリットを徹底比較】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。